『本当の戦いはここからだ』6人芝居
『本当の戦いはここからだ』作 すがの公
<あらすじ>「ごめんね、カスミちゃん!ねーちゃん、カスミ's彼ピー横領!(姉)」気がつくとベッドに縛り付けられているカスミは自殺未遂を思い出す。「三度の飯よりリストカットそういうとこありましてハイ(母)」東京と埼玉の県境、荒川岩渕緑地の中州にある『第13番発作自殺患者特別収容所』これがあたしの、戦いの始まり。
■独房/夜
非常口の電気がつく。女、首と手首に包帯を巻いている。
女:、、、、、、
特別な椅子に座る
1:大丈夫だ。
誰かが小声でささやいてくる。
1:まだ負けたと決まったわけじゃないから。
12:あきらめるのまだ早いから。かならず勝てるから、
123:終ったわけじゃないから。君は悪くないから、
1234:大丈夫だから。かならずチャンスがあるから。
12345:今は少し、疲れているだけだから。
女:、だれ
1:安心していいから
女:どこ?
よく見ると、まわりに人が座っている。
1:いつでも味方だから。
女:あの
1:本当の戦いは、
雨の音。ザアアアアアアアアアアアア
女:、、、、
雨の中、
女、ゆっくと立ち上がり、
カッターを出し
じわじわと手首へ持っていく。
手首に当てると突然止み、女が話し出す。
■あたしの不幸のはじまり
女:その春は、ものすごく幸せな春になる予定だった。
でも春になる前、ねーちゃんからの書き置きがあり。
姉、立ち上がる。
姉:めんごカスミ。ねーちゃんカスミ's彼ピー横領。
女:ねーちゃんは趣味で死語を連発する年中ジャージの演劇女だ。
姉:めんごカスミ。
女:ごめんね、カスミちゃん
姉:ねーちゃん
女:おねーちゃんは、
姉:カスミ's彼ピー
女:カスミちゃんの彼氏を
姉:横領。
女:、、よこどり。
姉、再び群衆に戻る
女:これがあたしの、戦いの始まり
☆音楽(Ain't got no home/The BAND)
曲にあわせて立ち上がっていくメイン登場人物たち、1医者、男、2刑事、教祖、3姉、
女:東京の人第02回公演
医者:出演!*****!ぶっしゃあああ!!!
刑事:*****!どっっしゃあああ!!
教祖:*****!ぐばっしゃあああ!!
男:*****!(ブラックニッカを飲み、斬られる)げぼばがじゃあ!!
医者、男、ヤクザ、教祖、切り掛かるが、女に斬られる。
姉:*****!
姉、切り掛かる、
男4人:カシイイイン!!
姉と女、刃を合わせる
女と姉:本当の戦いは、ここからだうあ!
女と姉、踊りながらチャンバラをする。
男4人:カシャン!カシイイイン!!ズバンダシイン!ジャキンバキーーん!
男四人、次第に適当に効果音を入れていく、
女と姉ムカついて、男4人をもう一度切り捨てる。
男4人:ブシャバアアアアアア
倒れる男たち
姉:めんごカスミ。ねーちゃんカスミ's彼ピー横領。
女:手紙は、シャツの形におられておりました。
姉:書き置きにてドロン。バイザウェイ、ねーちゃん記憶にございません。そこんとこ
女:4、6、4、9。
姉:よろしく。
女:、、、、、
姉、逃げる。女追う。男たち、道となり山となり川となり壁となり橋となり狭い道となり
とにかく女の追随を許さない
女舞台前へ、再びリストカット体勢。姉、それに気付くが、すでに遅し。
姉:カスミ!!
カスミに絡み付く男たち。女、左手首をかっさばき、ゆっくりとくずれる。支える男たち。曲、上がる。
■ここは、どこだ。
突然、雨の音。ザアアアアアアアアアアアアアアアア
その音で、女、ガバっと目覚める。非常口の緑の電気。
男たち、女を押えている拘束具(手首足首肩)となる。(後ろ向き)
俯瞰で見えているイメージ。じょじょに雨足がおさまる。
女:、、、、、、、あっっれーー??
心音:ピっ、、、、ピっ、、、、ピっ、、、、、
女:、、、消毒液のにおい。、、心電図、、、ここ、、病院?
どうして、病院になんか、、、思い出さなきゃ。、、、昨日、仕事終って、、家に帰って、、、、
、、家に帰って、、、、、だめだ。思い出せない。
、、なんだ。(しだいにパニくる)天井。部屋。ベッド。手足。拘束。一人。暗い。えーとえーと
幻聴1:成績優秀、品行方正、清楚可憐(ピッ、、ピッ、、ピッ、、)
女:えーとえーとえーと落ち着かなきゃ
幻聴2:学生時代は副委員長、生徒会書記長、大学では日本文学を専攻、(ピッ、、ピッ、、ピッ、、)
女:えーとなんだなんだなんだえーとえー
幻聴3:研究室に残ることを勧められるが。当時つきあっていた彼との結婚を考え、(ピッ、、ピッ、、ピッ、、)
女:やばい、やばいやばいやばいやばい、
幻聴4:図書館司書としてこの春に就職、さらに挙式の予定であった。(ピッ、、ピッ、、ピッ、、)
女:やだ、やだやだやだやだやだ!!!
幻聴5:完璧な人生プラン。完璧な人生プラン。完璧な人生プラン。(ピッ、、ピッ、、ピッ、、)
心音:ピっ、、ピっ、、ピっ、、、
女ジタバタするが、拘束具により動けない。
女:やだ!!これ外して!!これ外してください!!はずせえ!!
心音:ピッピッピッピッピッピッピピピピピピピピ!!
音が一気に止み。間
女:、、、、っっっっはあ!、、はあ!、、はあっ!はー!はー!
心音:、、ぴ、、、ぴ、、、ぴ
リーダーの声:大丈夫ですか-?
女:、、だれ?
リーダーの声:大丈夫ですかー?
女:え?、、お姉ちゃん?
再び、雨の音ザアアアアアアアアアアアアアアアア
■雨の中デモ隊
雨の音の中、デモ隊の傘。ホイッスルの音ピッピッピッ、ピッピッピッ、ピッピッピッ
姉、拡声器によるシュプレヒコール、薄暗い中、うごめく影、反射するビニール傘
姉(拡声器):人間の死を規制するなー
デモ隊:デストルドー、タナトース
姉(拡声器):死の欲動を否定するなー
デモ隊:アンチリビドー、アンチエロース
姉(拡声器):人間の尊厳はーどこだー
デモ隊:人間の尊厳はーどこだー
雨の音の中、デモ隊の傘。ホイッスルの音ピッピッピッ、ピッピッピッ、ピッピッピッ
■家族のこと
雨音が消える。
母:あんた死ぬ気あるの?!ないの!?
まるでおかまのもじゃづらの母が、女に付き添って診察をうけている。
母:センセ毎度どうもすみませーん。三度の飯よりリストカット、そういうとこありましてはい。
大丈夫大丈夫!こんなんツバつけときゃ治りますって!ぺ!
女:、、、
母:どうせ死ぬ気なんてないんだから!意味ないでしょ!
女:この女に馬鹿にされることだけは我慢がならない。
母:さあ何が彼女を追いつめるのでしょう。かーちゃんさっぱりわかりません。
女:わたしが小4の時、父に捨てられた。
母:いまどきの子はねうたれ弱いってこの前、みのもんた言ってましたよね?
女:年がら年中テレビに文句をいい、人生の大半を酒でごまかしているような
母:先生、あたしの荷降し症候群、治ります?
女:精神的に参っている度合いで言えば、きっとこの女の方がひどいに決まっている。
母:センセ、結婚してるんだっけ?してないっけ?え?してないの?もったいな!
女:そのくせ、かかりつけの精神科医にこうしてげびた笑顔でこびる。
母:センセ?こんどお暇あったら、一緒にパッチワーク、どうですか?
女:生活費は慰謝料。カルチャースクールで暇つぶしの毎日。
母:センセ?あたしのお花、観にいらして!あ、絶対やらしい事想像しましたー!
女:気持ちの悪い生物だ。
母:この子しまいに新興宗教はまっちゃいまして、なんたっけ?おバカ様だっけ?
女:おハコさま
母:ま、良くわかんないんですけどっ!とにかくはまっちゃって!金飛ぶ飛ぶ、ね?!
女:わかったから
母:でもねー、この子がリストカットしたい気になるのもわかるんですよセンセ
長女もねずっっと演劇やってる馬鹿娘なんですけどね。
女:ちょっとやめてよ。
母:いいじゃないお金払って診てもらってんだから
女:やめてって!
母:精神科が恥ずかしいのかすみ?
女:どうしてなんでも人に話すの!?
ウワサ族奥様たち、にじみよる。
奥様1:鴬谷さんとこの香澄ちゃん婚約破棄になったんですってよ
奥様2:春には結婚するはずだったのに?
奥様4:なんでも長女のひよりちゃんが男とっちゃったとかで
奥様3:あら悲惨!それでかすみちゃんは?
奥様1:自殺未遂と新興宗教。
奥様2:それでひよりちゃんは?
奥様4:男とどろんよ。もう半年も行方不明
奥様3:なんかついてないわよねぇ鴬谷さんち
奥様2:旦那さん愛人と消えてるしね。
奥様1:おじいちゃんも戦死したかと思ったら、
奥様3:ねぇ、フィリピンで大家族。
奥様2:なんかあるわね鴬谷一族には。
奥様4:名前も良くないんじゃない?ひよりにかすみ
奥様1:幸あるんだかないんだかわかんない名前よねぇ。
母:あらどうもおばんですー。
奥様たち:どーもー♪
母:なんですの?また誰かのうわさばなし?
奥様たち:いえいえいえいえいえ
母:それじゃどーもー。
奥様1:あ、鴬谷の奥様
奥様2:下のお名前なんていうんですの?
母:ヨドミと申しますー
奥様たち:あああ♪どおおもおおーー♪
女:父は産婦人科医だった。
母:あなたああ!!!あなたああ!!捨てないで!捨てないでぇ!!
