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まーどぅーはファンの幻想だった。〜佐藤と工藤の物語〜


まーどぅー人気に対する疑心

プラチナ期以降、まーどぅーコンビは数あるカプの中でも屈指の人気を誇る組み合わせだった。佐藤ファンの僕はどうだったかと言うと、実のところ全くと言って良い程ときめかなかった。それどころか、2人を相性抜群のコンビと囃し立てるまーどぅーファンに向ける視線はむしろ冷ややかだった。現実とギャップのあるファンの理想に工藤が苛まれ、潰れてしまわないか心配だったという理由がまず1つ。もちろん好きになるカプや応援の仕方は人それぞれなので批判こそしないが、あくまで自分個人の感覚からはトップクラスに現実味の無い組み合わせでしかなかった。それだけにまーどぅー人気の高さには首を傾げつつも常に驚くという時代が続いた。



佐藤から工藤への矢印はビンビン出ていたが、対照的に工藤から佐藤へ向けての矢印は限り無く薄く映っていた。『苛まれ〜』のくだりはそんな理由からだ。もっとも工藤自身も初期を除けば『まーどぅー』と括られること自体を心地良く捉えているようにさえ見受けられ、自ら『まーどぅー最強』を謳ったりもしていたので、杞憂でしかないとは思ったが。ただ、"佐藤を利用する"と言っては聞こえが悪いが、人気の高い『まーどぅー』というブランドを振りかざすことで自身の立ち位置や価値を必死に守ろうとしているようには思えた。道重さんの「工藤はまーどぅーを使うことで拠り所を探している」という分析とは同義である。

中期から後期にかけてはライブ本番前の舞台裏で1人になる時間を作っていた工藤の姿を見る限り、単純に1人が好きなことの他に、相方との呼称や一緒にいること以外の問題を抱えているようにも見えた。その中には佐藤との付き合い方や距離感の持ち方という悩みも含まれていたのではないか、と。佐藤の独占欲と破天荒な振る舞いに6年間付き合い続ける相方としての立場に、水風船がパチンと音を立てて割れてしまう程の疲弊は本当に無かっただろうか?また、それとは別に、万年端っこポジションの自分に対し、佐藤は常に目立つ場位置を与えられるという逃げられない現実を突き付けられる。工藤のメンタルを不安視する要因は、人間関係・パフォーマンス共にグループにおける佐藤の存在や影響力が巨大なものになっていったからこそである。その狭間で揺れ動く自身の抱える悩みがいつ決壊しても不思議ではない。


工藤+石田(+飯窪) vs 佐藤

先日公開した動画の中で『佐藤を敵に回すと恐い』という表現をしたくだりがあった。

上と下を結ぶにしろ横の繋がりもまた然り、人間関係ではそれだけ新垣・道重さんリーダー時代のモーニング娘。が佐藤優樹を中心に回っていると考えていたからだ。佐藤と相容れない者は輪の中からはじき出されてしまう。個人的にこういった女子校的なノリは好きではないが、実際そんな状況が自然発生的にできあがっていたように思う。その意味で10期加入直後は佐藤と距離を取っていた工藤や石田も一転、コロッと佐藤を受け入れるようになっていったのだと感じていた。「このままだと私達ヤバい…」と、自分達の立場が不利に働く危険を察知したのだと。損得勘定は、残酷である。

10期デビュー当初、佐藤に対して2人が好意的になれなかったきっかけを振り返ると、たしかにガチでオーディションに挑んでいた工藤や石田からすればVTRの裏側では走り回って遊んでいる佐藤の姿勢が良く映らなかったのかもしれない。けれど当時まだ小学生で完全に子供だ。我々大人からすると「まあまあそこまで目くじらを立てなさんな」とも感じる。しかし工藤・石田が幼いということもまた佐藤と同様で、お互いにそんなちょっとした小競り合いが起こるのは仕方が無いことだと思う。後々には仲が深まっていく結果があったし、当人同士の間ではすでに笑い話程度になっている可能性の方が大きいだろう。
事実、彼女達によって当時のエピソードが語られる時の様子からもそんな雰囲気が感じられる。

