noteはじめました
ここは…
ここは、どこだ?
背景が真っ白なWebサイトで、
俺はぼんやりした記憶を探る。
俺は、Twitterでタイムラインを眺めていたはずだ。
非公開の絵師リストを開き、
かわいい画像を見つけたらファボとリツイート、
エッチなイラストにはファボだけをつけていた。
ブルアカの、
名前は知らないがエッチで可愛い少女のイラストが、
水着なのか、
下着なのか、
迷いながらリツイートをした。
その時だった。
突如更新されなくなるタイムライン、
送信されない「Twitter壊れたwww」の投稿。
もしかして、凍結?!
トラックに跳ね飛ばされたような衝撃の中、
ブックマークに登録してダウンロードしておかなかった画像たちが
頭の中で走馬灯のように駆け巡る。
終わった…
せめて凍結される前にTwitter連携で登録してるゲームのログイン方法を変えておくべきだった…
おのれイーロン・マスク…
そう思ったのに、おれは今ここにいる。
『はむさんどさん、noteへようこそ!』
メールボックスに直接文章が届いてくる。
どうやら、この世界はnoteと言うようだ。
無課金でも140文字を超えるテキストが書けるらしい。
手始めに、おれは女性声優のnoteをフォローして、記事を読んだ。
ネイルの話。
飾り気のない文章だが、
キラキラした爪の輝きが
小学生だったころのマニュキュアへの憧れと
大人の自分が利用しているネイルを結び付け、
歳を重ねることに少し光を感じさせる。
ブラックコーヒーに角砂糖を一つ溶かしたような
ほの甘い文章だ。
おれはコメントを付けた。
「いま、何をしたんですか??」
近くにいた少女が訊ねてきた。
「ネイルの話をしているnoteに、ガンプラの話でコメントしましたよね??話が全然噛みあってないですけど、いった何をしたんですか????」
しつこく詰問してくる少女に、一言返してやった。
「何って…ただのクソリプだが?」
途端に青ざめる少女。
「女性声優クソリプおじさん?!そんな…この世界からは退治されたはずなのに…もしかして、あなたは!異世界からやってきたクソリプおじさん?!」
「おじょうチャン👧🏻ビックリ😮しちゃったカナ⁉️でもでもオジサン🥸はいつもこういうリプ💌をしてるんだよ✌️😁おじょうチャンも味わってみる❓ナンチャッテ💦」
「みんなに知らせなくちゃ、たいへんたいへんたいへん」
少女は光の速さで逃げて行った。
これがnoteの世界か。
悪くないな。
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