『DIP!』
『DIP!』作 すがの公
■あらすじ
休学中の大学生松山宇宙は、陸上部OBである。同じくOBの恩田とマネージャーだった花子とすでに廃校になったすすきの高校の部室に侵入する。そこでなんと宇宙は、10年前に蒸発した父・宇宙人類学教授の英利と遭遇する。
■開場中
月明かりが、部室に差し込んでいる。
たまに、UFOの明かりが、舞台を横切る。
工事現場のシートがバサつく音が聞こえる。
犬の遠吠え。
工事現場の仮囲いがある。
プロセニアムアーチのように単管が組んである。
シートで養生されている。
(このシートは垂れ幕になっていて、必要に応じて舞台天井へ消え、現場の中が見える)
街頭の灯りがうすぼんやりとついてる。
■登場人物(●男5○女4)
●父 松山英利(まつやま ひでとし) 宇宙人類学教授 トレッキー
●休学中の北大生 松山宇宙(まつやま うちゅう)
(※松山親子を演じた二人は双子でした。)
●恩田武Camarade 中学社会科教師
○好きな女 金田花子 キャバ嬢・源氏名ハナちゃん 電気屋の娘
●幼なじみバカホスト 北野清彦
●後輩 国無明
○女子部長 小林愛
○高校の時の彼女 国無雪乃 ユッキーノ 宇宙人類学専攻大学院生
○クリンゴン人 ヒューマノイド型異星人 アンジェラ
■舞台
私立すすきの高等学校陸上部男子部室。プレハブ。
==========北==========
=〜〜〜〜〜〜〜〜金網〜〜〜〜〜〜〜〜〜=
=女 ーーーーー<壁>ー窓ーーー 校=
西子 |冷蔵庫 テレビデオ 扇風機| 舎東
=部 |自転車 部室 窓 側=
側 | 窓
= |玄関 毛布 寝床| =
〜〜〜〜〜〜工事現場のシート〜〜〜〜〜〜〜
部室の前
柱=========南=========柱
OOOOOOOOOOOOOO
OOOOOOOOOOOOOOOO
OOOOOOO 客席 OOOOOOO
OOOOOOOOOOOOOOOOOO
■札幌私立薄野高等学校・陸上部部室前
夜。グラウンド側から、
懐中電灯の明かりが来る。
ハナ「札幌もまだまだ星見える」
清彦「どれ」
宇宙「照らしても見えねえよ」
清彦「初・夜のぐらんど」
ハナ「まっくらだったね」
清彦「草ぼーぼー」
宇宙「懐中電灯大事だろ」
清彦「宇宙、天才ー」
宇宙「あ、あそこじゃね?」
ハナ&清彦「おおお!(拍手)」
恩田「よし!」
3人「え?」
恩田「ここまでにしよう」
3人「は?!」
恩田「帰ろう」
宇宙「何言ってんだよ」
ハナ「スコップしょって」
恩田「たぶん、何か出る」
宇宙「え?」
清彦「おばけ?」
ハナ「ようかい?」
恩田「ゆうれい?」
宇宙「あほか」
3人「ん?」
宇宙「いくつだお前ら」
恩田「28」
ハナ「28」
清彦「27」
宇宙「清彦」
清彦「早生まれだから」
宇宙「なんか買ってきて」
清彦「酒?」
宇宙「つまみもな」
清彦「ちぇーい」
恩田「わ、走った」
清彦、コンビニへ全速力
恩田「はええし」
ハナ「あ、お金」
宇宙「いーよ」
恩田「相変わらずだな清彦」
ハナ「ちょくちょく会ってんの」
宇宙「ぜんぜん」
恩田「幼なじみだっけ、おまえら3人」
宇宙「いちおな。さ、バカは行った。進もう」
ハナ「清彦待たないの」
宇宙「バカは待たない」
ハナ「待とうよ」
宇宙「いんだよあいつなんかやらかすから」
ハナ「また清彦に冷たい」
宇宙「そんなことねえよ」
恩田「どっちでもいんだけどさ。うちゅー君。そしてハナちゃん。
二人「ん?」
宇宙「なに?」
恩田「夜中に不法侵入はまずいだろ」
宇宙「だってもともと俺らの場所だろ」
恩田「かつてはな」
ハナ「高校んときもたまに夜中遊びに来たじゃん」
恩田「今もう高校生じゃねえから」
宇宙「だいじょぶだって」
恩田「だれか来たらどうすんの」
宇宙「迷いこんだって」
ハナ「たまたま」
恩田「母校に?」
宇宙「たまたま」
恩田「たまたま?」
二人「そー」
恩田「すでに廃校になってる母校にたまたま?」
二人「うん」
恩田「おれ教師なわけよ」
ハナ「今日休みでしょ」
恩田「うん」
二人「じゃ、いいじゃん」
恩田「関係ねえだろ」
ハナ「たまには息抜き、ね」
恩田「別の息抜きがあるだろ」
宇宙「どんなの?」
恩田「スーパー銭湯とかカウチポテト」
ハナ「息抜きが不景気」
宇宙「そして死語」
恩田「昭和の庶民だもん」
宇宙「あ、こっちだこっち」
恩田「とにかく公務員がやることじゃないわけよ」
宇宙「俺学生だし」
ハナ「あたしキャバ嬢だし」
恩田「君らにはわからんか」
ハナ「出た職業差別」
恩田「宇宙、医者の卵だろ」
ハナ「だからなに」
恩田「経歴にキズがつくっつの」
宇宙「当分卵のままだから」
ハナ「よしオッケイ」
恩田「いつまで学生なんだ」
宇宙「そっち持って」
恩田「なによ」
宇宙「邪魔な板」
ハナ「バリケードだな」
恩田「はい、いきどまりね」
宇宙「いちお封鎖してんだろ」
恩田「帰ろう。な」
宇宙「だってここ集合だろ?」
恩田「外で集合すりゃいいだろ」
宇宙「ラストチャンスだぞ」
恩田「いいじゃん串鳥とか白木屋いこうよ」
ハナ「いちいちパッとしないね恩田くん」
恩田「ムーの子孫いこうよ」
二人「いかねえよ」
恩田「ポテサいこうよ」
二人「もういけない」
恩田「ここよりましだよー」
ハナ「春になったら壊されるんでしょ?」
宇宙「うん」
ハナ「何になるの?」
恩田「噂ではパチンコ屋」
宇宙「俺コインパーキングってきいた」
恩田「どっちにしてもせつねえ」
宇宙「な。ここまで来て覗かない手はないぞ」
ハナ「せっかく来たんだからパッキャマラード」
恩田「そのあだ名でよぶな」
宇宙「恩田キャマラード君」
ハナ「フランス人の血が泣くよ?」
恩田「4分の1」
宇宙「行こう。最後だ」
恩田「一瞬だぞ」
二人「わかった」
恩田「一瞬見たら帰る」
二人「わかった」
恩田「どうせひどい有様なんだから」
二人「サヴァ?」
恩田「フレンチで迫るな」
ハナ「お願い」
恩田「、、D'accord」
ハナ「なんてった?」
宇宙「オッケー」
ハナ「ウィウィウィ!!」
恩田「とっととやっちまおう」
ハナ「どうすんの」
宇宙「バキッとはがすっ」
恩田「まじで?」
ハナ「いやーん」
宇宙「そっちほらっ」
恩田「(舌打ち)」
宇宙「せーのっ」
恩田「よっ」
音がする。メキメキメキ、バキ!!バキイ!!メキ!
ハナ「いよっ、男の子ー!」
恩田「げほ!ほこり!吸った!」
宇宙「ほら」
恩田「なによ」
宇宙「みろよ」
恩田「え?あ、(感動)おおおおお」
ハナ「(感動)なつかしー」
恩田「こんなに変わらんか」
ハナ「何年ぶり?」
宇宙「10年」
ハナ「10年」
宇宙「われらが母校」
恩田「男子陸上部部室」
ハナ「汗と涙の」
懐中電灯のあかりが、部室の入り口を照らす。
宇宙「プレハブ小屋だ」
『薄野高校陸上部・男子』の看板
■オープニング
音楽、月光グリーン『うずまき』
少しづつ下手袖のシートに3人の影が映りこんで行く
恩田「で?」
宇宙「中に入るだろ」
ハナ「そらそうですよ」
恩田「どやって開けるよ」
宇宙「ん?(なんか探してる)」
ハナ「ぶっこわす?」
恩田「いやーん!」
宇宙「ほら」
ちゃりちゃりん
恩田「なにそれ」
宇宙「鍵」
恩田「なんで持ってんだよ」
ハナ「天才!」
恩田「声でけえよ!」
ハナ「おめーもだろが」
宇宙「さすが部長だろ」
恩田「なんでまだ持ってんだよ」
宇宙「物持ちがいいというか」
恩田「返すだろ普通」
宇宙「返したよ」
恩田「それは?」
宇宙「合鍵」
恩田「作んなっ」
宇宙「もしもの時にさ」
恩田「もしもっていつよ」
二人「今」
恩田「天才」
宇宙「開くかな」
恩田「さすがに変えてんだろ。10年経ってるんだから」
かちゃかちゃ
宇宙「あら?」
恩田「ほら」
ハナ「だめ?」
宇宙「入るんだけどな」
恩田「ほらみろ。開かない。残念」
ガチャリっ!!!
恩田「まじか」
宇宙「あいたわ」
恩田「変えろよ鍵」
ハナ「言えてる」
宇宙「あけるぞ」
ハナ「オープンオープン!」
恩田「なんか緊張する!」
宇宙「ぐ、あいかわらず」
ハナ「立て付け悪い?」
宇宙「手伝えキャマラード」
恩田「またぶっこわすの」
ハナ「共犯共犯!」
二人「せーのっ!」
音楽が上がり、ストップモーション
工事現場の仮囲いにプロジェクターの映像が映る
MMMMMMMMMMMMMMMMMMMM
NEXTAGE
小さい頃の映像。
2nd STAGE
10年前に家庭用ビデオカメラで撮った映像がスタート。
スタートレックの要素をふんだんに取り込んだ衣装を着た
口ひげのおっさんが、
家庭用ビデオカメラにメッセージを残そうと頑張っている。
大学の教授の部屋。後ろにはたくさんの本が並んでいる。
ビデオカメラセット完了。三脚なんてない。
「、、、、。」待ってる。しばらく動かない
「あ」とリモコンでスタートする。
「えーと、宇宙、、、録画ささってっか?」
スタートしてるか心配でチェック
「お。おっけー。コホン、えーと、おほん、うちゅう」
じょじょにカメラが倒れて、「あ」一緒に倒れる
『 DIP! 』
MMMMMMMMMMMMMMMMMMMM
奇妙な音がする。
SEミミイミイッミイッミイイイン
緑の光が舞台の全体を照らす。
工事現場の仮囲いの単管がプロセニアムアーチのように舞台を阻んでいる。
<アンジェラ>
サリーのような宇宙服の女・アンジェラ
ハンドスキャナーを周囲にかざし何かを探している。
腰に未来の銃らしきものを持っている。
しかし、このあたりには見つからずに立ち去る。
<国無雪乃>
メガネの女・国無雪乃が大げさな探知機を背負って現れる。
何かを探している様子。
そのまま、アンジェラとは逆の方向へと去る
<小林愛>
にやにやしながら小林愛がやってきて、中を伺い、変な帽子をかぶり何かゴーグルらしきものをかけて潜入する。
照明が大きくかわる。
元陸上部の面々がゼッケンをつけて次々に入ってくる
後ろ向きに準備運動をしている。
ゼッケンの背にカンパニー名。
上手から順にスポットが当たっていく
<金田ハナ子27歳>
「ゼッケンを集めます」な感じで手をあげる。
皆はずしていく。ハナうけとってく。
<北野清彦27歳>
元100メートル短距離走選手。手をあげてスタート位置につく
<恩田camarade28歳>
元400メートル短距離走選手。手をあげてスタート位置につく
<国無明25歳>
元800メートル中距離走選手。手をあげてスタート位置につく
<松山宇宙28歳>
元110メートルハードル障害走選手。手をあげてスタート位置につく
ここでまた、さっきの奇妙な音がする
SEミリミミィイッミミイミミイッミミイン
今度は舞台の奥から後ろから緑の照明。
松山以外の4人、光を感じて振り返る
<松山英利>
人影が後ろの幕に大写しにされる。
スタートレックな衣装を着ているらしい
真ん中の、松本宇宙にかぶる父の影。
父、ヴァルカン人の挨拶を。
(ヴァルカン人の挨拶は人差し指と中指、薬指と小指をくっつける)
4人、遠くを見つめたままの宇宙を眺める。
照明、宇宙を最後に写し、暗。
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■鍵
場面戻る
宇宙「よおおお!!」
ハナ「オ、パッキャマラードー♪パッキャマラードー♪
二人「よいしょおお!」
ハナ「パオパオ(拍手)おおお♪」
宇宙「あたた、ひねった」
恩田「腰、腰がやばい」
ハナ「もうおっさんだ」
二人「おっさんですよ」
種類の違う懐中電灯の明かりが1つ入ってくる。
宇宙「おじゃましまーす」
二つ
恩田「おーびーでーす」
三つ
ハナ「ジャーマネでーす」
ゆっくり動く3つの懐中電灯の明かり
恩田「やっぱ」
宇宙「ちょっと」
ハナ「こわい」
三人「うん」
恩田「電気電気!」
ハナ「たしか、このへん」
宇宙「いけっジャーマネ」
音、パチ
ハナ「あれ?」
音、パチ、パチパチ
ハナ「つかない」
恩田「やっぱな」
宇宙「廃校だからな」
ハナ「あ、においのこと忘れてた」
二人「におい!」
恩田「やばい息止めろ!」
男子二人、鼻と口を押さえる
ハナ「よし、、あたし確認」
二人「(鼻つまみ)まじで?」
恩田「(鼻つまみ)女って、勇気あるよな」
宇宙「(鼻つまみ)こういう奴じゃなきゃマネージャーはつとまらん」
ハナ、匂いをかぐ
ハナ「くんくん」
宇宙「(鼻つまみ)どうだ」
ハナ「あ、うんうん」
恩田「(鼻つまみ)え?」
ハナ「いい匂いいい匂い」
宇宙「(鼻つまみ)いい匂いってことあるか」
ハナ「ほんと、いい匂いいい匂い」
恩田「(鼻つまみ)信じるぞ」
二人、おそるおそる、顔から手を離し
二人「スーーーー」
ハナ「ね」
二人「いいにおいではない」
ハナ「でも(匂いをかぐ)さすがにもう」
宇宙「汗臭くは(匂いをかぐ)」
恩田「(匂いをかぐ)ないか」
三人「うん」
宇宙「そして」
恩田「高校陸部男子の汗が何年もほっとかれて」
ハナ「腐り果てて」
宇宙「新しい生物が産まれている様子はないか」
三人「たぶん」
懐中電灯をぐるりと動かす。
3本の懐中電灯の明かり、部屋じゅうを照らす
宇宙「昔のまんま?」
ハナ「ちょっと配置変わってる」
宇宙「俺ら卒業した年、1年生豊作だったもんな」
ハナ「いっぱい入ったんだ」
宇宙「だって」
恩田「あ、そうだ」
懐中電灯の一つが床に置かれる。
毛布が奥にまるまっているのが見える。
恩田「スマホスマホ」
ハナ「荒らされてそう」
恩田「誰に」
宇宙「廃墟マニアとか」
恩田「なにそれ」
宇宙「廃墟潜入して」
恩田、写真を撮る。パシャ!ピカ!
