言花満ちる清聴の大樹(1)*赤鬼
お題『言花満ちる清聴の大樹(1)*赤鬼』
儂は物語の語り手。
今日も今日とて、物語の種を探して、彷徨い揺蕩う者である。
なにか…、なにか無いだろうか…。
🌳『…そこを行く者よ、暇であるならば、こちらに寄ってはいかがか?』
…なんだ、空気を震わす音ではなく、
直接内に木霊する音が響く。
心地よい重低音の音に誘われるように、
儂はその音の処に向かわんとした。
🌳『ようこそ、旅の者よ。まぁ、ゆっくり休むと良い』
そこは深い洞窟の奥、
しかし、天井が崩れ落ちて、
麹色のような、白白とした太陽が入り込む場所であった。
その陽の光を浴びて、
幹が太く花萌葱色の葉を茂らせている大樹が、
泰然と佇んでいた。
大樹の周りには花畑がある。
洞窟の中とは思えぬ光景であった。
…この大樹が、儂に語りかけてきたのか。
🌳『左様に。…もしよければ、少しごゆるり、話を聞いてはいかないか』
物語の種になるならば是非にと、
儂は深く頷いた。
今回、我は、お主と言葉を交わすことが出来た。
それはちょうど、我とお主が共鳴したからであろう。
📝『なんと、そんなことが…?にわかには信じられんが…』
確かにな。実際、それはとても稀有なことだ。
📝『ううむ…摩訶不思議な…。まぁ、それも楽しいものよ』
我の言葉は基本的には聞こえはしないものだ。
だが、なぜか、この場所には、多くの来訪者がやってくる。
何かしら紡ぎたいものを紡ぐためにな。
この場所の雰囲気がそうさせているのか。
洞窟の中に木霊する己の声に心地よさを感じるのか。
ただたんに、「話すことで離すこと」を目指さんとするためか。
我にはよく分からぬ。
📝『確かに、ここの雰囲気はとても心に残るものがある…』
そうだな。
滔々と紡がれた言葉達は、
花の形になり、この地に彩りを添える。
それゆえに、この洞窟の最奥であるこの場所に、
ここまで色鮮やかな数多の花が咲き乱れているのだ。
📝『なんと、この花は、言花であったか…』
この花たちが覚えている来訪者の音色、
それはちょっと刺激すれば、
すぐに過ぎし日のまま、紡がれる。
そして、この花たちは、少し面白いところがあるんだが…。
まぁ、今は言うまい。
…あれは、少し前のこと。
印象深い来訪者があってな。
それは、赤鬼だった。
では、その赤鬼の紡ぐ音色を、
共に聞こうではないか。
その音色の中で、この花たちの別の側面も、
垣間見ることができるだろうよ。
🟥『ふぃー、やっとたどり着いたわぁ…。あかん、もう、ヘトヘトやねん。なんでこんなアクセスの悪いところにあるん?おかしいやろ!』
赤鬼は文句をたらしながら、
我に近づいてきた。
📝『でっかい独り言を言う赤鬼じゃな…』
この地にやってくるものは、大体がそうである。
まぁ、それは些末な事ゆえ、気にせず横におくとよいだろう。
🟥『おお!花畑やんけ!なんや、ムッチャキレイやなぁ。うっとりするわ。…そしてその花畑を足元にしているあんさんが、有名な清聴の大樹はんやねんな!』
そんなことを話しながら、赤鬼は、どっかと地面に腰をおろした。
🟥『折角ここまで来たんやから、バッチリスッキリして帰りたいなぁって思うねんで。ほな、よろしう頼んま~』
いやぁ、ワテなぁ、山を越えてやってきたんやけど、
どうにもこうにも、
心が落ち着かん話を知って、
なんとかスッキリしたいな思うて。
なんや、風のたよりで読んだんやけど、
どこぞの青鬼はんが、赤鬼はんに善かれと思って、
ハッチャケて、そんで、そのまま姿を消したとか、
なんや、そんな話やってん!
…
…?
なんや…?
ちっさい声が聞こえて…。
…
あ!これが、噂の言花やねんな?
ツッコミの花が、
清聴の大樹はんの所にあるとは聞いとったけども。
珍しいやっちゃなぁ…!
…しかし、「こめいち」ってなんやねん?
…
…
ほーん?
ようわからんな?
まぁ、たしかに、ツッコミ不在は気になる場合もあんねんし!
