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『サンタのひと』クリスマス芝居

『サンタのひと』
作 すがの公
2021/12/23最終稿

<役>
ジャニス:母、ロシアクォーター
聖:姉、中学生
鈴:妹、人見知り
マリア:朝鮮二世。娼婦。稼ぎ頭
ゆんた:ホームレスの若者。小人作家
ラモじい:ホームレス。ブラジル人二世。クズ屋
リー:中国人、ギャンブル狂い
ジミ:モラトリアム若者。音楽
権藤:ヤクザ、アルコール中毒、元締め
野々山:駆け出し弁護士
北島:自称ボランティア

<舞台>

 現代。豊平川河川敷に不法投棄されたゴミ。
 冷蔵庫、洗濯機、テレビ。机、ソファー。椅子。
 バラック小屋が並んでいる。
 舞台中央に小高い場所がある。
 小屋の上には橋があるらしく、雪はつもらない。
 舞台前方は橋から外れているので雨ざらしである。
 洗濯物干しの紐。犬注意の看板。

<開場中>

 BGMめっちゃクリスマスソング

<開演>

 暗の中。その音をかき消すように車が走る音。
 札幌の雑踏音。テレビの音、ラジオの音。

<プロローグ>

北島:私はすごく、感動したんです。
 あそこには、全部がありました。忘れてしまっていたものがゴミの中に全部。札幌の、都心から少し離れた河川敷に、突然ずらっと小屋が並んでいます。知らなければ見過ごすような橋のたもとの小さな一角に、ブルーシートで作ったテントや、廃材を組み合わせた簡単な小屋がお互いを支えながらそこにある。
 元は国有地で不法投棄場だったんですって。こんなにほっとかれてるなら、ゴミに紛れて住めるって誰かが思ったんだろうって、ラモじいが言ってました。

 クリスマスソングが聞こえる

 音楽"Baby finger (Anna Laner)"

北島:私が、そこに初めてきたのは、クリスマスのころでした。

 音楽上がり、綺麗な照明がつく。

<オープニング>

 クリスマスソングにのせて
 登場人物たちが次々と出てくる。

 出勤するマリア
 中学校に行く聖
 洗濯をするジャニス
 小学校にいく鈴
 散歩にいく優太
 空き缶をあつめるラモじい
 競馬新聞をながめるリー
 電話をする権藤
 写真をとる野々山
 音楽をきくジミ
 小屋を見ている北島

<冬>

 SE天気予報の音
 「札幌地方の天気予報は曇りのち晴れ。夕方から夜にかけてところによって雪でしょう。最高気温は1度、最低気温はマイナス5度、、」

<小学生と、人形作家>

 SEカァカァカァ
 夕方。

 小学生・鈴がランドセルを背負って帰ってくる。
 冬にしては軽装。
 鈴、ボロ小屋の扉を開けようとするが、開かない。

鈴:あれ。鍵。

 家の前の箱のようなものに座る。

 ランドセルからバナナをだし、食べる。

 どこかのラジオから聞こえるクリスマスソング

鈴:クリスマス

 バナナを食べ終わる。

鈴:、、、

 バナナをしかける。

鈴:(にやにや)

 座って待つ。

 大量の空き缶を積んだチャリにがくる。
 ラジオがくくりつけられている。
 ラモじい、ラジオとは関係なく歌っている

ラモじい:だんしんふんふんふーん♪だんしんふんふんふーん♪よう
鈴:ラモじー
ラモじい:学校は
鈴:行った
ラモじい:んー。
鈴:今日は?
ラモじい:だめだー

 ラモじい退場。

鈴:ちっ。

 リーさん走ってくる

リー:はっほ、ひっほ、あいや?
鈴:リーさん
リー:すすさん
鈴:す「ず」
リー:むつかしーね(笑)
鈴:ラモじいあっち
リー:しえしぇ。おっ、パナナ

 リー、ぴょーんと飛んでかわす
 ジミ、スマホをみながら登場。
 リーとぶつかりそうになる。

ジミ:うわ
リー:おわとぉ
ジミ:きをつけろ
リー:こめんくたさいー(退場)
ジミ:ったく

 バナナで滑ってころぶ

ジミ:でええええい!
鈴:お!
ジミ:またバナナか!なんでここいらにはいつもバナナの皮が、、はっ
鈴:(にやにや)
ジミ:なんだ小学生
鈴:、、、
ジミ:いいか?腐ってんだよ!
鈴:バナナ?
ジミ:にっぽんだ!

鈴:(ノートに戦果)ジミ、5。

 雑踏。再び、いろんな音。

 優太登場、

優太:あ。鈴。

 鈴、気づいていない。

鈴:あーあ。うちにはこないもんな。サンタさん
優太:、、

 何かを思いつき、ひっこむ

鈴:さむー。

 小人登場。声はミッキーマウス

小人:おかえりぃ
鈴:、、
小人:おかえりぃ
鈴:なんだ?
小人:えーと、サンタのこびとです。
鈴:へー。
小人:大きくなったら、サンタになります。
鈴:ミッキーマウス?
小人:ちがうよ!サンタのこびとだよ
鈴:、、、
小人:だから、ええと。いるよー。サンタは。
鈴:わたしのこと知ってるの?
小人:有名だよ。
鈴:なんで?
小人:えっとー。ほら。いい子だって。
鈴:へー
小人:サンタ界じゃね、いい子はすぐ有名になっちゃうからな
鈴:いい子にしてるとサンタが来るんでしょ?
小人:まちがいないよ
鈴:いつきてくれる?
小人:え。
鈴:サンタさん。
小人:えっとー。お。お、おおきくなったら。俺が。
鈴:へー
小人:なんかないの他。プレゼント以外
鈴:別にいいよ。
小人:なっかあったら言ってー
鈴:うん
小人:じゃあねばいばーい
鈴:ばいばーい。

