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仕事、見つかりました!そして辞めました!!前編

前回の記事で、実はお仕事が見つかったというところを書いたかと思うのですが、今回はそのことについて書いていきます。

これがもう、自分でも気の抜けるような話というか、展開で。

結果から言うと、3日で退職!!!笑

実は、一週間以内に仕事を辞めるのはこれが2回目。1回目は高校生の時、家の近所のコンビニでバイトの面接に行ったら小汚いヤンキーみたいな店長にめちゃくちゃ謎に詰められて、無理すぎ~と思って辞めたとき。

あの時、

「オレ結構顔広いからさ、君がこんだけ早く辞めたって知り合いに言ったらこの辺では働けなくなるよ?」

と言われて、面白かったのを覚えている。
30代も後半のおじさんが、10代の学生をそんな軽い言葉で脅そうとしてるのが滑稽すぎて。

そのコンビニ自体は今もよく行くけど、いつの間にかあの店長を見かけることも無くなったな。
あの、毛量の多い、針みたいに真っ直ぐに固めた独特な髪型をした眉毛の無い店長はどこへ行ってしまったのだろうか。

今あんなことを言われたら、

「ではこちらのコンビニの本社に相談してみますね」

とか言えるのかなあ。

高校生の私は、

「それで全然大丈夫です!!」

と元気に返事をしたのを覚えている。

ちなみにその店長に

「最近の若い子は "ほうれんそう" とか知らないんでしょ?」

と馬鹿にされたように聞かれ、でも本当に分からなかったから、

(最近はコンビニも青果を扱うようになったとか、コンビニの変遷ってものを言いたいのか?)と思った私は、

「売れ行きが良いんですか?ホウレンソウ」

と返したことをめちゃくちゃ覚えている。
絶対違うだろうなって思ってたから。

まあ結局、報告連絡相談だったわけで、そしてそれらを何ひとつすることなくその店長とはバイバイして、それが面接&トライアルみたいな日だったから、1回目は1日で辞めたことになる。

まあそれに比べたら3日で3倍働けているわけで、それって凄いことですよね~(遠い目)

さて、変にコンビニバイトの話が長くなってしまったが、今回のワーホリでの体験を書いていこうと思う。

まず、メルボルンでお仕事をしてみるというのは最初から念頭にあったことだった。

「海外に住んでみたい」という夢があったので、住む=そこで稼いだお金で生活する、という方程式が自分の中にあったのだ。

ただ、特に何がしたいってことも無いな~と思い始め、

てか別に働かなくても良いじゃん。どうせ死ぬまで何かしら労働をしなきゃいけないのによ。

という捻くれた考えもあった。

ただ、語学学校を卒業すると途端に暇になり、友達と遊ぶことも週に数回だったりすると、メルボルンにいるのに暇で結局家に居る、という状況になってしまった。

これは駄目だなあと思って仕事を探すと、今度は中々見つからず・・・結局職種ごちゃまぜで15件ほど応募し、お断りの返事が来たのが2,3件(ハウスクリーニング系・経験無し)、5件ほど歯科医院からの面接の連絡が来ていた。

・・・が、そのうち3件ほどは留守電が残されていたのみで、この留守電がま~~~何を言っているのかさっっっっぱり分からない。何回も何回も再生するのに、

「Hello I'm ~~ from ?+<*~ dental」

とか言ってて、いやどこ~~~となってしまって、終わり。

電話番号検索を思いつきしてみたら、2件はまさかの携帯番号でどこのだれだか本当にわからず。

1件だけクリニックが分かったので電話をしてみたところ、数日後に時間指定でクリニックから折り返すと言われた。

その日は予定を空け、電話が鳴るのをずっとドキドキしながら待っていて、開口一番に、

「オーストラリアでの資格はあるの?」

「無いです。日本の歯科衛生士です(ってレジュメにも書いてんだろ)」

「この求人は資格が無いとだめなの」

「そっすか。じゃ」

て感じで終わった。

実際オーストラリアは日本と違い歯科助手に資格があるので、資格保持者じゃないと無理なところは結構多い。それが分かってるから注意して応募してるはずなので、資格必須って書いてなかったと思うけどなあ~とは思うものの、どこから応募したかもうろ覚えなので確かめることもできず、まあどうでも良いかで流した。

さて、残るは2カ所。これは電話の後メッセージをくれていたので助かった。

どちらも電話で院長と話してとても感じが良く、日本から3ヶ月前くらいに来ました、と伝えると英語を褒めて頂いたりした。

気になったのはどちらも家から片道50分ほどかかること。

1カ所は市内CBD(シティ)方面へ行くトラム1本だったので、帰りに買い物したり友達と会ったり出来るじゃんと思ったのだが、2カ所目は田舎to田舎で、しかも乗り換えのあるトラムでの移動だった。