宇宙「写真撮るバカ」
恩田「え?」
二人「いるよねー」
恩田「違うって!」
二人「はいはい」
恩田「想い出!」
宇宙「どうせフェイスブックにあげる気だろ」
ハナ「ラインかな」
恩田「ツイッターかな」
宇宙「母校に不法侵入なう」
ハナ「クソワロタ」
恩田「画像うp(うぷ)」
宇宙「女子部室ワクテカ」
ハナ「もうダメぽ」
恩田「三次元もえー」
ハナ「ネットスラングまき散らすのやめよう」
二人「あぼーん」
ハナ「写真もうやめてね」
恩田「なんで?」
ハナ「なんかうつったらどうすんの?」
宇宙「なんかって?」
ハナ「なんでもない」
恩田「霊とか?」
ハナ「があ!言わないで!」
恩田「おまえが言わせたんだ!」
■毛布動く
と恩田、懐中電灯を拾う。
その一瞬早く、少し蠢く毛布。もぞっ
宇宙「あれ?」
宇宙の灯りが、毛布を照らし直す。が動かない
宇宙「気のせいか」
ハナ「え?」
宇宙「なんか動いた気が」
恩田「なんか?」
宇宙「うん」
ハナ「え?」
宇宙「気のせいかも」
恩田「気のせいか」
宇宙「うん」
ハナ「そっか」
恩田「そっかそっか」
ハナ「気のせいか」
恩田「気のせいだ気のせいだ」
間。SEシートのばさつく音
ヒュウうう、バッサバササアアア、、
しばらく、3つの懐中電灯がゆっくり動く
ひとつ、やっぱりとまる。
宇宙「やっぱ動いた」
二人「やめてよー!」
宇宙「俺だけ?」
恩田「気のせいなんだろ!」
宇宙「あのへんだよ」
ハナ「気のせい気のせい!」
宇宙「見てみて」
恩田、宇宙の懐中電灯を身体で遮る。
恩田「宇宙!!」
二人「わああ!」
恩田「確認せんでいい!」
宇宙「びびらすなよー」
恩田「その言葉そのままおまえに返す」
宇宙「なんで?」
恩田「なんでってお前」
ハナ「怖いから」
恩田「なんかいたら」
宇宙「え?本気で言ってんの」
二人「うん」
宇宙「うわ、本気で信じてんの。霊とか」
恩田「本気かどうかはさておき、」
二人「怖い」
宇宙「まじか。ひくわー」
ハナ「始まった」
恩田「え?」
宇宙「そういうアホみてえなことのたまってる奴、ひくわー」
ハナ「わかったわかった」
宇宙「まじかおまえらあほか」
ハナ「怖がりなのっ」
宇宙「あっ、へー」
ハナ「そんだけだって」
宇宙「あっ、ふーん」
恩田「え?なにこの感じ」
ハナ「怒るの、幽霊とか宇宙人とかUMAとか言うと」
恩田「なんで?」
宇宙「むかつくんだよ」
恩田「だからなんでよ」
ハナ「理由言っていい?」
宇宙「いいだろそれは」
恩田「なんだよ」
宇宙「やれやれだな」
恩田「なにこれ?」
ハナ「話題チェンジ話題チェンジ」
恩田「チェンジ?」
宇宙「チェンジチェンジ」
恩田「?」
■何をしに部室に来たか
ハナ「えーとえーと、我々は何しに集まったかというと」
恩田「あ、そうだ」
ハナ「スコップしょって」
宇宙「ちょっと忘れてた」
恩田「まだかよ小林」
ハナ「ほんとにここ集合?」
宇宙「メール来たろ」
恩田「『三年男女陸部プレハブ集合、土曜夜』」
ハナ「来たけどさ」
恩田「あいつは人を陥れるトコあったな、小林」
宇宙「あった」
ハナ「いまだにあの性格なのかな」
二人「そうだろ」
ハナ「たのしみー」
恩田「なあ!何入れた?」
ハナ「覚えてる?」
宇宙「埋めたことすら記憶にない」
ハナ「絶対、結婚して子供居ることになってるあたし」
二人「あー」
ハナ「10年前かあ、何考えてたんだろね」
恩田「ユッキーノは?」
ハナ「あ、そーだ。今日くるの?」
宇宙「しらない」
恩田「おい高校時代の元カノだろ?」
宇宙「知らんて」
ハナ「ふーん」
宇宙「なんだよそれ」
ハナ「なんでもない」
恩田「あのさー」
二人「え?」
恩田「つかぬことお伺いするけど、お二人はさー」
二人「なに?」
恩田「なんでもない」
二人「なんだそれ」
恩田「さっきの仕返し。うわっとう!まさかの自転車発見」
宇宙「おおお!何してんだ後輩ども」
ハナ「なんで部室にチャリよ」
宇宙「ま、我らが男子陸部だからな」
2人「ありうる」
ハナ「うわあ。このテレビ10年前と一緒」
宇宙「おお!ブラウン管!」
恩田「すげえ。テレビって感じするな。この厚み」
宇宙「ビデオデッキもあるよVHS」
ハナ「ビデオテープだぁ」
恩田「おお!出た!陸上競技マガジン!」
二人「おおおお!!」
本をめくまくり、変な盛り上がりを見せる
恩田「青春の火は燃ゆ」
宇宙「競技力アップのボディコントロール」
ハナ「純ちゃんの今日のこんだて」
恩田「ブカツの未来」
宇宙「陸マガ突撃隊が行く!」
ハナ「お道具拝見!!」
三人「なつかしーー!」
間
恩田「この盛り上がり」
ハナ「ハタからみると」
宇宙「オタクっぽいだろな」
3人「うん」
恩田「いちお研究したよな陸上」
宇宙「したした!」
ハナ「精一杯!」
恩田「試合前日はモチをくえ!」
宇宙「速さの秘訣はディップの深さ!」
ハナ「できる!グリコーゲンローディング!」
恩田「意味わかって使ってた?」
二人「ぜんぜん」
恩田「やー、しかし。なつかしーな」
宇宙「弱小陸上部だったな」
二人「うん」
ハナ「最後のリレー覚えてる?」
恩田「、ああ」
宇宙「覚えてる」
間
恩田「さすがに、スパイクやらは残ってないなぁ」
宇宙「置いてかないだろ」
ハナ「分身だもんね」
恩田「部活終わって持ってたって、使うトキねーのに」
宇宙「俺もしばらくとってあった」
ハナ「へー」
恩田「で、捨てた?」
宇宙「え?」
恩田「分身」
宇宙「捨てるでしょ普通」
恩田「まー、捨てるよな普通」
ハナ「そっか」
宇宙「なに」
ハナ「なんか残念」
■懐中電灯と緑のあかり
SEバサつく工事現場のシート
懐中電灯が消える。
うっすらと月明かりの部室
3人「?!」
恩田「あれ?」
カチャ、カチャカチャふってみる。
恩田「切れた」
宇宙「おれも」
ハナ「あたしも」
恩田「同時に?」
宇宙「変だな」
SEバサつく工事現場のシート
ハナ「なになになんの音」
宇宙「工事現場のシートだろ」
SEバサつく工事現場のシート
ハナ「怖い怖い怖い怖い!」
恩田「騒ぐな!余計怖いわ!」
ハナ「怖いんだって!」
恩田「わかったって!」
ハナ「なんのしわざ!」
恩田「ゆーれい!」
ハナ「があ!言わないで!」
恩田「お前が聞いたんだ!」
宇宙「ばかばかしい」
恩田「へ?」
宇宙「ありもしないものを信じる奴はバカだ」
恩田「またまたー」
宇宙「俺の前でそういう話しをするな」
恩田「怖いんだろー」
宇宙「俺本気で言ってんだぞこの」
ハナ「宇宙!暗くて怖い上に怒らないで!」
宇宙「お前らが悪い」
恩田「なんだよ」
ハナ「話題チェンジ話題チェンジ」
恩田「今無理だろお」
ハナ「本気だからこの人」
恩田「なんでそんな怒るんだよ」
宇宙「そういうバカが居たんだよ。昔」
恩田「ばか?」
宇宙「ありもしないもん信じて人生狂ったバカが」
ハナ「宇宙」
宇宙「自分の趣味で子供の名前つけるような馬鹿が」
恩田「親ってこと?」
宇宙「もういいだろ!あーもー、頭いてえ」
ハナ「また頭痛?」
宇宙「うん」
恩田「相変わらずか」
宇宙「今日は特別いたい」
恩田「それで機嫌が悪いのかおまえは」
宇宙「違うわ」
恩田「にしても、まっくらだな」
SEミミミミッミミミミッミミミイ
ハナ「今の音なに?」
宇宙「え?」
ハナ「今」
恩田「な」
宇宙「だからシートばさついてんだろ」
恩田「そんな音じゃねえよ今の」
ハナ「うん」
宇宙「なによ」
校舎の方、東側の窓から、一瞬。動く明かり
ハナ「なんか光った。みた?」
宇宙「いや」
ハナ「みてなかったの?!」
恩田「みてない」
ハナ「見てよ!」
宇宙「懐中電灯じゃない?」
恩田「ああ、小林か、清彦か」
ハナ「違う!校舎の上の方からだもん」
宇宙「学校?」
ハナ「緑の光がスーーッて」
恩田「緑い光がスーー?!」
宇宙「緑の光?」
ハナ「校舎の、屋上らへん、なんかシュって」
恩田「なになになにそれ!」
宇宙「また霊とかいう?」
恩田「いやUFOでしょつまり!」
宇宙「あ?!あほか!俺の前でUFOとかいうなあ!」
ハナ「キレないでお手軽に!!」
懐中電灯がつく
3人「お」
ハナ「ついた」
恩田「なんだったんだ」
宇宙「接触だろ。どうせ100均だろ」
恩田「俺の高いよ」
宇宙「俺のも高いよ」
恩田「いくらよ」
宇宙「ろくきゅっぱ」
恩田「まいりました」
ハナ「あたし100均」
宇宙「接触だよ」
恩田「でもおかしくないか?種類の違う懐中電灯が3ついっぺんって。」
ハナ「そんなことある?」
宇宙「あるだろ」
間
ハナ「ないよ!」
恩田「おかしいって絶対」
ハナ「こわいよやめようよ恩田くん」
また、毛布が動く
恩田「動かなかったまた?」
ハナ「やだやだやだやだ」
恩田「やっぱあそこ。なあ、あの毛布」
宇宙「あームカつく」
恩田「え?」
宇宙「高校生が卒業前に免許取って、夜中、
親の車で心霊スポットめぐりしてんじゃねーんだからさ」
恩田「ながなが細かい設定出したなお前」
ハナ「なつかし」
宇宙「もっともらしいこと言って。
女子怖がらせて手をつなごうという年じゃねえだろう」
恩田「ギクリ」
ハナ「あ、だれかギクリとした」
宇宙「あ、そーなの?」
恩田「いやいや!」
宇宙「なら協力するけど」
恩田「違う!」
ハナ「あたしも協力する」
恩田「じゃあ、してみろ」
ハナ「超コワーイ♥」
二人「下手!」
恩田「そんなこと言ってんじゃない!」
ハナ「なんだっけ」
恩田「懐中電灯が3つ、同時に切れて、同時についたんだぞ?」
ハナ「こわ」
宇宙「上手っ」
恩田「真面目に聞け」
宇宙「ばかばかしー」
恩田「しかも、その間に緑の光が出現したんだろ?」
宇宙「盛り上げようとしたんだよな?」
ハナ「違う!」
宇宙「どーだか」
ハナ「嘘じゃないって」
恩田「じゃあ説明しろ。接触不良が同時に起こるワケ」
宇宙「うーんと、ほら、あ、そうだ。突然何かの影響で強力な電磁波が発生しましてですな」
恩田「説明になってない」
宇宙「じゃあなんだって言いたいわけ?」
恩田「何かが起こってるって、今日は」
このあたりで、毛布、寝返りをうつ
宇宙「じゃ俺も言うわ」
恩田「なに」
宇宙「今日は。何も。起こらない」
このあたりで、毛布、伸びをする
ハナ「宇宙、今日どしたの?」
恩田「おまえ、変だぞちょっと」
毛布「うーん」
恩田「うーんじゃなくてよ」
毛布「うーんふうふん」
恩田「うーんふうふんじゃなくてよ。え?」
宇宙「俺なんも言ってねえよ」
二人「え?」
宇宙「俺なんも言ってねえって」
SEシートがバサつく音
毛布「ううううううううう」
ハナ「なになになになになになに」
恩田「ほら、これはまずい」
ハナ「いる、なんかいる」
違う方から父クローン2うなり声がする
父2「うううううううう」
宇宙「え?こっちからも聞こえる」
恩田「おばけ、ぜったいおばけ」
父1&毛布「ううううううううう」
ハナ「サラウンドなんですけど!」
毛布「ううう」
父2「ううう」
宇宙「科学的に考えよう」
父2&毛布「ううおおううう(以下、うめきちらす)」
恩田「無理!うおおうって言ってるし!」
宇宙「考え過ぎじゃない?」
ハナ「科学的に考えてよ!」
宇宙「シートがバサ」
二人「バサついてねえ!」
宇宙「提案!」
ハナ「なに?!」
宇宙「いったん出る」
二人「賛成!!」
父&毛布「ううううううううううううう」
SEシートがバサつく音
3人「わあわわわわあああ」
逃げ出す3人
■国無クローン3体かくまっていましたが、増えました
父2「うふううん」
毛布「寝苦しいわ!」
パチ、っと作業灯の電気がつく
毛布がから国無明の声がする
国無「全員でてこいおまえら、座れ!」
ガタタ
掃除道具入れみたいなのから、
父クローン2が出てくる。頭に触角がある。
よごれたツナギを着ている。
『2』という布を前と後ろにつけている
父2「(あれ?1、3、4がいないな)」
国無「人がさあ好意で泊めてやってんだからさぁー。
簡単じゃないから。ここを我が家とするのは。
父2「国無さん、廃墟マニアすもんね」
国無「ゲージツ家だから。マニアじゃねえよ」
父2「すんません」
国無「廃墟写真に命もえちゃってる俺ならではだからさ。
電気となりの建物からひっぱってきてさ
ふとん、そのへんから調達してきてさ
たまたま合鍵を姉から受け継いだからさ」
父2「お話中、すいません」
国無「なによ」
父2「国無さんすいません、ちょっと」
国無「なんだよ」
毛布から出てくる
父2「すいません」
国無「あれ?あと二人は?」
父2「いないんすよ」
国無「何でよ」
父2「いやちょっと、わっかんないすね。トイレ、かもしんないっすけど」
国無「2!」
父2「はい」
国無「おまえがまだ一番マトモなんだからさ!おまえ他の奴のことちゃんと見とけよお!」
父2「すいません」
国無「どこいったんだよ。いや、俺は別にいんだよ。
お前らが捕まっても全然。
こっちは好意で泊めてやってんだから。な?」
父2「すいません。あの国無さん、あと、もいっこすいません」
国無「なんだよまだあんのかよ」
父2「あの、またちょと増えたみたいなんすよね」
国無「は?!」
父2「仲間」
国無「また?!」
父2「すいません」
国無「そやって簡単に増えるなお前ら!ゴキブリか!」
父2「ゴキブリってかポトスっす観葉植物の」
国無「俺行ったよね?おまえ繁殖するまえに相談してねって。これ以上増えたらふとんとか困るからねって」
父2「はい、ふとん、はい」
国無「風邪ひきやすいんでしょ?」
父2「はい、強くは、無いっすね。はい」
国無「言っといて。自己管理出来るようになってから繁殖してって」
父2「すいません」
国無「俺知らないからね、ふとん。次、3?」
父2「いや、4っす」
国無「4?言っといて。それも自分でやれって」
父2「あ、番号の、はい。なんでもいいすか?」
国無「なんでもいいよわかれば。でも紙だめね、やぶれる」
父2「はい」
国無「はぁ、、、なんで俺がお前らの心配しなきゃいけねえんだよ」
父2「ほんとすいません」
国無「もうでかいの」
父2「なんすか?」
国無「4」
父2「あ、もう全然。ほぼほぼ、同じくらいです。2日で」
国無「成長はええなぁ(笑)」
父2「すんません」
国無「五体満足?」
父2「はい」
国無「言葉は?」
父2「ちょっとまだ慣れてないみたいで、思いつきでしゃべっちゃうとこありますけど、まずまずです。3よりましです」
国無「ああ、良かったじゃん」
父2「はい」
国無「おめでとう」
父2「あ、ありがとございます。うぃっす」
国無「はーあ」
国無、でかける
父2「どっかいくんすか
国無「ふとん、いるんだろ?」
父2「え?」
国無「結局面倒みちゃうからおれも優しいよな」
と、国無、冷蔵庫からペットボトルのガラナを投げてやる
父2「お」
国無「ガラナ」
父2「(キャッチ)国無さん(感動)」
国無「炭酸投げちゃった」
父2「問題ないっす!」
国無「あれ?バトンないぞ(冷蔵庫みながら)」
父2「え、まじすか」
国無「あれないと困るんだろ?」
父2「はい。俺らの存在価値ないす」
国無「あんまり持ち歩くなって。1と、3と、4に」
父2「ほんとっすね」
国無「じゃな」
父2「あの!おれらほんと、感謝してます。かくまってもらって」
国無「いいって」
父2「こんな良くして貰ったの、産まれて初めてっつーか」
国無「電気消せ。見つかるぞ」
父2、立ち上がり
父2「国無さん、おれたちクローン人間のせいですんません」
国無「はいはい」
玄関口で立ち止まり
国無「あ、お前ら話し声おとせ。俺デリケートだから」
父2「え?話し声?」
国無「2」
父2「はい」
国無「俺の毛布使え」
父2「あ、ありがとうございます」
国無退場。
父2「?話してないけどな。寝言言ったかな」
父2、座り込み、
父2「持ち出すなよ『バトン』。追手来てるんだから。
できそこないのクローン人間なんて即処分かなぁ
問題は『なに星人』が追ってくるかだな。
戦闘民族。ロミュランかクリンゴンならもう終わりだ。
ヴァルカンかグレイならなぁ。
あいつらちょっと表情無くて怖いんだよな。
ああ、また独り言言ってる。これ私の欠陥だなぁ」
アンジェラの足音。察知する。打たれ弱いけど運動神経は良い。
父2「!足音が聞こえる。風邪引きやすいけど身体能力は良い我々だ」
父2、毛布をかぶる)
アンジェラが来る
アンジェラ「vay' Daghaj 'oH?(誰かいるか?)」
アンジェラ
アンジェラ「、、、」
ハンドスキャナーをかざすが、
SEブー、ブブ、ブー
なぜかうまく作動しない。
イライラして部室を飛び出し
ハンドスキャナーを袖に投げ
アンジェラ「Hegh!(死ね!)」
と、派手にフェイザーで撃つ
SEチュン!!シュワアバアアアアア!!
