【こじらせ図書室】ダブリンの鐘つきカビ人間
芝居が好きだ
見ることで自分の知らない人の人生を垣間見れ
演ることで誰かの生きた瞬間を体験できる
最近好きなのは後藤ひろひと氏の作品
ラーメンズファンからの小林賢太郎作品にどハマりし
前川知大作品に触れ、片桐仁出演の「MIDSUMMER CAROL ガマ王子VSザリガニ魔人」からG2の沼に誘われた
私は単純な思考回路の人間なので
笑って泣けてなんか感動しちゃったなぁという作品が好きだ
大人が真剣にふざけているのを見るのも好きだし
真剣に真剣すぎるシーンを息を殺して見つめるのも好き
そしてできればそんなことが同じ作品の中で幾度か繰り返されて
回転寿司で、「もう一皿なんか食べたい気もするけど、今日のところはこの辺で終わりにしておこう」くらいの上から目線でカーテンコールで拍手を送りたい。
そんなことが叶うのが彼の作品な気がする。
作品と観客の間に優劣はないはずだけど
なんとなくこちらが優位な気持ちで見終われる
しかし、しっかり心は掴まれちゃっている
そんな作品。
それは後藤氏の出演シーンにもなんとなく現れている気がして
美味しいとこ持っていくけど、お祭りに飛び入りで参加しちゃった近所の気のいいおじさんみたいな憎めない立ち位置で
観客も何してくれるのかな?ってちょっと楽しみにしちゃっている感じの。
そんで、G2 2作目は「ダブリンの鐘つきカビ人間」(前置き長いな)
私が見たのはギリジンが出演している2005年版。
他のキャストのは見ていないけれどどの年度も豪華出演陣。
あらすじだけ見た私は美しい悲劇だと思い込んで視聴したのだけど
結果美しすぎる悲劇だった。やられた。
笑った、泣いた、心がぎゅうってなった。
土屋アンナ様がカッコ良すぎた。
俳優 片桐仁がすごかった
こんなすごい人間を世に出した小林賢太郎さんありがとうという気持ちになった。
時間軸が動いたり、シーンが変わるたび
何役もこなすキャスト陣が凄すぎる
圧倒的存在感の平田敦子様。
カビ人間の悲しすぎるほどの素直さ
不器用で優しすぎ、自信がなく居場所を求め
自分の役割だけを真面目にこなす
そんなカビ人間が片桐仁という人間に重なり
もうハラハラし、見られた物ではありませんでした。
(もちろん最後までしっかり見ましたが)
最終的には幸せになりたかった個人が犠牲になり
彼らを取り巻く多くの人が元の自分に戻る、という
ありきたりな物語ではあるのだけれど
これって現代社会で生きづらい
私のような人間には過呼吸なしには見られない
いつだって正直者は損をする
いつだって、偽らなかったものが排除される
そんな現代と作品の世界との境目があやふやになり
私はいつしか自分はカビ人間でありたいと感じていた
正義を振りかざし、多数派に染まることで弾劾を避けるより
自分の心に真っ直ぐ向き合い
たとえ社会にNOを突きつけても
自分に嘘をつかない生き方をしたいと
私たちは生まれてくる前のことなどほとんどの人が知らず
生まれ、生き、死んでいく
生まれてきた意味がわかったという人がいるが
それはきっと「それっぽい」理由をうまく見つけられただけで
誰もそんなものは持ち合わせていなくて
私のように生きる意味を探しさまようゾンビのような
道端に咲く名もなき花や
よく見かけるけど特徴もない鳥みたいに
ただそこに存在するだけのものなんじゃないかなって
私が生きようが消えようが
世界は変わることはない
でも、その鼓動の波動は
確実に誰かの生きる道に影響を与えたりして
私の鼓動が
そんな事件を起こしていたらいいな、なんて思った
ピュアで不器用でもどかしい物語でした
不器用といえば
ラーメンズのこのコントを見てほしい
賢太郎さんの不器用さを
骨の髄まで感じられる
そんな作品
あなたの生まれた理由はなんですか
我慢ばかりの子供達をちゃんとした「旅行」に連れて行ってあげたい。 映画や観劇、体験型レジャーなんかもしてみたい。 養育費と慰謝料がないので面白かったらチップをお願いします。