『ウイルス学者の責任』(宮沢孝幸)の要点①

新型コロナウイルスと呼ばれているウイルスは、SARSと同じ系統。
後に、SARSコロナウイルス2型(SARS-Cov-2)という名前がつけられている。
2番目のSARSコロナウイルスという意味。

一つの細胞に感染するウイルス量が感染門戸に付着しただけでは、個体には感染しない。

何百、何千もの数の細胞に感染するウイルス量に暴露されない限り、個体は感染しないことが多い。逆にいえば、暴露されるウイルス量を大幅に下げれば、ほとんど感染しなくなる。

ザッと手洗いをしてウイルス量を減らしておくだけで感染のリスクはかなり減らせる。

残念ながら、現行の新型コロナウイルスワクチンによって感染を抑えられる可能性は低く、一定数の人が新型コロナウイルスに感染し終わらない限り、比較的大きな流行は繰り返す可能性がある。

一部の医療機関のみでコロナ患者に対応するというやり方では、それらの医療機関の負荷が過大になってしまう。

新型コロナウイルスは、SARSコロナウイルスのように感染者の致死率が高いウイルスではないので、一般の医療機関で風邪やインフルエンザと同じようにコロナ感染者の診療をして、重症者だけを専門病院で治療とするというやり方で臨み、一部の専門医療機関のキャパシティを増加させれば対応可能になる。

新型コロナウイルスは、致死率がそれほど高いわけではない。致死率がそれほど高くない感染症のときには、濃厚接触者を特定してもあまり意味がない。濃
厚接触者の特定は、膨大な手間がかかるだけで、陽性者数の増加とともに形骸化してしまい、効果はほとんど期待できなかった。

新型コロナウイルスは、PCR検査で陽性であっても、無症状で、咳もくしゃみも出ず、会話しなければ、他の人にうつすことはない。

PCR検査で陽性でも、無症状で会話しなければ、感染させるリスクはほぼゼロといってよい。
もちろん、とても狭い部屋に長時間いれば、陽性者の呼気中のウイルスが部屋に充満して、部屋に入った人が感染する確率は少ないながらもあると思う。その場合も十分な換気をすれば他の人には感染させないはず。

PCR検査は、ウイルスのRNAを検出しているにすぎない。陰性ならばウイルスはいないが、陽性の場合は、ウイルスが少ないケースと多いケースがある。陽性の場合でも、ウイルスが少しあるだけなら、特に問題はない。他人にうつすこともない。

PCR検査ではおよそのウイルス量も測定できる。ウイルス量を考慮した対策をとるべきだった。

「ウイルスの数が少なければ、他人にウイルスを感染させることはない」というのは、ウイルス学の常識。


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