 鈴、そのあたりをじっとみてる

小人:あ、あっち向いて?
鈴:え?
小人:あっち向いといて
鈴:なんで?
小人:小人は去り際を見られると、死ぬんだー
鈴:ふーん。わかったー

 鈴、見てないふり
 小人を持った優太、一旦退場。

鈴:(棒読み)あーびっくりしたー小人がでてくるなんてなー。
優太:やあ、鈴じゃないか、学校帰りか?
鈴:うん。今小人がいたよ。
優太:ええ?!鈴!おまえはもしかして小人を見かける才能があるのかもしれんな!!
鈴:そうかもー
優太:今日はどんな小人だった?
鈴:サンタの小人?
優太:ええ!?まさか!サンタが小人?
鈴:ねー
優太:すごいの見たじゃないかー!くわしく!くわしくその感想を!特に造形二ついて良かったところをおしえてくれよ
鈴:めんどくさくなってきたなー

<聖とラモじい>

 ラモじい、空き缶の入ったゴミ袋をひっぱってくる。

ラモじい:サボって帰ってきたんじゃねえかお前は。
聖:サボってないっす
ラモじい:ほんとかーこの
聖:ほんとっすー
鈴:おねーちゃん
優太:、、、
ラモじい:学校だけは行け?俺らみたくなるな!
聖:うっさいんだけどラモじい(笑)
鈴:(笑)
ラモじい:にっぽんは学歴社会だど?いけるだけありがたいからな?
聖:ゆんたどーにかしてー。
優太:、、
ラモじい:髪、きんきんしてぇ!外人か!
鈴:お姉ちゃん頭いいよ?
聖:わりとねー
ラモじじ:でも不良だ
聖:中学出たら働くから
ラモじい:高校は出れ
聖:うちの借金返したいもん
ラモじい:おまえは優しい。口真っ赤だけどな。
聖:うっせーし
ラモじい:頭もいい。ただな。短気を起こすな。いいか?
聖:はいはいー
ラモじい:はいは?
鈴&聖:いっかい(笑)
ラモじい:おう。ゆんた。
優太:お、おん。
ラモじい:リーさんみたか?
聖:謎の中国人?
優太:んー。
ラモじい:まぁいい。けっぱれぇ。

 ラモじい、ガラガラと空き缶をひっぱって退場。

聖:、、
優太:おう聖、学校どうだった?
聖:別に
優太:ほほお。
聖:(戸が開かない)
鈴:鍵かかってる
聖:なんで
鈴:知らない。
聖:あいつ
優太:こらこらーおかーさんのことあいつとかダメだろ
聖:うっせえわ
優太:思春期まっしぐらだなー
聖:ゆんたってさー。
優太:なになに
聖:子供とはしゃべれるけど大人とはしゃべんないよね?
優太:言いにくいこと、ズバッというなぁ。
聖:コミュ障ってやつ?
優太:、、えっとー、さ、仕事仕事
聖:お人形づくり?
優太:造形師っていうんだよ!
聖:お金になってんの?
優太:なってるよ!
聖:どんくらい?
優太:ちょっとだけど!
聖:でもすごいなぁ。
優太:そうだぞ
聖:あーあ。あたしもさっさと働きたい。
優太:なんか、もう大人だな。聖。
聖:中2だもん。
優太:じゃ、俺、仕事する。
聖:いいなぁ
優太:ばいばい。鈴。
鈴:うん

 マリアが通りかかる。

マリア:ああ!ガキども!おーーっすぅ!
鈴:まりあちゃん!
聖:マリア!
マリア:元気に勉学しとるかね?
鈴&聖:してる!
優太:、、、
マリア:あ、髪切った?
聖:前髪だけねー
マリア:ゆんた!ひさしぶり!生きてた?
優太:、、お。うん。じゃ。
マリア:ねぇ、また見に行っていい?人形
優太:あ。おん。いや。まぁ。じゃ。
聖:どっちよ?
マリア:あたし応援してるから!
優太:いや。あ。うむ。おん。

 優太、退場。

聖:ゆんたってマリアのこと好きなんじゃない?
マリア:それは絶対にない。
聖:なんで?
マリア:聖にもそのうちわかるよ。
聖:でました。ガキあつかい
マリア:えー?そう思うぅ?(リップを出す)
聖:あ!!
マリア:聖さんにはお似合いと思うけどなぁ
聖:前言撤回します!(抱きつく)大好き!
マリア:やべこんな時間だ。あちし、ちょっくら稼いで来ますんで。
聖:お仕事?
マリア:いってきます
聖&鈴:いってらっしゃい!

 聖、マリアの行った方を眺め

聖:あたし、マリアだいすき(リップを眺める)
鈴:いーな
聖:小学生はだめー

 時計のアラーム

聖:やば。スーパーの時間だ。行ってくる。
鈴:いってらっしゃいー

 鈴、キョロキョロして、

鈴:、、ちぇー

<リーさん>

 ラモじいが、まためっちゃ空き缶をチャリに積んで現れる
 鈴、あわててプレゼントを隠す。

ラモじい:だんしん、ふんふんふーん♪だんしん、ふんふんふーん♪(鈴に気づき)おー(よっ)
鈴:らもじい(手をふる)

 チャリを止め、後ろをむき

鈴:?

