聖NS学園15
7月7日。七夕の日。
今日はNS学園でも七夕祭りが始まる。
いつもの学園が星のバルーンでいっぱいになっている。
中庭は校舎から校舎の間に沢山の飾りが蔓下げられ、まさにミルキーウェイのようだった。
そして中庭のステージには大きな笹の葉が置いてある。
ここに全校生徒の願い事を飾るのだろう。
すたフェスは前半と後半に分かれていて、
前半は教室コンテスト。
お昼前までにクラスを回って、中庭の投票箱に投票する。
それを生徒会が集計するらしい。
後半はコンテストの結果発表と短冊を書く。
そして私は今…
生徒会室の前にいます!
今は教室を回る時間。
先輩達とすたフェス回りたいな…!
私は生徒会室のドアに寄りかかり、るんるんで先輩達が出てくるのを待っていた。
でもいつになっても先輩達は出てこない。
忙しいのかな?
不思議に思ってドアの隙間から耳を澄ませた。
陽太
「間に合わねえーよ!流石に無理だ!物品の補充もしないとだし、投票だって1〜2時間でしないといけないんだぞ!?」
姫
「え、でも、私達ならなんとかなると思うよ!」
蒼生
「いや、無理だ。ここで生徒会の人数不足が浮き彫りになるとは…」
黒
「話し合っている時間も無駄だよ!早く仕事しないと!」
と、とても忙しそうな雰囲気だ。
私も何か力になりたい!
私は強くそう思った。
で、でも、迷惑かな…
私は何回も生徒会の仕事を邪魔してしまった。
だからすぐに追い返されてしまうかも知れない。
いや、挫けるなんて羽菜らしくない!
当たって砕けろの精神で私は思いっきりドアを開けた。
羽菜
「私も手伝います!」
姫
「羽菜…?」
姫先輩は大きな籠をもっていた。
私は姫先輩に駆け寄って姫先輩の仕事を見た。
物品をクラスに届ける仕事だ。
私は力強く言った。
羽菜
「私がそれ運びます!姫先輩は別の仕事をしててください!」
姫
「え、いいの?羽菜は教室を回ればいいのに…生徒会の仕事だよ?」
私は首を横に振って言った。
羽菜
「せっかくの行事、先輩達は楽しまないんですか?」
私の言葉に4人ははっとした顔をした。
陽太
「でも、それが生徒会の仕事。僕達は我慢しないといけないんだよ。」
陽太先輩はそう言った。
私は息を大きく吸っていった。
羽菜
「私はそうは思わない。生徒会の人も参加者も、全員で楽しめる行事にしたい!」
空気が揺らぐ。
黒
「全員で…」
黒先輩は作業していた手を止めた。
蒼生先輩は笑って言った。
蒼生
「まあ僕達の楽しいは他の人が楽しんでくれることだけどね。」
私は微笑んで言った。
羽菜
「そこが生徒会のいいところですけどね!」
姫
「ありがとう羽菜。じゃあ頼むよ!」
姫先輩は持っていた籠を私に渡して、次の仕事を始めた。
羽菜
「はい!」
私が生徒会室を出ようとすると陽太先輩に声をかけられた。
陽太
「羽菜。教室に物を届けるついでに持ってきて欲しいものがあるんだけど、覚えられる?」
記憶系なら私に任せてください!
羽菜
「はい!何なりと!」
陽太
「物品室の1-a箱にある投票箱1つ、物品室2-dにあるマグネット。そして家庭科準備室にある赤と青の布。裁縫セット一式。美術室の黒板の前に置いてある鉛筆、消しゴム。それから…」
陽太先輩の口からぽんぽん出てくる場所と物を私は記憶した。
陽太
「物品室3-gのホワイトボードのインク。以上。」
羽菜
「分かりました!持ってきます!」
私は生徒会室を走って出ていき、物品配達に向かった。
初めのお届け先は3-1組…っと。
羽菜
「お待たせしました!ビニールテープです!遅れてすみません!」
かすみ
「あれ?生徒会の人がくるのかと思った!なんで?」
かすみ先輩は少し驚いていた。
羽菜
「生徒会の皆さん、大変そうだったので!手伝ってます!」
かすみ
「え、でも羽菜は見なくていいの?」
私は笑って言った。
羽菜
「私はこうやって届けながら鑑賞します!」
私はみんなとはちょっと違った楽しみ方をしたい!
かすみ
「羽菜らしいね。頑張って!」
かすみ先輩は見送ってくれた。
羽菜
「ありがとうございます!」
私は満面の笑みで廊下を走っていった。
1-1では和香女に会って、手伝おうかとも言われた。
和香女、やっぱり優しいね。
2-2はとても気合が入っていた。
本当のミルキーウェイみたいな空間が天井に貼り付けられていた。
来翔先輩のクラスだったらしいよ。
私はそれからいろんなクラスに物品を届け、倉庫から頼まれたものを借りてきた。
そのせいで生徒会室に帰るころにはもうへとへとだった。
羽菜
「お、終わり…ました…」
生徒会室のドアでさえ、重く感じた。
すると目の前には姫先輩達がいた。
姫
「ありがとう羽菜!おかげで仕事、全部片付いたよ!」
私は相当疲れていたため、追加の仕事かと思った。
羽菜
「え〜。仕事まだあるんですか〜?」
へとへと声で言った。
すると4人はどっと笑った。
黒
「追加の仕事、あと1つ残ってるよ。」
姫
「羽菜、私達と回りたかったんでしょ?」
姫先輩のその言葉だけははっきり聞こえた。
羽菜
「え…一緒に回ってくれるんですか…?」
陽太
「まあ、元々俺らは教室を回る予定じゃなかったけどな。」
蒼生
「ありがとう羽菜。助かったよ。」
先輩…
羽菜
「…あ、ありがとう…ございます…!!!」
気づくと私は涙が出ていた。
姫
「羽菜!ほら!時間無くなっちゃうよ!早く行こう!」
姫先輩が笑顔で手を引いてくれた。
私は涙を手で擦って笑顔で言った。
羽菜
「はい!」
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