第7回 バンド名、グループ名は「よく被る」ものなのか?!
今回、バンド「MOON CHILD」とガールズグループ「MOONCHILD」は名称が「丸被り」になっていますが、そもそもグループ名称というのはよく被るものなのでしょうか。
「慣行で被らないようにしている」!?
これについては「慣行で被らないようにしている」と書いてある記事を読んだことがあります。不正競争防止法などという法律の存在を知らなくても、単に紛らわしい名称をつけると消費者にとって不便ですし、「先にデビューした方に失礼」というのが一般的な感覚であると今回多くの人の声を聞いて思います。
ササキオサムさんご自身も、「MOON CHILD」というバンド名をきめる際に、かつてYOUさんが所属していた「FAIR CHILD」や、「Mr.Children」と混同しないかを心配したと話していらっしゃいました(オーサムフライデーナイトライブ#94)。しかしこれらの名称はMOON CHILDに全く似ていないと思います・・・。
「海外に同名バンドが多数いるから問題ナシ!」は本当か?
ところで、海外にも「Moonchild」という名の有名バンドがいます。カリフォルニア出身の3人組ネオソウルバンドで、2022年に来日公演もしています。私は実はバンドと間違えてこのグループの曲を聴いたのですが(やっぱり間違えますよね!)、けっこう好きなんですよね。
南カリフォルニアで生まれたネオソウルバンド、Moonchild。
おお、チルいぜ・・。
本件に関しては、LDH擁護派から「海外にmoonchildという同名のグループが20組くらい存在している。それなのにLDHのMOONCHILDだけを問題視するのはおかしい!」という主張が頻繁になされています。
しかし、海外のグループについては、それぞれが異なる国の中だけで活動する限りにおいては法的には問題となりません。また、実際問題として、海外グループはそもそも使用言語と活動拠点が異なるのですから、混同を引き起こす程度は国内の同名グループに比べれば低いと考えられます。問題視すべきかどうかは弊害が生じる程度によっても変わるのであり、なんでもかんでも問題視すべきとは思いません。
もちろん、グローバル化&インターネット社会においては、情報はかんたんに国境を越えるので、海外のグループとの間で名前被りが問題になる場合もあります。しかしその場合、国外の法律が適用され、国外の法律で解決を図らなければならない可能性があります。いずれにしろ、海外において活動展開したり、影響力を及ぼしたりすることが視野に入っているのであれば、各国において商標登録をする必要があるでしょう。米国のアーティストは日本で商標登録をしていることが多いですが、ネオソウルバンドMoonchildが日本で商標登録出願をした形跡は見当たりません。これはもしかしたら日本の同名バンドに配慮したからなのかもしれません。
ガールズグループ「MOONCHILD」は海外進出を目指すと言っていて、どこまで本気なのか分かりませんが、ネオソウルバンドMoonchildがいる限り、今の名称のままではアジアはともかく欧米への進出はできないと思いますよ?
あ、もちろんLDHがネオソウルバンド側に巨額の名称使用料を支払う用意があるっていうんなら話は別ですけどね!
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