派手にそでが光る。
野球部のプレハブ小屋が消失した
アンジェラ「majQa'(素晴らしい)」
少し満足して退場する。
父、震えながらおそるおそる顔を出す
父「(ガクガクブルブル)クリンゴン星人だ。!!」
■戻ってくる
3人、バカみたくもどってくる
3人(口々に)「なんだなんだ」「なんのおとだ」「光った光った」「どしたどした」「こっちだこっちだ」
父2、掃除用具入れに隠れる。
宇宙「ほら電気!」
恩田「あれ?ほんとだ」
宇宙「な!」
ハナ「電気来てるよ、部室」
恩田「ねぇ、こっちに野球部のプレハブ小屋なかったっけ」
宇宙「先に取り壊したんだろ」
恩田「あとかたもない」
ハナ「まるで消滅したみたいに」
宇宙「解体屋もいい仕事したんだよ」
恩田「さっきまた光ったよな」
宇宙「ショートしたんだろ」
ハナ「なんか熱い」
宇宙「冬も終わりだ」
恩田「熱風を感じるんだけど」
ハナ「焦げ臭いし」
宇宙「なんかの拍子で通電したんだろ」
と3人、部室に入る。が。
ハナ「あー、電気あるって、すばらしいね。おや?」
恩田「おれらなんで戻ってきちゃったんだ。おや?」
宇宙「恐れるな、科学の力で解明しよう。どした?」
生活物資が散乱している
ハナ「明るくなってみると」
恩田「この生活感」
宇宙「ほんとだ」
ハナ「毛布」
恩田「カップ麺」
宇宙「冷蔵庫」
ハナ「カセットコンロ」
恩田「洗濯物」
宇宙「チャリ」
ハナ「時計」
恩田「スマホの充電」
宇宙「少年ジャンプ」
ハナ「ファブリーズ」
3人「(顔を見合わせ)住民?!」
ハナ「人ん家?」
恩田「住んでる?」
宇宙「部室だぞ?」
ハナ「不法侵入!」
恩田「ホームレス!」
宇宙「ありうる!」
ハナ「ファブリーズ!」
恩田「キレイ好き!」
宇宙「ありうる!」
ハナ「不審者かも」
恩田「カルト教団」
宇宙「新興宗教」
ハナ「やめてよ」
恩田「UFOきて心霊きて、次は人間か」
宇宙「ある意味」
ハナ「一番こわい」
恩田「ハイッ」
3人「おじゃましました(礼)」
帰ろうと、一歩きびすを返すと
■清彦UFO目撃
SE(生音) コツ
恩田「シッ!」
ハナ「今度なに?!」
宇宙「あっちだ」
ハナ「やだやだやだやだやだ」
SEコツ、コツ、コツ
ハナ「(恐)なんのおと、、?」
SEコツ、コツ、コツ
恩田「緑の光?!」
宇宙「、、まどのほうだ」
ハナ「確かめないで!確かめないで!」
恩田「やだやだやだやだ」
宇宙「猫だ猫」
おそるおそる、そっちを懐中電灯で照らして見る。
清彦「にゃあ」
3人「ぎゃあああ!」
窓のとこにオールバックでサングラスの清彦。
顔を電気ランタンで下から照らしてる
清彦「国士無双」と日本酒を出し、
3人「ああああ!」
清彦「鮭トバ」とコンビニ袋を出す。
3人「ああああああ!」
清彦「買ってきた」
3人「清彦!」
清彦「鮭トバ!」
ハナ「てめえ!」
清彦「ハナちゃん怖い」
宇宙「酒よこせ」窓を開けようとする。
清彦「国士無双!」
恩田「なんだって?」
ハナ「北海道の銘酒です」
宇宙「マド開かない」
恩田「さびてんのか?」
宇宙「(パント窓マイム)あ、マドガラス(下手)」
恩田「(パント窓開かないマイム)ほんとだ、マドガラス(下手)」
ハナ「そこにマドガラスがあるってことはもうわかったよ」
二人「ふー(汗)」
清彦「(ガラスペタペタ)ほんとだ」
二人「うるせえ」
ハナ「グランドの方から回って」
清彦「ちぇーーーーい」
清彦、走ってグラウンド側へ行く
ハナ「びっくりさせおって」
恩田「清彦まだ足早えな」
ハナ「いまだにパシリだからねぇ」
恩田「なんの?」
ハナ「ホスト?ヤクザ?」
宇宙「チンピラ」
恩田「すすきので?」
宇宙「年下にこきつかわれてるらしいわ」
恩田「もう良い歳だろうに」
宇宙「もともと精神年齢が低いから」
恩田「あいつの早さの秘密」
宇宙「『考えない』」
ハナ「いいすぎ」
恩田「あ、戻ってきた。やっぱ速いな」
清彦、戻ってくる
清彦「あ、そうだUFOみた?」
3人「え?」
ハナ「校舎の方?!」
清彦「緑の光」
ハナ「みた?!」
清彦「間違いないっしょ」
ハナ「ほらあ!!」
清彦「宇宙」
宇宙「なによ」
清彦「今日ってさあ、そうだよねぇ?」
宇宙「あ?」
清彦「おじさんの日だよね?」
二人「え?」
宇宙「何言ってんだおまえ」
清彦「俺覚えてっし」
恩田「なんの話し」
宇宙「知らん」
清彦「間違いないっしょ」
宇宙「バカかお前、帰れ」
清彦「カムバック鮭トバ」
ハナ「何言ってんの?」
恩田「さあ」
宇宙「おまえ黙ってろ。帰れ!」
清彦「やっぱなー♪ちぇえええい」
と、いなくなる。
恩田「カムバック鮭トバ」
ハナ「カンバックサーモンなら聞いたことある」
宇宙「なんでもない。余計なことを」
ハナ「余計なこと?」
恩田「あ、そうだUFO」
ハナ「ほらあ!!目撃者増えた!」
宇宙「(舌打ち)」
恩田「したうち」
宇宙「バカの言うことだぞ」
ハナ「ちょっと」
宇宙「頭おかしいんだよあいつはもとから」
ハナ「どうしてそういうこというの」
恩田「いやいや、目撃証言だろ?」
宇宙「バカがいると物事が大げさになる」
ハナ「冷たい」
宇宙「なに」
ハナ「清彦に」
宇宙「関係ないでしょ」
ハナ「前は仲良かったのに」
宇宙「いいよその話どーでも」
恩田「おじさんの日って何?」
宇宙「知らん。じゃ、緑の光の正体を俺が証明するわ」
ハナ「すぐはぐらかす」
宇宙「は?」
ハナ「なんでもない」
恩田「君はなんだと思うんだワトソン?」
宇宙「ホームズだけどね。」
二人「はいはいはい」
宇宙「猫」
恩田「なんでも猫かホームズくん」
宇宙「でてこーい。緑の猫ー」
恩田「光るのかその猫」
宇宙「目ですよ。目」
ハナ「ちがうと思うよ」
宇宙「俺のLEDつえーよ。見ろワトソン君。サーチライトだ」
と校舎の方へ懐中電灯をあてる
宇宙「ほらほら」
ハナ「わあ」
宇宙「おお」
恩田「おおお」
宇宙「がっこー」
間。しばし見惚れる。
恩田「けっこうでかいね」
宇宙「ボロいね」
ハナ「でも」
二人「うん」
ハナ「かっこいい」
二人「うん」
ハナ「なくなっちゃうのかー」
恩田「あー」
宇宙「俺思うに、ここの住人、卒業生だと思う」
ハナ「あ、あたしも思った」
恩田「なんで?」
宇宙「カギ」
ハナ「そう!かかってたじゃん」
恩田「だから?」
ハナ「宇宙と一緒」
宇宙「卒業しても合鍵返さない派」
恩田「そんな派閥あんのか」
ハナ「歴代部長の誰かってことだよね」
宇宙「だれだろなー」
恩田「宇宙みたいな奴?」
ハナ「横流しの可能性もあるね」
恩田「宇宙みたいな奴から?」
宇宙「なかよくなれそう」
ハナ「一緒に住めば」
恩田「ルームシェア」
宇宙「会えたら真っ先に相談することにしよう」
ハナ「ああ、そう考えたらちょっと安心」
ハナ、くつろぎはじめる
恩田「どんとこい、住人、よっこらしょー」すわる。
宇宙「どっこいしょー」すわる
ハナ「もう走ってないの?」
二人「ん??」肩をポンポン
ハナ「走ってないね」
恩田「社会の先生が400メートル全速力で走るか」
宇宙「医学生が3.5フィートのハードル飛びながら110メートル走るか?」
恩田「勉強忙しいのかね?」
ハナ「休学中でしょうよ」
恩田「そーなのか」
宇宙「やめるかもしれん」
ハナ「そーなの?」
宇宙「目的なくなりそうだから」
恩田「目的って?」
宇宙「医者になる目的」
恩田「なにそれ」
宇宙「いんだこの話は」
恩田「なんだよ」
宇宙「いんだよ」
恩田「けち。そこまで言ったくせに」
宇宙「口がすべった」
恩田「相変わらずだなそーいうの」
宇宙「なに」
恩田「思わせぶりにしといて」
ハナ「肝心なことはしゃべらない」
宇宙「そう?」
ハナ「昔からずっと」
宇宙「あー」
恩田「かわいくねえ」
ハナ「素直じゃねえ」
宇宙「、、、」
間、SE工事現場の囲いがバサつく音
宇宙「ちょと、寒くなってきたな」
ハナ「うん」
宇宙「サクラは、まだかー」
恩田「雪もちらほら残ってっしな」
ハナ「そだねー」
恩田「でだ。どこに埋めたんだ?」
宇宙「なに?」
恩田「なにじゃねえだろ!東西線スコップしょってのったんだぞ俺」
宇宙「ああ、それか」
ハナ「タイムカプセル」
恩田「地下歩行空間スコップしょって歩いたんだぞ俺」
二人「えらい!」
ハナ「ねえ。覚えてる?何入れたか」
二人「ぜんっぜん」
ハナ「10年ってすごいよね。
あの頃、絶対覚えてようと思ったこと、
こんなに綺麗に忘れちゃうんだね」
恩田「そうだなあ」
宇宙「覚えてることもあるけどなー忘れたくても」
ハナ「え?」
宇宙「アタタタ」
ハナ「頭痛?」
宇宙「まぁ、だいたい常に痛いから」
ハナ「なんか、年々ひどくなってない?」
宇宙「最近よく眠れなくて」
ハナ「だいじょうぶ?」
宇宙「変な夢見て、起きるんだよ」
ハナ「夢?」
宇宙「いつものようにバイトしてたんだ。
コンビニの自動ドアが開いて
見覚えのある二人連れが入ってくるわけ
女の方は間違いなく高校の時の彼女」
ハナ「ユッキーノ?」
宇宙「声をかけようとするけど、俺は息を飲むんだよ」
恩田「なんで」
宇宙「雪乃のとなりに俺の顔があるの」
二人「え?」
宇宙「自分に瓜二つの男が雪乃の肩を抱いているんだよ。
向こうはこっちを見ていない。
レジを打つ手が震えて、バーコードが読み取れなくて、
そこで目が覚める。」
ハナ「なんか怖いね」
恩田「疲れてる?」
宇宙「かも」
恩田「おし!小林来る前に掘ろう。そして飲む!」
宇宙「え?」
恩田「開けるのはどっかほら、居酒屋三百円とかで」
宇宙「ま、家主来る前に退散するか」
ハナ「どこに埋めたか知ってる?」
宇宙「埋めたときいないし」
恩田「俺もいないよ」
ハナ「誰も知らないの?!」
宇宙「清彦は?」
ハナ「あ、知ってるはずだ」
恩田「忘れてんじゃないかあいつの場合」
宇宙「ありうる」
ハナ「ユッキーノは?あの子なら絶対覚えてっしょ?」
恩田「来ないの?」
宇宙「だから俺知らないって。幹事小林」
恩田「ユッキーノ、割といい大学入ったんじゃなかった?」
ハナ「どうだっけ?」
宇宙「うん」
恩田「同じとこ?」
宇宙「ぜんぜん。あっちは人類学。東京の大学だもん」
恩田「すぐ別れたのか」
宇宙「おれこっちで3浪ですから」
ハナ「がんばったがんばった」
宇宙「頑張ってないから落ち続けたんだけどね」
恩田「みんな色々だよな。今や」
ハナ「10人くらい居たよね3年」
恩田「何人集まるんだ?」
宇宙「札幌いるの、俺らくらいだろ?」
ハナ「だんだん人へってきたよね」
恩田「タケなんて、東京の商社マンだろ?」
ハナ「女子陸部、半分結婚したって」
宇宙「トミオ家建てたわ」
恩田「小林も二人産んだはずだぞ」
ハナ「もう尊敬しちゃうわ」
宇宙「20代後半だ、あるだろ」
恩田「俺中学教師。彼女いない暦、ひどい」
宇宙「おれ、まだ学生。しかも休学」
ハナ「あたしキャバ嬢。指名ゼロ」
恩田「よし、暗い話禁止!」
二人「はい!」
宇宙「結局、小林待ちかあ!」
恩田「小林はどうした小林わあ!」
ハナ「女子陸上部部長ぉ小林ぃ!」
宇宙「ほんとに騙されてねえだろな俺ら」
恩田「あと5分で来なかったら場所変えよう」
二人「よし」
なんとなく各々探索中
宇宙「ドッペルゲンガーって知ってる?」
恩田「インテリゲンちゃん?」
宇宙「うんちがう」
恩田「山のうえから叫ぶと声がかえってくる」
ハナ「それヤマビコだね」
恩田「寝て起きたらこっちに首がまがらない」
ハナ「寝違えだね」
恩田「北海道だけアズキが甘い」
ハナ「お赤飯ですかね」
宇宙「知らないって言え」
恩田「見当もつかんね(ナイスファイト)」
ハナ「ドッペルゲンガーね(おまえもな)」
恩田「ゲンちゃんがなんだって?」
ハナ「さっきの夢の話し?」
宇宙「地球上に自分にそっくりな人間が居るんだって、3人」
恩田「おー。会いしたいわ」
ハナ「でも、会ったら死ぬって言わない?」
宇宙「脳科学的には違うらしいよ」
恩田「どう違うの」
宇宙「もともと脳の障害だって説」
ハナ「え?」
宇宙「脳に異常をきたして、死に際に自分の幻影を見るっていう」
恩田「ああ、納得」
宇宙「リンカーンや、芥川竜之介もドッペルゲンガー見て、死んだんだって」
ハナ「調べたの?」
宇宙「ウィキペディア」
ハナ「なんで?」
宇宙「えーと、医大生だから?」
ハナ「ふーーん」
宇宙「なに?」
ハナ「なんでもない」
宇宙「あ」
ハナ「え?」
宇宙「電話してくる」
ハナ「は?」
宇宙「電話。ついでに校舎みてくるか♪」
宇宙、校舎側へいなくなる
ハナ「ここですりゃいいのに。きかねえっつの」
恩田「ねえ」
ハナ「なに」
恩田「つきあってんの」
ハナ「つきあってない一度も」
恩田「即答」
ハナ「つきあってない一度も」
恩田「わかりました」
ハナ「別の話しに」
恩田「いつからキャバ嬢?」
ハナ「22」
恩田「大学いったっけ」
ハナ「親離婚。仕送り不能。夜のバイト。結局中退。キャバ嬢本業。28歳。指名ゼロ。出会いなし。結婚願望アリ」
恩田「ありがとうございました。質問以上です」
ハナ「東京行こーかと思って」
恩田「え?東京?」
ハナ「花の都大東京♪」
恩田「なんで」
ハナ「なんとなく」
恩田「ふーん」
ハナ「ほんとになんとなく」
恩田「宇宙知ってんの?」
ハナ「言った」
恩田「なんて?」
ハナ「『いけば?』」
恩田「あー」
ハナ「『なんで俺に言うの?』」
恩田「じゃえーと別の質問しますねー」
ハナ「御願いしまーす」
恩田「あ、そうだ!」
ハナ「え?」
恩田「清彦言ってた『おじさんの日』ってなによ?
