音喜多議員に告ぐ――無理な擁護は怪我のもと|橋下徹研究⑥|山口敬之/Hanadaプラス要点切り抜き
「陰謀論」と決め付け、橋下徹を擁護
日本維新の会の国会議員が、上海電力の大阪市のメガソーラー事業に関する参入問題について、橋下徹前大阪市長を擁護する発言を始めた。
音喜多駿氏や足立康史氏といった日本維新の会所属の国会議員が、橋下市長(当時)には責任も問題もないと主張。
音喜多氏は私(山口敬之氏)の主張を「陰謀論」と決め付けた。
大阪市長としての橋下氏の不適切な行動については、いくつもの証拠と証言を得ており、今後順次公開して、公論に是非を問う所存。
日本維新の会の議員が橋下氏擁護を続けるのであれば、橋下氏のしたことを是認・追認したものとして遠慮なく批判させていただく。
音喜多議員の誤った主張
音喜多氏は5月10日、YouTubeに動画をアップロード
橋下氏を徹底的に擁護する内容。
例えば、こんな具合。
・上海電力が大阪に招致されたとホームページに記載している点について
「大阪がわざわざ中国の企業を招き入れているじゃないか(という疑惑)については、単なる翻訳の問題。Google翻訳をかけるとこのプロジェクトは大阪市から提供されたものですという翻訳文になります」
「外国語翻訳の幅の中の問題なので、しかも、上海電力側が自分で言っているだけ。大阪市が我々が上海電力を招致したという記録が残っているんだったら問題。上海電力と維新や橋下徹が裏で繋がって悪い企みをしている根拠にはなり得ない」
この音喜多という人物の主張は、多くの点で根本的に間違っている。
音喜多議員のトンデモ弁明①
上海電力のHPの日本語サイトは以下のように記載。
「大阪市により招致いただいたもの」と明記。
日本で事業をする企業なのだから、中国語のサイトに何が書いてあろうと、原本たる日本語での表現とは無関係。
例えばSONYやトヨタがアメリカで事業を展開する場合、英語表記に誤りがあったからといって、「日本語サイトには本当のことを書いています」と言って済まされるはずがない。
しかし、この音喜多氏は、中国語のサイトの記述を引き合いに出して日本語サイトを全否定し、「招致ではない」と主張。
彼は、上海電力が中国企業であるから、中国語サイトがオリジナルであり、日本語サイトは従属的なものだとの認識の上で誤記を容認。
音喜多氏は日本で事業をする中国企業が、中国の言葉と論理で事業を行うことを是認したと言える。
なぜ音喜多氏はここまで露骨に上海電力寄りの姿勢を示すのか。
音喜多議員のトンデモ弁明②
上海電力の中国語サイトでは、咲洲メガソーラーについて「招标」と書いてある。
これは「入札」「入札を募集する」という誤解のしようのない単語である。
だから音喜多氏が中国語の原文の「招标」を「招致」と誤訳したと主張するなら、「大阪市の入札」とするのが正しい。
念のためGoogle翻訳にかけても「招标=入札」。
「招标」には「提供」という意味はない。
ところが、音喜多氏は「招标」を「提供」と、Google翻訳が表示したと主張。
なぜ、音喜多氏は本来「入札」と訳すべき単語を「提供」と改竄したのか。
上海電力は入札には参加しておらず、中国語サイトの表示が虚偽記載だから。
音喜多氏が、上海電力の日本語サイトと中国語サイトの矛盾を知った上で、無理な擁護をするために「提供」と意訳したのであれば、音喜多氏は橋下氏のみならず上海電力まで擁護したことになる。
一体、音喜多氏と橋下氏はどういう関係か。
音喜多氏と上海電力はどういう関係なのか。
いずれにしても、音喜多氏はウソの上にウソを塗り固めて、その上で私の取材結果を陰謀論呼ばわりしたのであって、全く看過できない。謝罪と訂正を要求する。
トンチンカンな主張で露呈した2つの闇
音喜多氏の主張は、全く筋が通らないだけでなく、2つの重大な疑惑を顕在化させた。
音喜多氏が
「上海電力は大阪市に招致されていない」「招致という表記は入札の誤り」だと主張するのであれば、動画を撮る前に上海電力側に抗議して日本語表記を「招致」でなく「入札」と訂正するようを求めるのが筋。
なぜ上海電力の誤記を正しく書き直させず、上海電力の日本語表記の誤りを擁護するような動画を撮影して公表したのか。
音喜多氏は上海電力に何か弱みでも握られているのだろうか。
もうひとつの闇は、国政政党「日本維新の会」と橋下氏の関係。
橋下氏は3月末まで維新の法律顧問を有償で務めていたが、4月以降は「無関係」という立場を橋下氏も維新側も表明している。
しかし、音喜多氏の動画を見る限り、橋下氏を擁護する意図は明白。
例えばこんな部分。
上海電力をはじめとした外国企業が、重要なインフラ産業・事業に参入しているのは大阪だけでなく全国で起こっていることは多くの人が認めていることであります。もし、これを防ぎたい。外国企業が入ってくるのは問題だというのであれば、大元の国の法律、制度設計に問題があるわけですから、自治体として出来ることは限られている。
なぜ、音喜多氏は本来「入札」と訳すべき単語を「提供」と改竄したのか。
それはもちろん、私がかねて指摘しているように、上海電力は入札には参加しておらず、中国語サイトの表示が虚偽記載だからだ。
上海電力は中国語サイトでは、参加してもいない入札によって咲洲メガソーラーに参加したかのようなあからさまなウソを書く一方で、日本語サイトでは正直に「大阪市に招致された」と書いていたのだ。
音喜多氏が上海電力の日本語サイトと中国語サイトの矛盾を知った上で無理な擁護をするために「提供」と意訳したのであれば、音喜多氏は橋下氏のみならず上海電力まで擁護したことになる。
一体、音喜多氏と橋下氏はどういう関係なのだろうか。そして音喜多氏と上海電力はどういう関係なのだろうか。
音喜多氏は日本維新の会所属の国会議員。
2019年7月から国会議員となった音喜多氏は、上海電力が日本全国で次々と大規模メガソーラー事業に参入している事態に対して、3年間何をしていたのか。
音喜多氏は、国会議員として日本のインフラを守る意思も行動力もないことを自ら露呈。
問題は、他の日本維新の会所属の国会議員。
橋下氏を擁護するあまり「問題は自治体レベルでなく国政」と言いながら何のアクションも取らないのであれば、その政治家と政党は上海電力の日本での事業拡大を是とし、日本のインフラの安全を確保する意思のない集団だと身をもって証明しているのと同じ。
私(山口敬之氏)は、橋下氏が上海電力を参入させた経緯について、数多くの情報を持っている。
上海電力は大阪市の招致なしに咲洲メガソーラーに参入することは不可能だったことも把握している。この詳細は、近々順次公開する。
今後、橋下徹氏を擁護しようと考える国会議員や有識者は、その行動がどういう結果を招くか、よく考えてから行動することをお勧めする。