…
…
まぁ、大樹はんはちゃんと「清聴」してはるけど、
言花がなにか言いがちってことやねんな、
この場所は。
…
ようわからんことは横においておくさかい、
続けてゆくわ。
…
…
おうとも。
…その風のたよりを読んだ時に、
なんでやねん!ってワテ思うて。
善かれや無いやろ!善かれや!
なんで勝手に忖度してるん?
ありえへんがな!
そのせいで、トラウマみたいな気持ちになってん。
…
お?ちゃうで。
ここでの「せい」は字義通りや。
…
「怨嗟」や「恨みつらみ」的な含みは皆無で、
素朴に、ただの因果って感じやねんな。
よくないコトの起きた因果や。
…
…
関連付け…?
…いや、そんな話はええねん!
その赤鬼はんは、沢山泣いたらしいねんで。
それをそのまま、絵巻物のタイトルにしてもええくらいや。
そら、泣くわな!
ほんま、やめーや、ってワテは思うねん。
ハッチャケって思うてたもんが、
実は赤鬼はんのタメやって分かって、
ほんで、気づいた時には、
チャンチャラチャンチャン、後の祭り、
後悔、後悔、また後悔、後悔音頭を踊りましょって
そんなん、シンドイやねんか!
まぁ、でも、これまた、風のたよりで、
大体どんなことでも後悔する言う事も、
読んだことあんねんから…
…
…
な、なんやの?
…。
せやったら、きっと、
同じ感じで、
どんなことでも満足する要素はあるんやないかとも、
ワテは思うて。
やから、満足のカケラは、
なんとかひねり出して見つけたいもんやって
思うんやわ。
少し、ウタ、うたおか。
そもそも、
そう、そもそもや、
別に今、
後悔してへんのなら、
未来の後悔を気にしても
しゃーないねんな。
やから、やっぱワテは、
「満足」っていう、
後悔の反対言葉の筆頭を、
大事にしたいって思うんやわ。
「満足」は、
満ち足りるってことやし、
➕️🟰ってことでも、
あるねんな。
心いっぱい、記憶の花が、満ち足りて
顔いっぱい、笑顔の花が、満ち足りて
体いっぱい、気力の花が、満ち足りて
それらを➕️、➕️、また、➕️、
今の自分を、
花で🟰ってことでも、
あんねんな。
…
…?
「癖強いでワレ」ってツッコミやな?
…
…
後悔したら、満足のカケラ見つけたらええねん。
ワテの話聞いてたんか?
…
…
…
「かもし?」「ねかし?」
…
…
なんや、よう分からんけど、
来年の話で、鬼のウケとろうってことやねんな?
笑いとりにいきたい気持ち、共感できまっせ!
ほんま!
…
…せやけど、ちょっとノイズ多すぎや。
ワテはただウタうたっただけやねんで。
…
軌道修正、しとこか。
ちょっと、黙っとき!
…
その青鬼はんは、謎の忖度やら、なんやようわからへん理由で、
ドロンしたらしいねんけど、
消えたのは姿だけや。
ちゃんと、その赤鬼はんの中に残ってるんやろ。
実際には、消えてへんがな。
会ったことも無い、ワテの中にも、
残ってるんやから。
伝えることって大事やねんな、
伝えたって伝わらへんかも知れへん、
せやけど、
その風のたよりの
赤鬼はんと、青鬼はんやったら、
そんなトモとしての間柄やったら、
やっぱ、互いにOKになれる道、
模索してゆくのがええんちゃう、
って、少なくとも、
ワテなら、そうしたいっておもうんや。
他に本意があるのかも知れへん、
善かれと思うてできることあるんやないかって、
そないな疑心暗鬼になったら、
鬼が入っているだけあって、
鬼鬼鬼っと、キリないねんな!
同時に、やっぱ、
善かれは、したぁなるねんなぁ…。
ここ、むずいねん、ほんま。
やから、ワテは、まずは、ワテ自身に、
矢印向けてこ思うて。
ワテは、自分のOKを、
ワテの、「want」を、
伝えられるようにしてゆきたいって、
そう思う教訓にもなったんやで。
口下手やねんから、
そういうの苦手やねんけど。
まぁ、訓練や思うて。
って、散々喋っておいて、『口下手』は無いなぁ!
なんやろ?ココでは、口達者になる感じやわ。
この場所がそうさせてるのやろか?
しらんけど。
…んで、合わせて、これも、
風のたよりで読んだんやけど、
過去は変えられへんのやし。
…
…
…なんやの、定期的に…。
…。
これは、ホンマモンやねんけど。
過去、変えられたためし、あらへんしな!