まったくわくわくしないネーミングだよな」
間
ハナ「あー。言ったって言わないでね?」
恩田「え?重たい話し?」
ハナ「たぶん今日、宇宙のお父さんが蒸発した日」
恩田「お、おもてえーーー」
ハナ「10年前ね『松山博士失踪』って新聞載った」
恩田「なんでよ」
ハナ「『宇宙に人間だけだなんて寂しい』って書き置して消えちゃったの」
恩田「博士ってなに?」
ハナ「宇宙人類学の教授でね。大学の講義はスタートレックのコスプレでやる名物教授」
恩田「うわ、変な先生」
ハナ「あたしらにはおもしろい近所のおじさんだったよ」
恩田「スタートレックってあのSF映画の?」
ハナ「宇宙大作戦。あたしも清彦も、小学生の時ビデオ貸してもらったり。
カーク船長はやっぱシャトナーだよね。クリスパインはアホづら」
恩田「なにがなんだかさっぱりだ」
ハナ「大好きだったんだよ宇宙、
お父さんのことも、自分の名前も。
おじさん消えてから宇宙変わった。
SF話も好きだったのに嫌いになったみたい」
恩田「10年前の今日ったら、卒業してすぐか」
ハナ「そー」
恩田「親父の蒸発なんて。想像つかんなぁ」
ハナ「うちも。離婚したけどちょくちょく会うし」
恩田「俺なんてじーさんがフランスブルゴーニュ地方にいるってだけで、
うち普通の家庭だもんな」
■遭遇
プシュウ!!!ガタタン!
と掃除用具入れから生音がする。
ハナ「プシュウ?」
恩田「ガタタン?」
父2(声)「ガラナ!」
父2、掃除用具入れから手にかかったガラナをぬすくりつけながら出てくる。
ハナ「わあ!」
恩田「なにやってんだおまえ」
父2「くそ!!ガラナッてなんだ!ガラナ!(かぐ)薬品?!くさ!嫌い!」
ハナ「北海道限定商品ガラナ」
恩田「そうだよ」
ハナ「全国で発売されていたガラナはコーラの普及力に押され消えていった。
が、しかしコーラの普及が3年遅れた北海道、その3年の間に道民にガラナが定着、
全国にコーラが普及した今でも、北海道ではガラナが脈々と生きづいているのだ」
父2&恩田「なんかすごい!」
ハナ「なんでそんなとこ入ってたの?」
父2「割とどこでも眠れる方なので」
恩田「何言ってんの」
ハナ「あれ?着替えた?」
父2「え?」
恩田「ほんとだ。ツナギ。ほったるでーみたいな?」
ハナ「2って何さそのツナギ」
父2「あの繁殖した順に国無さんが」
ハナ「国無?」
恩田「あれ?おまえ髪切った?」
父2「いや産まれてから切ってないです」
ハナ「産まれてから?」
父2「すいません、えーと、あのー、ちょっと待ってもらっていいですか」
恩田「なんで敬語なんだおまえ」
ハナ「宇宙」
父2「、、?、、」
父2、宇宙を見上げる。何もない。二人を伺う。
二人「?」
恩田「宇宙」
父2「、、?、、」
父2、宇宙を見上げる。何もない。二人を伺う。
二人「?」
父2「なんでしょう?」
二人「おそい」
父2「まずい。まずいぞ。あきらかに怪しい目で見られてる。
この場をどうにか穏便にやりすごさねばなるまい。
しかし妙だ。どうしてこの地球人たちは私のことを知っている様子なんだろう。
もしかして私のオリジナルのことを知っているんだろうか」
ハナ「ひとりごとまるぎこえ」
恩田「なんのあそび?」
父2「ここはひとつ、私の知りうる限りの地球の知識を駆使して、
自然な地球人しかも日本人の振る舞いできりぬけよう」
ハナ「宇宙?」
父2「、、?、、」
父2、日本的に宇宙を見上げる。何もない。二人を伺う。
父2「本日は私のためにこのような場を設けていただき、
本当にありがとうございます。
また先程は皆様から身に余るお言葉を頂き、感謝の念に耐えません。
これからは、ここで教えていただいた事を忘れずに、
もっともっと自分を磨いて、存分に力を発揮して参りたいと思います。
皆さまには、本当にお世話になりました。
最後に皆様のご健勝とご活躍をお祈り申し上げ、
お別れの言葉とさせていただきます。
本当にありがとうございました(深く礼)」
(出典:ビジネスマナーと基礎知識
挨拶・スピーチ・お礼の挨拶
<送別会>主役の言葉 転勤の場合より)
二人「(深く礼)」
父2「完璧(ガッツポーズ)」
父2退場
しばらく呆然とする二人
ハナ「いまのなに?」
恩田「送別会の主役のスピーチ、だったような」
ハナ「どうしたの宇宙」
恩田「わからん」
考え込む二人
ハナ「あ」
恩田「?」
ハナ「聞かれてたのかもさっきのハナシ」
恩田「あ」
ハナ「怒ったんだ」
恩田「それだ」
ハナ「やばい」
恩田「それで送別会の主役のスピーチを」
ハナ「うん」
恩田「え、そうかなー?」
ハナ「違うね」
恩田「違うよ。
ハナ「いつももっとストレートに不快感だすわ」
恩田「そうだわ」
ハナ「でも、今日、いつもと違うからな」
恩田「うん」
ハナ「どうしよう」
恩田「おいかけよう」
宇宙戻ってくる
宇宙「?」
恩田「そして、謝る」
ハナ「あたしだって謝る!」
恩田「俺が無理に聞き出したんだお前の過去」
ハナ「あたしも余計なことをべらべらとまるで拡声器!」
宇宙「おーい」
恩田「今日は特別な日かもしれない。でもそんなの関係ねえ!」
ハナ「パッキャマラード!」
恩田「俺たちは追いかける!そして、奴を受け入れてやるんだ」
ハナ「パッキャマラーっド」
宇宙「なんだこれ」
ハナ「え?」
恩田「あれ?」
宇宙「なんの遊び?演劇?」
ハナ「宇宙」
恩田「戻ってきたの」
宇宙「うん」
ハナ「あ、そうなんだ」
宇宙「あれ?じゃま?」
二人「いやいやいや!」
宇宙「なによ」
ハナ「おかえりなさい!」
恩田「あのまま戻ってこないかとおもった」
宇宙「え?電話してきただけだよ」
恩田「すまん!」
宇宙「は?」
恩田「ちょっと俺、やじうま根性だした」
ハナ「ごめん」
宇宙「え?
ハナ「でも不機嫌な理由わかった方、パッキャマラードもいいかなって」
宇宙「なんの話ししてんの?」
恩田「おじさんの事」
宇宙「おじさん?」
恩田「10年前蒸発したって」
宇宙「おまえ言ったの!?」
ハナ「あれ?うん」
宇宙「おまえなんでもべらべらとまるで拡声器だな」
恩田「なんだろ」
ハナ「この初耳感」
宇宙「ま。ばれたならしょうがねえか」
ハナ「ごめん、あれ?」
宇宙「え?」
恩田「あれ?!」
ハナ「また服替えた?」
宇宙「服?」
恩田「やる気無くしたのか」
宇宙「え?なんの?」
ハナ「ほったるでえみたいな」
宇宙「は?」
恩田「髪の毛伸びてる」
ハナ「、、、」
恩田「、、、」
宇宙、ガラナを開ける。プシュッ
宇宙「(飲む)」
ハナ「プシュ?」
宇宙「ああ!うんめえ」
恩田「二本目?」
宇宙「え?ガラナ?」
恩田「今日二本目のガラナ?」
宇宙「一本目。どんだけガラナ好きよ。好きだけど」
ハナ「嫌いって言ったろう!」
宇宙「この薬品っぽさがいいよ」
恩田「臭いって言ったろう!」
宇宙「なんで北海道限定なの?」
二人「言ったろう!」
宇宙「え?」
二人「全国で発売されていたガラナはコーラの普及力に押され消えていった!
が、しかしコーラの普及が3年遅れた北海道、その3年の間に道民にガラナが定着!
全国にコーラが普及した今でも、北海道ではガラナが脈々と生きづいているのだ!」
宇宙「なんかすごい!」
二人「って言ったろう!」
宇宙「初耳」
二人「言ったろう!」
宇宙「なんかおっかねえ」
ハナ「掃除用具入れに入ってたよね?」
宇宙「いや」
二人「割とどこでも眠れる方って言ったろう!」
宇宙「二人ともおちつけ!なんの話ししてんだ?
俺は外で母親の入院先に電話入れてたんだぞ?」
ハナ「え?」
恩田「別の奴だ」
宇宙「え?」
恩田「同じ顔の、別の奴だ。
宇宙「なに言ってんだパッキャマラード」
恩田「おまえに瓜二つの男がさっき掃除用具入れから出てきたんだよ、ガラナ持って!」
宇宙「、、え?」
恩田「ドッペルゲンガーじゃねぇ?」
宇宙「え?」
恩田「おまえ、ドッペルゲンガーじゃねえ?!」
宇宙「おれが、、ドッペルゲン」
ハナ「ぎゃああああああ」
宇宙「違うわ!俺俺!俺!宇宙宇宙!宇宙!叫ぶな!」
恩田「ごめん」
ハナ「パニクった」
宇宙「おちつけ!深呼吸!」
二人「ひっひっふー」
宇宙「余計なことばっかりだな」
恩田「ごめん」
ハナ「落ち着いた」
宇宙「説明しろよ」
恩田「まぼろしとかじゃないよな」
ハナ「ドッペルゲンガーは本人が見るんじゃないの?」
宇宙「他人が目撃するケースもあるっていうけど俺はそんなもん信じない」
恩田「じゃなんだったんだあいつ『2』って!『2』って!」
宇宙「カマラードそれ、完全に俺だった?」
恩田「え?」
ハナ「どういうこと?」
宇宙「おやじの書き置きの裏に、10年したら帰ってくるって書いてあったから」
二人「え?」
宇宙「だからつい、
期待しちゃってるわけよ今日。俺も、おふくろも。
もう死んでるかもしんないのに」
SEシートがばさつく音
3人「!?」
■停電、赤い目
作業灯が消える
ハナ「あ」
宇宙「停電?」
恩田「びびる」
宇宙「懐中電灯」
カチ、カチ
ハナ「つかない」
恩田「そういえばこの謎は」
宇宙「解決してない」
恩田「あーーー(ー。ー)しまったーーー」
宇宙「どした?」
恩田「暗闇の中一人で抱えきれないこと思いついたーー(ー.ー)」
ハナ「あたしもーー(ー。ー)」
二人「あーーーー」
宇宙「なによ?」
二人「おこんない?」
宇宙「え?」
二人「おこんない?」
宇宙「言ってみろ」
二人「おこんない?」
宇宙「おこんない」
恩田「金田さんどうぞ」
ハナ「恩田さんどうぞ」
恩田「レディファーストで」
宇宙「どっちでもいいよ」
ハナ「宇宙のお父さんじゃない?」
宇宙「は?」
恩田「本当に失礼な話しでそうじゃないことを心から願ってる」
ハナ「だけどこれ」
二人「『死んだお父さん』の仕業じゃない!?」
宇宙「人の親父を殺すな!!」
恩田「だってもうこの流れはそうだよ!」
ハナ「死んでるかもって言ったじゃん!」
宇宙「言ったけどお前らもっと気を使え!」
効果音ヴォン 赤い光が二つ、闇に浮かぶ( ● ● )
宇宙「諸君」
二人「え」
宇宙「事態はそんなに美しいものじゃないかもしれないぞ」
二人「え?」
効果音ヴ、ヴ、ヴ、ヴ、ヴ
ハナ「、な、なんの音、デスカ?」
恩田「ワ、ワッカリまセン」
宇宙「ふりむくなよ、絶対にふりむくな。そのまま」
ハナ「なに?なに?なに?」
恩田ふりむく
効果音ヴ、ヴ、ヴ、ヴ、ヴ
恩田「ごめん」
宇宙「どした」
恩田「ふりむいちゃったぁー(泣)」
ハナ「え?え?え?」
宇宙「ハナ!がんばれ、ふりむくな!」
赤い光、少しづつ近づいてくる
効果音ヴ、ヴ、ヴ、ヴ、ヴ
恩田「あっかぁぁぁいぃぃ(泣)」
ハナ「なに!?なに!」
恩田「リアルおにごっこぉぉ」
ハナ「お父さんごめんなさい!」
恩田「うしろうしろ志村うしろ!」
ハナ「しむらごめんなさい!」
恩田「きたきたきたきたきたああ!」
宇宙「見るな見るな!」
ハナ「みちゃったああああ!!」
宇宙「走れ!」
恩田「GOGOGOGOOGOOGOGO!!!」
ハナ「お父さんごめんなさい!お父さんごめんなさい!」
赤い光「ゆるす」
3人「しゃべったああああああああああああ!」
ピ、カシャ!フラッシュ
宇宙「え?」
二人「ぎゃあああああああああああああああ!!!」
ハナ「(泣)写真撮られた!」
恩田「もう終わりだああ!」
二人「わああああああああああ!!!」
ピ、カシャ!フラッシュ
二人「終わりだあああああ!」
宇宙「おばけが写真とるか」
恩田「撮るかもよ!!」
ハナ「平成だもん!」
小林「♪スッスキーノ高校、陸部ーー♪」
3人「、、、」
小林「すすこー(薄野高校)、ふぁい(fight)」
3人「おー(Oh!)」
小林「ふぁい(fight)」
3人「おー(Oh!)」
小林「ふぁい(fight)」
3人「おー(Oh!)」
小林「すすこー、ふぁい」
3人「おーーーう(Ooooh!)」
ピ、カシャ!フラッシュ
3人「(ー_ー)/(ー_ー)/(ー_ー)/」
手をあげてる3人
小林「ウケる」
電気つく
元女子陸上部部長・小林愛
ツナギを着て暗視スコープをつけ腰袋には七つ道具を装備。
探検家っぽいインディーな帽子。などなど
小林「赤外線スコープ、超見える」
恩田「おまえ!!!」
宇宙「スス高陸部!」
ハナ「女子部部長!」
3人「小林愛!」
小林「貴様らの無様な写真はすでにフェイスブック上に共有された」
3人「てめええ!」
小林「タグづけ」
3人「すんな!」
小林「びびった?」
ハナ「くそびびったわ!」
宇宙「本当にハメられた」
ハナ「あああ、もう、ちびるとこだ」
恩田「おれ、ちびった」
小林「なんで男子陸部プレハブ電気通ってんの?。
女子部真っ暗だったからめっちゃサイレントヒル。
なんで今日ちょくちょく電気おちるの?そーださっき緑のUFOみた?