1カ所目の面接は、街の雰囲気も良さげで受付の人も現地の人っぽいおばちゃん。人の良さそうな感じに見えた。

しばらく待っていると女性が話しかけてきてくれて、

「あの、私も日本人なんです!今日は日本人の方が面接に来るって聞いてて、ご挨拶したかったんですー!」

とのこと。彼女も日本の歯科衛生士免許を持ち、オーストラリアには4年ほど住んでいると言うことだった。まさかの日本人スタッフに私はすっかり安心して、仕事内容も彼女に聞いてみたり、色々と雑談をすることも出来た。

院長はとても優しそうな真面目そうな感じで、院内を案内してくれて軽くビザや働く時間に制限はあるかなどを聞かれた。特に英語でも問題なく面接が進み、終わりには先ほどの日本人スタッフの方がまた顔を出してくれて、「一緒に働けるといいですね!」と言ってくれた。

ただ、帰り際に院長が言った、「他の候補者と検討して2,3日後に連絡するね」という言葉が気になった。

このことを友達に話してみたところ、「たぶん大丈夫でしょ~受かるでしょ」と言っていたが、私は絶対落ちてるな・・・と確信を持っていた。だって、私が院長だったら合格者に他の候補者がいるなんて言わないもんな。

あれは「他の候補者がいるから、落ちる可能性は十分あるんだぜ」ということを言いたかったのだと思う。

案の定3日後に不合格通知を頂き、まあそうだよね~と思った。

私のビザは来年9月までだけど、そんな縛りの無い人を雇えば仕事を覚えた後もっと長期で働いてくれる。
どれだけ経験があったって、期限付きの人を雇う理由ってほぼ無い気がするんだよな・・・。

そんな気持ちで、2件目の連絡を待っていた。

2件目は規模としては1件目と同じくらいのクリニックで、中国系の夫婦(どっちも歯科医)が経営しているところだった。
面接の際、受付のゴリゴリオージーのお姉さんの言ってることがさっぱり聞き取れずちょっと落ち込みながらも中に案内されて見学をした。

院内の作りはチェアが1つずつ区切られた部屋にある形の、いわゆる日本と同じ形。経営者の夫婦は英語が流暢なもののネイティブでは無い感じで、もしかしたら「英語を勉強しながら働いている」ということを分かって貰えるのではないかと思った。

面接中、院長が言っていることが少し不明瞭な点があって聞き返したこと以外はスムーズに終了した。

3日後くらいには電話があり、

「ぜひうちに来て欲しい」

と言われ、安心するやら緊張するやらで不思議な気持ちだった。

仕事はカジュアル扱いの、週3日。
シフト表を見るためのアプリをダウンロードするように言われ、とりあえず自分の名前があるのを確認した。

初めての日まで、とにかく英語が不安で1日勉強をしていないと気が気じゃ無かった。特に歯科系のYoutubeを見まくり、必要なフレーズはメモして見返せるようにノートを作った。

前日は3日分のご飯の作り置きを準備した。朝は7時前に家を出て、夜8時頃に帰ってくるスケジュールなので絶対に料理はしておきたかった。引っ越した家は調味料が一切無かったので、自分で調達した数少ない調味料でなんとか数品作る中でも、ずっと英語のポッドキャストを聞いていた。

寝る前、一緒に住んでいる友達と日本にいる母親が私以上に緊張していて、それを見ているとなぜか自分の緊張が収まっていくのを感じながら、それでもなかなか寝付けなかった。

朝は5時起きで、お昼ご飯を準備して家を出る。
お昼ご飯はサンドイッチを作った。ホームステイ先で、レタスとトマトは切っておいてキッチンペーパーに挟んでジップロックに入れておくとすぐに用意できることを知ったので、それを真似して。

行きのトラムは乗り換えを間違えないようにgoogleマップを凝視しながら、その間に必要なフレーズのメモを見て確認していた。

クリニックの前に着くと、面接で入った正面玄関はもちろんまだ開いておらず、受付の人も見えなかった。きっとスタッフ用の裏口があるのだろうと思ったけど、どこだか分からないのでとりあえず待機をしているとスクラブを着た女性が出てきて鍵を開けてくれた。