変えられるんなら、ワテの存在が危ういわ!
…せやから、
変えられへんものは、
気にしてもしゃーないねんな。
前向かな。
少し、ウタ、うたおか。
赤鬼はん、青鬼はん、
両方に捧ぐウタや。
ムッチャ泣いて、
ドンヨリすることも、
あるやろな?
せやけど、ずっと泣いてはいられへん。
有限の涙やから。
やから、
沢山スキな飯を、パクっと食って、
さんさんとしたお日様見て、パァっと笑って、
足し算、足し算な喜びを、パフッと握って、
雲散霧散で、パッと靄を晴らして、
心のお日様が琥珀ってる、
やもしれんし。
ほんで、もしかしたら、
ホカホカのスキな飯食ってホッコリして、
ホカっと広がる夜空にホクッとしては、
ホゥ…とする景色をみてはホッと微笑んで、
ほのぼのとご自愛しては、
ほんのりしてるかも、
やしなぁ。
赤鬼はんも、青鬼はんも、
きっと、元気にやっているやろ。
しらんけど。
ほんで、ひょっとしたら、
意外と…、
…。
とと、またや、またや!
他者の気持ちの読みすぎやねん!
ワテの難儀な拙技、
気持ちの読みすぎが発動してるで!
意識的に止めてかな。
他者の事で「しらんけど」って
つけたくなるものは、
手放していきたいとも、
ワテは思うねん。
「しらんけど」部分は、
ウタとして詠むくらいが、
ワテの性分にはあってるのかも、しれんなぁ。
しらんけど。
…
ええねん。
自分のことやったら、
万華鏡な気持ちの、
一部として、
確定したくない、
余白を残したい、
そないな意味で、
「しらんけど」やし!
…
…
…
他者の気持ちについては、
ってことやんねん。
他者の気持ち、
ワテには分かりようが
非へん。
やって、風のたよりは、
たよりになった時点で、
一面だけを切り取って
固まってしまうんやから。
確かに、青鬼はんは、赤鬼はんに善かれとおもって
行動したんやろけど、
そして、それが風のたよりに残って、
それが、二人の全って見えがちやねんけど、
内側は、多面で虹色、
万華鏡やって、
ワテはおもうんや。
…、
鬼はどこの山にも
沢山おるんやし、
生業がてら、
育む縁もあるんやし、
ほんで、鬼界隈の妖技術の進化は、
ハイテクで著しいもんやさかい、
この薄っぺらな板で、
袖振り合おうと思えば、
沢山振り合えるんやし。
…
へ?
なんやねん?
なんもぶっ込んでへんで?
…
…
言われるまでもなく、スキにやりまっせ!
…。
山の縁に、
生業縁、
板の縁に、
風のたよりの縁もええな、
…って感じやねん。
と、同時に、やっぱ、
ワテは、一人の時間、
静かな、静かな、
やけど、内側は川の流れがあるような、
そんな時間も得難いもんやって、
そう思うねんから、
狐の様に独りで、
孤独を、狐独って遊ぶ感じで、
心内を風のままに駆けてるのも、
ええやん、とも、思うねんで。
狐の様に高く朗らかに、
遠吠えを、狐笛って遊ぶ感じで、
心内で響く音色を奏でるのも、
ええやん、って、思うねんで。
そう、ワテは、
ワテ自身に対して、
おもうんやわ。
あとなぁ…、
…
…、や、これ以降は、
口にするの、
ここでは、やめとこか。
やって、それはただのワテの夢物語やから。
…
…
あー、かんにんな。
言葉にできひんこともあんねん。
今は、ウチで大事にしときたいんやわ。
…
…
おう。
おおきに。
…ふぃー、なんにせよ、
ちょっとは、
「ハッピーエンド」な見立てが出来て、
ぼちぼち、スッキリしたわ。
ワテは、風のたよりでその赤鬼はんと青鬼はんの事を読んだら、
読んだだけやのに、メッチャ共感して、
トラウマがポッカリ空いたように感じたんやけど、
そりゃ、気の所為やったな。
━━━━(ドン!)━━━━
なんも穴なんて空いてへんわ。
…てて、少し強く叩きすぎたかも知れん。
…
…
おん?
「胸に叩き込んどく?」
なにをや?
…
癖強の補足?
どーいうこっちゃ?
…
お、おぅ?
色々?そうやろか?
…
…
癖の強いことの補足は、
おいおい、ネタにする…、
って言うたんか?
…
…
…
んん…?
