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メンタルをやられた時の漢方薬

 今回は、「メンタルをやられた。」と言うときに使われる代表的漢方薬を紹介いたします。

 ストレス満載の世の中を生き抜いているうち、自分が意識する以上に精神が疲れてしまっている、と言う事はよく見かけます。漢方ではメンタルのやられ方を3つに分けて考えます。元気がなくなっている気虚、イライラする気逆、なんだか不安な気滞の3つです。あなたのメンタルはいかがですか?以下に、それぞれの場合に利用される代表的な漢方処方をご紹介いたします。


気虚

 まずは気虚の場合。気力がなくて元気がないときの第一選択薬は補中益気湯です。消化吸収能を強め、代謝を促進し、元気をつけて、疲労感を改善してくれます。元気をつけることによって病を癒し、また病にかかりにくくしてくれる処方となっています。疲れたなぁと思ったら試してみてください。即効性がある場合もありますから、普段元気な人でここのところ仕事が忙しくて疲れたよ、などと言うときには栄養ドリンクよりも補中益気湯の方を私はお勧めしたいと思います。胃の調子が悪くて元気が出ないと言ったときには、六君子湯を利用するのも良いと思います。また冷えがあって元気が出ず、下痢気味と言った時は人参湯も選択肢になります。

気逆

 なんだかイライラする気逆と言う時にまず思い浮かぶのは抑肝散です。肝は精神活動を安定させ、新陳代謝を維持し、血を貯蔵して全身に栄養補給するといったような働きをする1つの機能単位と考えています。単に臓器としての肝臓の意味合いより広く捉える必要があります。

 この肝の過剰な働きを抑制して心身を安定化させるというのが抑肝散です。保険適用は虚弱な体質で、神経が高ぶるものの、次の諸症:神経症、不眠症、小児夜泣き小児癇症となっています。高血圧傾向で頭痛を伴うような方の気逆なら釣藤散を試してみると良いと思います。これが合えば頭痛が軽快し、イライラもなくなり、睡眠もしっかり取れるようになります。さらに気力とともに更年期障害の症状を伴うならば、加味逍遙散が良いと思います。

気滞(気鬱)

 不安の感じる気滞、なんだか不安で気分がすっきりしないし、喉のあたりに違和感を感じるといった時に第一選択となるのは半夏厚朴湯です。気と言うのはスムーズに流れていくのが理想ですが、その流れがどこかで滞っている状態が気滞です。その滞りのある場所に応じた症状が出てくると考えられています。半夏厚朴湯は喉から胸、上腹部あたりで気の流れが悪くなっているときに用いる処方です。なんだか気分が晴れないなぁと言う時に試してみると良いと思います。虚弱傾向の強い方なら香蘇散も選択肢になります。香蘇散の保険適応は胃腸虚弱で神経質の人の風邪の初期となっており、適用範囲が狭いように見えますが、神経質ということで使えますから応用できますまた頭痛、寒気などに効果がありますが、気の巡りを良くする薬がしっかり入っていますから、合えば不安を訴える方に効果があります。

気虚+気滞

 さて気虚と気滞が一緒になって元気が出なくて落ち込んでいる、と言う方には加味帰脾湯が第一選択になると思います。帰脾湯は脾に帰ると書きますから、脾を元気づけるという意味が込められています。脾というのは単に脾蔵を指しているわけではなく、消化吸収脳に関わるとともに血の流通を滑らかにし、血管からの露出を防ぐといった機能単位として捉えています。脾の異常により焦燥感、抑鬱、疲労感、筋力低下、出血傾向、食欲低下などが生じるとされています。帰脾湯の保険適応病名は、虚弱体質で、欠食の悪い人の次の訴訟、貧血、不眠症となっています。この帰脾湯に柴胡と山梔子が加わったものが加味帰脾湯となり、帰脾湯よりも神経過敏傾向が見られるような時に使われるもので、保険適応は、虚弱体質で血色が悪い人の次の諸症:貧血、不眠症、精神不安神経症となっています。

最後に

 以上にあげたものの以外にも気持ちを整える方向に働く処方はいくつもあります。メンタル不調かなと思ったら漢方薬を利用すると言う選択肢もあることを思い出してください。漢方薬はいくつもの生薬が組み合わされてきたものですから、1つの方向に働くだけではなくて、いろいろな症状を一緒にまとめて面倒を見てくれると言う側面があります。メンタルやられたと言うときには漢方薬を試してみると、メンタルだけでなく体の調子も整えてくれるかもしれません。

 自分に合った漢方薬をいくつか持っておくと、日々の体調管理がしやすくなったりします。ぜひ漢方に興味を持ってくださいね。ちょっと漢方のことを知りたいなと思ったら、フォロー、サポートをよろしく。では、また。

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