奥様1→父
父:ご近所にまる聞こえだろ!みっともない!
母:二人の娘とあたし、どうすればいいのあなたあ!!
父:昨日散々話し合ったじゃないか!
母:新しい女の名前聞かせて!イニシャルだけでも教えて!
父:えいはなせばけもの!!!
女:パパママ喧嘩?おばーちゃん!
奥様2→ばば
ばば:かすみ!よくごらん!これがほつれ!家族のほつれ!
このほつれが一家離散への魔法のスイッチ!
このあとは雪だるま式、不幸のオンパレード!
女:おばーちゃんが一気にボケた!
奥様3→看護婦
看護婦:センセ-お注射の時間だぞ?
父:分娩台で待っててネっていったろお!
母:やっぱり相手はセクシー看護婦だったのな!?
ばば:産婦人科医師、家族を尻目に夜な夜なナースの桃尻検診!?
女:だれかーーー!だれかたすけてー!
奥様4→姉
姉、さっそうと登場。ジャージをはおる。
姉:はいカットォオッォオ!
全員:!!
皆、ピタリと止まる。
女:、、、、おねーちゃん?
姉:パパよく聞いて!私はまだ中1の妹は小4!
女:おねえちゃん!
姉:ばーちゃんの名前はニゴリ。数えで80歳、今日急激にボケた。
ばば:あーい
姉:確かにママは女として失格、これはもう男。
母:あーい
姉:落としたナースは見るからにアホ。だけどむしゃぶりつきたい首筋。
看護婦:ていもうゾーリンラブ
姉:妹をいじめる奴ぁ、あたしゃ許さないよ!
女:おねえちゃん!ああお姉ちゃんお姉ちゃん!
父:だまれ!ひより!パパは、パパが間違っていたよひより!
姉:パパ!ドラマチックだ!
父:そうともひより!え?!
姉:ナイスだパパ!お似合いのアベック!このままランデブーキメこんじゃって!
父:え?
姉:劇的だ!人生はドラマティック!「その尻がーいいねとパパが言ったから-、今日はバイビーサラダ記念日」
女:サラダ関係ないじゃない!!
家族、もやもやとうごめき出す。
姉:パパママかすみ!ねーちゃん今日から!演劇部入るね!
ばば:かすみ!演劇部は大富豪の3!
女:一番弱いの?!
姉:ドラマティックに生きるね!革命起きるの待つね!
女:ど貧民大逆転のはなし?!
姉:パパトレンディ!
父と看護婦:だっちゅーの!
女:お父さん!桃尻ナース!
母:教えてよ!!
女:母さん!
母:イニシャル教えてよ!
女:どうして母さん!!お父さん!おばあーちゃん!お姉ちゃん!
あたし以外、みんなおかしくなっちゃったよお!!
女、家族につかまる。
女:わたしは、とにかく逃げ出したかったんだと思う!
姉:どこから?
女:この世界から!
姉:どこに?
女:お姉ちゃん
姉:どこに
幻聴全員:どこにだよう!
女:助けて、助けてお姉ちゃん!!!
■一日目の混乱
非常口の明り。再び、拘束具となる男4人。
心音:ピっ、、、ピっ、、、ピっ、、、、
女:、、、、、、、、、、、、、、、、
しばらく、放心している女
女:、、、、、、、、、、、、、、
心音:ピっ、、、ピっ、、、ピっ、、、、
リーダー:大丈夫ですか-?
姉→リーダー。メガネ。カルテでもつけようか。
女:、、おねえちゃん?
リーダー:え?
女:、、なわけないか。
リーダー:目さめました?
女:、、、、はい。
リーダー:脈拍も正常、血圧もちょっと低いけど、たぶん麻酔のせいですね。
心音:ピっ、、、ピっ、、、ピっ、、、、
リーダー:もう大丈夫かな?、、、止めます。
心音:ピーー
拘束具たち、舞台の隅へ
女:、、あの、、ここは?
リーダー:東京と埼玉の県境、荒川岩渕緑地の中州。
女:あの、、荒川って、、
リーダー:東京を南北に分断するあのでかくて太い川です。
女:、、中州って、あの
リーダー:中州とは、川の中において上流から供給された土砂などが堆積し、陸地となっている地形のことである。
(メガネあげ)(メガネさげ)
女:、、結局、ここは、、、どこなんでしょう
リーダー:第13番発作自殺患者特別収容所です。
女:、、発作自殺?
リーダー:そうです。
女:、、ってなんですか?
リーダー:ご存知ありません?おととしからじわじわ増えはじめて今や飛ぶ鳥を落とす勢いで日本中に蔓延している病気です。
(メガネあげ)(メガネさげ)
女:病気?
リーダー:ニュースとか新聞とか、ごらんにならないんですか?
女:、、はい。テレビ、見ないんです。新聞、とらないんです。
リーダー:じゃ、何がなんだかもうさっぱりって感じでしょうねぇ。
女:これ、外してください。
リーダー:また、発作が起こると死んじゃうかもしれませんから駄目なんです。
女:あの、、、つまり、、私は、
リーダー:発作自殺患者という事になります。
女:、、、、すみません、全然ピンとこないんですけど。
リーダー:、、ですよねぇ、、(メガネあげ)(メガネさげ)(メガネあげ)
女:、、、、。
リーダー:(メガネさげ)、、、それじゃ(礼)
女:え
リーダー、退場する。
女:、、、ちゃんと!ちゃんとして!それじゃって!ちょっとお!!
女、一人である。拘束隊はいるが、一人である。
女:えーとえーと。落ち着こう落ち着こうあたし。そーだ、精神科の先生に言われてるように、
まず、目をとじ、口をすぼめ、深く息を吸い、すーーー、ふーーー、はき
「ああ、落ち着いてきたなぁ」と、心臓が、ゆっくりになるのを、
実際に胸に手を置き、確かめ、ゆったりと座り、手足を脱力して、こう、ぶんぶん、ふる。
身体の緊張が、ほぐれるのを、感じながら、少し声を出してみましょう。
だめだああ落ち着けない!!なぜなら私は拘束されているふ!!手足ぶんぶん無理!
あーーー、だみだー!だみだーー!だみだみだああ!、
女、多少、あばれる。拘束隊、多少、つらい。無機物だから。
女:はーはー、、なんでこんなことになってんだ、、。
変人1が拘束具から離れ、覗き込む
女:わああ!
変人1:静かにしろよ何時だと思ってんだ。
女:近い!近い!
変人1:拘束具の気持ちとか考えた方いいよ。
女:すいません。
変人1:これ以上騒ぐと俺のマグナム44テスタロッサ改伸縮自在が黙ってないぜ。
女:す、すいません
変人2:ほらウィリアム行くよ。
変人1:だってこのマメみてえな女がさ。
女:マメ?!
変人2:うるさいね40秒でしたくしな
変人1:********(有名なせりふ)
変人2:********(有名なせりふ)
変人3:おいエヴァ始まってんぜ
変人12:ひょお!(拘束具へ)
変人3:だいじょうぶかい
女:だから近いです。
変人3:ここの連中はキチがいばかりだ気をつけな
女:わかりました
変人3:わかったらとっとと胸をもませな!!
女:え?
変人3:えーびーしーでぃー、Eカップー♪
女:不利!不利!不利!
変人4:おおっと、そうは問屋がおろさへんで!
変人3:てめえ生きてやがったか
変人4:当たり前田のクラッカー!
女:この人変態なんです助けてください!
変人4:じゃーんけーん
変人34:ぽーん!ミートボールぽーんん!
女:え
変人4:おーけーレフトパーい♪
変人3:おーらいライトぱーい♪
変人34:えーびーしーでぃー、Eカップー♪
女:おわああああああ
医者:こらあ!
変人34:くそっ邪魔が入った!(拘束具へ)
■わたしの病名
医者、登場。近くない。
医者:、、大丈夫ですか?
女:あ、あ、はい。なんとか、、セーフです。ありがとうございます。
医者:ま、大目に見てやってください。
ここに入れられた連中のほとんどが、心の問題を抱えています。
女:嫌です。なぜチチをもまれて大目に見るか。
医者:ですよね。
間
女:あの、心の問題って、その、、発作自殺ですか。
医者:いえ、発作自殺自体は、結果です。
それに起因する、精神的な問題を抱えているという意味です。
女:、、なるほど。
医者:、、あなたもですね?
女:、、、、、、、
医者:安心してください。私は精神科医です。
女:、、最初、軽度のうつだったんですが、、最近パーソナリティ障害じゃないかって。
医者:なるほど、最近、増えてますね。ちなみに、どのタイプですか?境界性?依存性?失調性?演技性?妄想性?
女:それです。かかりつけの先生が言うには。
医者:妄想性パーソナリティ障害。人を心から信用出来ない。
女:、、、
医者:過去になにか引き金になる事があったんでしょうね。
女:去年の冬、婚約者が実の姉と逃げまして。
医者:、、、
女:私は自分の事を理解しています。
婚約者に逃げられ、精神を病み、今は心の拠り所に新興宗教にのめり込んでいます。自分でわかっています。
だけど、図書館司書として自分で働いたお金で誰に迷惑をかけてるわけでもありません。
たしかに、リストカットを繰り返していた時期はあります。でも今はもうしていません。
拘束されているというこの状態自体が私にとってはストレスです。先生、これ外していただけませんか?
医者:本当にあなたはご自分をよく理解していらっしゃる。しかし、駄目です。
女:、、どうしてですか!
医者:あなたは発作自殺でここに入れられています。わかってますか?
女:わかりません!テレビ見ないんです!なんなんですかそれ!
医者:無意識に自分を殺してしまうんです。はたから見ると、まるで発作的に自殺するように見えます。
女:、、なんですかそれ。
医者:覚えてますか?あなたは自殺なさったんです。
女:覚えてません!
医者:ですから、それが症状なんです。
女:、、、
医者;救急車で運び込まれた時、あなたは首の動脈をカッターで切り裂いていました。あたりは血の海でした。
雨が降っていました。
ザアアアアアアアアアアアアアアアアア。雨の音。
■発作自殺者確保
拘束具→救急隊員になる。
救急隊員たち:せーっのっ!
