『ウイルス学者の責任』(宮沢孝幸)の要点④ 新型コロナワクチン接種は逆効果の可能性
2021年、新型コロナウイルスへのワクチンとして、国内ではファイザーとモデルナが開発したmRNA(メッセンジャーRNA)ワクチンが接種された。
ただ、このワクチンは完全無欠のワクチンというわけではなく、いくつか問題があると考えている。
ワクチンの種類は大きく分けて2種類ある。
・一つは生ワクチン。ウイルスの毒性を弱めた弱毒型の生きたウイルスを体内に入れるもの。
・もう一つの不活性化ワクチンは、ウイルスをホルマリンなどで処理し、死んだウイルスを体内に入れる。
生ワクチンは、特定の抗原(病原体)にくっつく抗体と、ウイルスに感染した細胞を攻撃する細胞性免疫を誘導する。
不活性化ワクチンは、主に抗体を誘導し、細胞性免疫はあまり誘導しない。
抗体と細胞性免疫は、抗原が体内に侵入して初めて誘導される「獲得免疫」であり、生物が生まれながらにして持っている「自然免疫」とは区別される。
すべてのウイルスに対してワクチンができるわけではない。
ワクチンができるウイルスというのは、一度感染して回復したら、もう二度と感染しないというタイプのもの。
体内で免疫が首尾よく誘導されて、感染しないというウイルスであれば、理論上、ワクチンをつくることも可能。
抗体と細胞性免疫のどちらが有効なのかは、ウイルスによって異なる。
抗体が誘導されると逆効果になる場合もある。
抗体が感染を助長することを、ADE(Antibody Dependent Enhancement: 抗体依存性増強)と呼ぶ。
ウイルスは、細胞に取り付いて侵入していくが、細胞に取り付くことを邪魔するのが中和抗体。
中和とは、毒性を中和するという意味。
この中和抗体がウイルスにくっつく場所がポイントになる。
細胞に取り付くのはウイルスの突起のごく一部だが、その突起に中和抗体がくっつくとブロックできる。
ところが、突起以外の場所にくっつくと効果がない。
ただ効果がないだけならよいが、ウイルスにくっついた抗体を介して、免疫細胞であるマクロファージや樹状細胞に入ってしまう現象が知られている。
細胞の表面に抗体が取り付く部分をFace受容体というが、ウイルスに抗体がくっつくと、Fc受容体を介して細胞に入ってしまう。それでも何も起こらなければ問題ないが、ウイルスが増えてしまうこともある。
抗体ができることで、いいことと悪いことが両方起きるが、いいことが悪いことを上回った場合は、全体的に見れば効果があるといえる。
免疫を獲得してしばらく経つと、それまでウイルスに対抗することで生じていた「良い効果」の割合が低下して、「悪い効果」が全面に出てくることがある。
ウイルスが変異した場合は、がらりと情勢が変わることもある。
接種後1週間くらい経ってから起こる様々な症状もワクチンとの関連性が疑われる。これは、遅延型(delayed-type)の免疫反応と呼ばれている。
私の知る学生は、ワクチンを打ってから1週間後くらいに帯状疱疹を発症し、呼吸が苦しくなった、そしてかなり経った今も時々胸が痛くなると言っていた。ワクチン接種後4回も意識不明になった人もいたとのこと。
私の母もワクチン接種後、かなり経過してからだが、一度意識不明状態に陥った。私には、特に理由もなく一時的に意識不明になる現象が不可解でならない。偶然なのかもしれないが、当事者としては偶然だと看過できるものではない。
多くの方は、ワクチンによる副反応はすぐに出るものだと思っているが、接種後1週間後、10日後に異変が起こっても、ワクチンとは関係がないと考える。
しかし、遅延型の免疫反応というものが確かにある。
mRNAワクチンの様々な副反応や後遺症が報告されている。
今回、日本で採用されているmRNAワクチンのメカニズムから考えると、体内で何が起こっても不思議ではない。
これまで主に、国内で使われてきたワクチンは不活性化ワクチンと弱毒生ワクチンであり、不活性化ワクチンはマクロファージや樹状細胞といった免疫細胞だけがそれらを取り組み、その結果、免疫(ここでは抗体[液性免疫]と細胞性免疫)が誘導されるという仕組みだった。
今回のファイザーとモデルナのワクチンは、RNAの設計図を脂質二重膜に閉じ込めるLNP(脂質ナノ粒子)。
LNPはどんな細胞にも入り込める。
入り込んだ細胞からスパイクタンパク質がつくられる。
もしも、新型コロナウイルスワクチン接種者が、過去に新型コロナウイルスワクチンを接種していたり、新型コロナウイルスに感染していたとしたら(発症しない場合も含む)、ワクチンを取り込んだ細胞が感染細胞と誤認されて、細胞性免疫、あるいは抗体と補体(補体とは抗体と一緒に作用して細胞や病原体をやっつける物質)の働きによって攻撃されてしまう可能性がある。