盆梅と刀剣展 天光丸
2020年3月7日 大阪天満宮の「盆梅と刀剣展」で展示されている「重要美術品 太刀 銘安綱 号天光丸」を見に行きました。
天光丸は壺井八幡宮所蔵の太刀ですが、この時期だけ大阪天満宮に貸し出されます。
天光丸は平安時代の刀工 大原安綱 の作です。
平安太刀らしく腰反り高く小峰が優美な太刀姿。
(写真は2019年に撮影)
茎は生ぶ、目釘穴の上に安綱の銘が切られます。
(写真だと見えない…)
鍛は板目に杢目交じり。
そして、分かりますか?この肌立つ鍛え!
(肌立つとは鍛え肌の模様がはっきり出ていることを言います)
安綱の作は鍛えが肌立つものが多いですが、天光丸は特にワイルドで格好いい!
「河内名所図会」によると天光丸は北野天満宮所蔵の鬼切丸と同じ鉄を使った雄雌太刀であると記されています。
下は北野天満宮の鬼切丸です。天光丸の野趣味あふれる鍛とは対照的な溢れ出る気品。
鬼切丸は地沸がついて肌詰む(肌詰むとは鍛え肌の模様がはっきり出ていないもの言います)鍛えをしています。
板目がよく詰んで小杢目交じりなので、よく見ると鍛え肌の模様は似ています。(写真だと分からないですが…)
肌立つか肌詰むかでこんなに印象が違うんです。
見比べると安綱の技術の凄さが改めてわかるような気がします。
天下第一武勇の士 源義家
天光丸は八幡太郎義家(はちまんたろうよしいえ)の名で知られる源義家の佩刀として伝わります。
義家は神の如き強さで河内源氏の基礎を築いた人物で部下思いの勇将であり、後世では武士の鑑と敬われました。
室町幕府将軍 足利家や江戸幕府将軍 徳川家も義家公の血筋とされています。
ワイルド系太刀の天光丸が天下一の武将源義家と共に戦場を駆けてきたと思うと胸が熱い。
また義家は武勇だけでなく学問にも通じていたそうで、千載集に和歌が残っています。
本来は桜が散ることを惜しむ歌なのですが、ここでは義家の心を表すような壺井八幡宮の意訳を紹介しておきます。
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