上海電力、深まる謎 橋下徹の説明責任|橋下徹研究③|山口敬之/Hanadaプラス要点切り抜き
消えた「日光エナジー開発」
咲洲メガソーラーを巡っては、これまでにも事業体の変遷に不審な点があると指摘。以下、概要。
まず、大阪市が2012年12月26日、メガソーラー事業のため咲洲北西端の土地を民間に貸し出した。
借り受けたのが「伸和工業」と「日光エナジー開発」という日本の会社2社。
大阪市のプレスリリースにもある通り、この段階では一般競争入札で伸和と日光エナジーの2社が「企業連合体」としてメガソーラー事業を受注し、予定地を月額550,001円で大阪市から借り受けた。
その不動産契約の9日後、2013年1月4日に、伸和工業が「合同会社咲洲メガソーラー大阪ひかりの泉プロジェクト」という会社を設立。
この会社には、パートナー企業である日光エナジー開発は入っていない。
上海電力が参入したからくり
その後、咲洲メガソーラーは、2012年末の発表時の発電開始予定時期(2013年夏)を過ぎても工事を開始せず。
2014年3月18日、伸和工業は「『合同会社咲洲メガソーラー』が大阪市のメガソーラー事業を受注した」と発表。
2014年4月に「上海電力日本株式会社」が「合同会社咲洲メガソーラー」に加入(出資)する形で事業に参入。
当時の大阪市長の橋下徹氏は、「大阪市の発電事業に中国政府の支配下にある上海電力を参入させる」という重要な変更について、市民へ説明することはなかった。
2012年12月に「日本企業2社が受注した」と発表しているのだから、内容に変更があれば市民に発表し説明するべき。
もし、橋下市長の知らない所で、上海電力が大阪市のメガソーラー事業に参入していたのであればそれはそれで大問題。
もしそうなら、橋下氏はいつ上海電力の参入を知ったのか。
知った段階で市長としてどういう行動をしたのか、厳しく問われるべき。
大阪市が市民や市議会に説明も発表もしないまま、上海電力の咲洲メガソーラー参入が決められことは間違いない。
この騙し討ちのような外国企業のメガソーラー参画の経緯を、私(山口敬之氏)は「ステルス参入」と呼んでいる。
上海電力、無許可工事の可能性
上海電力のステルス参入を巡り、もう一つ、行政手続き上、重大な疑惑がある。
咲洲メガソーラーの事業は、2013年段階での受注者は
「伸和工業」と「日光エナジー開発」の2社連合体。
これが「合同会社咲洲メガソーラー」に移管したのが2014年3月18日。
一方、上海電力が工事に着手したのが2日前の2014年3月16日。
登記簿を見ると上海電力が「合同会社咲洲メガソーラー」に加入したのは4月11日。
ということは、上海電力は4月11日までは咲洲メガソーラーとは契約上、何の関係もなかったことになる。
3月16日から4月11日まで、上海電力はどういう根拠と資格で工事をしていたのだろうか。
この謎を解明するため、私(山口敬之氏)はまず「合同会社咲洲メガソーラー」の実態を調べることにした。
伸和工業の本社に行って見た
資本金89億円という中国国営の巨大企業「上海電力」のパートナー企業としては、かなり控えめな佇まい。
橋下徹は説明責任を果たすべき
この居住スペースの郵便受けに、「伸和工業」と「合同会社咲洲メガソーラー」の名前を見つけた。
ということは、「合同会社咲洲メガソーラ」に書類を郵送すると、この「205号室」の郵便受けに届けられることになる。
そして「合同会社咲洲メガソーラー」がパブリックスペースで独立した会社を構えていない所を見ると、「伸和工業」と「合同会社咲洲メガソーラー」は事実上一体化しているのだろう。