 チャックをさげる

鈴:、、、

ラモじい:だんしん、ふんふんふーん♪だんしん、ふんふんふーん♪

 リーさん登場

リー:ああ。ラモじい。こにチハ
ラモじい:おおう、謎の中国人、いたいた。

 SEジョロロロロロロロ(続く)

リー:NEWSみたカ?また中コク、やぱいヨぉ
ラモじい:ほーん。ブラジルは?
リー:大統領が、やぱいな
ラモじい:ほーん。だんしん、ふんふんふーん♪だんしん、ふんふんふーん♪

 (続き)ロロロロロロ。

リー:ああ、げんキげんキー。

 SEジョロロロロロロロ(続く)

リー:あいやー。ジングルベールジングルベール♪
ラモじい:すっずっがっなっるー♪
リー&ラモ:きょおわーたのっしいーくりっすます♪

 SEジャッ。

鈴:公園行こう。

 鈴退場。

 バリッとフォーマルな野々山とすれ違う

野々山:、、、、!

 野々山、くるっと振り向き
 コンパクトデジカメでパシャっと鈴の後ろ姿の写真をとる。

リー:寒いネー。
ラモ:12月だからよう。
リー:お金アル?
ラモ:あったことねぇよ
リー:しちゅれいシタシタ。
野々山:あの

 SEジョロロロロロロロ(続く)

野々山:!?
リー:あいや!まだジングルベる?
ラモじい:切れがわるい
リー:じゃあ、ポくも。
ラモじい:うん

 SEチョロチョロチョロ(加わる)

リー:はいジングルベルジングルベール♪
ラモじい:すっずっがっなっるー♪
リー&ラモ:きょおわーたのっしいーくりっすます♪

 SEチョロ。
 SEカシャッ
 野々山、写真をとる。退場

リー:ん?(なんの音かなぁ)
ラモ:賭け事かリー。
リー:もーすってんころりん
ラモ:すってんてん。
リー:あーそれネ。日本コむすかしねー。
ラモ:勉強勉強

<権藤>

権藤:さがしたぞおう。
ラモじい:ちっ
権藤:よぉ中華スーツとブラジルじじい。ちょうどセットでいるじゃねえか。どうだ今月もかろうじて生きてるか?
リー:こんとーさん!
権藤:なんでお前ら中華製は濁点を抜かすんだよ?権藤だ権藤。
リー:あーそれネ。ぺんきょうぺんきょう
権藤:(ぺし)人をモノみたくいうんじゃねえ。おめーらと一緒にすんな
リー:へへへへ。こめんこめん
権藤:な。おめえらもっと胸張って這いつくばってがんばれよ?お前らがゴミあつめてゴミまみれで暮らす代わりに、世間の皆さんは汚ねえものを見ないで悠々生活できてんだよ。な?胸張れ。やってみろ。はいつくばって。おらやれ。
リー:こかな?
権藤:そう、胸はるんだよ。
リー:こかな?(はいつくばって胸をはる。)
権藤:おーそうそう。なんか虫みてぇだぞ。いやこりゃ亀かな?年の割に見栄えする亀じゃねえか
ラモじい:リー
リー:へーきへき。
権藤:つーわけでよ。はい。今月分。納めとこっか?
リー:ちょと今日もんだいある。
権藤:モンタイ?モンタイがあったのかそりゃモンタイだなぁ。
リー:廃品回収、ねんねんPrice Down。空き缶ねたんキロ100円ない。日雇いしこと、ないよ。まったくない。セロー。
権藤:世の中不景気だからなぁ。つまりモンタイはなによ。
リー:わたしすってんころりん、こめんくたさい
権藤:ほあちゃあ!!

 権藤、リーをなぐる。ふっとぶ。

リー:うぐう!
権藤:誰のおかげでジャパンの片隅で悠々自適に生活できてっと思ってんだ?大人なんだからよ。約束は守らんとな?
ラモじい:そんな約束した覚えはない!
権藤:そっちにゃなくてもこっちにはあるんだよ。払いたくねぇなら出てきゃいいんだよ。こちとら好意で住まわしてやってんだからな?
ラモじい:お前らの土地じゃない!
権藤:わかってるよ国有地だよ。だから俺が取り持ってやってんだろう?裏でよ?
ラモじい:証拠をださんか!証拠を!
権藤:出てくんだったら出ていきゃいい。そのかわりここいら一体全員退去だ。おめーらがケチったせいでな?
ラモじい:くそ
権藤:あの女はどうした。あの女。あれでもいいんだ。前に話したろう?
ラモじい:このやろう!
リー:すませんすません弱いものイチめはんたい
権藤:あちょああ!