女をタンカにのせて運んでいる形になる。
舞台中心に周りながら
隊員1:はい道あけて!!着くよー!
女:ゲホォオ!
隊員2:よし吐いた!気道確保!酸素もっと!
隊員3:静脈より失血!輸血準備!血液型まだ?!
隊員4:今出ます!RH+A型!
隊員1:A型よろしく!
隊員2:はい到着!あげます!
救急隊員たち:せーっのっ
救急隊員→ERになる。
立たされる女。4方向にER。処置のたびに、女の身体を自分の方に向ける。
結果、ぞんざいに扱われる患者、のイメージ
ER3:はい麻酔準備っ
ER4:心電図はいったっ
ER1:輸血開始っ
ER2:酸素おっけー麻酔行くよーっ
ER3:消毒どうぞっ
ER4:おい血吸ってー
ER1:ドレーンっパオーン
ER2:またですかこれ、例の発作自殺?
ER3:まちがいないねぇこれは
ER4:うわー深いわこれはー。
ER1:なんたって身体が勝手に自殺すんでしょ?
ER2:うわ、おっかな!
ER3:意識と関係なく、身体が自殺すんだってな。
ER4:当の本人「アレ?」って感じらしーよ実際。
ER3:なんかさぁ、もはや自殺とはいわんなこれは。
ER4:なんでよ?
ER3:だって、本人死ぬ気で死ぬから自殺なんじゃないの?
ER4:いやいや、こころのどっかで、死のうとしてんじゃないの?
ER1:この患者、処置すんだら特別収容所行きな。
3人:うぃーっす
ER2:この前見ました?
ER1:何?
ER2:テレビの特集。
ER1:発作自殺?
■つくしくんモナちゃん登場
雨消える。
ジングル:***♪ニュ-ス23♪***
アナ:発作自殺関連のニュースです。
キャスタ:発作自殺の瞬間を捉えた、貴重なVTRです。
アナ:*****
■発作自殺事例1
不穏な音楽やジングル
*再現VTRとかで流れるような、あ、やなこと起きるよ、っていう音楽。
例えばほら、黒バックに「わたしがわからない」のようなテロップとともに流れるような。
あいかわらず、雨の音がする。サアアアアアアアアアアア
男、くだものナイフで、りんごを向いている。(本物の方が恐いかな)
男:あ、いや全然覚えてないんだってさ。同僚の彼女。うん。
だから警察の人に何聞かれても「さあ知りません。かもしれません。わかりません」のくり返し。
でも同僚は見てるんだって車道に飛び出すとこ。
居酒屋どこにするーみたいな会話の途中で突然、自然にふらっと。こわいべ?会話とか全然続いてんの。
くだものナイフ、勝手に首筋に上がっていく。ヒタと刃が首についた
彼女が聞く「なにしてんの?」
男:え?なにしてんのって?(その手に気付く)!?
ザアアアアアアアアアアアアアアアアア。雨の音。
■発作自殺事例2
カップラーメンを食いながら、となりの同僚と話してる。
刑事:参るよなぁこう雨ばっか降られちゃ。俺嫌いなんだ、生乾き。好き?いや負けねぇよ。
ぜったい俺のほうが嫌い。ここ最近、ほぼ毎日だもんなー?え?発作自殺?ああ。
いや、わかんねぇんだってよ本人。覚えてねーの。
いやらちあかねぇよ?突然車道飛び出してきてよ、車が電柱ぶっかったっつーから現場行ったっけ。
飛び出した女、まったく覚えてねーって。しりませーん。かもしれませーん、わかりませーん。
話してるうちに割り箸を歯で割き尖らせる。その尖った割り箸が。
同僚が聞く「なにしてんのおまえ」
刑事:え?なにしてんのって?(その手に気付く)!?
ザアアアアアアアアアアアアアアアアア。雨の音
懐中電灯の明り。ドンドンドンドン!ドンドンドンドン!
雨の中ザアアアアアアアアアアアアアアアアア。
追っ手4:あけますよお!?大家さんお願いします。
どたどたと追っ手たちが部屋に上がり込む。
追っ手1:いません!
追っ手2:窓が開いてます!
追っ手3:飛び降りたか?!よく探せ!
周りをさがしまわる追っ手たち
部屋のすみっこに女。カッターを首に当て、構えている。
小脇に抱えている、『しゃれこうべ』
ザアアアアアアアアアアアアアアアアア。
女:、、はー、はー、はー、
懐中電灯の明り、じょじょに女に集まる。
ザアアアアアアアアアアアアアアアアア。
追っ手1:いました!カッター所持!
追っ手2:おさえますか?
追っ手3:おさえろ!!!
追っ手1:あ、やった!!
追っ手2:ER手配しといて!
女、押さえつけられる。保護。
雨の音が上がっていく。
ザアアアアアアアアアアアアアアアアア。
■お箱さまとしゃれこうべの夢
暗の中、雨音が美しい音楽に変わる。
優しい音楽(グレゴリアン・チャント~アニュス・デイなど)
お箱さま、頭を光らせながら、あるいてこらっしゃる
手に、しゃれこうべの作り物を持ってらっしゃる
お箱さまの頭は正方形で出来てらっしゃる。
ゆっくりと進んでこらっしゃられるつかまつる
追っ手たち、光に圧倒され、女の影に隠れていく。おどおど。
あたりは、幻想的な明りになる。
女:、、、、(あああ、ああああ、ああああ)
女、まるで泣きださんがばかりにおハコさまに感激している。
信者たち:おそれることはありません。
来世と魂の不死を信じたとき死は単なる終わりではありません。
しかし、死んではいけません。われわれはこの命をまっとうせねばなりません。
女:わたし、確かに最初、不真面目でした。おハコさまの教えを馬鹿にしてました。
理解できてなかったんです、最近やっと、完璧に理解出来るようになりました。
女:(あの、しゃれこうべありがとうございました)
おハコ:(いやいいのだよ、もっていたまえよ)
女:(よいのですかわたしのようなものが)
おハコ:(よいのだよ、よいのだよ。さあ、いきたまえ)
女:(ありがとうございます)
おハコ:(ではね)
女:(あのう)
おハコ:(なにかな?)
女:(お顔をお見せいただけませんか?)
おハコ:(よかろう)
追っ手たち、おハコ様のまわりへ行き、
ゆっくりとその衣服とおハコを取る。
すると、姉。曲切れ、
姉:花キンでイケイケでマリファナキメて酒のんだっけば、
ねーちゃんグロッキーの挙げ句ぷっつんしたらしく。となりに見知った男、かっこカスミの彼が寝ており、
そんなバナナと二度見しました。さすがに、えんがちょだと思い、書き置きにてドロン。メンゴかすみ。
バイザウェイ、ねーちゃん記憶にございませんのだけど。
追っ手たち:手紙はー、シャツの形におられとったそーなぁ。
姉:そこんとこ4649(舌ったらず)
女:ええいやあああああああああああああ
声にのけぞる追っ手たち。
再び雨、ザアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア
雨の中、暗い明り。追っ手たち拘束具となり、女、拘束され。
ふたたび俯瞰で拘束されているイメージ。
■医者とリーダーがニセモノ
雨が止む。さっきの状態に戻る。
医者:大丈夫ですか?
女:あ、え?はい?あ、夢か。あれ?お話してませんでした?
医者:途中ですやすやと。
女:すみません。
医者:麻酔が残ってるんでしょう。
女:なんか、あたまが混乱して。
医者:最初はみんなそうです。私もそうでした。
女:そうですか。
医者:はい。
女:、、、、はい?
医者:はい?
女:今、なんと?
医者:最初はみんなそうです。
女:その次っ
医者:私もそうでした。
女:え?
医者:私も。混乱しました。最初、ここに入れられた時。
女:お医者さん、なのに?
リーダー
リーダー:あ、いたいたー。Bの655さん。
医者:あれ?探されてました?
リーダー:病室を離れる時は行き先を部屋のドアのボードに書いてくださいね?
医者:いや、すみません。慣れてなくて。
女:、、、、
医者、退場。
リーダー:あ、お腹すきません?
女:あのー。Bの655というのはー。
リーダー:はい?
女:あの人は、患者さん、ですか?
リーダー:あ、はい。
女:あー
リーダー:あ、もしかして、ベタなことになりました?
女:、、ええ。精神病院閉鎖病棟と言えばもう、ええ。
医者だと思いこんでる患者がいたって不思議じゃないですもん、むしろ、居てくれないと。ええ。
リーダー:でもあの人、ほんとにお医者さんですよたぶん。
女:え?
リーダー:外では。
女:、、は?
リーダー:テレビでみたことありません?
女:、、、え?
リーダー:(メガネあげ)(メガネさげ)(メガネあげ、さげ)
女:ごめんなさい、どんどん混乱してきました。
リーダー:最初はみんなそうです。私もそうでした。
女:そうですか。
リーダー:はい。
女:、、、、はい?
リーダー:はい?
女:今、なんと?
リーダー:最初はみんなそうです。
女:その次っ
リーダー:私もそうでした。
女:、、、、、、デジャブ。
リーダー退場。
女:やばい。パニクってきた。落ち着こう。落ち着こう。
いかん。考え過ぎだ。考え過ぎたらだめだ。考え過ぎたらだめだって考えすぎるのはもっとだめだ。
なんとかスパイラル。なんとかスパイラルにおちいる。なに、スパイラルだ。気になる。なに、スパイラルだ。
いかんいかん。なにスパイラルかについて考えすぎだ。やばい、なにスパイラルかについて考え過ぎたらだめだ。
まずい、なにスパイラルかについて考え過ぎたらだめだって考えすぎるのはもっとだめだ。
なんとかスパイラル。なんとかスパイラルにおちいる。やばい、デジャブ!ふふふ!!!(プツン)
あー、考えんのやーーんぴ。うーたお。うたうーたお。さんにいさんっふぁい
♪だーせ!!だーせ!!こっこからだーせ!♪わったしーはわったしーはかっすみちゃんー!!