彼女を見て、アジア人だ!とちょっと安心しながら挨拶すると、

「次からは裏口から入って」

と言われ、やっぱり裏口あるんだなと思った。

渡されたスクラブを着て、にこやかに挨拶してくれるスタッフに挨拶する。全員名前を教えてくれたけど、全然覚えられなかった。これは日本語でも苦手。

一番古株っぽく見えるアシスタントの女性がよく話しかけてくれるが、それが親切心なのか新人の私を担当することになっているのからなのかよく分からない。

彼女を仮にJと呼びますね。

Jに名前を呼ばれるがままについて行って診察室に入ると、中国系のドクターがいて挨拶されて、返すときにちょっとどもってしまった。夫婦以外にドクターがいると思わなかった。

Jは忙しなく朝の準備をすると同時に私に説明をしてくれる。まず掃除をして、機材のスイッチを付けて、消毒や滅菌の機会をセッティング・・・。

私はメモを取りながら彼女の後ろをついて回り、他のスタッフの邪魔にならないようにだけ気をつける。

「これが今日のアポイントだから」

と言われ見せられた表は、(当たり前に)全部英語で、パッと見ただけではどれが患者の名前なのか担当医の名前なのか、今日の予定は何なのかすらよく分からない。

そういえば日本のアポイントってどうだったっけなあと思えば、漢字が繋がっているところ(ゴチャゴチャしたとこ)が人名、カタカナや略字が症状や診療予定で、パッとみてすぐ分かったなあと思い至った。

そうこうしていると最初の患者が入ってきて、ドクターとの会話が始まる。

ちょっと田舎のクリニックなので、患者はほぼ現地の人だ。ここで、ちょっとヤバいことに気付いた。現地の患者、そして話している中国系のドクターの英語が全く聞き取れなかった。ビックリするくらいなんと言っているのか分からず、ただJの行動を観察して過ごした。

まず分かったのは、

・器材の準備は素手
・アシストはグローブ(前職では軽くバキュームだけなら素手だった)
・ほぼ椅子に座ってアシスト(前職では立ったままが多かった)

特に違いがあったのが、バキューム。口の中のお水を吸う掃除機みたいなやつ。

あれがストレートタイプと排唾管(柔らかくて細いもの)が2種類あり、それを同時に使うというものだった。

日本だとバキュームのみ+排唾管をお口に引っかけて使う時もある、というくらいで、診療中Jが両方を手に取ったときは「へえ~」と思った。

こちらの求人で良く "4 hand technic" と書かれていたが、これのことかなと思ったりした。

また、ドクターが話している際に後ろで小さくJに質問しようとすると「シッ!」と遮られ、(そりゃ患者さんがいるもんね)と思っているとその間にガサガサ診療室の片付けを始めたのに驚いた。

日本だと(前職以外でも)患者さんが目の前に居る内に片付けを始めることはほとんど無いと思う。見送って、それから片付け。
そもそも生活全般で、ゲストがいる中でホストが片付けをし始めることがあまり良くないという雰囲気がある気がするのだが、それはこちらでは違うらしい。

他にも、Jはとても消毒に対してこだわりを持っていた。

チェアの消毒をする順番が事細かに決まっていて、そこを拭く手も決まっている。 もちろんこれは日本でもあることだと思う。

必死に覚えながら、そして間違ったらやり直しをしながら片付けをした。

次はバキュームのアシストをさせて貰えることになった。
ドクターのクリーニングのアシストだ。

えっドクターがクリーニングすんの?と思ったが、この医院に歯科衛生士が居ないことを後で知った。

Jがバキュームと排唾管を両手に扱う姿は簡単そうに見えたが、やってみると難しいことが分かった。また、日本でしていたようにすると「それは患者の歯肉が痛いからしないで!」と言われた。確かに、こちらのバキュームはディスポのプラスチック製だ。日本で良く見るゴムタイプのものより硬いのだろう。

絶対にバキュームと排唾管を2本同時に使わないといけないのかも分からなかった。ドクターのスケーラー(歯石を取る器材)の位置によっては、2本も口に入れられないだろ、と思うこともあった。

最後に、椅子に座る、というのが私にとっては結構難しいことだった。

アシストをする場合に「座る・立つ」という動作が入ることで時間ロスになるのと、単純に慣れていなかったせいだ。

午前中を見学と少しの実践、消毒や準備の手伝いで終わらせると、Jがロッカールームに行ったので、何も言われていないがこれが休憩なのだろうと踏んで作ってきたサンドイッチを食べた。

どうも全員が一気に休むということは無いらしく、ロッカールームには他にアシスタントと受付の人が休憩を取っていた。そして、彼女たちの会話も当たり前に聞き取れなかった。私は時折微笑みながら(そう見えていたかは謎)午前中の汚いメモを清書していた。

「それにしても、自分がちゃんと仕事できてるか本当に分からないの!」

とアシスタントの女性が言い、それは聞き取れたので顔を上げると目が合った。

「今日はドクターBのアシスタントをしたけど、ほら、私今までずっとドクターAのアシスタントだったじゃない?だからやり方が全然分からなくて!ドクターは私が上手に出来てるって言うけど、私はそうは思えないの」

おや、意外に新人なのか?

