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オンライン飲み会が結ぶ、1130㎞

大学時代の友人と鬼怒川温泉へ卒業旅行へ出かけたのは、もう5年以上前の話になる。

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大量の缶チューハイ、酒瓶をレンタカーに積み込み、現地でも地酒を仕入れる。馬鹿騒ぎしながら酒をしこたま飲み、そのまま雑魚寝。

レンタカーは現地で返却。
スペーシアの個室を貸し切り、昨夜の残りの缶チューハイで一杯やりながら、帰路につく。

明日のことなど気にしないでいい。お酌を…とりわけを…なんてしないでいい。自由に飲んで、食って、騒いで、好きな時に寝る。気心の知れた仲間うちだからこその時間が、そこにはあった。

中身のある会話なんて、一体いくつあっただろうか。なにも残っていないのに、どうしてこんなにも楽しくて盛り上がって、まだ一緒にいたいと思うのだろうか。
酒がなくてももちろん楽しいが、酒が入るからこそ出てくる話もある。

学生は学生なりに忙しく過ごしているわけだが(ちゃんと勉強もしていたので…←大事)
そんな日々の中で「飲みに行こうぜ!」が、私たちの集合の合図だったようにも思う。

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↑みんな大好き鳥貴族。すーぐとりき行く。

在学中もなにかに託けては定期的に飲んできた私たち。卒業し、就職し、それぞれ別の場所での生活が始まった。
就職してしばらくのあいだは、ワンシーズンに1回は集まろう!と意識的に企画を立てていたものだった。しかしそれぞれがどんどん忙しくなっていき、全員が集まるなんて夢のまた夢状態に……。

私は私で、結婚し、子どもを生んだ。妊娠〜授乳中はお酒は飲めないし、産後は産後で夜出歩いてベロベロになるまで飲むなどできない立場に。
一人は就職の段で地元へ帰っていたが、またもう一人も転職で遠くへ引っ越し、物理的な距離も離れていった。

そんな中、バラバラだった私たちを繋いだのは「オンライン飲み会」だった。

本当に皮肉なもので、このご時世になって「オンライン●●」が出回ったことによって、私たちはまた「集合」するに至ったのである。

友人は、仕事が終わってから。家事が終わってから。私は寝かしつけが終わってから。それぞれのタイミングで集まって、最近の話や、興味のあること、オンラインしりとりをして盛り上がる。物理的な距離でしばらく顔も見ていなかった友人とも久々に(画面越しだけど)顔を合わせる。

もちろん、皆、片手には思い思いの酒

つまみをシェアしたり、そのお酒ちょっとちょうだい、とはいかないけれど。
かつての「いつまででも話していられる」空間がそこにはあった

名残惜しい気持ちを引きずりながら「楽しかったね、またやろうね」と約束を交わすやりとりは、飲み屋から駅まで歩く道のりを思い出す。わざとゆっくりゆっくり歩いて、改札の前で更に少し話した……日もあれば、終電を逃しそうになって走って駆け抜けた日もあった、なぁ。

オンライン飲みも楽しい。距離も時間も越えられる。
それでもやっぱり、オフラインで飲みたいのが飲み友達のサガ。

一堂に会して飲める日を待ち遠しく思いながら、次の「飲み会」に備えて日々話題と酒を探すのである。

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猪狩はな|教育ライター
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