とはいえ先の変化に関して、とりわけ工藤は態度の豹変っぷりがあからさまだったので、ある意味賢いとは思ったものの、やはり見ていて決して気持ちの良いものではなかった。変化以前の時期に工藤・石田が佐藤を除け者にしようとするような仕草を何度か目にした。石田の弱点は工藤だ。「どぅーがそうなら私もそうする」と流されてしまう弱さがある。飯窪に関しては抜け目無いのでそのあたりは上手く立ち回っていた印象。少なくとも表向きにはネガティブな印象をあまり残していないが、あくまでそれは表であり、工藤や石田までとはいかずとも、僕から見ればやはり飯窪にも所々に所業は見受けられた。見えないフィルターを外したところで。

一方、天然という理由も少しはあるだろうか?佐藤自身はあっけらかんとしていて、自身の置かれている状況に自覚も無いように見えたが、当時TVで流れていた様子などを見ていると工藤・石田コンビの行いは結構露骨なもので、「これ以上行くとはっきり言っていじめの一歩手前だな」と個人的には正直見ていられなかった。佐藤に声援を送る側としては、悲しく、辛く、許されざる行為だと感じた。佐藤ファンとしてこれからも無かったことにはできないし、忘れることのない嫌な記憶として深く刻まれている。それでも"当時"は前述の通りお互いにまだ小中学生。複雑な心情を抱きつつも子供である彼女達の成長をそっと見守っていた。

しゅわぽくの安心感

本題に戻ると、僕の中では『まーどぅー』はファンが作り出している幻想であり、まやかしの組み合わせでしかなく、カプなら圧倒的にしゅわぽく派だった。それを言うならしゅわぽくも幻想だし、そもそもアイドルそのものが虚構じゃないかとツッコまれそうで全くその通りなのだが、しゅわぽくの関係性はリアルで現実味があって、互いの計算無しの無償の間柄に好感を持っていた。幻想感は見えず、佐藤側からの『やっさん大好きオーラ』は全開だったが、鞘師からは決して同じではなかった。それどころかどちらかと言うと基本的にはどこ吹く風。自我が強めな鞘師だからという理由もあるだろうか。でもそういう相手だからこそ鞘師側からも余計な取り計らい無用に自然体で接することができたのかもしれない。よく言われた姉妹感は互いがナチュラルに付き合う関係性に起因するのではないだろうか。しかしそれでいて佐藤のパフォーマンスには一目置き、ともすれば自分の絶対的地位を脅かす存在として危険視もする。そんな時折姉から妹に注がれる視線と、しゅわぽくの2人ならではの付き合い方がファンにはたまらなかった。

その意味でまーどぅーの場合は『工藤側からの一方的な打算によるもの、逆に言えば佐藤側からの一方的な打算無しによるもの』。どちらにせよ一方通行で交わる余地が無いというのが僕の見解だった。工藤も初期以降は佐藤の良いところを見つけ、佐藤を少しずつでも好きになれた過程を感じたが、個人的には工藤の本質や胸算用を嗅ぎ取ってしまったせいもあり正直なところ苦手であって、卒業後に関しても一切彼女の情報は追っていない。まーどぅーの悪ガキコンビ感は好きだったし、佐藤が工藤にデレるのは微笑ましくあったけれど、モーニングのファンとして工藤自体を好きになることはどうしても最後までできなかった。このことは実は飯窪春菜や鈴木香音も同じだ。しかし鈴木に関しては佐藤に対し当時どんな所業に及んでいたかという話が少々ヘビー過ぎる気がするので、具体的な明記は避けておくことにする。工藤の方はギリ書けるレベルだが、鈴木の方はたぶんアウト。動画の中で『佐藤が毒を抜くことができなかった数少ないメンバー』として鈴木を挙げたが、生田の携帯でブログを書き替えた逸話にしても、おそらく彼女の内面における闇は深い。ゆえに佐藤の影響力が及ばなかった件に関しては、毒が強過ぎた結果とも言えるのかもしれない。飯窪に関してもやはり良い印象は乏しく、工藤と同様に卒業前・卒業後に限らず、映像にしても何にしても個人的には目に入れたくない。

