『ウイルス学者の責任』(宮沢孝幸)の要点②

「ウイルスの数が少なければ、他人にウイルスを感染させることはない」というのは、ウイルス学の常識。

ウイルスが感染する門戸は、目・鼻・口。
口がウイルスに暴露される量を減らせば、感染する確率を劇的に減らせる。

マスクをすることによって感染者からウイルスが飛び散る量を減らすことができ、感染していない人はマスクで吸い込む量を減らせば、ウイルスが鼻や口に入ってくる量を大幅に減らせる。

水で15秒洗うだけでも(ウイルスの量は)100分の1程度になる。結局、目や鼻、口を触る部分だけをきれいにすればよい

空気感染するウイルスの場合は、なかなか防御のしようがないが、新型コロナウイルスが他の空気感染するウイルスの感染力よりも高いということはないと思われる。

空気感染するウイルスや細菌の場合、通常は基本再生産数が8を超えている。麻疹ウイルスは12~18,水疱瘡(水痘・帯状疱疹ウイルス)は8~10、細菌性の百日咳は16~21とされている。

これらのウイルス・細菌と違い、新型コロナウイルスの基本再生産数は国内では1.7だったので、一般的にいわれる空気感染の可能性(部屋に感染者数がいたときに、全員が感染してしまうような感染)はないとみていい。
もちろん、空気を介して感染するので空気感染ともいえるが、問題になるのは吸い込んだウイルスの総量になる。

緊急事態宣言で1か月間はピークの山が抑えられるが、山が後ろにずれていくだけ。
1回目の緊急事態宣言は山を後ろにずらしたにすぎなかった。

繁華街の基本再生産数が高いのは、密着した接客や大声を出す店で感染が広がりやすいからであって、映画館や静かな音楽会場などは別。
同じ繁華街でも場所によってまったく違う。トータルすれば、繁華街の基本再生産数が高くなるというだけ。

冬には旧型のコロナウイルスが季節性の風邪として流行していた。
風邪を起こすウイルスは多数あるが、コロナウイルスは冬に流行する風邪のウイルスの代表格。

感染者が増加したときのために、重症者のためのベッド数を確保しておく必要があったが、一部の自治体では「コロナはもう終わった」と思い込んでいたため、何の対策も打たれなかった



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