白鳥の夢を見た
人間と取っ組み合った経験はあるが、動物とは初めてだった。
ここは人気の無い山奥の湖。
そこに居座る白鳥を何とかしてくれという日雇いのバイトのため、俺は此処にいる。
白鳥という奴は存外に大きい。幼い頃に親に連れて行ってもらった動物園で見た時より、実物のほうがよっぽど大きい
しかも飼いならされていない。
追っ払うという目的なのに、何故棒きれ一つ手に持っていないのか。
家から親父の古武道用の棒か杖でも持ってくれば良かった。
しかも、何故半裸なのか。
ちょいと脅かせば逃げるかと思って、俺はジャブジャブと湖に入っていった。
その瞬間、白鳥は奇声をあげて、躍りかかってきた。
恐るべし野生。何とかなるのか。
俺は、何とか白鳥の両羽を掴んで、攻撃を防いだ。
どうして出来たか、わからない。人間、ピンチになれば出来るものだ。
しかし、白鳥の長い首はフリーだ。俺は両羽を掴むのに精一杯で、首での攻撃には対処しようがない。
蹴りの選択肢はない。足場の悪い湖では、蹴ったら体制が崩れてしまう。
選択肢の時間など与えてくれる野生の世界は甘くない。
白鳥は正確に嘴で俺の首を突き刺そうと、勢いよく首を振った。
「グワッ」
それは白鳥の勝利の雄たけびか、否。
俺は反射的に白鳥の右の羽だけを掴むのを止め、左手で白鳥の首を掴んだのだ。
何故、そんなことが出来たかわからないが昔から反射神経が良かったと言われたから、そうなんだろう。
しかし、尚も白鳥は俺の首を狙って嘴を伸ばそうとしてくる。
離したら、ヤられる!!
俺は左手に渾身の力を込めて白鳥の首を締め上げる。
それにしても、白鳥の嘴の形が殺意に満ち溢れていないか。
大体、日雇いのバイトっていくら貰えるんだっけ?
「グギギギ……」
俺は呻きながら、この終わりなき千日戦争(ワンサウザンドウォー).について考えるのであった。
というところで、目が覚めた。そうだ、俺は体調が万全ではないので寝ていたのだった。
悪夢というにはアグレッシブすぎる。
俺は、あまり夢に重きを見ないほうなのだが、今日は何だか引っかかった。
まぁ、今日はバトオペの新機体の日だからインした。
無料の10連がサービスで引いたら、何と新機体をゲット、いいのか。
本当にいいのか。
これで大当たりだったので、あとは何が出ても良かったが環境機もゲット。
運が良すぎる!!
そのとき、ガノタなら誰しも知っている、あの音が脳内で流れた。
ユキオ「あの鳥のこと、好きだったのかい?」
ララァ「美しいものが嫌いな人がいるのかしら? それが半裸の男と取っ組み合って死んでいくのを見るのは悲しいことじゃなくて」
夢の中では決着はつかなかった。
ララァ、これで良かったんだね。
次のガチャを引くときも白鳥の夢が見れるといいな。
https://twitter.com/i/timeline
https://twitter.com/yukiokawamura/status/1692074475339264291
せっかくなので、皆さんの白鳥の画像を使おうかと思ったのですが、あまりにくだらん内容なのでやめました。