女、あばれまくる。拘束隊、もう、押え切れない。
女;わったしはおっとこにすってらっれてー!わったしはあったまっがおっかしくなってー!!
ぼんきゅっぼーん!ばるさみこすっと、みっねすとろーふを、あったまにのっせたらぷりんぷりんでぼーん!
所内にゆったりとした音楽(J・シュトラウス美しく青きドナウ)がかかる。
リーダー、マニュアルを読みながら、登場。
リーダー:トラブルトラブル、エートエート「愉快な歌をうたいはじめたら」29ページ。
医者:ああ、君、おちつきたまえ!
女:落ち着けるかばかやろう!なにがどーなってこーなってどーなったんだか説明しろこの野郎!
医者:ああ、もはや拘束具ごと動いてる。
女:♪だーせ!!だーせ!!こっこからだーせ!♪
刑事:拘束具!そろそろ持ちません!
女:おらが本気出せばこんなのわけねーだじっちゃんの名にかけてすべてまるっと全部お見通しだスカウターが壊れてるんだろう
教祖:大丈夫ですか!マッサージをしましょうか?!
女:ぼかーん!(なぐる)
教祖:(ぶっとぶ)ああ!
刑事:拘束具がこわれるとは!
リーダー:あああ(メガネあげ)あああ(メガネさげ)
女:ゴムゴムのーーーーーガトリング!上等じゃネェか、やってやるってばよぉ!
リーダー:あああ(メガネあげ)あああ(メガネさげ)
男:俺はみとめねぇ!あれじゃ綾波がうかばれねぇ!(ブラックニッカを飲んでいる)
医者:せっかくですからお医者さんごっこしますか。
女:だーせ!だーせ!
教祖:えーびーしーでぃー、Eカップー♪
リーダー:あああ(メガネあげ)あああ(メガネさげ)
女:だーせ!!だーせ!!こっこからだーせ!♪
全員:ばるさみこすっと、みっねすとろーふを、あったまにのっせたらぷりんぷりんでぼーん!
女:わたしは。
みな、とつぜんスローモンーションになり子供盆踊りを踊っている。00'41''
ちゃんこ隊:♪(盆踊りの音楽)
女:わたしは、、、この世界から、とにかく逃げ出したかったんだと思う。
姉:どこから?
女:、、、え?
姉:どこに?
女:、、お姉ちゃん
男:どこに?
女:、、正一。
男と姉:どこに?
女:お姉ちゃん、正一。
男と姉:なあに?
女:二人に、聞きたいことがあるよ。
男と姉:なあに?
女;どうして、裏切ったの。
男と姉:なあに?
女:、わたし、、、大好きだったのに。
男と姉:ソレハオマエノカッテヤローーー
女:、、どこにいる!出てこい!殺してやる!どこにいる!
音楽、上がっていき、終る。暗カットイン。
■CM(ずっと暗)
暗の中、キャスターの台詞
キャスタ:それでは一旦CMです。
音楽(グレゴリアン・チャント~アニュス・デイなど)
役者:私は。発作自殺患者かもしれない。
芸能人:家族、恋愛、学校、職場の悩み、
役者:逃げ出したい。
芸能人:現代社会はストレスでいっぱい。
役者:でも、一体どこに
芸能人:一人で悩まないで。
役者:どこに逃げればいいんだ。
芸能人:いつもあなたのすぐそばに。
日本広告機構:逃げ込む場所が、そこにあります。
役者:、、発作自殺患者特別収容所、、か。
芸能人:電話してね?
音楽消え
えーしー:えーしー
日本広告機構:日本広告機構です。
■ニュース2332
明、テレビ局のスタジオ、歌の人、キャスタ、アナ、ディレクタ、AD、医者
AD:はい、5秒前、6、7、8
ディレクター:増えてるぞ!気をつけろ!
AD:はい歌!
歌の人:****ニュース23の歌~~***♪
キャスタ:こんばんばん
アナ:ニュース2332のお時間だす。
キャスタ:32分遅らせてみました。つくし哲也です。(にょきにょき)
デイレクター:はい笑い声!
歌の人、AD:どぉっ!
アナ:名字変えました、五反田モナです。
キャスタ:宇宙人と交信しました。つくし哲也です。(にょきにょき)
デイレクター:はい笑い声!
歌の人、AD:どぉっ!
アナ:精神科医の日吉たかし先生です。
キャスタ:よろしくお願いします。
医者:こんにちわ。
アナ:おととしの暮れごろから目立ち始めた発作自殺ですが、
今年春の調査では国民の10人に一人は発症の可能性をはらんでいるといわれています。
医者:要因についても社会要因、宗教要因、生物学要因などなど、
さまざまな説が検討されましたが、ここまで広がるとなんとも。
アナ:自殺の方法も飛び込み、飛び降り、焼身、入水、首つり、硫化水素など
オーソドックスなものから、割り箸、えんぴつ、など先の尖ったものを首の付け根に刺すなど。
キャスタ:身の周りにはこんなに自殺に使用出来るものがあるんですね。
医者:よく見りゃそういうことになりますね。
キャスタ:先生はウィルス説を肯定しますか?
医者:まさか。そんなこと言い出したら、日本中発作自殺患者であふれかえりますよ。
アナ:政府としては、感染経路の特定を急ぐためにも発作自殺患者の収容を進めていく方針です。
キャスタ:これは強制ですか?
医者:そうですね。
アナ:拒否すると?
医者:処罰されます。
歌の人:****ニュース23の歌~~***♪
ディレクター:はいCM入りましたー
AD:たい!おつかめさられしらー!おつかめ!
ディレクター:ちゃんとしゃべれ!!死ね!
アナ:先生おつかれさまでした!
医者:モナちゃん。今度不倫っね、不倫。ねっ、不倫。ね。
AD:先生今日4月1日じゃないにょ。
キャスタ:やべ!うそついちゃった!久米にたたかれんぞー。
ディレクター:くーめひろしーはあきらのむっすこ♪
医者:不倫。ね。不倫。
アナ:死んでー。
医者以外退場。
■事例3
医者:、、、、、、、。
一瞬ぼおーっとする。医者。はっとして、
医者:あーさみしー。いい匂いのする嫁が欲しい。その前にマネージャーが欲しい。えーと。
手帳になにか書きこんでいると。携帯が鳴る。
携帯:***微妙な若めの、わかりにくい物まねの歌****
医者:、、、、、あ、携帯か。
携帯:ピ。
医者:着信変えよう。(別れた女房は精神病)
もしもし。うん。、、あのさぁ。正式に、離婚したわけだからさぁ。困るよ。そうちょくちょく電話かけられても。
慰謝料だったら振り込まれているだろ?だからさ、その金で別の医者のとこ行きなよ。だから、困るって。
なんでそうやってすぐ、そういうことを言うんだよ。だから、簡単にねぇ、死ぬとか、、、。
お互い合意の上で離婚することにしたんだろ?え?、、ちがうって。思ってないよそんなこと。
だったらいいよ。そう思ってるってことで。思ってるとすればね、日本人なんてね。どいつもこいつ頭狂ってるよ。
、、孝喜は?元気?そうか。へえ、学級委員?大丈夫かなぁあいつ。へぇ。あ、書記か。ま、なら大丈夫か。
え?いやいや。責任能力に欠けてるからさ、ぼくに似て。え?犬?飼うの?大丈夫かなぁ。
雨の音が聞こえてくる。ザアアアアアアアアアアアアアアアアア。
ボールペンが自分ののど元に下から刺さろうとする。医者、気付かない。
刺さる瞬間雨の音が一気に上がり、暗。
■2日目の朝
朝:ちゅんちゅんちゅんちゅん。
全明。リーダー、部屋のチェックをしている様子。女。それを見てる。
女:、、、、、
リーダー:ゆうべは、よく眠れました?
女:はぁ。拘束もやっと解かれたので少しは。
リーダー:それは良かったです。
女:あの、、看護婦さん。では、ないんですね?
リーダー:、、、、、(メガネあげ)(メガネさげ)(メガネあげ)(メガネさげ)
(メガネあげ)(メガネさげ)(メガネあげ)(メガネさげ)
リーダー:あの、あたし、チームリーダーです。チームリーダー。
女:え?
リーダー:たまたま。看護士の免許あったもんで、ええちょっと、まー。まそのーお手伝いしているというか、なんというか
女:はー
リーダー:あ!お水のみますかああ!?(手ぶるぶるぶるぶるぶるぶる)
女:ああほとんどこぼれてる!ほとんどこぼれてる!
リーダー:どうぞ。
女:頂きます(完飲)ごちそうさま。
リーダー:すみません。あ、(メガネあげさげ!)わたし赤面症であの、超人みしりというか(メガネあげさげ!)
なのにリーダーとか!(メガネあげさげ!)(メガネあげさげ!)
女:ああ、めちゃくちゃな人だ。
リーダー:これ、施設の説明とカリキュラムです。
女:カリキュラム?
リーダー:班の皆さんもあなたに会える事を心から楽しみにしています。
女:班のみなさん?
リーダー:ええ。我々はみな、発作自殺患者です。
リーダー首筋をみせる。
リーダー:私。くだものナイフで切ったので目立ったキズは残りませんでしたけど、発症当時はあたり一面血の海でした。
女:、、、、、
リーダー:えーと、読みます。
女:?