 権藤、らもじいを殴る

リー:ラモじい!
権藤:俺が殴らねえのは女だけだ。そして俺は北斗の拳、特に雲のジュウザが大好きだ。
リー:すきすきわたしもこめんこめん
権藤:俺様が女を殴らねえのには理由がある。わかるか?
リー:わかりません
権藤:金になるからだ。おめーらがあの女を説得すりゃあ、せこせこ空き缶あつめなんぞしなくてもいいんだ。おまえらにも悪い話じゃねえだろう?
リー:ともすません。ともすません。
権藤:またくるわー

 権藤

リー:たいちょぷ?
ラモじい:ちくしょお。あと10年若けりゃなぁ。
リー:むりむりよ。かまんかまんよ

 二人退場

<北島とジミ>

ジミ:あー。音楽やってたからさ。高校出てすぐ、田舎出て、建築系のとこ入ったけど、喧嘩してやめちゃって。それから日雇いで10年近く路上とネカフェだね。冬は厳しいから路上無理だし。前に、生活保護でタコ部屋入ったけど、もうひどくて。六畳一間をさらに3部屋に仕切ってんだよ。ベニヤ板で。もう、すぐでた。ほらあれさ『貧困ビジネス』っての。
北島:なんですかそれ?
ジミ:国から生活保護もらってる人間集めてさ、部屋に押し込むわけ。利用料がっぽりもってくわけよ。食費だの維持費だの光熱費だの。手元になんも残らね。あいつらはもう鬼だ。人間じゃねえ(笑)
北島:あ、そうだ。はい。
ジミ:なにこれ?
北島:お弁当。
ジミ:あ、そういう人?
北島:あ、はい。北島です。北島誠といいます。
ジミ:ボランティア?
北島:はい。今日からなんですけど。
ジミ:(拝む)いただきます

 ジミ、食いだす

北島:ジミーさんのおうちはどこですか?
ジミ:ジミ。
北島:え?
ジミ:ジミーじゃなく。ジミ。
北島:あ、地味!なるほど!(問診票みたいのを書き直す)そっか。地味ってことですか?
ジミ:え?
北島:顔が?
ジミ:違うわ!
北島:やべ違った
ジミ:いや地味だけど!でも違うわ!ジミヘンのジミだよ。ジミ・ヘンドリックス。
北島:あ、へぇ。
ジミ:ジミーだったら、ジミーペイジになっちゃうじゃん。ま、それもいいか。
北島:なんですかそれ?
ジミ:ええ!ツェッペリンじゃん。レスポールだよ!ヤードバーズ!ギタリスト!ああ、もういいよ!
北島:すみません
ジミ:ギターひきてぇなぁ。
北島:あ、音楽やってるんですね。
ジミ:いや、売っちゃったわけよレスポール。金なくて。そっから、俺の人生狂っちゃった感じよ。
北島:。。
ジミ:これちょっとしょっぺぇな。
北島:え、そうですか?
ジミ:作る人に言っといて。
北島:あ、へー。(メモ)
ジミ:へー?
北島:あ、すみません。いや、そうですよね。うん。
ジミ:味とか気にするんだなーって?
北島:いや、どっちかというと。「もらったものなのにー」って。方ですかね。はい。
ジミ:まーいちおな。俺らみたいな虫けらでも。
北島:、、、、
ジミ:あ、ごめん!なんかごめん!つい卑屈になって。ごめん!
北島:いえ!すみません。わたしこそ!
ジミ:たぶん、寂しいんだろうなぁって。思う。自分。
北島:、、
ジミ:こんな生活してるとさ。たまにこやってわがまま言いたくなるんだよ。

 ジミ、手をとり

北島:え
ジミ:あまえたいっていうかさ。
北島:あの
ジミ:欲しくなるんだよな。ぬくもり
北島:ええと、あの。
ジミ:ちょっと。ちょっと。
北島:ええええ。ちょっと
ジミ:そのままそのまま

 ジャニス、灯油タンクをぶつける

ジミ:(ぼん!)ぐあ!
ジャニス:またそやってえ!
ジミ:いっって!!なんだくそば

 スリッパでなぐる。

ジミ:(パコン!)
ジャニス:ばばー?!!
ジミ:いえ!ジャニスさん!ジャニス様!
ジャニス:ほれしっ!しっ!
ジミ:人を、犬みたいに
ジャニス:行け!さかりつきやがって
ジミ:ちくしょう!
ジャニス:なんだい。なにか言いたいことでもあんのかい?
ジミ:お!覚えてろ!

 ジミ退場

ジャニス:ザコゼリフ
北島:初めて聞きました。
ジャニス:きーつけなさいよ?
北島:あ!ありがとうございました!
ジャニス:このへんも最近あーゆーよくわからんの多いから。
北島:あ、あの。住んでらっしゃる方ですか?このあたりに。
ジャニス:あ、ここ。
北島:あのこれ(弁当)よかったら。
ジャニス:あ、いいいい。
北島:いや、お礼とかではありません!
ジャニス:あ、みりゃわかるみりゃわかる。でもいいのうちは。
北島:あ!すみません。不躾に。私、あのー、今日からボランティアスタッフを始めた者です。
ジャニス:いやそういう意味じゃなく。
北島:しまった!そうか!ありますよね!プライド!
ジャニス:いやそりゃあるわ!
北島:すみません!そりゃあるか!ありますねプライド!
ジャニス:あるけども。プライド抜きにしても、うちはいい。間に合ってるから。
北島:え?これ、無料で配ってるんですよ?
ジャニス:うんわかるけど。
北島:え?なんですか?
ジャニス:あんた。失礼って言われない?
北島:なんでわかるんですか!占い師!?
ジャニス:だれでもわかるわ!
北島:えええええ!!!
ジャニス:あんた。もうちょっとオブラートにつつむとか知らないの?
北島:、、ああ、わたしは、、、だめだ。

 北島、泣き出す

北島:ばだじー、でぃんげんがんげいべぇ、じごどっ!ぜんっぜぶうまぐぅイガだいでーん!ひっひっひっ!ふうううう!ごぉのばばじゃばダあべだべどんぼんでーーん!、だあにかぴーとのやあぐでぃダアアじんだんぐでえ!!ひっひっひっ!ふうううう!
ジャニス:(ため息)わかったわかった。
北島:聞き取れたんべすぱ!?
ジャニス:そんなことはない!
北島:すびばじぇえん!
ジャニス:ちょっと上がんな。
北島:え
ジャニス:いいからほら。
北島:汚くないですか?
ジャニス:だからそういうとこ!!!
北島:がああ!!すびばじぇえん!