あ野球部のプレハブが跡形もないのはなんで?
てか何この生活感。だれ住んでんの?あ、チャリだ(写真パシャア)
3人「ああ、疲れた」(座り込む)
小林「男子部こんだけ?」
ハナ「あと清彦」
小林「おー、北野!考えるとき『両方の手の平上にしてわき甘く閉めてちょいうつむく奴』!」
3人「うん」
ハナ「女子部誰くるの?」
小林「国無だけ」
ハナ「国無?」
宇宙「雪乃?」
小林「ユッキーノ」
恩田「国無?」
宇宙「どした?」
ハナ「国無って今日どっかで聞いた」
恩田「聞いた」
小林「雪乃、宇宙人類学の研究で帰省してんだって。宇宙の親父の研究所入ったんでしょ?」
宇宙「うん」
ハナ「へー」
恩田「小林、タイムカプセルさっさと掘ってつぼ八へ行きたい俺」
ハナ「賛成」
宇宙「どこに埋めた?」
小林「わかんない」
ハナ「え誰知ってんの?」
小林「清彦」
全員「清彦?」
小林「『これどっか埋めといて』って。言ったの」
3人「軽い!」
小林「だってみんなで埋めようって言ったのに
集まったのあたしと清彦と雪乃だけだったから
ムカついてあんた男だから一人でやりなさいっておしつけたの」
宇宙「じゃ、清彦待ちするしかないわけね」
恩田「いろはにほへと!いろはにほへと!」
宇宙「チェーン店が恋しいのか」
恩田「おまえねぇ函館のド田舎で中学教師やってみろ。
なんにもねえんだぞ?不自由しないのはイカくらいだ」
小林。校舎を照らす
小林「おお、学校!けっこうでかいね。ボロいね。でも。かっこいい。うんうん」
ハナ「愛ちゃんそれ全部やったよ」
小林「なくなっちゃうのかー。見納めだね」
■クローン隊
と、そこに布団をしょって戻ってくる国無。
国無。100均の外人のお面(タグつき)をしている、テキパキと武器を構える。熊手。
ハナ「取り壊すとなると、やっぱさみしい」
宇宙「まーね」
恩田「青春は、教室とこのプレハブとの往復で終わったな」
100均の外人のお面(タグつき)をした父クローン1、2、3が入ってくる。
小林「あっち水飲み場」
宇宙「見えた」
ハナ「なつかしい」
恩田「あんなうまい水、、!?(国無にきづく)」
国無「(そっちにいけ抵抗するな)」
父1「ふー、ふー(取り押さえる)」
恩田「(降伏、連行)もうのめねーな。」
ハナ「まぁ、だいたい、、!?(国無にきづく)」
国無「(そっちにいけ抵抗するな)」
父3「ふー、ふー(取り押さえる)」
ハナ「(降伏、連行)そういうもんだよね。」
宇宙「ううん(国無にきづく)」
国無「(そっちにいけ抵抗するな)」
父2「ふー、ふー(取り押さえる)
宇宙「(降伏、連行)ノスタルジー」
小林、振り返ると、熊手の男がいる
国無「野球部のプレハブ小屋をふっとばしやがったな、異星人め
小林「は?」
国無「お前らが探しているものはこの星にはない」
小林「あ、あ、」
国無「ちっ、地球の言葉はつうじねえか。おい。2!2!」
父2「はい!」
国無「訳せ」
父2「はい」
国無「、、探しているものはここにはない」
父2「(モゴモゴ)vay' vItu' naDev Qo'」
国無「ここから出ていけ」
父2「(モゴモゴ)yIchegh tera' vo'」
小林「こいつらなに言ってんの?」
国無「あれ!」
宇宙「え?」
国無「3?」
宇宙「さん?」
国無「おい、1」
父1「ん?」
国無「こいつ、3だろ?」
父1「さん、なにしとるんだ」
宇宙「さん?」
父1「またお前は、すみません、今、状況を把握できてないかもしれません。
3は身体能力は非常に優れてますがバカなので」
国無「ったく教えてやれ」
父1「おい。おれだぞ。クリンゴンにバレんように覆面しとったんだが、お前のせいでで意味なしだ」
父1、仮面を脱ぐ
恩田「ドッペルゲンガー」
小林「、、、同じ顔」
ハナ「宇宙が、、、2人」
宇宙「俺も、死ぬのかな」
父1「も?」
宇宙「イテテテ」
国無「どした?」
小林「宇宙」
ハナ「だいじょぶ?」
父1「宇宙?」
宇宙「気絶」
全員「え?」
宇宙、卒倒する。生音ドゴバアアン!!!
全員「!!」
*大きな音がなるように、鳴りモノを仕込みます。
全員「すげええ音したあああ!!!」
父1「おまえ、宇宙か!」
ハナ「え?」
全員、父1を見る
暗
<< 幕が下がる >>
■そのころ、清彦は。
夜の音。(ホーホーとか?)
電気ランタンと一緒に、
部室の前に走ってくる清彦
外は月灯りと電気のおかげでわりと見える
日本酒と鮭トバを部室の前のベンチに置く。
清彦「ヒュッ、ヒュッ、ヒューーー」
軽くそのへんを走り、息を整え、整理運動をする。
清彦「やっぱ」
とサングラスを上げる。
清彦「サングラスは夜するもんじゃないな」
頭にかける。街頭の灯り。
清彦「ん?」
効果音ミリミミッミミミミイミミイイ
清彦「なんだ?」
と再びサングラスをさげて上空を見上げる。
効果音ミリミミッミミミミイミミイイ
緑の光が、清彦に見える。
清彦「わおおおお。まただ緑の光」
校舎の方に行った。
清彦「学校の方行った(考える)」
考えるとき清彦は手の平を上にしてわきを甘く閉め、20度うつむく。
清彦「はっ」
と我に返る。あごに右の握りこぶし。ひじに左手。そして、にやりとする。
清彦「あ、やべ。また、考えごとのとき、両方の手の平上にしてわき甘く閉めてちょいうつむいちゃった。なぐられるっつうの」
再び学校を向く。
清彦「屋上の方行った(考える)」
再び、手の平を上にしてわきを甘く閉め、20度うつむく。
清彦「あ(わかった)」
わかったとき清彦は眉をひそめ、目線を上にあげ、あごをつきだす。
清彦「わかった」
我にかえる
清彦「はっ」
と我に返る。あごに右の握りこぶし。ひじに左手。そして、にやりとする。
清彦「あ、やべ。またわかったとき眉ひそめて、目線上で、あごをつきだしちった。蹴られるっつうの」
にやりとする。
清彦「あれぜってえUFO。やっぱおじさん、帰って来たってこと?」
手の平を上にしてわきを甘く閉め、20度うつむき、再び考える
■父クローン3とDIP能力
父3「清彦?」
清彦「?」
父クローン3が校舎側から登場する。胸に四
手に『バトン』のような容器を持っている。
(*バトンはDNAサンプルの入った培養ジェル。
デザインは原子炉圧力容器のミニチュアのようなもの)
清彦「宇宙」
父3「北野、清彦君そうだろう」
清彦「うん『3』ってなに?」
父3「何をしているんだねこんな所で」
清彦「?」
父3「どうしたんだ豆がハト、鉄砲くらっクラッたったっパテシェ」
清彦「はあ?」
父3「はあ?ちょっと脳みそと知識と口の形が、完全にマッチングしなくてまいっちんぐ。日本語って難しいナリよ。だいたいウィキペディアでことたりてるかいコロ助」
清彦「宇宙」
父3「わかっちゃいるけどやめられねえ」
清彦「何その格好」
父3「格好?ああこれ?スタートレックティーヌジーの科学士官の青は目に優しく映るだろうマッコイ。しかしマリモッコリってのはギリギリあうとだな。まあ待て。靴ひもでもチョウに結んだらどうだちょう。父さん、講義はなるべくこの格好で出るようにってにってにってチョイナ、いずれ宇宙それは最後のフロンティアだってばようアゲハ」
清彦「ごめん。俺ついてけてない」
父3「まぁ、まずはヴァルカンの挨拶といこうMrスポック、クリンゴンにも事情があるんだフェレンギ」
父3、ヴァルカン人の挨拶をしてる。しゃべりまくる
父3「運動だな言葉ってのは。『長寿と繁栄』そして。ミキプルーンはやめとけ、身体にはいいがマイト、裏の海岸の亀、いじめないでそっとしてやれ。ジュンもホタルも倉本総があればこそだ富良野。さあ祝杯と行こう。安着祝いだ。じょうじ」
清彦「、、(強く考える)『じょうじ』ってテラフォーマーズ?」
父3「安着祝いイコール安全に着いたので、祝う。着陸成功。緑の光?ああUFOさ。どうして老人は緑を青って言うんだ」
手の平をしっかり上にしてわきを強く閉め、20度うつむき、いつもより強く考える清彦。
父3「UFOが無事についた。安全着陸」
清彦「(強くわかった)」
強く眉をひそめ、強く目線を上にあげ、強くあごをつきだす。
清彦「そうか!」
父3「今、君がよくわかった感じビシビシ伝わったイイゾ」
清彦「これか!祝杯!」
と、日本酒の瓶を持つ。
父3「国士無双、高砂酒造株式会社、北海道産オリゴ糖使用」
清彦「見たんだな宇宙」
父3「ああ、宇宙は、広かった。少し慣れてきた」
清彦「やっぱおじさん嘘ついてなかったな」
父3「この広い宇宙に地球人だけだなんて寂しいだろ?」
清彦「おじさんみたいなこと言って、宇宙」
父3「うん?」
清彦「仲直りできるな」
父3「え?」
清彦「祝杯!校舎まで競争!」
父3「あ、走る?」
清彦「いちについてようーい」
父3「お、よしきた」いちにつく
清彦先に一歩踏み出す。
父、沈みこむと不思議な音がする
バイオニックジェミー的な音。
SEシュチャチャチョチョチョチョチョン
あたりが緑の光につつまれる
スローモーションになる。
父、清彦を追い抜きつつ、
日本酒の瓶を受け取り、退場。
街頭の灯りに戻る。
清彦だけがいる。
清彦「はええ。宇宙」
と、ランタンを持ち。
清彦「あれ?」
手の平をしっかり上にしてわきを強く閉め、
20度うつむき、いつもより強く考える清彦。
■ユッキーノ
メガネをかけた国無雪乃が登場する。ゴーストバスターズのようにも見える。
古めかしい金属探知機のような掃除機のようなデカイ装置を背負っている。
清彦「?」
SEガーガガ、ガガーガガガ
雪乃、なんか聞いてる。
雪乃「あ。両方の手の平上にしてわき甘く閉めてちょいうつむいて考え事してるとこごめん。」
清彦「あ」
雪乃「ひさしぶり。わかる?北野くん」
清彦「お。ユッキーノ」
雪乃「ものすごいエネルギーの歪みを感知したの。
素粒子がいっぺんに活動をやめて、再開」
清彦「どうなんの?」
雪乃「周囲400メートル圏内が一瞬停電。
松山博士の学説通り、これは明らかにUFOの飛来の影響なわけ。
苦節10年。おじさんの研究引き継いだ甲斐があったってもんよ」
清彦「今日帰ってくるんでしょ?」
雪乃「え?」
清彦「ヒヒヒ(笑)宇宙、今日ひどいよ挙動不審。緊張してんの。八つ当たりボンバー。俺いきなりパシリ。イヒヒ(笑)」
雪乃「信じてんだ、宇宙」
清彦「うん。文句言うんじゃない?なんで俺も宇宙に連れていかなかったんだ。宇宙なのにって」
雪乃「お母さんから聞いてない?」
清彦「なにを?」
SEガッガガガ、
雪乃「あ?ちょっと待って。これ」
SEガッガガガ、ガガガ、ガガーガ
雪乃「すごい!信じられない!予告通り!ほんとにくる!
