【Peony 芍薬】出会えるのは、一年に一度きり。

芍薬（シャクヤク）は、5 月から6 月にかけて旬を迎えます。通年楽しめる花も増えてきたなか、ほんの短い期間しか出回らないため、毎年この季節を心待ちにしている熱狂的ファンも多い花です。

【旬は約1 カ月半！】

芍薬の入荷は、まずは西日本のものからはじまります。
和歌山→長野→新潟→北海道と日々を追っていくごとに、寒冷地のものへ。まるで、リレーのようにタスキがつなげられているかのようです。
こうした背景があり、店頭では、約1 カ月半楽しむことができます。産地によって栽培品種も違えば、同じ品種でも産地ごとに不思議と表情に違いがありますので、目が離せない1 カ月半となりそうです。

芍薬は、蕾から花開き、散るまでがとてもドラマチックなお花。硬くて小さなつぼみがフワ～っと開くと、つややかで繊細な花びらが幾重にも重なっているあでやかさが魅力です。

【芍薬の花言葉】

芍薬は、「はにかみ」「恥じらい」など、シャイな印象を与える花言葉をもっています。この花言葉の由来は諸説ありますが、代表的なのは2説です。

--①--
その昔、神様がとても可愛がっていた“はにかみ屋の妖精”ピオニアが、ある日芍薬の花にこっそり隠れると、芍薬の花も一緒にはにかむように赤くなってしまった…というイギリス民話が由来の説です。
実際に、英語圏では、恥じらいやはにかむしぐさを表す慣用句に「blush like a peony」「芍薬のように頬を赤く染める」という言葉があります！普段の生活に、ピオニーが溶け込んでいるのがうかがえますね。

--②--
ピオニーは、早朝に花を開いて早々と夕方には花を閉じるという特徴があります。夜の人目がつく時間には、恥ずかしがって花を見せない姿が、日本人の美徳である奥ゆかしさをイメージさせ、「恥じらい」の花言葉がついたそうです。

【名前の由来】

芍薬の「芍」は、抜きんでて美しいという意味をもちます。
立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花―。美しい女性を形容する言葉としても魅力的なお花として知られていますね。
そして、芍薬の「薬」は、平安時代に中国から日本に、薬草の植物として伝わったことが由来です。
葛根湯や芍薬甘草湯など、一度は耳にしたことがありませんか？こちらには、芍薬の根が配合されています。古くから鎮痛剤などに効果があるとされ、漢方医学ではとてもポピュラーな生薬の1つだそうです。

つまりサクッとまとめると、花名の由来は、抜きんでて美しい花をつける「薬」ということです。

【立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花 について】
この慣用句は、江戸時代にできたとされています。
スラリと伸びて咲いている様子が、立っている美しい女性の姿のような芍薬。枝分かれして横向きに咲いている様子が、座っている美しい女性のような牡丹。風に揺れる様子が、歩いている美しい女性のような百合。
そんな風情になぞらえています。

【芍薬の香り】

実は、芍薬は、香水にもなるほど香りもたおやかです。
フランスでは、しなやかで爽やかな香りのワインを「シャクヤクのような香り（Le parfum tel que la piovoine）」と表現することがあります。また、芍薬の香りがバラに似ていることからフランスでは「聖母のバラ」、イタリア、スペインでは「山のバラ」と呼ばれています。

【芍薬のケア】

①下葉を中心に落とす
余分な葉を取り除くことで葉からの蒸散を減らし、花に十分に水があがるようにします。
②茎の長さを決める
茎の長さを決める 花瓶の高さに合わせて茎を切る位置を決めます。茎の長さ：花瓶の高さ=2：1が目安です。
③茎を斜めにカット
清潔な花バサミやフラワーナイフで茎を斜めにカットしましょう。鋭角に切ることで、吸水面積を広くします。
④蕾の蜜を拭き取る
蕾から出る蜜でガクが固まると開花できなくなる原因になるので、湿らせた布で拭き取ります。
⑤蕾を優しくほぐす
蕾を包むようにし、指の腹を使って優しくほぐし、花が開きやすくなるようにします。
⑥花瓶の水は深め
水は常にたっぷりと。フレッシュフラワーフード（切花鮮度保持剤）を使いましょう。

旬を過ぎたら、次に出会えるのは一年後。
ぜひ、お気に入りの芍薬を見つけてくださいね！

【和名】芍薬（シャクヤク）
【学名】 Peonia lactiflora
【科・属名】 ボタン科・ボタン属
【英名】 Chinese peony・Common garden peony
【原産地】 中国北部、朝鮮半島
【開花期】 5～6月
【別名】 貌佳草（カオヨグサ）・ピオニー

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