【映画レビュー】ビューティー・インサイド
【作品情報】
監督:ムン・スク
制作年:2015年
上映時間:127分
【公式あらすじ情報】
【私的なみどころ】
♦︎この人も出てるの?!豪華な俳優陣
あえて予備知識なしで観たので、「この人知ってる!」「え!この人も出るの?!」の連続で1本の映画なのにすごく贅沢な気分になれた!笑
♦︎ハン・ヒョジュの美しさ
私が韓流にはまるきっかけの一つとなったドラマ「華麗なる遺産」でヒロインを務めていたハン・ヒョジュが主演。美しさと可愛さを兼ね備えたハン・ヒョジュに釘付けに!
♦︎大切なものを考えさせられる
どうしても人間は視覚からの情報が多くなる。大事なものほど目に見えないというけれど、心ではなく、視覚で判断していることも多いように感じる。
大切な恋人の容姿が毎日変わってしまったら受け入れられるか?
改めて「大切なものは何か」を考えるきっかけになった。
【感想と心に残ったこと】
♦︎主人公ウジンの葛藤
毎日姿が変わってしまうって、本当に大変…。しかも、顔の造形というレベルではなく、性別・国籍・年齢まで変わってしまう。ある日はおじさん、ある日はお婆さん、ある日は子ども、日本人や欧米人になる日も…。
部屋にはありとあらゆる洋服、靴、眼鏡が揃えられ、足のサイズを測る道具や視力を測る道具まである。ウジンの大変さが垣間見える…。
当然進学も断念せざるを得ないし、就職も難しい。友人とも会えない。孤独感ややるせない思いを沢山あっただろう。それでも自分の境遇を受け入れて、毎日淡々と家具作りを続けるウジンの姿に、これまでの苦労や葛藤が想像されなんとも言えない感情になる
♦︎2人の幸せそうな姿が沁みる
イスに恋をし、イスはウジンの秘密を受け入れ、ちょっと変わった生活を2人で楽しんでいく。毎日違う容姿のウジンとの日々をイスも楽しみ、2人は毎日のようにデートを重ねる。ああ、ウジンよかったね…こんなに素敵な人と結ばれて。ウジンの孤独な日々が報われたようだった。
♦︎イスの葛藤
幸せな毎日が続いていると思いきや、少しずつイスの体調に変化が訪れる。
ついに眠れなくなり、精神科に通う日々…。
それまではウジン目線で描かれる中、中盤でイスの目線からも描かれるようになってきて改めてイスの葛藤が痛いほど伝わってくる。
ウジンからすれば、イスは「毎日変わらないイス」だ。しかし、イスから見たら「毎日違うウジン」と向き合うことになる。「これはウジンだ」と言い聞かせても、慣れるまで時間がかかる。慣れたと思ったら、明日はまた「違うウジン」になってしまう。
そして、決定的に辛いのは「イスはウジンを見つけることができない」ということ。
毎日顔が変わるから、待ち合わせしてもイスからはウジンを見つけることができないのだ。
そうだよな…頭では分かっていても、混乱するよな。好きだからこそ、受け入れたいからこそ、きっと心がぐちゃぐちゃになってしまうのだろう。
イスの葛藤に気付き、自分と会わないことが彼女を救う唯一の方法だと考えたウジンは別れを切り出す。
別れた後、ウジンがイスのために作った椅子が届く。その椅子を見て、お姉さんに泣きつくシーンのイスのセリフが、今までの葛藤を現していた。
「どこに行って何を食べたか
お店のメニューまで覚えているのに
あの人の顔が思い出せない」
そうだよね…毎日容姿が変わっちゃうんだもんね…。イスの今までの葛藤が窺い知れ、自然と涙が…。
♦︎本当に大切なものとは
すっかり体調も回復し、以前と同じ生活に戻ったイス。
ウジンのことを想いながらも、向き合う勇気が出ない。そりゃそうだ…。
しかし、日々を過ごしながら、「同じ姿をしながら、違う心で揺れていた。毎日違う人だったのは自分自身なのかも」と考え始める。
そんなある日、家で料理をするお父さんに、「お母さんが生きていたら何をしたい?」と尋ねる。お父さんは「一緒に歳をとること」と答える。
ウジンと別れ10ヶ月の歳月が流れる中で、ウジンの大切さと、容姿が変わってもウジン自身は何も変わっていないことに改めて気づき、ウジンに会いにいく。
大切なことに気づいて、強くなったイス。「私はもう大丈夫」と告げ、イスを心配するウジンに気持ちを告げ2人で生きていくことを誓う。
「あなたがどんな姿でもいい
毎日違う姿でも構わない
同じあなただから
私はこの中のキム・ウジンを愛しているから」
イスーーーーー(泣)
大切なことに気づいて強くなったイスの美しいこと…。覚悟を決めた女性は強くて美しい。拠点をチェコにまで移し、ひたすらイスだけを思いやるウジンが切なくて、結ばれてほんとーーーによかった(泣)
【最後に】
ウジンの苦しみやイスの葛藤、色んな側面から「本当に大切なこと」を考えさせられた。
奇妙な設定に最初こそ戸惑うが、描写がうまく、すんなりと映画の世界に入っていける。ウジンの気持ちもイスの気持ちも分かるからこそ、自然と感情移入でき、気づいたら涙が流れてきた。
現代において、世間体や周りの目線が気になり、気づいたら自分の気持ちよりも優先されていて、どうしても大事なものが見えにくくなっているように思う。
イスのように、周りの目線や世間体よりも、自分が本当に大切にしたいものを見極めて、気持ちに正直に行動できる強さを身につけたいと思った。