清彦「え?」
雪乃「北野君、いまから宇宙人が通りかかるかもしれないけど、あくまでも自然にね。
清彦「うちゅう人?」
雪乃「下手すると宇宙戦争にもなりかねないから言動には気をつけて」
清彦「うちゅう戦争?」
雪乃「ま、外国人だと思えばいいの。ススキノにもいるでしょ?」
清彦「ラッドブラザーズとかにね」
雪乃「ちなみにクリンゴン人とインド人のハーフだと思う」
清彦「え?」
雪乃「すすこー、ふぁい」
清彦「おー」
雪乃「来た!自然にふるまって!」
雪乃、隠れる。高飛びで。
清彦「隠し撮り?」
宇宙人アンジェラが通りかかる。
右手にはハンドスキャナー。左肩には変なバッグ。
こそこそしながら、右手の機械で何かの痕跡を探している。
SEヒョヒョヒョヒョヒョ
清彦、アンジェラに気づく
清彦「、、(外人だ)」
アンジェラ「vItu'(見つけた)」
*クリンゴン語を話す。
清彦「、、、(何人だ?)」
スマホのような
コミュニケーターをタッチする。
SEピキョキュ
アンジェラ「De'wI'、nuqDaq naDev?(コンピューター、ここはどこだ)」
Com「tera' asia nIpon sapporo (地球 アジア 日本 札幌)」
SEピキョキュ
アンジェラ「naDev click angela(こちらアンジェラ)
ngoQ SIch.loS vo'....」
アンジェラ、母船との通信を続ける。
清彦「、、、(宇宙を呼ぼう)」
清彦、そーっと移動しようとするが、
コンビニ袋につまずく。ガサリ
アンジェラ「!!」
清彦「鮭トバ」
アンジェラ「nuq!!?(なによ!?)」
アンジェラ、警戒態勢。変な機械を清彦に向ける。
しばらく、二人、お見合い。
清彦「、、な、、な」
アンジェラ「、、、」
清彦「なま、、、なま、、」
アンジェラ「、、、?」
清彦「(なま、なんだっけ)なま、、あ。南無」
アンジェラ「अब भी है」
清彦「あ(なますてか)」
アンジェラ「ナマステー(礼)」
清彦「なますてー(礼)」
二人、ニコニコする。
アンジェラ警戒態勢は解かない。
アンジェラ「(ニコニコ)」
ハンドスキャナーON
SEヒョヒョヒョヒョヒョ
アンジェラ「(ニコニコ)ナマステー(下手なことすると殺そう)」
清彦「(ニコニコ)?(なにしてんだろうこのインド人)」
アンジェラ「?」
清彦「あ!」
アンジェラ「nuq!(警戒)」
ハンドスキャナーをタッチし、放出エネルギー装填。
SEジジジジジジジ
清彦、コンビニ袋を拾い。
清彦「鮭トバ」
アンジェラ「?」
清彦「プレゼント」
アンジェラ「、、」
清彦「鮭トバ」
アンジェラ「SA kE?」
清彦「鮭トバ」
アンジェラ「shakEtoVo」
清彦「not カレー」
アンジェラ「nuq?」
清彦「なんでもない。鮭トバ for you」
清彦、食うジェスチャー
(*鮭トバは、アイヌ語の tupa トゥパ「鮭を身おろししたものを更に縦に細かく切って乾かしたもの」に由来する可能性もある、冬の北海道・東北地方・新潟県(村上市)の風物詩だ)
アンジェラ「(私に?)shakEtoVo fO yU?」
清彦「(そうそう!)ナマステナマステ(うなづきうなづき)」
アンジェラ、鮭トバをかかげる。
アンジェラ「धन्यवादダンニャワード(ヒンディー語)nuqneH(クリンゴン語)」
(*アンジェラは、地球{インド}人とクリンゴンのハーフだ)
清彦「(どうぞどうぞ)ナマステ(とっといての手)not カレーライス」
ゼリー状の青色のぷるんとした丸い物体が並んだ容器を出し、
清彦にすすめる。
清彦「?」
アンジェラ「ghargh」
清彦「がーふ?」
アンジェラ「SuD wa'(一つとれ)」
清彦「(いいの)ナマステ?」
アンジェラ「raD,Hal(力の源だ)ghargh(ガーフ)」
アンジェラ、食うジェスチャー
清彦「がーふ?」
アンジェラ、食うジェスチャー
清彦「くうのこれ」
アンジェラ「Sop(食え)」
清彦「、、、、」
ミミズに似た大型の生き物・ガーフ{ghargh}をミンチにしたもの。
生きたままが最良とされるが、宇宙食用に加熱処理してある。
青い色は血。生きているときは白いが空気にふれると青くなる
ということを知らない清彦、食う
清彦「(もしゃもしゃもしゃ)」
アンジェラ「chaq?(どうだ?)」
清彦「あ、うまい。うん。ナマステナマステ(うまいうまい)!」
アンジェラ、笑う
清彦「、、」
清彦、ときめく
アンジェラも鮭トバを出し
アンジェラ「ダンニャワード」
少し食べようとする。
アンジェラ「(食べ方がわからない)」
清彦、教える
清彦「(宇宙人もかわいいな)ナマステー」
アンジェラ「ダンニャワード」
母船から通信SEピキョキュ
COM「tI' naD angela(アンジェラ、命令が決まった)」
アンジェラ「nuq?(なんだ?)」
COM「HoH(殺せ)」
アンジェラ「、、Hegh?(殺すのか?)」
COM「qaS naD.(これは命令だ)」
アンジェラ「、、、tu'(わかった)」
SEピキョキュ
アンジェラ「(ため息)」
清彦「?」
アンジェラ「vaj Hoch(全部あげるよ)」
と、青い物体の入れ物ごと渡す。
清彦「お。ナマステ」
アンジェラ「、、、」
アンジェラ、カバンから『バトラフ (betleH)』という武器を取り出す。
(三日月型の刀身の内側の弧に刃が付き、外側の中央部を握って扱うクリンゴンの歴史と伝統に根差した「戦士の象徴」的な意味を持つ白兵戦用武器です)
清彦「?!」
あきらか鋭利に光るその刃物を手に、
民族儀式的にとりまわし、構える。
アンジェラ「QaQ bye(さよなら)अलविदाナマステ(さよなら)」
深く沈みこみ。
アンジェラ「DIP」
清彦「あ」
バイオニックジェミー的な音と緑の光の中、。
SEシュチャチャチョチョチョチョチョン
清彦だけストップモーション。
アンジェラ、効果音と緑の光の中、ゆっくりと消えていく
音が消え、照明戻る
SEシートがばさつく音。
清彦、宇宙食を手に、一人で呆然としている。
雪乃が再び、ズダダダダダダダっと走ってくる。
隠し撮りのビデオをチェックしついでに、
アンジェラが行った方、色んなところを、撮影する。
雪乃「!!」
食べ物に注目。
清彦「ユッキーノ」
雪乃「これなんてった?」
清彦「えっと、がーふ」
雪乃「ghargh」
清彦「発音いいね」
雪乃、スマホで『ghargh』検索。
雪乃「ghargh。ミミズに似た大型の生き物。
普段は生きたまま食すクリンゴン人の新鮮な常食」
清彦「え?ミミズ?」
雪乃「青い色は血。生きているときは白いが空気にふれると青くなる」
雪乃、一つ食べる。
清彦「あ、食った」
雪乃「Soj 'eyqu'!!(おいしい!)」
清彦「なんて言った?」
雪乃「おいしい!」
清彦「インド語?」
雪乃「クリンゴン語!qaStaHvIS 'u', neH Human reH mobwI'?」
清彦「なんて?」
雪乃「『この広い宇宙に地球人だけだなんて寂しいだろ?』!」
清彦「おじさんの口癖」
雪乃「これで実証されたことが二つ!一つはクリンゴン人が本当に居た!
もう一つはジーン・ロッデンベリーはそれを知っててスタートレックを書いた!
これで謎が解けました!
なぜテレビ宇宙大作戦があの時代にして深すぎる宇宙観を持っていたのか。
彼はなんらかの形で宇宙人とコンタクトを取っていた!くはあ(ガッツ)!」
清彦「なんか良かったね」
雪乃「これで、亡くなった博士も報われる」
清彦「え?」
雪乃「どうせ宇宙、みんなには言ってないでしょ」
清彦「うん」
雪乃「博士が消えた半年後、不審火で研究所倉庫が全焼して焼死体が一体残ったの。
薬品の影響でかなり高温で燃えたから、遺体の身元は判明しなかったけど。
状況から言って、松山博士だろうって。
警察も大学も発表は控えたけど、ご家族には連絡いってるよ。
あたし研究室から電話したんだもん」
清彦「、、、死んだ?」
着信
雪乃「(着信)あ、はい。うん、さっき新千歳ついて。
いや、高速バス北都交通の。うんうまく行ったうまく行った。
あ!聞いて!ねーちゃんもう遭遇したよ!いやほんと!あんたは?
あ、まだ?へっへっへいー♪え?うん。うーんとね。あ、じゃ当てて当てて。
あ、ちがう。それもちがいます。あー、違うね。お、惜しい。戦闘民族系ではある。
サイヤ人漫画じゃん。正解言っていい?言うよ?言うよ?じゃ、ラストはい。
はい正解ーーーーー!クリンゴーン!!
わりと普通!インド入ってたわマジで。うん。
信用していいと思うよ逃亡クローン人間の発言。
え?また増えたの!?ゴキブリかっ!
あ、なんかねえ、たぶんクローンやばいわ。うん。
インドクリンゴン、目がガチだった。あれ殺す気じゃね?
あんたどこにいんの?え?あ、部室?なんだ。あたし目の前じゃん
あ、なんか用?エサかってく?え?気絶?だれ?宇宙?!いくわ今」
清彦「死んでないと思うな」
雪乃「え?」
清彦「俺おじさん死んでないと思う」
雪乃「、、北野くん」
清彦「ぜったい」
雪乃「信じたいのは私も同じだけど」
清彦「俺、おじさん消えた本当の理由、知ってんだ」
雪乃「、、本当の理由?」
電話、切れる。街頭も切れる
雪乃「あれ、もしもし」
清彦「停電?」
雪乃「電話も切れた」
SEシュチャチャチチョチョンチョチョチョチョチョン
バイオニックジェミー的な音と緑の光の中、
父クローン3が逃げてくる。
アンジェラが追ってくる
雪乃「(ゆっくり大口をあけて、ゆっくりスマホをスワイプする)」
清彦「(ゆっくり両手の平を上に脇をしめて20度うつむく)」
アンジェラの『バトラフ』を
父クローン3が『バトン』と『国士無双』で受ける。
緑の光と音が止み
雪乃「宇宙?!」
アンジェラ「yItaD!(動かないで)」
清彦「なんて?」
雪乃「えーと」
父3「ジャッキーユンピョウブルースリー!」
雪乃「中国のアクションスター!」
アンジェラ「Heghlu'meH QaQ jajvam.」
雪乃「死ぬにはいい日だ」
戦闘音楽
<<ここで、なんかすごいアクションシーン>>
SEシュバ!ザザザア!ガシィ!キイイン!カン!ゴおおおん!
国無、クローン1、2、4
音に気づいて出てくる
国無たち「なんだ?」「なんの音だ」「どした?」「おい!」「こっちこっち」
SEシュバ!ザドア!ガバシィ!キイヌジイン!カモボぉおン!
なんかすごい。
全員「なんかすごい!」
清彦&雪乃「戦闘能力たけえ!」
国無「あ、姉ちゃん」
クローン123「いいぞ!3!」
父3「ヒュッ、ヒュー!」
父3、ブルースリーのように構える
アンジェラ。フェイザーで撃つ。
SEシュッバーーーーーン!!
父3、ぶっとぶ
国無たち「さん!!」
清彦、抱き起こす
国無「このやろう!」
アンジェラ「ghojmoHwI''a'(博士)MATSUYAMA(マツヤマ)ngeb(偽物)」
雪乃「松山博士の、偽物?」
清彦「え?」
クローン124「(まずい!)(しっかりお面をかぶる)(えりをたてる)」
アンジェラ「chu' pItlh.(遊びは終わりだ)」
雪乃「遊びは終わりだ」
父3「かえす」
父3、日本酒の瓶を渡す
父3「やっぱり宇宙と飲んでくれ、清彦くん」
清彦「、、おじさん?」
父3「国士無双、高砂酒造株式会社、北海道産『男同士の約束』使用」
清彦「え?」
父3「短いクローン人生だったな」
国無たち「さん!」
アンジェラ「DIP」
清彦「ナマステ!(やめろ!)」
アンジェラ、深く沈みこみ、DIP状態
SEシュチャチャチチョチョンチョチョチョチョチョン
緑の光。スローモーション
バトラフでとどめをさす。
SEズバン!!!!!
雪乃「!!」
国無たち「さあああああああん(3)!!!!」
雪乃「あ、あわあわあっわ」
アンジェラ『バトン』を確保する。
胸元のコミュニケーターON
通信SEピキョキュ
アンジェラ「Qu' naQmoH wanI'mey(任務完了)」
COM「wItI'nISmo' Suq(戻れ)」
アンジェラ「luq(はい)」
清彦「、、」
アンジェラ、母船へ向かう。去り際に。
アンジェラ「マーフ キージエ माँफ कीजिए(すまない)」
アンジェラ退場
かけよる国無たち
国無たち「さん!」
父3、死んでいる
国無「白い血」
父1(お面)「だめだ、、、青くなってく」
国無
国無「おまえらのバトン、あれ、渡せなかったら存在価値ねーんだろお前ら」
父1(お面)「、、くそ」
清彦、『国士無双』をもち、
よく考えるポーズになる
清彦「男同士の約束」
と立ち上がる
舞台、溶暗
■本編とまったく関係のない、夢のシーン
{付録}
■いつもと違う夢
<< 幕があく >>
SEピッ、、ピッ、、ピッ、、
宇宙「今。気絶して、夢を観ている」
緑の光。
宇宙、コンビニでレジを打ってる
宇宙「いらっしゃいませー」
父4起き上がり、
冒頭のスタートレックの衣装を着る
すると、父になる。
まわりの人たち、ストップモーション
宇宙「あれ?」
SEピッ、、ピッ、、ピッ、、
スキャナの手を止めても、鳴り続けるBEEP音
宇宙「(見まわす)いつもと違う」
たぶん。昔の記憶。心電図の音、止まる
父「何そんなに気落ちしてるんだお前は。
母さんの病気、今の医学では治らんかもしれんがな。
10年経てば、治るかもしれんぞ?
だから宇宙。
おまえはこれから一生懸命勉強して医大に入って
医者になって母さんを治すことを考えろ。
大学病院で研究を続けるんだ。
今日は難病認定の病気かもしれんがな。
明日になれば何がどうなってるかわからんさ」
宇宙「父さんは?」
父「もちろんこのまま異星人の研究をするよ?
だって父さん、これから医者になるわけにもいかん。
こんなことがあったからには、より一層、この研究に打ち込む」
宇宙の肩をつかむ
父「未来ってのは人間の想像力の賜物だ。
今は夢物語でもな。明日には現実になることだってあるんだ。
スタートレックに出てきたコンピューターと通信をする機械な。
折りたたみ携帯電話の原型になったんだぞ?」
宇宙「へー」
父「この広い宇宙に地球人だけだなんて寂しいだろ?
宇宙は我々が思うよりもでかい。想像がつかないくらいだ。
これは信じるとか信じないの話しじゃない。
飛び越えて走り続けられるかどうかの問題だ。
父さん、宇宙人に会えたら直接母さんの治し方を聞いてみるよ」
宇宙「それ、必ず俺に教えてよ」
父「もちろん。父さんが飛び越える。宇宙は走り続けろ」
宇宙「わかった」
父「『男同士の約束』な」
宇宙「『男同士の約束』」
父、消えていく
宇宙「父さん?」
再び、心電図の音。
ピッ、、、、ピッ、、、、ピッ、、、、ピッ、、、、
宇宙、電話をする。
宇宙「はい。10年経ったんで。ええ。
10年経ったら、母の機械止めようって決めてたんです。
今日、何も起こらなければ」
暗
■本当の理由の件
<< 幕があく >>
チーーーン
父3の服が洗濯ばさみで下がっている。
仏壇のようなものがあり、国士無双の瓶がある
宇宙、ふとんに寝ている
国無泣きはらしている。父2その世話をしている。
ハナ、雪乃、遠巻きに眺めている
国無「ウッウッ可哀想に可哀想になあ。3ー」
父2「泣かないでください国無さん」
ハナ「あれ?遺体は?」
父2「溶けました」
ハナ「え?」
雪乃「シュウウウって」
父2「(照れ)自分ら環境に配慮されてるんで」
ハナ&雪乃「へー(照れてんなぁ)」
国無「増えたばっがだのびーうううなにぼ殺ずごだねぇんだひっくー」
父2「だいじょぶっす。カスピ海ヨーグルトキノコみたいに繁殖しますから」
ハナ&雪乃「え?」
父2「自分ら自己増殖っす」
なんか興奮して恩田と清彦と小林が登場する
清彦「これ(3のつなぎ)」
恩田「もういい?」
父2「あ、増えました?」
清彦&恩田&小林「(興奮)増えた!」
ハナ&雪乃「もう?!」
父2「1と4は?」
小林「保健室」
恩田&清彦「ぐったりしてる」
雪乃「ぐったりすんだ(父2に)」
父2「自分まだ、経験ないっす」
雪乃「観たい」
ハナ「観たくない」
小林「観ないほうが」
清彦「番号替えなきゃ」清彦3の番号布を外す
恩田「次何番?」
父2「5っす」
小林「あ、このままいける!」マッキー持ってる。
恩田&清彦「?」
雪乃「つまり博士のクローンなのね」
ハナ「宇宙のドッペルゲンガーではなく」
父2「はい」
ハナ「どういうこと?」
雪乃「松山博士は宇宙人のクローン技術で、増やされた」
ハナ「おじさん、ぶっとんでんなぁ」
小林「はい、五!」
小林『三』を『五』にする
恩田&清彦「おおお!(拍手)」
小林「さすがシングルマザー」
ハナ「は?!」
雪乃「別れたんだって去年」
小林「でーぶい」
恩田「まじか」
小林「聞く?」
恩田「まず着せてくる」
清彦「ぶっとんでんなぁ」
恩田、清彦、走って服を着せにいく。
ハナ「楽しそう」
小林&雪乃「ね」
国無「ひっく、ひっく」
父2「おちつきました?」
小林、面白がって鈴を鳴らす
チーーーーーン
国無、ぶりかえす
国無「生きるってなんだー」
父2「(小林に)ああもう!」
小林「(合掌)なむからたん、なむからたん」
ハナ「なんでチーンあるの」
小林&雪乃「ダイソー」
ハナ「ダイソーすげえ」
国無「人間ってなんだああ!!」
父2「国無さんっ自分ら人間じゃないんで」
国無「悲しいこと、ゆーーなあああああ」
父2「おねえさんー」
雪乃「泣かしてやって」
国無「おれなんて派遣切りあってぇ、パズドラばっかりやってぇ」
雪乃「ネカフェ難民だったの、弟」
ハナ&父2「あー。えーー?」
国無「命ってなんだあっうううぎいいっ」
父2「なんか嬉しいっす国無さん」
国無「俺こそ不必要な人間だもの!毎日!パズドラ!」
父2「パズドラ?」
雪乃「仕事無い日にマクドナルドの100円コーヒーで昼粘って、携帯の課金ゲームにドハマりしてクレジットで首回んなくなって自己破産してネカフェ難民すら出来なくなって若年ホームレス」
小林「おおお」
雪乃「あたし東京でめんどうみきれんと思って、ひとまずここにきなって」
国無「ねーちゃんが、ここのカギ、くれたんす」
ハナ「ここのカギ?」
父2「ちょっと保健室行ってきます」
雪乃「うん」
父2「国無さん」
国無「うん?」
父2「自分ら、星ではペット以下、オージービーフ以下、
遺伝子組み換えコーン程度の扱いなんで
国無さん泣いてくれて、ほんと、感動したっす」
国無「、、2」
父2「(女子に)宇宙さん、目覚めたら教えてください。
あのバトン渡せなかったこと、あやまりたいんで。お面とってクローン全員で」
父2、礼して、退場。
雪乃「全員って?」
国無「1、2、4、5」
ハナ「そして宇宙」
小林「お面とってできんの」
ハナ「考えるのやめよう」
3人「うん」
小林「ねぇ、バトンってなに?」
国無「生きる目的なんです」
ハナ「目的?」
国無「あいつらクローンとして博士のDNAも知識も受け継ぐけどあまり意志ないんです」
小林「へー」
国無「だから最初に生きる目的を教えてやるんですって」
雪乃「あのバトンを宇宙に渡すのが、生きる目的だったわけね」
ハナ「なるほど」
小林「でもそのバトン奪われたんでしょ?」
国無「はい」
ハナ「生きる目的も失って、なんのために繁殖するんだろう」
シートがバサつく音
■雪乃と博士疑惑
小林「飲むかっ」
雪乃「よし、のもう!」
国無「ですね!」
ハナ「よし!」
国無、国士無双に手をのばす
小林「国士無双」
ハナ「高砂酒造株式会社」
雪乃「北海道産オリゴ糖使用」
国無「あ」
雪乃「なに」
国無「3がなんか言ってたな」
雪乃「宇宙と飲めってね」
宇宙をみる
ハナ&小林&雪乃「(オバサン)いいよいいよいいよ!」
国無「そーかなぁ」
小林「コップコップ!」
国無「はぁ」
国無、紙コップ出す。3人待つ。つぎあう。
「おとと」「まあまあまあ」「どーもどーもどーも」「ささささ」
国無「3に」
4人「乾!(まちがった)献杯!」
4人、飲む。
4人「うまい!」
ハナ「こんなにうまいか高砂酒造!」
雪乃「ああ!北海道帰ってきた感じ!」
国無「でも、いいっすよね、わかりやすくて」
雪乃「なに?」
国無「クローン、生きる目的とか教えてもらえて」
小林「え?そう?」
国無「だって、こまんないすか実際?なんのために生きてんのかとか、わかんなくなんないすか?」
小林「あー。でもあたし子供二人いるからなぁ」
ハナ「おー」
雪乃「あたし、研究たのしいからなぁ」
国無「いいなぁ」
ハナ「弟くんは何したい人?」
国無「わかんないんすよ。なんか余計なことばっか考えちゃうっつーか」
小林「はたらけー」
国無「いや、働きますよ?だけど、これはねーちゃんに言ってもわかんないと思うけど」
雪乃「わかるかもよー」
国無「実際、なんのために働くんすか?」
ハナ「おおーー」
国無「おれら地球にとって、生き物としては虫と変わらなくないすか?
