まったくもって笑えない話

 私は相当なお笑い音痴。そのことは大きなコンプレックスでもある。

 たとえば『M‐1グランプリ』とか『爆笑レッドカーペット』などのネタ番組ではクスリとも笑えないし、なんなら怒りすらこみ上げてくる。世間でウケているものが自分にとっては1ミリも面白くないということに対するやり場のない怒りだ。

 エレキテル連合、はなわ、パペットマペット、8.6秒バズーカー、エドはるみ、ひょっこりはん……特にこのへんの芸人は、申し訳ないけど面白がるべきポイントがまったく理解できない。小島よしおも大嫌いだったけど、最近はそこまででもないというか、むしろ好きになってきた。

 逆に最高だなと感じるのはハリウッドザコシショウ。あとはタブレット純。そう考えると、モノマネ系はわりと好きかもしれない。歴史やプロ野球のネタをやっているときの松村邦洋も無条件に笑えるし。コロッケとか清水アキラとかの典型的なモノマネ芸人はイライラするだけだけど。

 仕事上で芸人と一緒になる機会が多いことも、私の焦りに繋がっている。実際に彼らと会ってみると、着眼点の鋭さ、語彙の豊かさ、話の説得力など舌を巻くことばかり。お笑いとはこの世でもっとも高度な知的労働だし、芸人に対しては常に尊敬の念を持っている。だからこそ、最低限のお笑いリテラシーは持っていないとマズいという考えがあるのだ。

 もちろんこれは芸人がつまらないという話ではない。むしろ私がお笑いを理解できなくなっている点こそ最大の問題だろう。

 いつからこうなってしまったのだろうか。子供のときは『8時だョ!全員集合』や『オレたちひょうきん族』、それに一連の欽ちゃん番組を貪るようにして観た。志村けんや明石家さんまの存在は、私にとっては神も同然だった。その後もとんねるずやダウンタウンには純粋に憧れた。さまぁ~ずはバカルディ時代のラジオ番組に夢中だった。ウッチャンナンチャンは面白くないとバカにしていたけど、あれは番組が悪かったのだと思う。その後の『リングの魂』や『内村プロデュース』はめちゃくちゃ観ていたし。

 冒頭で「お笑い音痴」と記したが、正確には「お笑いインポ」としたほうがいいのかもしれない。自分の感受性が著しく劣化しているのだ。これで危機感を覚えないほうがどうかしている。

 ……と、ここまでは主にテレビで活躍する芸人について書いてきたが、近年はさらに私の頭を悩ませる存在が現れた。YouTuberだ。ほとんどの人気YouTuberは絶望的に面白くない。特にひどいのはヒカキンである。ヒカルやはじめしゃちょーも面白いとは思えないけど、ヒカキンは群を抜いてつまらない。逆に面白いYouTuberは瓜田純士とエドくらい。

 この話題は長くなりそうだ。YouTuberに対する怒りをブチまけるのはまたの機会にする。DJ社長についても触れておきたいし。

(2019.12.08:初出)

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