 二人、バラック小屋に入る

<野々山>

 再び登場、
 今度は家の写真をパシャパシャとっている。

野々山:、、、、なるほど。こりゃ、最悪だわ。

 電話

野々山:もしもし野々山です。
 間違いなくこっちの勝ちって感じなんですけど
 いちおもうちょっと証拠も集めた方がいいかなって感じなので、潜ります。
 衣装代は領収書切ったら出ますね?
 無いんで私。そういう服。
 どこで購入したらいいですか
 はい。しまむら。しまむらというブランド、、。
 ヤマモトでもなく、コシノでもなく、しまむら。
 え?ブランドではない?
 ロゴなど送っていただけ、は?ググれ?
 はい。ではとにかく。
 野々山、巧妙に潜入いたします。

<室内>

 バラック小屋の中が見える

北島:空気読めないんです。思ったこと言っちゃうんです。
ジャニス:そりゃ生きにくいねえ
北島:はい。
ジャニス:はい、お茶。
北島:うわ!お茶まで出て来た。
ジャニス:住んでるからねいちお。
北島:令和の世の中に、こんな戦後のバラックみたいなところ、あるんですね。ゴミ捨て場だと思いました。最初。
ジャニス:もう病気だね
北島:あああ!、、すみません。
ジャニス:いいよ。まぁ、正直でさ。
北島:正直すぎて。わたし、人間関係で仕事うまく行かなくて、このままじゃダメだと思って、何か人の役に立ちたくて、、。
ジャニス:あ、そう言ってたのねさっき。
北島:はい。
ジャニス:で、ボランティア。
北島:ええ、まぁ。でも。ダメです。
ジャニス:まだわかんないじゃん
北島:いや。ダメです。わたし。ボランティアすら役に立てないんだから。
ジャニス:「すら」ってあんた。
北島:え?
ジャニス:そっちの方が難しいんじゃないの?
 普通の仕事よりよっぽどさ。
北島:あ。
ジャニス:人の役に立とうなんて、
 なかなかできるもんじゃないでしょうよ。
北島:、、そうかもしれません。
ジャニス:うん。
北島:わたし。なめてましたね。
ジャニス:うん、なめてたね。

<マリア>

マリア:おかーさんいるー?
ジャニス:お、我が家の大黒柱のご帰還だ。
北島:え?
マリア:ただーいま。
ジャニス:おつかれさま。今日はやかったねえ
マリア:うん。お客さん?
ジャニス:そー。ボランティアだって。
マリア:へー。こんにちわー
北島:あ、娘さんですか?
ジャニス:ま、失礼しちゃう。
マリア:そんなに年離れてるように見えますか?
北島:いや!すみません!わたしまた!
ジャニス:えっとねー。この子は、うーん。なんていうの?
マリア:命の恩人。
ジャニス:また大げさな。
マリア:ぜんぜん。大げさじゃないよ。
 助けてもらって、名前をもらったあの日から、
 ジャニスはマリアのおかーさん。
北島:名前?
ジャニス:ちょうどこんな季節にさ。ずぶ濡れで凍え切って、倒れてたのこの子。
マリア:おかーさんいなかったら私、死んでた。
北島:どうして?
ジャニス:覚えてないんだって。ね?
マリア:うん。
北島:記憶喪失ってやつですか?
ジャニス:よっぽど辛いことがあったのよ。きっと。
マリア:思い出せそうな時もあるんだけど
ジャニス:いいいい!無理して思い出すことない!辛いことなんてね。忘れちゃえばいいのよ〜。わたしなんかもう忘れたいことばっかり!
マリア:またそやって〜(笑)
ジャニス:毎晩酒のんじゃ泣いてんのに、次の日ちゃーんと覚えてんのよ。頭きちゃう。

 マリア、現金を渡す。

ジャニス:ひどいことされなかった?
マリア:今日のお客さん、なんかへんな趣味で。全然なにもしてこないから超楽だった。
ジャニス:へー。珍しい。
マリア:レンタル彼女ってこんな感じなのかも。
ジャニス:そういうのが割と突然豹変したりするから気をつけて。やばいと思ったらすぐ逃げてよ?
マリア:大丈夫大丈夫。
ジャニス:ごめんねマリア。あんたばっかり。本当ならあたしが体張って客取ればいんだけどさー
マリア:私は、家が、あるだけで嬉しいんだもん。おかーさんもいて、あの子たちもいて。それでいい。
ジャニス:ありがとう。マリア。
マリア:わたし、いまのうち稼ぐだけ稼ぐからね。
 そして、みんな一緒に、空気のいい、綺麗な海のそばに引っ越そう。私の夢。
ジャニス:、、うん。
マリア:そうだ!聖と鈴は?
ジャニス:まだ帰ってない。
マリア:(服)冬服!二人どんどん大きくなるから。
ジャニス:ごめんねぇ
マリア:なんかすっげー安かったから買っちゃった。
ジャニス:しまむら?
マリア:西松屋
ジャニス:よろこぶわー
マリア:つい買っちゃう
ジャニス:ありがとう。
マリア:好きでやってんだもん
ジャニス:あんたからってわたしとくー
マリア:じゃ。ごゆっくりー
北島:あ、はい。