リーダーマニュアルのようなものを読む。
リーダー:私たちは、幸い一命を取り留めました。しかし、本当の戦いはここからです。再び、この病に冒されることのない、
強くて美しく、やすらぎに満ちた心を取り戻しましょう。ようこそ、第13番発作自殺患者特別収容所Bブロックへ。
リーダ-礼をして退場。
おだやかなクラシック音楽<グリーグ:ペール・ギュント~朝>が聞こえてくる。
■第13番発作自殺患者特別収容所
女、マニュアルを読む。
周りに、マニュアルを読んでいる人々歩き出す、交差する。
女:ここにはたくさんの患者がいる。初日に廊下ですれ違っただけでも100人はゆうにいた。
社会に戻った時のために本名はお互いに明かさないルールだ。
確かに、あいつはいつ自殺しだすかわからないなんて噂を立てられて、まともに仕事にありつけるわけがない。
刑事:個室にはシャワートイレ完備。大浴場にはサウナまでついている。
食堂の料理もなかなかうまい。大小さまざまのリクリエーションルームや教室。
第13というくらいだから、各地に作られている施設なんだろう。
男:気にかかるのは、会社のことだが施設にいる間も給料が出る。しかも、有給を消化したことにもならない。
職場に戻ったときになんらかの差別を受けた場合は、発作自殺関係を専門にあつかう弁護士が無料でついてくれる。
教祖:この施設内では金を必要としない。このIDで光熱費の使用量や食べ物の消費量を
データとして残すだけなので、あくまでも形式上である。まるで健康ランドやスーパー銭湯だ。
医者:経済的にも精神的にも普段の生活よりゆとりがある。
あくまでも治療のための入院であり、携帯電話は禁止。外との連絡はこちらから取れない。
リーダー:義務として参加しなくてはいけないカリキュラムがあらかじめ組まれている。
人に寄って受けなくてはならないセラピーやリクリエーションが決まっている。
女のみ、センターでたちどまる。女のまわりをマニュアルをながめながら交差する人々
女:たくさんの傷ついた人がいる。
私たちはこの場所で、世間のストレスから完全に解放され、
再び社会で戦うために必要な、なにかを探す、、、、。
まるで、新しく、生まれ直しているかのようだ。
*女の周りを交差する人々。雑踏の中、まわりを無表情にながめる女。
この場所は、本当に、健全な場所でありうるのか。音楽は続く。
女、群衆に混じる。
■姉と仲良しだった頃
群衆の一人が、女に真っ白で正方形の箱を渡す。
女:1年前、私はまだ、新興宗教を楽しんでいた。
女、箱を持って立ち、期待に小刻みに震えている。意を決し、箱のふたを開ける。
女: !!!
『しゃれこうべ』が出てきた。
女:、、、やったぁ、、、いやった~~~!!
かぼそくもテンションの上がる女、怪しくキュートに一人踊り出す。
女:音楽かけちゃうぇ!
歴代教祖らしき奴のラップ
ラップの人たちの歌声:手をのばせ腰のばせ体のHUSHIBUSHI全のばし♪はこはこBOXはこBOX
女: ひょぉ!
姉、その音楽を止める。
姉:新興宗教のよくわからない音楽鳴り響くのやめて。
女:なんでさ。
姉:世間体ってもんがありますでしょうよ。
女:おねえちゃん、ブログが気持悪い。
姉:演劇をやってるとみんなそうなるの!
女:お、言い切った。
姉:あんたのミクシィは毎日毎日自信喪失しすぎ。
女:清楚可憐でひかえめなの。
姉:新興宗教オタク(しゃれこうべ叩く、コン!)
女:ああ!
姉:(コン!)
女:ああ!
姉:(、、、ココン!)
女:ああ!ばちが当たるよ?
姉:当たってたまるか。なんじゃこりゃ。
女:なんだろう、ねぇ。みてここ、金歯。(にやにやにや)ねー、困るねぇこれは。
姉:おみやげにペナントもらうより困るよ。ほら、三角の旗。壁にかける。いや、かけないんだけど。
女:壷や、熊の置物の方がまだましだね。ほら、しゃけくわえた。かわいくねーの。
姉:いくらよこれー。
女:驚くよ。30000円だって。
姉:たけえよ!!あたし2ヶ月食えるじゃん
女:金出したの、ばーちゃんだもん。
姉:なにババマゴではまってんのー。
女:ハマってないって~。でも、このガッカリ感がたまんねーんだよ。
なんでこれに騙されるかなぁ、人ってやつぁ。ね?
姉:****(お菓子名)食べる?
女:****(お菓子名)食べる。
二人、同時にどかっと座り。なんかもしゃもしゃ食う。
女:ねぇ、拒食で過食、治った?
姉:拒食と過食のバランスがすこぶる良いってことで、治すのやめた。
女:ふーん
姉:あんたはいつまで新興宗教であそぶの
女;ばーちゃんが飽きるまで。
姉:最初はばーちゃんがハマりそうになったから引き止めに行ったんでしょ?
女:まーね、でもさぁ、ばーちゃんボケてるなりに、なんか幸せそうでさぁ。
姉:ミイラとりがミイラになるたあこのこったよ?ねーちゃん情けなくて涙出てくらあ。
女:おねーちゃんも一回行ってみよーよ。新興宗教。
姉:えんがちょ!うつる!信者!
女:違うよ!レッキとした趣味だから。
姉:もーちょっとキャピキャピした趣味にしろっちゅーの。インド人もびっくりだよ。
女:お姉ちゃんもその死語あそびハマってんじゃん
姉:一緒にしないでよそれと。
女:頭悪そうだよ?
姉:ナウなヤングにバカウケ、ハウスマヌカンって何か知ってる?
女:知らない。
姉:ヒント、マネキンガール。
女:わあ。ヒントも死語だ。
姉:正解は、ブティックの店員(ニタニタ)
女:、、、
姉:正解は、ブティックの店員(ニタニタ)
女:こっちはなんの達成感もないよ。
姉:もーあんたにはえもんかけとハンガーの違いは教えない。
女:いらないよ。
姉:日本語に興味もてよ。文学部
女:もー内定決まったし。図書館司書。
姉:ああ、あたしもバイトせねば。
女:いつまでやんの演劇
姉:いつまでもやるよ
お菓子をくいきり
姉:かすみ、間違っても本気にならんでよ?あたしゃ嫌だよ?いもうとと、ばばあを返せと、デモ行進。お五七五。
女:あたしは、宗教にハマるような弱っちい人間じゃないから。
姉:そう?ならまぁいいけど。
女:春にはやめる。春には卒業と就職。完璧な人生プラン。あとは正一のプロポーズをまつばかり。
姉:いいですねぇ揺るぎない愛。
女:おねーちゃん彼氏は?
姉:そんなもん一生作ってたまるか。あたしはね、男という生き物を全否定してんの。
女:出たよ。男否定。過去になにがあったのか?話してみそ。
姉:るせえ!態度L!おまえの性感帯をリアルに攻めるの巻!
女:がああああ!!!!
姉、結構、本気で攻める。
女:おう!ギブギブギブギブ!!おう!おう!のう!
■幼馴染みの正一
正一、ポケットにブラックニッカ。
男:ぴんぽーん。ぴんぽーん。
姉:お、うわさをすれば。
男:かすみーー。おるかー。盆踊りいかんかー。
姉:しょーちゃんごめん!今かすみもうちょっとで昇天
女:静かにしろお!!
もじゃづらの母、寝転んで登場。
母:あらしょーちゃーんごめんねこんな格好で。
男:相変わらず、燃え尽きてますね。おかーさん。
母:今、かすみ女の喜びを肌で感じて(蹴られる)
女:静かに!
母:かすみ、オルガスムスは?(蹴られる)
女:うるせえ!!
ばば:なに?かすみなに?(ばばづら、あればいいな。)
女:出てくんなばばあ!
ばば:カラっカラにぃ乾いたあたしのめしべに♪
姉と母とばば:あなたのおしるをくだしゃんせー♪
男:あっはっはっは(笑うしかねぇ)
女:行こう!正一!
ばば、母、姉、そのまま盆踊りの人々になる。
盆踊り:♪(盆踊りの音楽)
盆踊り隊くるくるまわる。
男:かすみぃ。
女:ん?
男、おもちゃの婚約指輪を渡す。
女:わ、かわいい。
男:ダイソ-のおもちゃだけど。
女:くれんの?
男:春には、俺たち、結婚する?
女:え?
男:プロポーズ。
女:え?
男:婚約指輪。それ。
女:うわ、びっくりした。
花火:ひゅううううううううん、
男:お。花火。
女:うん。
男:どうだ?
女:、、なんか、幸せすぎて、おっかねぇっす。
男、女のゆびに、おもちゃの指輪をはめてやる。
花火:どっっぱああああああああああああああん
女:わあ。
盆踊り:♪(盆踊りの音楽)
男:かすみ!おどろう!ぼん、おどろう!
女:あ、、、うん。
遠くで盆踊り。男、くわわる。
盆踊り:♪(盆踊りの音楽)
女:ずっと昔みたく感じるけど、あれは去年夏の終わりごろ、
あたしは世界で一番幸せだった。
その夜は、幸せすぎて、なかなか寝付けなかった。
■捨てなくちゃ
女、おもちゃの指輪に目を落とす。
と照明が変わり、現在。個室。
女:、、、、、、、、、
おもちゃの指輪を見ている。
女:、、、捨てようこれ。
はは。血、ついてら。
、、、
指輪を外す。
女:、、、ゴミ箱。、、、、、あった。
ゴミ箱のそばまで行くが。
女:、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、
捨てられない。
女;、、、、、。
結局、はめ直す
女:、、、、、わたしが、、、悪いんか。
てか、突然書き置きひとつで二人ともどろんて。
意味わからんし。
なんかしたか。
なんかしたかのか、、わたし。
ううん、やばいやばい。
だめだだめだ。
前向き。前向きに生きなくちゃ。
女、リストカットを覗く。
首のキズをさわる。
女:、、、、かなり、やばかったんだな。今回。覚えてないし。
かがみを見ている。観客に後ろすがた。
女:あたしは、、、死にたがってるって、ことか。
、、、
人間は、どれだけ苦しくても、生きなければならないのでしょうか。
そんなの苦しみでもなんでもないとまた、馬鹿にされるんでしょうか。
ノックの音がする。
教祖:コンコン
■あの時の自分は本当の自分じゃないっていう呑み込みは可能か。
教祖。
教祖:あの。
女:、、、はい?
教祖:前に、どこかでお会いしてませんか?
女:わたし?
教祖:ええ、あなた。
女:あなたと?
教祖:ええ、わたしと。
女:わたしと、あなたと?
教祖:ええ、あなたと、わたしと。
女:ううん、どうでしょう。
教祖:いやいやいいです、気のせいかも。
女:ううーん。すいません。
教祖:名前、知りたくなってきません?
女:たしかに。君とかあなたとかあの人とか、はなしづらいっていうか。
教祖:でしょう!