なのになんかわりと難しく考え事して、勝った負けたとか、
金とか、地位とか、男とか、女とか、結婚とか、社会とか、会社とか
ちゃんとするとかしないとか。
俺ぶっちゃけ、自殺とかわかんなくないっすもん」
雪乃「姉の前で言うかそれを」
国無「いや、しないけど。そんなずっとポジティブとか無理っつーか」
小林「うーん」
ハナ「わかる!」
国無「あ、わかります?」
ハナ「ぜんぜんわかる!」
雪乃「ハナちゃん力強い」
ハナ「のもう!」
国無「はい!」
ハナ「今日はのもう!」
小林「男子呼んでやる?」
雪乃「よぼー」
ハナ「しかたねえな」
国無「あ!俺行きます」
国無退場
小林「良い奴じゃん弟くん」
雪乃「でもニート兼ホームレス」
ハナ「だからって住まわすなよ、部室に」
小林「クローンかくまってるって知ってたの?」
雪乃「うん」
小林&ハナ「言え」
雪乃「部室入ると思ってないし」
ハナ「そういえば」
小林「不法侵入してるの忘れてた」
雪乃「出来れば隠したかったっす弟」
ハナ「あのさあ。なんで持ってんのカギ」
雪乃「松山博士」
二人「え?」
雪乃「実はここの部長だったんだって」
ハナ「おじさんも陸部だったの!?」
小林「つーかこの高校だったの?」
雪乃「ハードル選手だって」
ハナ&小林「息子とおんなじじゃん」
雪乃「うん」
小林「てか何十年持ってんのカギ」
雪乃「もしものための合鍵だって」
小林「もしもっていつよ」
雪乃「今?」
小林「天才」
ハナ「そういう奴、いたわ」
雪乃&小林「だれ?」
ハナ「(首で、『アイツ』)
全員、ソイツをみる
宇宙、寝ている
雪乃「この広い宇宙に地球人だけだなんて寂しいだろ?って
松山博士の著書で読んだのが中二の春。
クラスで壮大なこと言ってる松山君にコクったのが高三の夏。
その二人が親子だって知ったのは半年後、受験前にふられた後よ」
小林「わりとちょっとしかつきあってないんだね」
雪乃「ちゅーもしてねえよ」
ハナ「そうなの?」
小林「まじで?」
雪乃「子供できると思ってたからよ」
二人「うそつけ」
雪乃「とにかくまぁ、そういう感じではなかったよ。
ハナ「ふーん」
雪乃「気にしてた」
ハナ「いや全然」
小林「で、つきあってんの?」
ハナ「つきあってません一度も」
雪乃「ずっとそんな感じ?」
ハナ「どんな感じさ」
小林「キャプテンとジャーマネ」
雪乃「先輩のタオル洗っときますね♪」
小林「ワリぃっマジ助かるマネージャー」
雪乃「たまには名前で呼んでください」
小林「ば、ばかやろう」
雪乃「せんぱい」
小林「キーンコーンカーンコーン。
雪乃「あ!キャア!」
小林「わりっ着替えてたんだ。
雪乃「先輩!えっち!」
小林「み、みてねえよ」
雪乃「じゃあその暴れん坊将軍はなに?」
小林「ひひーん!」
恩田&清彦「どうなってんの」
恩田、清彦、いる
ハナ「助かった」
恩田「なんの話し?」
小林「もうつきあえってはなし」
清彦「あー」
ハナ「キャバ嬢だからあたし」
恩田「関係ある?」
ハナ「あれ?弟くんは?」たちあがる
清彦「クローンずとしゃべってる」
ハナ「まずい急激に酔った」
恩田「おまえ、よくキャバ嬢やってられんな」
ハナ「やめたっ」
全員「え?」
ハナ「もうね28はねキャバ嬢的にはババアだからね。
キャラで売るしか無いわけですよ。ね。
でもー、
でも本人はぁ、キャラ立てるにも突然キャラ替えとか厳しいしー
結果指名はいんないから、
全然稼げないのでツライわけですよ。ね?
で、言うわけですよ。
『あたしぃそろそろキャバ嬢をやめて、
近所のスナックにでも入ります。ありがとうござましたー』
つって。でもおお、店的にはぁ、おつぼねはぁ、
雑用任せられる貴重な人材だもんでー
辞めさせたくないわけよ。
そこでぇ、なにが起こると思う?」
小林「なーに?」
ハナ「色管理」
恩田「なにそれ」
ハナ「マネージャー(おとこ)がさ、
やる気の無い女をやめさせないための最終手段ですね」
小林「あ」
ハナ「わかる?」
小林「わかったかも」
恩田「色って、そういうこと?」
ハナ「色仕掛け!せーいかーい!思わせぶりなこと、言うわけよ!」
小林「ほんとそれ?」
ハナ「オーナーの指示でマネージャーが仕方なく色管理とか」
恩田「ひでえな」
ハナ「ふざけんなってね!」
小林「そんなん騙される?」
ハナ「だまされるんですねぇ。コロっと!
まわりがキャピキャピでちやほやされてる中、
お客さんにも構われないで酒呑んで時間すぎるの待つのって
クソつらいわけですよ!
自分が若かったときは『ああはなりたくねえな』程度に
チラ見してたあのオバサンに自分が今なってるっていうのは!
孤独でみじめで残酷!だから、もうー、かんたんに。だまされる。
そんでちょとよけーに頑張っちゃってさ。
気づいたときにはもー。身も心もぼろぼろよー。乾杯!」
恩田「それで東京かー」
ハナ「逃げる感じでね」
小林「ハナ」
ハナ「しょーもない。ハハハ。ほんと、、、しょーもない」
小林「しょーもなくない!」
恩田「お、びっくりした」
小林「あたし去年思い切ってシングルマザーになったんだけどさー。
ちょっとこの話しツラすぎて絶対ひくから多くは語りたくないんだけどさー。
誰にもうまく説明できなくてわかって貰えないことだとしても、
自分でそう思ったことならならきっとしょうもなくないよ。
味方いないとこにいる必要なんてこれっぽっちもないよ」
ハナ「、、」
小林「自分に余裕なくなって守りたいものも守れなくなったら最悪だよ。
まわりから観たら逃げてるように見えても、気にすることないよ。
だからほら、えーと、しょうもなくないよ!ねえ!」
恩田「え!おれ?」
小林「(叩く)うんっていいなさいよ!」
恩田「あ、うん!ほら!」
清彦「うん!」
雪乃「うん!ほら!」
ハナ「、うん」
小林「ほら乾杯して副部長」
恩田「ハイええ、では!1名、完全に寝ておりますが、
みなさま、グラスの準備はよろしいでしょうか」
清彦「はいー!」
恩田「スス校陸上部男女合同同窓会を始めたいと思います!乾杯!」
全員「乾杯ー!!」
雪乃「ねえ、男子部の最後のリレー覚えてる?」
全員「覚えてる!」
ハナ「第一走者がパッキャマラード」
雪乃「第二走者が一年の戸澤」
恩田「第三走者が宇宙」
小林「アンカー!」
全員「バカスプリンター清彦!」
清彦「乾杯!」
小林「男子200メートル恩田パッキャマラードがスタートで出遅れ」
ハナ「おいー!」
恩田「しかしなんとか3番手でバトンを渡し」
小林「第二走者は若干1年110メートルハードラー男子戸澤!」
雪乃「追い上げて2番手につけ、完璧なバトンパス」
ハナ「3年ベテランハードラー松山宇宙、部長の意地で奇跡の11秒台!トップ争いに躍り出る!」
雪乃「ライバルは宿敵バカ高校ゼニ校!」
ハナ「待ち受けるはスス高ナンバーワンスプリンター!」
恩田「俊足のバカ!北野清彦!」
清彦「スス高の清彦vsゼニ校の鮫島!」
小林「ほとんど同時にバトンタッチ!」
恩田「両バカ一斉にスタートを切りました」
雪乃「両バカ足並みを揃えての接戦」
ハナ「50メートル!」
清彦「さあスピードが乗ってきたぁ!」
小林「清彦か鮫島か!」
恩田「302010!」
ハナ「いけ清彦!」
雪乃「前傾ええ!!」
清彦「ディップディップディップ!」
小林「清彦!」
恩田「行ったかあ!!!!」
ハナ「先についたのは、」
恩田「バカスプリンター清彦!」
全員「よっっしゃああああああああああああ!!!!」
清彦「やりました!スス高!」
恩田「まさかの初金星!」
小林「スス高陸上部の男女かけより」
雪乃「胴上げです!」
全員「わっしょいわっしょい!」
恩田「よくやったよくやった!」
清彦「もみくちゃ!もみくちゃです!」
小林「おっと?」
ハナ「なにやら審判から」
雪乃「なんでしょうか」
清彦「指をさしてますねえ」
小林「指のさきには」
ハナ「スス高部長の松山宇宙くんですね」
小林「なにやら怒りの表情」
清彦「あああっと?」
雪乃「なにかを叩き付けました!」
清彦「なんでしょう」
ハナ「ああああああっと、これはどういうことですか」
小林「バトンです!」
全員「ええええ?」
小林「第三走者の松山くんの手にバトンがあります!」
ハナ「ということはつまり!?」
音田「スス高のバトンは、渡っておりません!」
小林「アンカー北野君手ぶらで走り切りました!」
清彦「選手たちは呆然としています」
ハナ「ああいけません!」
恩田「部長の松山くん!北野くんをなぐりつけました!」
清彦「これは珍しい!陸上競技で乱闘!」
ハナ「皆止めにかかります!」
恩田「あほー!あほー!」
清彦「バトン持たんてー!」
ハナ「ほんとにばかー!」
雪乃「ああ、いけません!」
小林「スパイクは脱いでください!」
恩田「思い出しました」
ハナ「あれはもう、ばかばかしくて」
雪乃「忘れられません」
小林「どこまでバカなの」
清彦「まぁまぁ、すぎたことっすから」
宇宙、起き上がる。
宇宙「、、うるせえ」
清彦「お!」
清彦、鈴を鳴らす
チーーーーーーン
清彦「(宇宙に合掌)なーむかーらたん」
宇宙「、、、」
清彦「って生きとるわ!あれ?」
宇宙「うるせえって」
清彦「はい、お水」
宇宙、飲む、吹く
宇宙「、、、酒だろこれ」
清彦「国士無双」
宇宙「卒倒した人間に、酒のますな!」
清彦「やべ、怒った」
宇宙「昔っから、そうやって。余計なこと」
宇宙、機嫌悪く起き上がり、電話をみる
宇宙「、、、」
深くて、重い、やつあたりのタメイキ
宇宙「かえるわ」
全員「え」
恩田「かえんの?」
宇宙「かえる。頭いてえし」
恩田「そっか」
清彦「なんで?」
宇宙「、、何も起こらなかったから」
清彦「え?」
ハナ「今日、ほんと、どしたの?」
恩田「うちゅう」
宇宙「今おれ、宇宙一不幸だから、話しかけない方いいかも」
清彦「帰るなよ」
宇宙「しゃべんなおまえ」
シートがばさつく音
清彦「けどさあ」
宇宙「しゃべんなって」
清彦「なんで」
宇宙「うるせえ!」
ハナ「清彦」
小林「タイムカプセルは?」
宇宙「いんだよ10年前のことなんてもう、思い出さなくても」
雪乃「どしたの突然」
宇宙「今日なにかおこるかもしれないっって
ちょっと期待した俺がアホだったんだ」
宇宙「ああ、おまえそうか。バカだからな。
おしえねえとな。バカだから。
ほら。みろ時計。
時計、わかる?2330、な?
これどういうこと?
清彦「11時半?」
宇宙「わかってんじゃん。あったまいい。
つまりな。もう12時。ってことを言ってるわけ」
清彦「うん」
宇宙「もう今日終わるだろ。わかる?10年だ何も起こらなかった、10年」
清彦「起こったじゃん色々。ねえ?」
ハナ「清彦」
宇宙「おまえ知ってるよな?」
清彦「うん」
宇宙「今日どんな日か知ってるよな?」
清彦「知ってるよ」
宇宙「なんで俺が不機嫌なのかも知ってるよな?」
清彦「知ってる」
宇宙「言ってみろよ」
清彦「おこんない?」
宇宙「おこんねえよ」
清彦「ほんとに?」
宇宙「おこんねえよ」
清彦「ほんとにほんと?」
宇宙「ほんとにほんとだよ」
清彦「今日、おじさんから連絡なかったら
切るんだろ。あの機械」
宇宙「わかってんじゃん」
清彦「うん」
恩田「機械って?」
小林「知らない」
ハナ「切るの?」
宇宙「そうだよ」
ハナ「ほんき?」
宇宙「おまえ東京いくんだろ」
ハナ「え」
宇宙「関係ねえだろ
ハナ「知らなかったから」
宇宙「知ってたらなんかできんのかお前が!」
ハナ「、、、」
雪乃「ね。ちゃんと説明しない?」
宇宙「ごめん。しない」
小林「突然すぎてさ」
宇宙「だから俺帰るんだよ。またやつあたりすっから俺」
清彦「え?帰んなよ」
宇宙「、、、」
清彦「何も起こってないことなくねえ?ねえ?ぶっっとんでたよね?