 マリア、退場する

ジャニス:ほんと。いい子でしょう。
北島:お仕事、なにやってるんですか?
ジャニス:ああ、体売ってんの。
北島:え。
ジャニス:うん。

 聖と鈴、走ってくる

聖:ただいま!
鈴:そこでマリアにあった!
聖:冬服って
ジャニス:はい聖。
聖:はい!
ジャニス:はい鈴ー。
鈴:やったー
ジャニス:ちゃんとお礼言ったの?
鈴&聖:ゆった!
北島:あの。えっと。
ジャニス:うちの子。
北島:え、子供もすんでんですね?!
ジャニス:こんばんわーって。
鈴&聖:こんばんわー
北島:あ、こんばんわー
鈴:だれ?
ジャニス:お客さん。
聖:じゃーん
ジャニス:家で着ないでよ暑苦しい
聖:いーじゃん。
ジャニス:手あらって
北島:え?水道もあるんですか?!
鈴:(もう洗ってる)えらい?
ジャニス:えらい
聖:お腹すいた
ジャニス:食べてくでしょ?
北島:え?料理作れるんですかここで!?
聖:今日なに?
ジャニス:肉じゃが。
二人:いえーい
北島:肉じゃが!?肉じゃがって肉じゃが!?
聖:肉じゃが知らないの?
鈴:なんの人?
ジャニス:お手伝いさん
聖:住み込み?
ジャニス:よく知ってんねそんなの
鈴:なまえは?
北島:北島。
聖:下の名前は?
北島:誠
聖:男子みたい
鈴:泊まる?
北島:え
聖:ふとんあるよ
北島:えええとうーーんとなんて断れば失望させずに済むんだろうこの場合。
鈴:つつぬけー
ジャニス:今日は泊まらない
聖:今度泊まる?
ジャニス:そのうちねー
北島:あの
ジャニス:ごはんできるまで誠ちゃんと遊んでて
聖:ゲームする?
北島:ゲームまであるの?
鈴:ボードゲーム
聖:人生ゲーム
北島:なつかし!もってたこれ
鈴:銀行やってね
聖:やったー
鈴:コマ
聖:あたし赤!
鈴:ずるい!
聖:いうと思ったー青でいいよ
北島:、、
鈴:まことちゃん緑?
北島:、、うん。
聖:どしたの?
北島:わたし、ひとりっこだったから
鈴:ええいいなー
北島:こういうの、いいなぁって。
聖:ひとりっこの方いくない?
鈴:ねー
北島:、、
聖:おかーさーん
鈴:まことちゃんないたー
ジャニス(声):なんかゆったー?
聖:わたしじゃないよねー?
鈴:わたしじゃないよねー?
鈴&聖:ねー?
北島:うん。
鈴&聖:いえっええーい私じゃなっいーー♪
ジャニス:ちょっと誠ちゃん、てつだって。
北島:はいっ
鈴:笑ったー
聖:がきかよー
ジャニス:まことー!
北島:はーーい!

<なかま>

 ラモ、リー、できあがって登場

ラモ:おおい。いてて
聖:お客さんー
リー:ジャニさん
ジャニス:どしたの?
ラモ:ヤクザ
ジャニス:あんにゃろう
リー:おちゃけ。ジャニさん
ジャニス:あらー
リー:熱燗しましょ。
ラモ:ジャニス、なべ
ジャニス:誠ちゃんおなべ
鈴:とってー
北島:あ、どれですか?
聖:それ
北島:おおお。タライですかー。

 ジミ、なんとなくくる

ジャニス:鼻がいいねあんたは
ジミ:ミートボール廃棄ゲット
ジャニス:あー、鍋もいいね
リー:いいいい。
ラモ:いいねぇ
聖:なんか切る?
ジャニス:手伝ってくれる?
聖:うん
鈴:ゆんたは
ジャニス:呼んでー
ラモ:(叫ぶ)ゆんたあああああ!!!
リー:七輪ほしぃねえ
ラモ:(叫ぶ)しちりーーーーーーん!
ジャニス:誠ちゃんお水お願い
鈴:こっちー
北島:?

 蛇口があり、水が出る。
 ジャーーーーーー

北島:わあ
リー:味見味見(酒を注ぎ出す)
ジミ:八海山じゃん(マイコップ)
リー:老酒(ラオチュー)ものみたいねー(マイ茶碗)
ラモ:カシャッサはねーか(マイお椀)
リー:なかなかねー
ジミ:あ、ブラジルの
ラモ:んあーカシャッサ

 優太、七輪持ってくる

鈴:ゆんたきた
優太:ん。
ジミ:カンタかてめぇ
ラモ:炭あるか?
優太:お、、あ、、うん
リー:何か焼きましょね
ジミ:ミートボール
ラモ:しゃらくせえ
聖:(なんか運びながら)テレビいい?
ジャニス:特別ね特別。
北島:え。これ、ゴミじゃないの?
鈴:(つける)
北島:でも地デジって
ジミ:なぜか映るんだよ

 テレビがつく

北島:わあ。

 権藤がくる

権藤:おうおう。
ラモ:やなやつがきた
権藤:マッコリのむかー?
リー:わあ韓国の?
ラモ:パチモンだ。
権藤:贅沢いうなよ
ジミ:ニセモンとかあるんすか
リー:ぱくはちゅ
権藤:爆発すっから飛行機で
ジャニス:また貧乏人から金せびりにきたの?
権藤:そんな嫌うなよ。
ラモ:ちんぴらが
権藤:別に否定しねえ。
ラモ:俺が20年若かったらなぁ
リー:ままま、
権藤:わーるかったって。
ラモ:いてててててってててて
権藤:ほら(タバコ)
ラモ:しょーがねえな
リー:お!いてててて
権藤:わかったって(タバコ)
リー:やたねー
ジミ:現金だなー
聖:夜は休戦だって
北島:休戦。
権藤:あ、新顔?
北島:こ、こんにちわ
権藤:きたねえけどゆっくりしてって。
ジャニス:おまえがいうな(ひっこむ)