女:は?
教祖:で、ニックネームならいいだろうってことで、勝手につけてるんですけど、いいですか?
女:なるほど、いいですね。
教祖:あなた何にします?
女:そうだなぁ。突然つけろって言われても、難しいですね。
教祖:外人ネームとか、どうですか?マクゴナガル、ハーマイオニー、シガニーウィーバー。
女:あーー、無理ですねぇ。
教祖:あの、ぼくはちなみに箱男です。
女:ハコオトコ?
教祖:みんなショッカーの怪人みたいでよびにくいって、いつの間にかハコって事に。
女:ハコさん。
教祖:どうします?
女:わたしは、、ちょと考えさせてもらっていいですか?
教祖:もちろんもちろん
女:決まったらいいます。すぐに。
教祖:はいはい。
女:えーと、ハコさん。忘れないようにしなきゃ。
むかしから忘れっぽいんですけど、ここに来てからまたとんと忘れっぽくなって。
教祖:メモります?
女:あ、はい。え?
教祖:あるんですよ。ボールペン。
女:ペン類って個人で持ってていんでしたっけ?
教祖:だめですよ。自殺防止のために。
女:どーしたんですかこれ。
教祖:あるルートから、入手しまして。どうぞ。
女:あれ?何メモろうとしてました?
教祖:ニックネーム。
女:あ、そうだ。えっと、ハコさん。
マニュアルにメモる。
女:、、ハコ
教祖:やっぱりお会いしたことありますよね?
女:うーん。どうでしょう。記憶力、減ってきたんですよ。ほんとに。
教祖:ああ、わかります、それ。
女:なんでだろ。
教祖:でも、気持ちは楽になってません?まるで、生まれ直してるみたいな。
女:、、、、ああ、確かに。
教祖:愛情ってのが憎しみに変化する大きな要因って知ってます?
女:、、いえ
教祖:簡単に言えば「あんなに好きだったのに!」ってことです。
女:、、、
教祖:発作自殺患者は、過去に問題を抱えてます。
問題の発端には必ず自分以外の誰かとの関係があります。
しかも強ければ強いほど、つらい。
親との確執が精神病の原因になりやすい理由は、その結びつきが強いからです。
女:、、ええ
教祖:それが弱まれば、憎しみの量も軽減される。
特定の誰かへの思いが薄まることで、本当の自分に戻ることが出来るのかもしれませんよ。
女:本当の自分ですか。
教祖:ぼくはここに来て良かった。
ぼく、思うんですよ。外であくせくと、金や、金以外の何かのために働いてた自分は本当の自分じゃなかったなって。
たぶん、こうしてゆったり自分を見つめる時間があれば、ぼくは、、、病気になんてならなかったかもしれない。
女:そう素直に言えるのは、なんだかうらやましいです。
教祖:病気ですから。治りますから。信じましょうよ。それしか無いですって。
女:、、、そうですね。
教祖:治って、そんで。
女:そんで。
教祖;、、、、また、社会ってやつと、戦うんですかね。
女:そうですね。
教祖:明日の事を考えたら、つい気が重くなるってのは、なんとも。
まだ治っていない証拠ですね。
女:、、、、。
教祖:あーあ。なれるんですかねぇ。明日の事考えて、わくわくしてられるような、そんな人に。
女:、、、わたしも、まだ無理ぽいです。
教祖:ぼくね。あれです。ピーターパン症候群。知ってます?
大人になりたくないっていう。ネバーランドにずっといたい!っていう。
親がね、超金持ちだったんすよ。会社やってて。でも不景気で、なんだかあれよあれよと借金膨らんで。
母親出てって、父親過労で死んだんすよね。
女:、、、
教祖:で、大きな子供が残ったんですよ。
借金取りに追われて、でも困っちゃって。
内蔵売るぞーとか言われて、、つらいんですよー。金無いってのは、心底。自殺なんて毎日考えた。
女:、、、
教祖:あ!すんません!ひきました?ひきましたね!?
女:あ、いえ!
教祖:すいません!なにをこんなにべらべらと。忘れて!忘れてください!なんでもないっす!なんでも!
すみません。なんでこんなにべらべらと。
女:いえ、嬉しいです。なんか。
教祖:あ、そーすか?なんだろうこれ。話しやすいですね、あなたには。いや、君には。あんた。いや
なんか!あれですね!こういう時に、ニックネーム必要ですね!だめですねあなたとか!君とか!
女:(笑顔)
音楽が鳴る。曲はDown south in New Orleans/THE BAND、かなぁ。
■カリキュラム
刑事:お、ナンパ?
教祖:ちがいますよ
医者:なに?なんぱ?
男:ナンパ?恋の予感?
刑事:デキてんの?
医者:まじで?
女:ちがいます!
みな、あーだこーだ教祖を責める
リーダー:はいちゅーもーく
刑事:Bまでいった?
リーダー:(カルテらしきものでなぐる)
刑事:おっぱい。
リーダー:(カルテらしきものでなぐる)
刑事:(ちゃんとすわる)
リーダー:それでは、今日のカリキュラムです。
全員:はい
リーダー:エチュードです。
全員:はい!
リーダー:お題は、『幸せ家族』です。
全員:えーー文句文句文句文句文句
リーダー:(刑事をなぐる)
全員:(ちゃんとする)
リーダー:制限時間は3分!ぐだぐだになったら止めます。
全員:はい!
ばば、父、母、妹、婿、姉。『幸せ家族』というロールプレイング。
エチュード。しあわせそうであれば良いす。すげえふざけて良い。
■■■■■■■■■■■■■■■■■
■■ エチュード『幸せ家族』 ■■
■■■■■■■■■■■■■■■■■
リーダー:はい!皆さんえーと、そこそこ良かったです
教祖:そこそこって!
父:*****でした
母:*****でした
ば:*****でした
婿:*****でした
女:*****でした。
リーダー:ひさしぶりに笑いました?
女:そういえば、ええ、はい、なんか。楽しかったです。
教祖:良かった良かった!ねぇ!?
音楽上がり、時間がたつ。下がり、
リーダー:では子供の頃の夢を順番に言ってください。
刑事:夢は**でした!理由は**************************だから!
医者:夢は**でした!理由は**************************だから!
教祖:夢は**でした!理由は**************************だから!
女:夢は、、あの、、、、、すみません。なんだっけな。
リーダー:無理しなくてもいいんですよ。
男:夢は、幸せな家庭を作ることでした。
女:、、、それいー。
リーダー:いいですね。
教祖:ああ、いいいい!
刑事医者;いいよいいよ!いい!いい!
音楽上がり、時間がたつ。下がり、
リーダー:今日はヒーローごっこです。スタート!おのおのモラッた紙の指示に従ってください。
■■■■■■■■■■■■■■■■■
■■ 『ヒーローごっこ』 ■■
■■■■■■■■■■■■■■■■■
女、それを眺め、在る程度すると正面を向き直り再び、独白に入る。
女:ここに来て、どのくらいの時間が経ったんだろうか。
みんなどんどん元気になる。リーダーは、眼鏡をあげさげしなくなった。
みんな、発作自殺患者だなんてこと、忘れたみたいだ。きっと、私たちは治っているのかもしれない。
*女の独白の間静かなヒーローごっこになる。
リーダー:今日はチャンバラ!ルール無用!発言ののち、切ること!スタート!
■■■■■■■■■■■■■■■■■
■■ 『エアー・チャンバラ』 ■■
■■■■■■■■■■■■■■■■■
斬り合いながら、意見をいいあう。
医者:カシンカシーん!自殺する動物ってのは人間だけです。われわれは間違った進化をとげました!ずばあ!
刑事:カシンカシーん!ひとは生まれてからずっと。生きるべくして生きています。ずばあ!
男:カシンカシーん!社会自体を理解し、呑み込み、調和しましょう!ずばあ!
教祖:カシンカシーん!いままでの自分は本当の自分ではなかった!ずばあ!
今迄のすべてを忘れ!新しく生まれ変わることでずばあ!
男四人:我々は、
女:ちょっと待った!!
女、指輪をとり、
ゴミ箱まで走り、
ゴミ箱にすてる。
女:、、、、、よし。
そして、向き直る。
教祖:すべてを忘れ!新しく生まれ変わることで、
男四人:我々は正しい進化をとげるのかもしれません。
女:はい。
みな、拍手拍手拍手拍手
姉:カシィン!カシカシィン!カシィン!
女:?
男ども:ぐああ、ずばあ、うぎゃああ
女:、、、、
男4人、リーダー(姉)に切られる。音楽が消えていく。
姉:、、お姉ちゃん、、。
姉、一太刀。
男4人:ずばばあああああ!!!
音楽が消えると、雨がふっていた。
サアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア、
眼鏡を取り、
ジャージを羽織る。
リーダー→姉になる。
姉:、、、、
女:、、、おねーちゃん?
姉:どうすれば許してくれる?