クリンゴン人きたし。俺宇宙人の弁当くっちゃった。ナマステ。
おじさんのクローンもいるじゃん。一匹死んじゃったけど。ナマステ(合掌)
でもまだ4人もいるし。このあと」
宇宙、清彦をどつく。
ハナ「ちょっと!」
ハナ。かけよる
宇宙「このあと?」
清彦「うん」
宇宙「なにがあるんだよ」
清彦「最後の追い上げ」
宇宙「もう何もおこらねえよ!」
ハナ「喧嘩やめてよ!昔あんなに仲良かったのに!」
間
恩田「そういえば、そーだわ」
小林「え?」
雪乃「リレーのあとから、あんまり仲良くなくなったかも」
ハナ「なんかあったの」
清彦「たいしたことじゃないって」
宇宙「清彦じゃないんだよ最後のリレー。
清彦が、受け取んなかったんじゃなくて!俺が、渡せなかったんだ。
全員「?!」
宇宙「俺さ。最後のリレーで全部出し切ってトップならんだのはいいんだけどさ。
いざバトン、清彦に渡すってときに手の力抜けなくて。
清彦、一瞬『あれ?』って顔したけど、どうしても手開かなくて
俺が『いけ』って言ったんだよ!」
間
恩田「まじで?」
ハナ「なぐったじゃん」
宇宙「ここでこいつ殴っとけばこいつのせいになるだろ!」
全員「はあ?!」
恩田「なんだそれぇ!」
小林「でもなってたわ」
雪乃「ひどくないちょっと」
清彦「まあまあまあ」
ハナ「でもさ」
清彦「いいじゃんどっちでも」
宇宙「なんでおまえはそやってエヘラエヘラ!
むかつくんだよ!文句言えよ!
腹の中で俺のことさげすんでんだろどうせ!」
清彦「え?」
宇宙「バカにしてんだろって」
清彦「俺が宇宙を?」
宇宙「そうだよ」
清彦「馬鹿だおまえ」
全員「?!」
宇宙「あ?!」
清彦「ばーか」
宇宙「おまえに言われたくねえわ!」
清彦「あんなの、たかがリレーじゃん」
宇宙「、、、」
清彦「応援に来てたんだよ」
宇宙「え?」
清彦「おじさん」
宇宙「、、うそ」
清彦「そんで、夜、俺に電話きてさ。
おじさん、俺にめっちゃ謝ってた。超かっこいくね?
見破ったのおじさんだけじゃね?」
宇宙「なんて」
清彦「今、宇宙謝れないと思うからすまないって」
宇宙「え」
清彦「入院きまったのあの日だろ。おばさん」
宇宙「、、なるほどね、、同情されてたのか」
清彦「ばーか」
宇宙「え」
清彦「ばーかばーかぶーた」
宇宙「ぶた?!」
清彦「ぶーたぶーた」
宇宙「ぶたじゃねえ!」
ハナ「うちゅう」
恩田「おちつけ」
清彦「おれ親いないからか知れないんだけどさぁ。
言葉、遅かったんだよねー。そんで親戚ん家でもなつかなくて
学校も小一でついてけてなくてー
当然いじめられるから小学校ですでに周り死ねって思ってたんだよね。
でも小二のとき、
なんか宇宙規模のこと言う変な名前のやつ転校してきたんだよね」
宇宙「え」
清彦「太陽系とか銀河系とか惑星とか衛星とか。
空とか海とかいのちとか。おれら星のカケラから出来てるとか。
すげえと思った。
俺、地球が丸いのは知ってたけどさ
丸いからなんだって思ってたの俺、無礼にも。
どうでもいいわって。
でも宇宙って360度ぐるりと行くことあるんだってさ
知らない場所がまだあるんだってさ
それ、今見えるとこだけが全部じゃないってことじゃん!
宇宙に、ほら、なんだっけ?宇宙に」
雪乃「地球人だけだなんて」
ハナ「寂しいだろ」
清彦「だから地球は丸い!そして宇宙って広い!そゆわけよ?わかる?
あのままだったら消えたと思う俺は。意味なく。
同情とか蔑むとかハゲちび。借りだなって思った」
小林「ハゲチビ」
清彦「尊敬しとるわサルボケ」
恩田「サルボケ?」
清彦「借りを返したいって相談したじゃん」
宇宙「だれに?」
清彦「宇宙」
宇宙「なんてよ」
清彦「俺勉強も喧嘩もだめだからなにしようって。
そしたら逃げ足は早いねってなったじゃん。
おまえ行きたい方に俺も走る
逃げたいときは二人一緒に逃げる」
宇宙「なんだそりゃ」
清彦「中学から陸上入ろうって約束したじゃん?」
宇宙「おぼえてねえよ」
清彦「おじさんも陸上だったからーって」
宇宙「おやじ陸上だったの?」
清彦「おまえバカか。あたま悪いんじゃねえのか」
宇宙「なんだこれムカつくな」
ハナ「清彦、ずっと守ってたの約束」
清彦「え?まもるだろ約束」
小林「それ、約束したのいつ」
清彦「8歳じゃね?俺7歳」
雪乃「そっか」
清彦「俺早生まれだから」
全員「わかったわかった」
恩田「本物のバカだなお前は」
小林「20年前だよ」
雪乃「20年」
ハナ「20年前の約束、まだ守ってんじゃねえよ」
清彦「男と男の約束だから」
宇宙「、、説得力あるわ」
シートがばさつく
宇宙「でも決めたんだ。
今日何も無ければ母ちゃんの生命維持装置は止める。
俺は20年も無理だから」
清彦「もうちょっと期待しよう。
何も無かったわけじゃないよ」
ハナ「うん。ね?」
恩田「え?おれ」
ハナ「(叩く)うんっていいなさいよ」
恩田「うん!」
小林「うん!」
雪乃「うん!ほら」
宇宙「(うなづく)
ハナ「おじさんは約束まもるよ」
雪乃「そー!博士は守る!」
清彦「だって俺、知ってんだって本当の理由」
雪乃「あ!博士が消えた本当の理由?」
清彦「でもこれ、言っていいかなぁ」
全員「?」
清彦「あ、わかった。俺はじゃあ、宇宙に言うわ」
宇宙「どういうこと」
清彦「宇宙はやんわり知ってることだから」
宇宙「知らねえよ俺」
清彦「知ってるってぜってえ」
宇宙「なによ」
清彦「こっちこい」
宇宙「なんだよ」
清彦「こい」
清彦、こっそりいう
清彦「俺、蒸発直前に聞いたんだ。実は。おじさん、おばさんのことめっちゃラブなんだって」
宇宙、あほらしくてにやりとする
音楽
恩田「え?え?」
ハナ「なになに」
雪乃「なに?」
小林「なんてったの?」
清彦「(にやにや)」
宇宙「ラブだってよ」
全員「は?」
宇宙「やばい!あと、20分切った!」
清彦「俺が想像するに!おじさん宇宙に行き」
雪乃「はいはい」
宇宙「今日こられない理由があり」
小林「なんでよ?」
清彦「やぼ用」
ハナ「なら地球こいよ!」
恩田「やぼだなぁ」
清彦「でクローンにバトンを託したんだと思う」
全員「なるほどなるほど」
ハナ「こういうのは?」
全員「なになに」
ハナ「実は今地球の上空で待ってる」
全員「はいはいはい」
恩田「実はいる。この部屋のどこかに」
全員「殺すな」
雪乃「意識だけの存在となった!エネルギー体!いや幽体」
全員「殺すな」
小林「あああ!バトンじゃない?」
全員「なに?」
小林「バトン!」
全員「が何?」
小林「おばさんと関係が!」
全員「だから何?」
小林「わからん」
全員「がんばれ!」
■アンジェラの逆襲
外から声がする
国無「たすけてえ!」
皆、外に顔を出す。
アンジェラ「nuqDaq chay'?」
国無「なんて?」
雪乃「中身をどこへやった?って」
アンジェラ「『DIP』」
雪乃「『ディップ』だ」
全員「ディップ?」
国無「なんすかそれ」
清彦「前傾!」
国無「は?」
宇宙「速さの秘訣はディップの深さ」
国無「え?」
ハナ「ハードル飛ぶための前傾姿勢フォーム」
アンジェラ、フェイザー銃を構える
アンジェラ「DIP!!!!!」
全員「はい!」
全員、びびって各々の前傾
アンジェラ「ghobe'(ちがう)!!」
ハナ「ちがうみたい」
清彦「おこってっし」
アンジェラ「jIHvaD nob!DIP!」
雪乃「ディップをどこにやったって!」
恩田「あの人のディップってなに!?」
アンジェラ、バトンを開けて、見せる
アンジェラ「DIP」
清彦、考えだす。脇を強く。そういえば。
アンジェラ「nuqDaq chay'?!」
雪乃「あれの中身だって」
清彦「あ!」
全員「え?(清彦をみる)」
清彦、あごをつよく
全員「わかった?」
清彦、国士無双をみる
清彦「バトン」
宇宙「え?」
清彦「これ」
アンジェラ「'eq tera' vor」
雪乃「地球人にはまだ早い薬品だ」
恩田「なんだって?」
雪乃「Dochvam nuq?」
アンジェラ「arcanum tu'lu'be' yIn raD」
雪乃「生命力を引き出す薬」
全員「え?」
宇宙「それって」
清彦「うちゅう」
国無「バトン」
清彦、宇宙に国士無双をわたす
清彦「おじさんから」
国無「わたった、、」
宇宙「、、、これ、かーちゃん」
国無「渡ったぞ!バトン!渡っぞお!!3!(天国)」
アンジェラ「oH nob(渡せ)」
恩田&ハナ&雪乃「わたすかい!」
国無「こっちには、風邪は引きやすいが身体能力が高い味方が4人もいるんだ」
小林「ふっふっふ!早く呼んでー!!」
国無「1、2、4、(5)」
アンジェラ「mIw vaj」
雪乃「、、、こうなった」
青い血のついたクローンのゼッケン1、2、4を捨てる
恩田&清彦&小林「クローン!」
アンジェラ「ratlh wej Ha'DIbaH HoH」
雪乃「3匹すべて殺した!」
恩田「(ひろう)いち!」
清彦「(ひろう)よん!」
国無「(ひろう)にーーー!」
宇宙「すべて?」
アンジェラ、フェイザーを宇宙に向ける
放出エネルギー装填。SEジジジジジジジ
アンジェラ「HoH!」
雪乃「殺す!」
国無「やめろ!」
ハナ「だれかあ!」
小林「助けてえええ!」
宇宙「ここだろ!」
清彦「おじさあああああああん!!!」
父クローン5、なんか食いながら通りかかる。
*三への書き足しは、赤マッキーで御願いします
小林「五!生きてた!」
アンジェラ「!reH ghaj(まだいたか)」
父5「やることなくておやつ食っちゃう」
国無「あ、目的か!」
宇宙「おい」
父5「ん」
宇宙「守ってくれ」
父5「おれ?」
宇宙「おやじ」
父5「、、」
父5。オリジナルがいる方角、遠く宇宙をみる。
クローン「はああああああああああああい!!!!」
SE超サイヤ人5ショウンショウンショウンショウン
アンジェラ「vIq laH ghur?!」
雪乃「戦闘能力がはね上がっただと?!」
クローン「目的確認!」
アンジェラ「HoH!(死ね)」
<<再び、なんかすごいアクションシーン>>
SEシュバ!ザザザア!ガシィ!キイイン!カン!ゴおおおん
(*型はさっきと同じでいいですが、倍速)
全員「なんかすごい!」
父5「4月付けでこちらの部署に配属になりましたクローンの五と申します」
父5、国士無双の酒のふたを抜き、ラッパのみ
ハナ「ビジネスマナー!」
恩田「新歓・主役のスピーチ!」
清彦&宇宙「国士無双!!」
アンジェラ「!!DIP!」
父5「DIIIIIIIIIIIIIIIIIIIP!!!」
緑の光!シュちゅチョコオあああああああっっっ
SEシュバザドアガバシキイヌジイカモボぉおン!
清彦&雪乃「早くて見えん!!」
SEザッキャオオオオオオオオオオオオオオオン!!!!
ふたり、跳ね飛ぶ。
アンジェラ「Heghlu'meH QaQ jajvam.ズザアアア!」(バトラフの準備)
父5「本日はこのような会をマジさんくす!ズザアア!(ユパさま立ち片手はおやつ)」
小林&雪乃「ユパさまああ!」
父5「オリジナルから伝言だ」
清彦「宇宙!」
父5「父さんは飛び越えたぞ」
アンジェラ動く『バトラフ』
アンジェラ「chu' (遊びは)」
宇宙「あぶない!」
アンジェラ「pItlh.(終わりだ)」
清彦「5!」
アンジェラ「DIP!!」
国無「ディップしたああ!」
緑の光!シュちゅチョコオあああああああっっっ
国無、熊手をとり、
カッシイイイイイイイイン!
全員「おお?!」
父5「国無さん!
国無「なぜ俺DIP可能?!」
父5「DIP!飲みました?」
国無「あ」
全員「あああ!!」
アンジェラ「?」
全員、理解。
宇宙「なるほどおおお」
ハナ「今日終わるまであと何分?」
恩田「15分45秒」
小林「宇宙!住所!」
宇宙「南1条西17丁目」
ハナ「札幌医科大学附属病院」
清彦「8F北病棟807号室」
小林「スス高おおおおおおおおおおお!!」
雪乃「なまら懐かしい!」
女子「ファイ!」
男子「オウ!」
女子「ファイ!」
男子「オウ!」
女子「ファイ!」
男子「オウ!」
小林「スス高ー!!」
女子「ファイ!」
男子「オウ!」
冒頭と同じく失踪する前に立ちはだかる全員
恩田「国士無双」ドドーーーっん
ハナ「高砂酒造株式会社」ばばーーーーん
清彦「『男同士の約束』使用」ズゴーーーン
小林「ちょっとのんじゃったけど」うぱああアアン
雪乃「松山博士の」ドジャゴオオオオン
国無「1、2、3、4の名にかけて」ダバーーーン
父5「たのんだぞ宇宙」
宇宙「清彦中心にすくりーーーーん」
ハナ「部長おおおおおおお!!!」
父5&宇宙「いちについてよおおおおおおおおおいい!!」
全員「DIIIIIIIIIIIIIIIIIIIPPPPPPPPPPPPPPPP!!!!!!!!」
緑の光
音楽あがる。
ストップモーション
暗
■工事現場のさくら
工事現場の音がする。
暗の中、禁煙パイポの灯りがポっと点く
じょじょに明。昼間の部室前。
恩田がタバコ吸いながらボーッと解体工事をみてる。
恩田「、、、、、」
手に、桜の花びら
国無が、熊手と旅行カバンを持って部室から出てくる。
国無「ああ!パッキャラマードさん!」
恩田「1ヶ月ぶり」
国無「来てくれたんすねぇ!」
恩田「ハガキで呼び出されるの結婚式ぐらいだぞ」
国無「もう携帯やめたんで」
恩田「就職おめでとー」
国無「ありがとうございます!今日、授業は?」
恩田「世間はゴールデンウィークよ?」
国無「あそっか」
恩田「やってけんの社会人」
国無「精一杯頑張ります」
恩田「そうか。なんか、残念だなぁ」
国無「え?」
恩田「自由人やめちゃうんだね」
国無「あ、そうっすね」
恩田「ちょっとうらやましかったから」
国無「なんでですか?」
恩田「教師ったってサラリーマンだからさ。普通の」
国無「パッキャマラードさん」
恩田「あだ名で呼ぶのやめてくんない?高1んとき宇宙につけられたんだ」
国無「え?」
恩田「本名は、恩田camarade」
国無「なんかフランスのイイ車みたいですね」
恩田「だろ」
国無「はい」
恩田「でも、中身はそのへん走ってる国産車な」
国無「?」
工事現場の音
恩田、グラウンドをみる。
恩田「校庭のサクラもぶったぎるんかな」
国無「この学校も忘れられちゃうんですかね」
恩田「え?」
国無「近所の建物って、
取り壊されてサラ地になった途端
前に何建ってたか思い出せなくなるから」
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たくさん台本を書いてきましたが、そろそろ色々と人生のあれこれに、それこれされていくのを感じています。サポートいただけると作家としての延命措置となる可能性もございます。 ご奇特な方がいらっしゃいましたら、よろしくお願いいたします。