「それに、アシスタントの仕事って全然喋らないことに気付いたの。患者と話したいけど、ドクターの前で勝手に話しかけても良いのか分からないし。1日の最後に、私今日誰とも話さなかったじゃんって気付くのよ」

「そうなんだ・・・私、アシスタントじゃなくて良かった笑」

受付の人が笑うので、私はついアシスタントの子に、

「わかる~意外に患者ともドクターとも話さないよね」

と言うと、そうなのー!と彼女はまた話し出した。
聞けば彼女はこのクリニックに入って3週目だと言う。しかも、これが初めてのデンタルアシスタントの仕事なのだそうだ。

「私、今日から新人が入るって聞いてめっちゃ嬉しかったの!今まで私が一番新人だったでしょ。でも今日あなたとJが話しているのを聞いちゃったんだけど、Jが "あなたの一番好きな処置は何?" て質問して、あなたは "外科処置" って答えてたでしょ。オーマイガーッ彼女全然新人じゃないじゃんって思ったの!」

私がつい笑ってしまうと、彼女は By the way と付け足した。

「今日あなたを朝見かけた時、すごく素敵なアイシャドウって思ったの。邪魔したくなくて言わなかったけど」

私はこの褒め言葉をありがたく受け取り、

「これHuda Beauty だよ」

と伝えると、あー良いよねー!と盛り上がった。
最後に、彼女は歯科医師になりたくて大学に通っていると教えてくれた。

午後もとにかくメモと見学をし、片付けをしてと言われたので見よう見まねでなんとかした。

オーストラリア人っぽい年配のドクターも1人いて、通り際笑顔で何か言ってきたので「yeah」とかなんとか笑顔で返すと、Jが笑いがながら「彼、今How's it going?って聞いたのよ」と教えてくれた。
え、質問されてたんだ!とビックリすると、「彼の英語はオーストラリア英語だし、声が低いからね。聞きにくいかもね」とフォローされた。

その後また先ほどのドクターが何か言って去って行ったが、私がJを見ると、「質問に答えなかったのは無礼と捉えないでおくよ、だって!笑」と通訳してくれた。

聞けばJはニュージーランド出身とのこと。
分からないこともあったけど、彼女の英語が一番聞き取りやすかった。
(声がデカいのもあった)

帰り際、ロッカールームでドクター以外のスタッフが集まって談笑をしていた。

もちろん会話が早すぎてなんと言っているのか全く分からない。

なんとなく笑顔でいたが、向けられた話題に困る場面があった。
すると、朝に玄関の鍵を開けてくれたアジア系の女性がめちゃくちゃ早口で何か良い、高らかに笑った。周りがハハッと笑った感じを見て、たぶんあまり良いことを言われてないなと思った。

アジア人の女性は「Bye Guys!」とテンション高めに帰って行った。

そのとき、その日の前日の友達の話を思い出した。

「さっきさ、アパートの前に車が停まってたんだけどさ、誰も乗ってないと思って後ろを通ったらいきなりバックしてきたの。私がビックリしてたら中にいた男達がめっちゃ笑いながらjapanese とか Asian とか言ってるの。最後はレイシストがどうのとか言っててさ~最悪」

私がビックリしていると、友達は事もなげに「普通だよ」と言った。

「私、ここら辺で言われること結構あるよ。田舎だもん。私を見て言ってる人もいるし、友達も色々言われたことあるって言ってた。駅でトラムとか電車とか待ってるときに現地の人と一緒だと、何か言われそうで緊張するよ」

というものだった。

私は(気付いてないのか)今まで人種差別を直に体験したことが無い。
だから鮮烈な話だった。

私は結局、このアジア人の女性の態度や言葉が人種差別的なものだったとは思っていない。でも、私が英語が出来ないことに対してのなにかしらだったと思う。彼女自身アジア系の訛りが強く、たぶん英語は第2言語なんだろう。自分が出来ている英語を理解できていない人を滑稽に思ったのかもしれない。

夜7時前になっても明るい道路に出ようとすると、昼休みに話したアシスタントの子がドクターに呼び止められるのが聞こえた。

「やばい、私絶対クビだわ」

落ち込む彼女に、大丈夫よ!と声を掛けてクリニックを出た。

結局、この後彼女と会うことは無かったが、たぶんクビになってはいないだろうと思う。

長くなったのでこの辺で一度切ります。


チーズハンバーグ。美味しそうに見えて、めちゃくちゃ硬く無味に仕上がりました。





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