暗。雷と雨の音、ザアアアアアアアアアアアアアアアアアアゴロゴロゴロゴロアアアアアアアアアア
■フラッシュバック。
ピカーーーーーーーーっ
雨の音で聞こえないのだが、女、しゃれこうべを持ち、見つめ、何かを呪文のように唱えている。
ザアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア
女:「めんごカスミねーちゃんカスミ's彼ピー横領花キンでイケイケでマリファナキメて酒のんだっけば、
ねーちゃんグロッキーの挙げ句ぷっつんしたらしく。となりに見知った男、かっこカスミの彼が寝ており、
そんなバナナと二度見しました。さすがに、えんがちょだと思い、書き置きにてドロン。メンゴかすみ。
バイザウェイ、ねーちゃん記憶にございませんのだけど。そこんとこ4649」
ザアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア
何か言っている。たぶん、姉の書き置きを暗記してしまったのだ。
ザアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア
デモ隊の声が聞こえてくる。
■雨の中のデモ隊
雨とデモ隊の声の中、アナウンサ-の台詞。
アナ:施設の運営に反対する家族が今日、国会議事堂前でデモ行進を行いました。
キャスタ:激しい雨の中、デモ隊はビニール傘を手に、およそ5時間にわたりシュプレヒコールを続けました。
薄暗い中、うごめく影、反射するビニール傘
アナ:参加した人の列はぐるりと国会議事堂をとりかこむほどになり、一時は、警官隊との衝突が危ぶまれました。
ホイッスルの音ピッピッピッ、ピッピッピッ、ピッピッピッ
姉:人間の死を規制するなー
デモ隊:デストルドー、タナトース
姉:死の欲動を否定するなー
デモ隊:アンチリビドー、アンチエロース
姉:人間の尊厳はーどこだー
デモ隊:人間の尊厳はーどこだー
アナ:沿道の警官隊はこのデモを監視するに留まりましたが、
火炎ビン、鉄棒、ツルハシ、角材など武器の携帯が確認されており
一触即発の様相をていしていました。
キャスタ:煽動していたのはジャージの女性だったという事ですが。詳しいことはまだわかっておりません。
アナ:ただいま入った情報です。次のデモ予告が警視庁へなされたようです。
キャスタ:第13番発作自殺患者特別収容所、荒川岩渕緑地、水門前に決起せよ。
アナ:平成22年6月15日。雨天決行。
アナ、キャスタもデモに加わる。続くシュプレヒコールと雨。傘が去る。
■ブラックニッカとコロンボ
そのテレビをじっと見ているアル中がいる。
男:、、、、、、、、、、、、
ブラックニッカをぐびりとひとくち。
何かを思い詰めている、アル中の男
雨の音。ザアアアアアアアアアアアアアア
男:、、、ジャージの女。
ブラックニッカをぐびりとひとくち。
刑事。
刑事:おう、ブラックニッカくん。
男:え?
刑事:ニックネームニックネーム
男:失礼なニックネームつけんな。
刑事:じゃ、アル中くん。
男:同じだろ
刑事:そうやって酒でゴマかしてると、よくないよ。
男:、、
刑事:もっとこうハツラツと生きなくちゃー。若者は。
男いなくなろうとする。
刑事:ねぇ。きみ、イモウトくんとなんか関係ある?ほら、あの女の子。ニックネーム、イモウトくん。
男:なに?探偵?
刑事:んまー、似たようなもんですねい。知り合い?
男:向こうは覚えてない。
男、退場
刑事:、、
医者登場と教祖登場
刑事:よう、ブラックジャック
医者:よう、コロンボ
刑事:あのさー。すっげー近しい人の顔を忘れちゃうみたいな事ってありうる?ボケとかじゃなく。
医者:例えば?
刑事:例えば、痴情のもつれの果て。
医者:ある。
刑事:うわぁ即答なんだ。
医者:最近増えてるよ。若い女性に多い。心が耐え切れなくなるんだわ。
刑事:へぇ、、脳みそは不思議でいっぱいだな。
医者:ま、自分で思ってるほど強くはないってこった。
刑事:、、俺も忘れたいなぁ、嫁に逃げられたことと、嫁の顔。
医者:ああ、わかるねぇ
刑事:あ、わかっちゃう?
医者:うちは子供もついてっからなぁ
刑事:俺なんて、だれでもいーから妊娠させときゃ良かったと思うよ。
医者:まー居ないよりはいいんだろうなぁ。
刑事:あーあ。やばいやばい、こんなこと考えてたら、
医者:そうだそうだ。また発作自殺しちゃう。
刑事:わらえねぇな。
医者:たしかに。わらえねぇ。
刑事:なぁ。ブラックジャック先生
医者:なんだいコロンボ君
刑事:ぼくら、いつ完治したって事になるんだい。
医者:、、さあねぇ。
教祖。走ってくる。
教祖:あ、ああ!いた!テレビ見ました?!
刑事:あ?
教祖:テレビテレビ!
医者:みたよ。ひとーつ、人の世の生き血をすすり
刑事:ふたーつ、ふらちな悪行三昧
医者:みっつ、醜い浮き世の鬼を、
教祖:じゃなく!
二人:もー。なんだよー
教祖:デモデモデモ!ぽちっ
キャスタ:第13番発作自殺患者特別収容所、荒川岩渕緑地、水門前。
アナ:6月15日。第13雨天決行。という事なんですが
キャスタ:国会議事堂ぐるりとひと囲みの人数でしたからねぇ。
アナ:患者さんのご家族も参加しているということですが、
それが、武器を携帯して行進するとなると、これはもうテロリストの様相です。
キャスタ:政府としてもあっさり見逃すわけにも行かないでしょうねぇ。
アナ:デモ隊の先導者は明らかにされていないわけですが、
キャスタ:デモ隊と機動隊が衝突するのは確実か思われます。
アナ:施設内の患者さんの安否が気遣われます。
キャスタ:政府は機動隊の数を増やし、
施設をバリケード封鎖し、守り通す方針を固めています。
アナ:6月15日は死傷者が出るかもしれません。
教祖:ピっ、ね?家族をかえせーって!
医者:政府もちょっと急ぎすぎたよな。ウィルス説まで流れ出したら、そりゃあ家族も焦る。
教祖:もしかして、うちの親とか混じってるかもですよ?携帯使えないし。
刑事:いいよなぁ、そうやって訴えてくれる家族がいるやつはさ。
教祖:いないんすか。
刑事:ほっといてよ。
教祖:一人もですか?
医者:やめとけ自殺しちゃうぞ
刑事:しっかし、テロになるほどの煽動をだれがやってんだ。
教祖:例のジャージの女じゃないすか?さっき特集組んでましたよ。
刑事:なんて?
教祖:安全メットを深々かぶり、濡らした手拭いキツめに巻いて、ギラリと輝く乙女のまなこ、
今日もゆくゆくジャージの女、角材担いで一番乗りで、
そこはあたしのバリケード、壊してちょうだいあんたの愛で
刑事:最後ピンク映画みてーになってるぞ
教祖:はい
刑事:時代を考えろよ時代をよ。安保闘争かってな。
医者:なんかこういうのに盛り上がる国だよな。日本。
教祖:アイドル崇拝っすよ。
医者:え?
教祖:なんでもいんですよ。
当面信じられるものなら、なんでも。
医者:ハコくん?
教祖:、、、ぼく、金に困って、ヤクザにサギ師やらされてたからわかるんです。
音楽(グレゴリアン・チャント~アニュス・デイ)
■おハコさま
教祖に白い布(マント的なもの)を羽織らせる。教祖にしゃれこうべを持たせる
教祖に箱がかぶせられる。教祖、おハコ様になる。
信者たち、あぐらで周りに座り、おハコさまの教えを聞いている。教祖の説教。
信者1:おハコさま
信者2:おハコさま
信者3:おハコさま
信者4:おハコさま
教祖:死を、おそれることはありません。
来世と魂の不死を信じたとき死は単なる終わりではありません。
女:殺してやりたいんです。
教祖:許しましょう。許しましょう。
女:死にたいんです。
教祖:死んではいけません、死んではいけません。
信者たち:おハコさまおハコさまおハコさまおハコさまー
教祖:救われたければこのハコを、このハコを、このハコを開くのです。
信者たち:ありがたいありがたいありがたいありがたい
信者たちいなくなる。
女、残る。
女:、、おハコさま
教祖:やあ、どうしましたか?今日はもうおしまいですよ。
女:わたしは救われるでしょうか。
教祖:死ぬとかならず来世で報いが来ます。
自ら死ぬということは、我々の教えのなかでも一番の悪業です。
女:、、私、自分が許せないんです。
殺したいという気持が、どうしても、死にたいという気持が、どうしても。
教祖:決して、自ら死にむかってはなりません。いいですね?
暗。
■リーダーと女。
雨の音。
女:その後の記憶が無いんです。気付いたら、ここに。
リーダー:、、、
女:、、なんかいろいろしゃべったっけ。
あたしがただ心の狭い女なんじゃないかって気がしてきた。はー。自己嫌悪。
リーダー:もし私が、イモウトさんの立場で、そういう裏切りに合ったら。私も、許せないと思います。
女:、、ほんとに?
リーダー:はい。
女:、、、、よかった~
リーダー:?、、え?
女:いや、変な話しですけど、打ち明けた挙げ句、人間が小さいよ!って怒られたら落ち込むなぁって。びくびくしてました。
リーダー:まさかっ!そんなこといいませんよ!たとえ思っても!言えませんし!ああああ。すいません。
女:リーダーって正直者ですよね。
リーダー:それがまぁ、人間関係うまくいかない要因です。
女:、、
リーダー:いや、でも、本当に。許そうとしてるあなたは、すごいと思います。
間、雨音。サアアアアア
女:たぶん、リーダーのおかげもあるんです。
リーダー:え?なんですか?なにかしました?
女:似てるんです。
リーダー:似てる?
女:ええ、なんか似てるんです。
リーダー:、、、お姉さんに?
女:そうなんです。だから、リーダーが良い奴であればあるほど、私の中の憎しみがほどけていくというか。
リーダー:、、、、、
女:あ、すいません勝手なはなしで!気分を害しましたか?!
リーダー:いえ、とんでもない。
女:性格とか全然違うし、よく見ると顔全然違うんですけどね!
だってあいつ、拒食と過食を併発、しかもそのバランスが奇跡的に良いから健康
というよくわからない症状に見舞われてる演劇バカ女ですから、
ど貧民ですよ。ど貧民!大富豪で言えば手札全部3しか持っていないような奴です。
革命が起こらないかぎり浮上することはありません。年中ジャージです。
私は男に期待しないのーとか言ってたくせに!
たぶん、父親が母親捨てた瞬間覚えてるんですよあいつ。
だから心の奥底では普通の幸せにあこがれてるくせにわざと。
わざとそうやってなんか違う方違う方いっちゃうみたいな。
それでいて絶対負けをみとめないみたいな。
あ、すいません盛り上がっちゃった。悪口。
なんか、久しぶりにお姉ちゃんの悪口言ったなぁ。
これって、進歩だって思いません?