 テレビの音

鈴:あ(テレビ)サンタクロースだ
リー:クリスマスかー
権藤:ガキと野郎しかいねえな
ジミ:いるいる
ジャニス:わたしわたし
権藤:俺はかまわんぞ?
鈴:なにが?
らも:ジャニス
ジャニス:ごめんちゃい
ジミ:今年も嫌な季節がきた。
聖:恋人いないの?
ジミ:いたことないわ
鈴:なんで?
ジミ:なんでですかね?
ラモ:まぁ。
権藤:しかたねえよ
全員:うん
ジミ:なんすかああ!
ラモ:ブラジルのサンタは半袖だぞ
ジミ:まじで?
鈴:なんで?
リー:みなみはんきゅー
ラモ:あせだくでプレゼントをくばる
聖:おもしろーい
ラモ:会社から、シャンパンが配られる
ジミ:いいっすね
リー:中国のクリスマスはリンゴを食ぺるよ
聖:え?なんで?
リー:しらない
ラモ:知らんのか
リー:贈ってはいけないぷれせんとあるよ
鈴:なに?
リー:傘。
聖:なんで?
リー:しらない
ラモ:知らんのか
権藤:知っとけよ
ジミ:サンタになにお願いした?
聖:あ
ジミ:ん?
鈴:えっと、、
北島:?
聖:うちは関係ない。
優太:、、、
ジミ:あ、やんないの?
聖:うん。
リー:あ、そだったそだった。ぷっきょうね。
権藤:あ、そっかそっか宗教な。
北島:そうなんだ。
聖:うん

 ジャニス、鍋もってくる

ジャニス:はいーーー。なべー。
ジミ:あ、きたきた
権藤:お!すげ
聖:わーい
リー:こちそうね
鈴:、、、
ラモ:鈴、俺もサンタこない、
リー:うちも
権藤:おれもだわ
聖:大人だからじゃん!ねぇ?
鈴:(笑)

 マリア、魚持ってくる

マリア:あーー、いいことしてるー
鈴:まりあ!
権藤:お。主役がきた
ジャニス:わたしは?
ジミ:女神っす
ジャニス:お。
聖:(野菜きったもの)みて!わたしが切った
マリア:えらーい
ジャニス:なにもってきた?
マリア:ホッケ。
男ども:おおおおお

 七輪がつく

全員:おーーー
ジャニス:歌って歌って
マリア:えー
リー:はい(日本酒)
ジャニス:じゃかんぱーい
全員:うぃー。

 わいわいする。
 「ギターとってくる」「カセットコンロ」

<歌>

 ラモじいギターを弾く
 ええ曲をみんなで大声で歌ってだいなしにする。
 途中で、こっそりと
 しまむらの袋をもった野々山が出てきて
 スマホで動画撮影を始める。
 しまいには一緒に歌う。

♪課題曲2♪
『香水』
https://www.youtube.com/watch?v=9MjAJSoaoSo

【コードはこれで(-3カポ)】
https://youtu.be/lf9cKarKPNM

『香水』作詞作曲・瑛人
♪夜中にいきなりさぁ いつ空いてるのってLINE
君とはもう3年くらい 会ってないのにどうしたの?
あの頃 僕たちはさ なんでもできる気がしてた
2人で海に行っては たくさん写真撮ったね
でも見てよ今の僕を クズになった僕を
人を傷つけてまた泣かせても
何も感じ取れなくてさ
別に君を求めてないけど 横にいられると思い出す
君のドルチェ&ガッバーナのその香水のせいだよ
別に君をまた好きになる 事なんて有り得ないけど
君のドルチェ&ガッバーナの香水が思い出させる
とぅーるとぅっとぅっとぅっ とぅっとぅ〜
とぅーるとぅっとぅっとぅっ とぅっとぅ〜
とぅーるとぅっとぅっとぅっ とぅっとぅ〜
とぅーるとぅっとぅっとぅっ とぅっとぅ〜♪

