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「おばさんがストッキングを履く」というこ【中高年かーさんの徒然日記】
昨年、親族の告別式に参列した。
お別れから時が経ち一連の思いを昇華したので、「フォーマルから遠ざかった中高年かーさんリアル」をお届けしたい。
まず、告別式の案内を受取った時点で、喪服がない。
これまで黒いそれっぽいワンピースでしのいできたが、四十も半ばになるとそうもいかない。
周りの目がどうこうより自分自身が落ち着かず、いよいよ喪服を買うことにした。
買うならきちんとしたものを。
とはいえコスパの良いものを。
2つの気持ちがせめぎ合い、まずは市場調査をかね百貨店へ。
あまりの高値に目玉が飛び出る。
秒で「喪服はコスパ」に舵をきる。
夏物セールで8000円也。
購入。よしよし。
、、、
そーいや、フォーマルな場面でよく見る台形のちっさい黒いバッグ。
あれもないな、、、
同じ店内で2択まで絞り、そこそこ高いのとものすごく安いのと散々迷う。
最後はやっぱり「コスパ」に舵をきり購入。店を後にした。
この後も、袱紗(ふくさ)、香典袋、薄墨の筆ペン、フォーマル用の薄黒ストッキングなど、ここ数年稀に見る手際の良さで、買い進む。
自宅に戻ると、夕食→入浴→歯磨き→寝かしつけ、という一連のルーティーンを終え、よろよろ起き出し再び準備にとりかかる。
この時点で、中高年のエナジータンク、残15% 。
ハイライトは、香典袋の宛書。
今までなんとなくで書いてきたが、今回は遠方に住む兄姉の分も取りまとめるため、責任重大。正解を探し求めてあらゆるサイトを参照する。
長い名前にカタカナあり、更には連名で文字一杯、と筆ペン初心者にかなりの高いハードル。
どうにかこうにか書き上げて、時計を見れば夜も深まる午前1時半。
中高年のエナジータンク、残3%
もはや風前の灯。
最後に、明日の喪服と持ち物を揃えて鏡の前に置いて無事終了。
準備としてはこれで十分だが、念には念を入れ、一度フル装備してみることにした。
8000円の喪服は、安見えせず着心地も良い、よしよし。
続けてストッキングを履き、黒いパンプスに足を入れる。
電線せずになんとか履けたぞ、ふむ、よしよし。
全身チェックで鏡の前に立ったその時に事件は起きた。
ストッキングに撫で付けられて、横倒しになっているスネ毛!
ガン見するほどではないが、無視もできない程度のそれ。
その弱々しさが、すり減った中高年の生命力とリンクする。
、、、物悲しい。
もともと剛毛ではないが、それでも10代、20代の頃はそれなりに手足のお手入れが必要なほどには生えていた。
しかし、それもいにしえの話。
加齢とともに減毛傾向な手足を(そんな言葉、あるんかいな?)、私はなんならツルツルぐらいに思っていたのである。
ところが、ストッキングはその認識を 許さなかった。
ストッキング=フォーマル。
ぬかっていた。
日常からフォーマルが完全に消えていた私は、完全にぬかっていた。
「アナタ ノ スネゲ マダ アル ヨ♡」。。。
家族が寝たあとの静まりかえったリビング。
私は一人、懐かしい電動音を響かせて就職活動以来のスネ毛処理にいそしんだ。