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『打刀』検証 地面への固定力試験① ペグ打ち込み角度 編

弊社noteへお越し頂きまして誠にありがとうございます。

刃物屋福善(福善刃物工業株式会社)でございます。

弊社のSNS(XやInstagram)よりこちらのページにお越し頂いた方が大半ではないかと存じますが簡潔に自己紹介を。

私共は岐阜県美濃加茂市で創業80年以上となる機械専用の刃物メーカーでございます。近年では得意とする刃物の製造技術を応用して独自のキャンプ用品の開発、製造、販売を行っております。
なかでもキャンプ用ペグ『打刀』は弊社の代表製品であり、多くの方にご愛用頂いているベストセラー商品です。

こちらのnoteではこの『打刀』等の弊社製品を用いた検証試験を行い、ご使用頂く際の参考となるようなデータまたは知見をご提供できるような場にできればと考えております。

今回の検証は『打刀』の打ち込み角度によって地面への固定力の違いはあるのか?と疑問に思い、検証試験を行って参りました。
※3年前に行いました試験をnoteにまとめた記事となります。

【試験方法】

本試験では20cmの『打刀』を使用いたしました。

また下記画像のような土のサイト(表面は乾いた土で柔らかい地面)にて、簡易測定装置を用いて各角度における地面への固定力を測定しております。

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簡易測定装置は上部に重量計が取り付けられており、ガイロープを引っ張り『打刀』が抜けるまでの最大荷重を測定値としています。

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↓試験の参考動画です。

柔らかい地面での試験のため『打刀』にガイロープから荷重がかかると、下図のように『打刀』が地面を掘り起こしながら回転して立ち上がってしまい、抜ける様子が動画から分かります。

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『打刀』の打ち込み角度は収納ケースである『ペケス』に付属しております定規兼分度器にて角度を測定をして打ち込みを行いました。

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こちらの分度器機能は『ペケス』の製造元である株式会社No BoRDER様のアイデアから付属して頂いた遊び心溢れる一品でございます。

まず始めに打ち込み角度45°、60°、90°での条件で試験を行いました。『打刀』は全ての角度でU字箇所の手前の長さまで打ち込んでおります。

またガイロープの角度は全ての試験で下記のように地面からおよそ30°程度の角度になるように試験をしております。

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■打ち込み角度 45°

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個人的にではありますが、45°は弊社でペグ打ちする際よりかなり『打刀』の角度が寝ているかなという印象を受けました。

■打ち込み角度 60°

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「ペグの打ち込み角度の推奨」と多くのご意見を目にいたします60°でございます。測定してみますと私の感覚ではまだ寝ているなという印象でしたが、皆様はいかがでしょうか。

■打ち込み角度 90°

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90°は真っ直ぐ立っていますね。角度を付けていないため非常に打ち込みやすいですが果たして。

【試験結果】

各打ち込み角度における打刀が抜けるまでの荷重は以下となりました。

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今回試験を行ったサイトや条件では、打ち込み角度が90°の際に最も地面への固定力があるという結果となりました。

この結果から60°から90°の間の角度ではどのような傾向になるのかが気になり、70°と80°も追加で試験を行いました。

■打ち込み角度 70°

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少々角度がズレていますね…。72°前後でしょうか。

■打ち込み角度 80°

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打ち込み角度70°と80°を追加した結果がこちらです。

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打ち込み角度 70°と80°の地面への固定力は、ほぼ90°の場合と同等程度の値となりました。

横軸を角度との傾向図にしますと下記のような結果となります。

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今回の試験条件では、『打刀』の打ち込み角度は45°から70°まで大きくなると共に、地面への固定力が増していき、以降90°までは同程度の固定力になるという結果になりました。

今回は90°付近でも大きな固定力がありましたが、しかし使用状況によっては、この結果が変化する可能性もございます。

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本試験ではガイロープの角度が左図のような約30°程度で行いました。しかし設営時にペグダウン箇所がテントに近くなると、右図のようにガイロープの角度が大きくなります(右図:60°)。

このような状況ですと『打刀』を上部に引き上げる力が大きくなるため、地面への固定力は小さくなることが予想され、今回の試験結果と異なる傾向になる可能性がございます。

上記のように設営状況や地面などの環境、またペグの種類も変われば結果は変化いたします。

そのため「打ち込み角度」のみを切り取り、地面への固定力が大きくなる最適な角度は○○であると提唱することはできないと弊社は考えています。

時々刻々と変化する自然や環境に合わせて、ペグの打ち込み角度等の設営方法を選択する。

皆様に試験と銘打って公開しながら、何とも中途半端な回答で大変申し訳ないですが、これも自然と向き合うキャンプの醍醐味なのかなとも思います。

「状況により『打刀』は打ち込み角度が地面に対して立つ方向になっても固定力が大きい場合がある」という参考データの1つとして皆様のお役に立つ機会がありますと幸いでございます。

最後までお読み頂きまして誠にありがとうございました。

次回はいつになるか分かりませんが、ペグの打ち込み長さ(深さ)の影響をまとめた記事を投稿できればと考えております。
是非ともお楽しみに。

また福善の商品にご興味を持って頂いた方がおりましたら是非とも公式ショップをご覧頂けますと幸いでございます。

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