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35歳ワーママが乳がんかもしれない話②

右胸に3.4センチの腫瘍。脇のリンパ節にも腫れあり。

クリニックから紹介された病院でエコー検査をしてもらった結果、先生から告げられた。

「次回、組織診をしましょう。何か質問はありますか?」
「あの、良性悪性を問わず、切除する可能性が高いですか?」
「・・・診断は病理検査の結果次第ですが、癌の可能性も高いと見ています。治療方法は、切除か放射線か、今後顔色を見て決めようと思います。」

今日はまだ時間ありますか?と言われて、はいと答える。採血と、CT撮影をするので受付でお待ちくださいと言われる。話が終わり、待合室に戻った。

もしかしたら、とは思っていたけど、実際に言われると、不安がどっと押し寄せる。自然と涙が滲んできた。切除するのかな。がんだったらどうなるんだろう。あれ、死ぬ可能性とかあるのかな・・・。と色んなことが頭をよぎる。いや、そもそもまだがんと決まったわけではないし、と自分でつっこむ。

看護師さんに呼ばれて、検査の説明を受ける。涙が出そうで、看護師さんの顔が見れず、ずっと机を見ながら話を聞く。CTってなんだろうと思いながら、なんとなく聞くタイミングを逃してしまった。まあどうせ受けるんだから、行けば分かる。今日は何時に帰れますか、と聞くと、予定があるんですか?と聞き返され、子どものお迎えが、と言う。そうだ、私には、子どもたちがいる。思い出したら、また泣きそうになる。

次回の受診は、家族も一緒に来てもらうのがいいと思います、と言われた。家族も、一緒に。

検査と会計が終わり、売店でカフェラテを買う。バスを待つ気持ちになれず、地下鉄の駅まで歩くことにする。

ぼーっと歩いていると、つーっと涙が溢れてくる。子どもたちの顔が浮かぶ。まだ何も成し遂げてないのに。自分のこと、仕事のこと、悩んでいるままだ。もし死んだら、後悔しか残らなさそう。

あれ、私、まだまだ生きたいんだな。

そんな自分に気づき笑ってしまう。雪が降る中、もくもくと歩く。

決められず動けずうじうじしている私が色々リセットできるように、身体がこうさせたのかもしれない、なんてありえない想像をする。乳がんの生存率は高いと、ネットで調べて少し落ち着く。不安な時は、信頼できる情報を得て余計な妄想を広げないのが良さそうだ、と思う。ぼーっとしてたら、ひとつ先の駅まできていた。仕方なく引き返す。歩く途中で、綺麗に電飾で飾られたイルミネーションにさしかかる。楽しそうに雪玉をつくる子ども。写真を撮り合う観光客。

今、をもっと大事にしなさい、ということかもしれない。きっとそれを教えてくれている。こうでもしないと、私はすぐ余計なものに気を取られてしまうから。そうだ、乗り越えられない試練は与えられない。これまでもそうだった。そう思うことにした。

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