毒抜きについて石田はどうだったかと言うと、少なからず、いや、かなり変わっていったメンバーの1人と感じている。もちろん佐藤によってだけの変化ではないと思っているのだが。石田の場合は道重さんや周囲のメンバーとも万遍なく関わることで段々とトゲが抜け落ちた印象がある。外見も内面も角が削れて柔らかい雰囲気になった。個人的にも今や好きなメンバーにまでなり、だーまーコンビにはしゅわぽくに近い魅力を感じている。

ちなみに小田のメンバー考察の動画で『だーさくが好きな理由』を話したことがあるが、だーさくもまた、しゅわぽくやだーまーのそれと似ているところがある。必要以上に自分を取り繕わない、あるいは取り繕う必要が無く、互いが本来の姿でいられる間柄という共通点がある。

10期メンバーへの感謝

一方、大人に近付きつつあった『まーどぅー』。


子供である彼女達の成長を見守り続けた甲斐もあって、2人は絶妙な距離感で歩み寄れる関係性にはなっていった。しかしだからと言って工藤から佐藤へ向けての矢印は、結局工藤が卒業するまでさほど濃くならなかったと感じている。そして、工藤側からの連絡が無いなど、近年の様子を遠目に見聞きする限りもおそらくは今でも変わっていないのではないかと。

工藤卒業時には佐藤の口から「上辺だけで良かったのにまーは本当の親友と思っちゃってた。どぅーはやめてと思ったよね」と寂しげに呟く言葉があったけれど、きっと佐藤自身はいつからか察していたのだと思う。今思えば本当を見抜く野生力の塊である彼女が気付かない訳がない。「たぶんどぅーは一生本当の自分をメンバーには出さない」という佐藤のコメントを見た時、これは本物だ、と改めて確信した。佐藤に嘘は通用しない。丸裸にお見通しである。

もちろん両思いに勝る結果は無いし、「普通に出会いたかった」という佐藤の言葉のようにほんのちょっとでも違っていれば2人に別の未来があったのだろうかと考えると胸が苦しくなったりもするが、思い通りにならないのもまた人生。こればっかりはどうしようもない。相性、居心地、本当に自分を預けられる相手かどうか自分または相手の人間性、基準は様々だが、自分にとって合う人合わない人、ずっと一緒に居られるかどうかは誰にでもある。

まーどぅー


さらに言えば、彼女にとってみれば佐藤には散々振り回されたし、10期の中ではダントツに苦労をさせられた。常に佐藤の隣にいる年齢やポジションの特殊性ゆえに人一倍、佐藤との関わり方が難しかったのだと思う。工藤には工藤なりのギリギリ自分を保っていられる距離感があったはずで、初期は別としても中期以降の工藤に限っては誰も責めることはできないと思う。無茶な負担がかかっていたということもあるだろう。

加入当初のネガティブな話は置いておくとして、それ以降は工藤のみならず、どうにかこうにか佐藤を理解しようとし、上手いこと折り合いをつけながらジャジャ馬と向き合ってくれた10期の3人には佐藤ファンとして感謝している。結果的に自分達なりの『10期像』を作り上げるところまで到達してくれた訳だから。そして今度はそれぞれが大人になったまーどぅー・10期4人の関係性を遠くから見守りたいと思っている。

個人的にはしゅわぽくやだーまー、だーさく以外にも好きな組み合わせはあるので、いずれまた動画かnoteのどちらかで特集を組んでみたい。

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