ある日突然、消えた。
『明日の予報です。明日は海沿いの急な雷雨に注意してください。天気図を見て…』
テレビから流れる天気予報を横目に、私は玄関のドアを開けた。
「行ってきまーす」
そうつぶやき、傘立てに立っている傘を適当に取った。
玄関を開け、マンションの廊下から光が差し込んだ。
視線を空の方へ向けると、視界が一瞬白くなった。
まぶしい。思わず目を閉じる。
目が慣れてきて、ゆっくりと瞼を開くと、空は雲一つない晴天だった。
「よく晴れてるなあ」
階段を駆け下りて、ロビーのドアが開くと潮のにおいがふわっと漂う。
ふう。と潮のにおいを取り込んで
私は、ただ あてもなく走った。
ただ、今を楽しむため。
進路のこと、家庭のこと、人間関係のこと。
私達、学生は様々な悩みを持っている。
それを耐え抜いて生きている私達には、
誰にも邪魔されずにリラックスする時間が必要だと思う。
何も考えずに、ただひたすらに走る。
ビニール傘を片手に走る。
苦しい。呼吸が荒くなる。
汗も出てきた。
足も痛い。
それでも私は走り続ける。
何のために走り続けているのか。
青春を楽しむため。今を楽しむため。
どのくらい走ったのか、砂浜が見えてきた。
私がそこに向かうとインクを流したように真っ青な海が見えた。
波はカーテンのように、きらびやかに動いていた。
私達を祝福するように海の光は私を包みこむ。
私はその光景に目を奪われて暫く呆然としていた。
「綺麗…」
自然のパワーって凄い。眺めているだけで心が洗われて、軽くなる。
「…暫くここに居ようかな」
ひとけの少ない岩の陰に私は座り込みしばらく放心状態になっていた。
…て
す…て
タスケテ…
「ごおおおん…」
「はっ...?」
すさまじい轟音と神々しさに思わず私は目を覚ました。
いつの間にか眠っていたのだろう。
それよりも、変な夢を見ていたような気がする。
さっきのは何だったのかな…
ふと空を見上げると、
雲一つなかった晴天は瞬く間に雲に飲まれ、
今にも雨が降り出しそうな勢いだ。
「ポツっ」
私の頬に冷たいものが滴った。
「え…?」
私は小さくつぶやいた。雨だ。
「雨!?」
出かけるときにみた天気予報では、この後大雨が降るはずだ。
雨はドンドン勢いを増している。
私は傍らに置いていた少しさびれたビニール傘を片手に、どこか雨宿りをできるところを探した。すると角を曲がったところにコンビニがあるのを見つけた。
私は一目散に駆け込んだ。コンビニの中は暖かく私の心もかすかに和んだ。気持ちが落ち着くと暖かいホットココアを買い外に出た。
雨も心なしか弱くなっている気がする。
さて、帰るか。
そう思った矢先___
「どぉぉおん!」
とてつもない爆音が響き渡った。
雷…
私は思わず身震いし、ホットココアを落としそうになった。
まだ帰れないかな。
いや、傘をさして走ればいけるかもしれない。
そしてホットココアを一気に飲み込み、ゴミ箱に捨てた。
私は意を決してコンビニから飛び出した。
雨は未だに降り続いている。
私は急いで家に向かった。
マンションまでの坂道を駆け上り、息も荒くなってきた。
やっと登り切って一息つこうと思った瞬間、
「どぉぉおん!」
さっきの轟音が再び鳴った。
思わず空を見上げると、信じられない光景がそこにあった。
「な、流れ星...?」
今日は雨で、雲が邪魔をしていて、流れ星は見えないはずだ。
それなのに流れ星は一つだけではなく、数百個の流れ星がそこにはあった。
幻覚?本当に流れ星なのか?
あまりにも不思議で虚無的な状況に私は思わず流れ星を眺め続けた。
あまりにも現実を超越した、広大で虚無的な光景に
私は恐怖すら感じてしまった。
するとまた雷の音が聞こえた。
「ごおおおん…」
それでも構わず流れる流れ星。
「どういうこと…?」
すると突然ピカッと視界が真っ白になった。
「…まぶしいっ!!」
夜なのに真っ白なんておかしいことだと思う。
視界が晴れると、流れ星はもうなくなっていた。
何事もなかったかのように雨は降り続けて雷もなっている。
「何だったんだろう…」
ただ、一つわかることは、
あの現象は、普通じゃない。
ただの流星群を見ただけなのに。
本能的に恐怖を覚えた。
体が震えて、正気を保てなくなりそうだ。
早く家に帰ろう。
私は急いでマンションのロビーへ入っていった。
「ただいま。」
「おかえりなさい。ご飯できてるわよ。」
「…あ、うん」
そうつぶやき、すぐに自分の部屋に戻ろうとした。
『今回の突然の流れ星については謎が多くて、専門家でも原因は不明とコメントしています。』
テレビからそんな声が流れて、思わず声を上げた。
「え…さっきの流れ星...?」
「ああ、さっき流れ星?不思議だったけど綺麗だったわよね?今日は流星群の日でもなかったらしいわよ」
私は母の言葉でさっきの恐怖がよみがえり、ゾッとした。
思わず自分の部屋に駆け込んだ。
「え?どうしたの?ご飯は?」
「いらない!」
普通じゃない。
非日常を求めていた私は、なんだかうずうずしてきた。
それが恐怖を招くものだとしても、
それと同じくらいの好奇心がやって来る。
私は非日常を求めて__________
あとがき
皆さんこんばんわー!
久しぶりにしょうせつ書きました!(大急ぎ)
今日からNSの運動会が始まりました!!!
私は白組です!!
白組、勝つよー!!!!
NS運動会用に短めの連載(?)小説にしようかなと思ってますw
最後まで見ていただき、ありがとうございました!
良ければスキ、コメントよろしくお願いします!!!
最後まで、見てくれてありがとうございます! 皆さんのスキやコメントはハナの原動力になってます! 是非コメント、スキお願いします!(*´▽`*)