絵を描いていて胸に刺さった言葉

親戚の子が私の絵をいたく気に入ってくれている。
会うたびに「はなまるちゃん、絵描いてよ!」と駆け寄ってくる。リクエストに応えて絵を描いてあげると、「はなまるちゃん、絵、上手! 漫画家みたい!」とたいそう喜んでくれる。
そこまでは私も悪い気はしないのだが、毎度のように発せられる次の言葉に心臓が跳ねる。

「はなまるちゃん、自分で自分の絵、上手だと思ってる?」

毎回その問いになんと答えてよいものか、悩みに悩んで「上手だと思ってないよ~」とはぐらかすと、その子はちょっとホッとしたような顔をするのだ。

まだ幼い子であるので、何を言わんとしているのか真意はわからない。
しかし、やはり、私としては胸に刺さる一言なのだ。

残酷だとは思わないか。
肯定してしまうと自画自賛になってしまうし、きっと「どこが上手だと思っているの?」と聞かれるだろう。正直な話、私の絵は中途半端なのだ。

ありがたいことに、私の絵を好きだ、上手だと褒めてくれる人は少なくない。今までの人生の中でも、自分の属する集団の中では一番絵が描ける人間であるのは事実だ。

しかし、胸を張って「上手だ」と言えるほどの画力はないのだ。オタクや絵に明るくない人が「まぁ趣味としては悪くないんじゃない?」というレベルだと思う。

もう、否定するしかないのだ。
下手だということを認めさせられる瞬間なのだ。
非常に心臓に悪い。


そして、その子が発するもう一言にも私は打ちのめされる思いでいる。

「はなまるちゃんはなんでそんなに絵が上手なの? 私は全然上手じゃないのに……」

上手って言われても困るし、自分は上手じゃないと言われても困る。

この子はまだ数や時間の概念がはっきりしていないのかもしれないが、仮に6歳の子が保育園の頃から描いている、というのと、アラサーが保育園の頃から描いている、というのでは流石に経験の差がありすぎるのだ。

私が本腰を入れて描き始めたのは小学3~4年生くらいの頃だったが、それでも20年近く描き続けている私と、たった数年しか描いていない自分を同列に並べて悲しい顔をされると、いたたまれない気持ちになるし、フォローしようにもどこから切り出せばいいのかわからず閉口してしまう……。

「私はたくさんたくさん練習してきたからね~」とか「私も昔は下手くそだったよ~」とか「君も私くらいの年になったら上手になるよ」とか言ってみるものの、私が感じるそうじゃない感が凄まじすぎる。
うまいこと勇気づけてあげられたらいいのに……。


なんだか、この子に絵を描いてあげると、その後のやり取りでどっと疲れてしまう。
この子にはぜひ、前向きに頑張ってほしい。

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