ただの、ケ・セラ・セラってことかいな。
…。
定期的に、ノイズ入ってくるの、
この場所の仕様なんやろか…。
…
…
…
まぁ、仕様ならしゃーないな。
聞き流しておくわ。
…不可思議なところやわ、
ほんま…。
…ふぅ…。
ええ心地やなぁ…。
花たちも陽の光浴びて笑っているようやねんな。
ここは、ほんま、ええ場所や。
確かに、話して離すために、来たぁなるねんな。
すぅ━━━━━━━━…
ふぅ━━━━━━━━…
…
…
…
お!ええノリやんけ!
深く息吸うと、素朴に、心地ええやんな。
…
…
…
…
んん??
ちょ、なんや、世界観ぶち壊すこと言うてへんかった?
花としての矜持、もっと大事にしたってや。
…
…
…
…
ほ、ほーん?
花が足根っこ生やさんて、
メッチャ自由で、ええやんけ。
色々ようわからへんけど…。
…まぁ、ええねん。
深く息吸うと、
ムッチャ身体がポカポカするねんな。
すぅ━━━━━━━━…
ふぅ━━━━━━━━…
…清聴の大樹はん、
ご清聴、ほんま、おおきに。
…ほな、帰ろかぁ。
洞窟の上、空いてるんやし、
帰還の魔法が使える場所で助かりまっせ。
…
…
…
往路と復路、せやな。
往、植物の芽生えを刈りてゆき
復、再びにナらんと、かえる
…。
ここに来るんは
アクセス悪くて、
シンドイんやけど、
同じネタでまた来るかもしれへん。
やって、ワテの見方は
晴れ晴れとした秋の空のように
変わるかも、知れへんのやから。
…
…
ほんまやな。
風の流れが描く、遊び心やわ。
…ドッコイ、違うネタかもしれへんけど。
まぁ、いづれにせよ、
その時は、どうぞよろしう頼んまっせ~。
ほな、またなぁ!
…
━━━━(バヒュゥゥゥゥゥゥン!)━━━━
…
…
━━━━(数時間後)━━━━
儂は、今日聞いた物語の余韻に浸りながら、
夜空の雲間をふ~わふわと揺蕩っていた。
空には大きく明るい月が浮かび、
周りの雲たちを寄せ付けぬ光で、
濃色の空を優しく照らしている。
星が涼やかに天蓋に瞬いて、
その点を線で結びたくなるカタチをしている。
山に連なる線を描くような、
今日、あの地で見た花々を思わせるような、
遠い彼方に導いてくれる軌跡を描くような…。
そっと目を閉じ、
近くの雲の中に静かに身体を委ねる。
解れるように解すようなその月白色の靄が、
緩やかな眠りへと、儂を誘ってくれるようだった。
すぅ━━━━━━━━…
口を静かに閉じながら、ゆっくりと鼻で息を吸う。
空気が内側一杯に広がってゆくのを感じながら。
ふぅ━━━━━━━━…
内に行き渡るその息が、星々や花々のように、
明滅して・煌めいて輝くのを感じながら。
すぅ━━━━━━━━…
ながく、ながく
静かに、静かに
細い糸を紡ぐ様に
空気の糸を創ってゆく。
ふぅ━━━━━━━━…
内側から紡がれたその気が、大気に溶け
その一部となってゆく様を、感じながら。
大事に、大事に、愛おしむように、
己から離れてゆく、その流れを感じながら。
風のたより一覧
※1
※4
はい、バトン、受け取りました💪
上記の動画は、🌸が去年、糀縁の人からオススメしてもらった動画ですよね🙋
その人は、英語含む語学が堪能で、そして、ヨガ愛好家な人であり、対して、🌸の英語力は、…命令文の制約がありますから、ゲフンとだけ言っておきましょう💡
そんな英語聞く力ゲフンな🌸が🌸なりにも読解し、変更を加えつつ、真似ぶしてみたところ、全身満遍なく整えられる感じで、スキで日課になった運動ですよね🎉
🌸の老婆心含めつつ、まとめますと以下の通りでしょうか🍀
この動画は🌸にとってのトキ薬の一つでしたから、なにかの記事で取り上げたいと、🌸はずっと思っていたんですよね🙌
そして、「世界観ぶち壊し笑い」に絡めて、共有してみようと閃いたんですよね👍️
では、〆ます✋️
読んでいただいた方に、感謝を伝えます🙏
一読いただけましたこと、深くお礼申し上げます🙇
もしも、少しでも掠るものがありましたら、
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