あれ、なんか泣けてきた。
なんだこりゃ。
一体どこにいるんだか。いまごろ、あの女。
妹の婚約者とりやがって、どこがくもがくれしやがって。
なに涙だこりゃ。変ですね。わたし。
、、あのやろう。ちゃんと食ってっかな。
そんで、ちゃんと吐いてっかな。元気に。
いつの間にか、クラシック音楽(シューマン:トロイメライ)が聞こえている。
女、窓の外をみる。
リーダー:、、、進歩だって思います。
女:あざーす。
リーダー:わたし、ニックネーム、おねえちゃんってことにしてください。
女:え?あ、はい。
リーダー:私にも、妹が居るんですよ。
女:へえ、そうなんですか?
リーダー:ええ。
女:奇遇ですね。
リーダー:奇遇ですね。ほんとに。
女:朝になっちゃいましたね。
リーダー:イモウトさん。私は、妹の夫を、奪いました。
暗の中台詞
(SEヘリの音バババババババッババババババババッババ)
キャスタ:6月15日デモ隊と機動隊の衝突が危ぶまれる第13番収容所です。
アナ:雲一つない青空です!これから大雨になるとは想像もつきません。
キャスタ:デモ隊はまだ到着しないようですね?
アナ:動きがありしだいお伝えします!以上、上空からでした!
(SEヘリの音バババババババッババババババババッババ)
ヘリの音消え、暗の中、女の台詞
女:あ、ハコさん。コレ、すみません借りっ放しで。忘れてました。
明。教祖、ボールペンをみつめている、教祖。
教祖:、、、、、、、、
男、登場。
酒をのんでる。しゃれこうべを持っている。教祖、それにはまだ気付かない。
男:よう。
教祖:!、あ、おはようございます。晴れましたね。
男:降るよ。たぶん。
教祖:え?
男:イモウト君、なんでテレビ見ないか知ってる?
教祖:え?
男:ある教祖がいったんだ。「あらゆる俗世間の情報を断ちなさーい」って。
教祖:、、あ
(SEヘリの音バババババババッババババババババッババ)
アナ:機動隊をのせた装甲車が、ぞくぞくと中州へと続く一本橋へ入っていきます。
キャスタ:えーただいま入りました情報によりますと、
おそらくデモを目的とした都民が、じょじょに荒川を目指しているという事です。
(SEヘリの音バババババババッババババババババッババ)
リーダー:私は、過ちを犯した人間です。あなたのお姉さんと同じ過ちを犯した人間です。
私は、妹の夫を、奪いました。妹は、酒とクスリにおぼれました。そして精神を病みました。
、、、私は、ほんとうに許されるべきでしょうか、イモウトさん。
リーダー、走っていく。
女:「お姉ちゃん」!
(SEヘリの音バババババババッババババババババッババ)
アナ:第13収容所は機動隊の配備がすみました!
数百名の機動隊が施設のまわりにぐるりと配備され物々しい雰囲気をただよわせています
キャスタ:まるで戦争ですねぇ、、
(SEヘリの音バババババババッババババババババッババ)
刑事:警察だー。大衆煽動の容疑でたーいほだぁ
医者:わたしは何もしてませんよ
もともと流れる噂に確実なものを少し足しただけです。
刑事:確実なもの?
医者:拒食過食のジャージ女が患者になってね。
その子の心を覗いたんだ。あの子は全身全霊、詫びていた。
これ以上詫びることは不可能だというくらいに詫びていた。
その子の詫びる先がたまたまこの第13番収容所だった。
(SEヘリの音バババババババッババババババババッババ)
アナ:人です!人です!黒い頭が、それが荒川沿いにつらなって、わかりますでしょうか?!
キャスタ:これ、人ですか?!まるで黒々とした道だ。
アナ:カメラさん!あそこ!わかりますか?!
キャスタ:一人の女性が、屋上に出てきました。みなさん、見えますでしょうか!?
(SEヘリの音バババババババッババババババババッババ)
リーダー舞台中央へ出てくる。舞台、錯綜してゆく。
刑事:社会にはルールってもんがある。
日本で死ぬことや殺すことが正しくないと規定されている限り、
それに従わぬものは罰せられる。それだけのことだ。
個人主義も、そこまでくると宗教だ。(刑事、銃を構える)
医者:わかってないな。我々は最後の手がある。
刑事:何を言ってる?
医者:そうやって暴力で人を押さえつけようとする。我々は自由だ。
刑事:ゲバラちゃん、言う事聞かないなら、打つよ?
医者:自殺するぞ。
刑事:、、え
医者:自殺するぞ。いいのか?
医者、舌をゆっくりと出す。
刑事:こりゃ、一本取られたな。
SEヘリの音バババババババッババババババババッババ
キャスタ:あぶない!屋上の女性がフェンスを越えようとしています!
リーダー:来ないで!
女:お姉ちゃん!
キャスタ:あたりがどんどん曇ってまいりました!
屋上では今まさに女性が身を投げようとしています。今にも泣き出しそうな空です!
リーダー:妹は、お酒におぼれ、抗うつ剤を大量に飲んで、救急車で運ばれました。
あれは自殺ではなかったですか?!!!!
音楽が止まる。
女:、え
リーダー:あなたは、私のせいで、死にたがってるんじゃない?
女:、、まさか。自殺だなんて。
リーダー:私に許される権利なんてない。
リーダー飛び降りる。突然の雨、
ザアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア
女:おねえぇちゃんんん!!!!!!!!!!!!!!!
男、女の手を取る。
男:かすみ!ひよりがくる!
女:、、、、、、え?どちらさまですか?
男:かすみ!!
■あの日。
懐中電灯の明り。ドンドンドンドン!ドンドンドンドン!
二人、はじけ、距離を取る。
男:かすみ!正一だ!ここ開けろ!なにがあった?!
女:そんな人は知りません。
男:いい加減にしてくれよお!!!
女:、、、、、
男:俺、ずっとお前と居ただろう!毎日、謝っているだろう!
無視し、女、しゃれこうべへ姉の置き手紙を呪文のように語る。(以下、ずーーっと)女の周りで色々な事が起こる。
女:めんごカスミねーちゃんカスミ's彼ピー横領花キンでイケイケでマリファナキメて酒のんだっけばねーちゃんグロッキーの挙げ句ぷっつんしたらしくとなりに見知った男かっこカスミの彼が寝ておりそんなバナナと二度見しましたさすがにえんがちょだと思い書き置きにてドロンメンゴかすみバイザウェイねーちゃん記憶にございませんのだけどそこんとこ4649、、、めんごカスミねーちゃんカスミ's彼ピー横領(以下続く)
懐中電灯の明り。ドンドンドンドン!ドンドンドンドン!
雨の中ザアアアアアアアアアアアアアアアアア。
追っ手4:あけますよお!?大家さんお願いします。
男:はい!
(どたどたと追っ手たちが部屋に上がり込む)
追っ手1:いません!
追っ手2:窓が開いてます!
追っ手3:飛び降りたか?!よく探せ!
男:かすみ!!
(周りをさがしまわる追っ手たちザアアアアアアアアアアアアアアアアア)
男:かすみ?!無事か!?だいじょうぶか?!
追っ手1:いました!カッター所持!
追っ手2:おさえますか?
追っ手3:おさえろ!!!
追っ手1:あ、やった!!
追っ手2:ER手配しといて!
男:かすみ!かすみ!わかるか!かすみ!
追っ手3:ちょっと!あんた邪魔だからどいて!!
男:かすみ!なにがあった!今、ひよりがくるから!
女:来るわけない!!私はもう誰も信じない!!
男:かすみ!なにがあった!?
雨の中、音楽グレゴリアン・チャント~アニュス・デイが聞こえる。
女:わたしは救われるでしょうか。
教祖:死ぬとかならず来世で報いが来ます。
自ら死ぬということは、我々の教えのなかでも一番の悪業です。
女:、、私、自分が許せないんです。
殺したいという気持が、どうしても、死にたいという気持が、どうしても。
教祖:決して、自ら死にむかってはなりません。いいですね?
女:なにをしているんですか?
教祖:え?なにしてんのって
女:!!!!!!!!!!!!!!!!
教祖のくびにズンッと、ボールペンが首にささる。
女:いやあああ!!!!
ザアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア
男、かすみの手をとる
男:幸せにしてやる!!俺が必ず幸せにしてやる!
女:なんつった?
男:俺が、必ず幸せにしてやるから
女:!!(女、男のくびをしめる)うそついてんじゃねえよ!!
女:そうやって、、おまえら簡単にうそつくから、
あたしら簡単に信じて、、ばかみたく、不幸せになるんだよ。ばかみたく。
男:うそじゃないって!!
女:もうたくさんなんだって
(デモ隊の傘。ホイッスルの音ピッピッピッ、ピッピッピッ)
男:聞け、かすみ。
女:なにも聞こえないよ
姉以外:人間の死を規制するなー
デモ隊:デストルドー、タナトース
刑事(メガホン):警官隊第一部隊。機動隊第一部隊、前へー
(男首しめられたまま、女を抱えるように)
男:来るって!
女:こねえよ!!!
姉以外:死の欲動を否定するなー
デモ隊:アンチリビドー、アンチエロース
刑事(メガホン):警官隊第二部隊。機動隊第二第三部隊、前へー
キャスタ;地上の衝突もまもなくです!
男:かすみ!ひよりがくる!
女:こないこないこないこないこないこない(雨が激しくなっていく)
姉:人間の尊厳はーどこだー
女:こないこないこないこないこないこない(雨が激しくなっていく)
デモ隊人間の尊厳はーどこだー
女:こないこないこないこないこないこない(雨が激しくなっていく)
刑事(メガホン):バリケード隊第一、第二部隊、2重陣形。構えー。
女:来るわけない!!私はもう誰も信じない!!
キャスト:接触しました!!!!!!!!!!!!!
ザアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア
雨が、ピタリと止む。
全員その場にストップモーションとなる。
姉。
血まみれのジャージを羽織る。
ここから先は
¥ 100
たくさん台本を書いてきましたが、そろそろ色々と人生のあれこれに、それこれされていくのを感じています。サポートいただけると作家としての延命措置となる可能性もございます。 ご奇特な方がいらっしゃいましたら、よろしくお願いいたします。