 夜が更けていく。
 暗

<次の日>

 小屋の外の風景に戻る。
 チュン、チュンチュン、、チュン

 戸が開く。パジャマの北島。

北島:、、、泊まってしまった。
 パジャマまで、あった。

 しまむらで揃えた、
 微妙な格好をした野々山がくる。

野々山:ボランティアのしまむらと申しますが。

 名刺。

北島:え?
野々山:ボランティアのしまむらです。変ですか?
北島:いえ
野々山:よかったです。
北島:あの。ボランティアって。
野々山:路上生活者支援団体NPO法人もみの木です。パトロールでの声がけや、定期的な炊き出し、そして生活困窮者の自立支援などをおこなう民間団体です。
北島:あ、そうなんですね。すごい。
野々山:ここに住まわれてる方ですよね?
北島:いやあのー。それがそのー。
野々山:調書を作るように言われておりまして特に、この周辺に住んでいる方の。
北島:調書。ですか?
野々山:お時間ございましたらお話聞かせていただけると大変ありがたいのですけど。
北島:あの。すみません私、
野々山:お名前は?
北島:北島です。
野々山:下の名前もいいですか
北島:まこと
野々山:どう書きますか?
北島:誠実の誠。
野々山:本名ですか?
北島:え?はい。
野々山:おいくつですか
北島:30歳。
野々山:30歳。
北島:あのー
野々山:小学生くらいのお子さんがいますか?
北島:え?
野々山:いますね?
北島:あの私。ここのものではないです。
野々山:本当ですか?
北島:え?
野々山:なぜパジャマなんですか?
北島:パジャマは、借りました。昨日、泊まったんです。
野々山:そんなことありますか?
北島:あったんです。
野々山:そうですか。
北島:あのー。
野々山:しつれいしました。それじゃ家の方は?
北島:寝てますまだ。
野々山:そうですか
北島:ほんと、しあわせそうで。
 わたし。びっくりしました。
野々山:、、もしかして、本当にここの人ではないんですか?
北島:あの、、ボ、ボランティアです。
野々山:え。
北島:ボランティア。
野々山:しまった。
北島:は?
野々山:なんでもありません出直します。
北島:そうですか。
野々山:あなたの出現によりだいぶ予定が狂いました。
北島:え、すみませんなんか。呼んできますか?
野々山:いえ結構です。作戦を立て直してまた来ます。あ。まさか。
北島:え?
野々山:あなたも潜入?
北島:潜入?
野々山:いやまさかな。ちょっとタイム考えます。
北島:はぁ。
野々山:(腕組みをして考えている)
北島:、、あの
野々山:次、私が別の感じできても、ちょっと黙っててもらうとか、いいですか?
北島:え?
野々山:いったんなしにします。それしかないです。
北島:はぁ
野々山:ありがとうございます。恩にきます。失礼します。また着替えなきゃ。

 野々山退場しかける。

北島:なんか、同じ匂いのする人だ。

 聖が戸をあけて出てくる。
 北島、野々山、それに気づき。

聖:めんどくさーい
北島:あ、学校?
聖:うっせえから大人
野々山:チャンス!

 野々山、ゴミの山に隠れる。
 北島まったく気づかない。

北島:ちゃんと行ってんだね
聖:わたし成績いいよ?
北島:意外。

<さぼりのわけ>

聖:鈴ー!行かないのー?あたし行くよー?
北島:?

 鈴、ちゃんと準備してる。

鈴:今日行きたくない
聖:あれ?
鈴:、、、、
聖:あー、そっか。
北島:?
鈴:うん
聖:わかった。
鈴:、、
聖:ねぇ、スマホもってる?
北島:持ってる。
聖:貸して!ぴぽぱび。はい。
北島:え!かけた?
聖:おかーさんのふりして!(お願い)
北島:えええ!?
聖:ほら鈴も
鈴:(お願い)
北島:失敗したら許してよ?
鈴&聖:だめ
北島:きびしい〜。わ!でた。えっと
鈴:5年1組
北島:ふぁ、モホシモホシ〜〜、5年1組の、
聖&鈴:小石川
北島:小石川鈴の、母ですけどもおおお。
鈴:うまい
聖:うまい?
北島:ちょホおおおっとあの、熱がはぁ、
 はぁいい。ですからあの、へええい。お休みぃ、ほおおおおいい。すうふうういませーん。しっつれしまああす。
鈴:にてた
北島&聖:そうか?
聖:珍しい大人!
北島:私も昔よくサボったし。
聖:不良だったの?
北島:いや、逆。

 ジャニス

ジャニス:やばいやばいやばいやばい
北島:げ。
聖:やばい!
北島:かくしてかくして!
聖:かくれてかくれて!

 なんだかうまく隠す。

ジャニス:やばいやばいやばい!いってきます!

 ジャニス退場

誠&聖&鈴:、、ほ。
ジャニス:やばいやばい!あ!(もどってくる)
誠&聖&鈴:わああああ
ジャニス:あ!
誠&聖&鈴:え?!
ジャニス:鍵鍵鍵!
聖:かけるかけるかける!!
ジャニス:鍵!そこね!そこの***の下!

 ジャニス退場

北島:そんなとこに?
鈴:へー
北島:あー疲れた。
聖:私もさぼろうかな。
北島:ええーやだやだもっかいはやだ!
聖:ちぇー。じゃ、いってくるー
鈴:おねーちゃん
聖:なに?
鈴:ありがとう
聖:ひとつ貸しねー♪

 聖退場

北島:やさしいね
鈴:、、うん
北島:いいなぁ。お姉ちゃん。
鈴:ねえ
北島:ん?
鈴:クリスマスしたことある?
北島:え?あるよ。
鈴:どんな?
北島:どんな?えっとどんなって。
鈴:サンタさんきた?
北島:あ。うん。
鈴:どんな?
北島:夜寝る前に枕元に靴下飾って、早く寝て、次の日起きたら、靴下にサンタのプレゼント入ってたり、入らないときは、靴下の上に置いてあったり。
鈴:クリスマス会とかは?お友達よぶの?
北島:ジュースのんでケーキ食べて、プレゼント交換して。音楽かけて。あ、子供用のシャンパンあけたり。ね。甘いだけのやつ。
鈴:いいなー
北島:あ。やんないんだっけ。仏教だから
   あー。それでか。
鈴:みんなに聞かれるから。
北島:、、、そっか。ごめん。
鈴:、、、もう帰る?
北島:うん。
鈴:そっか
北島:いや、じゃあ、もうちょっといる
鈴:ほんと?!
北島:うん
鈴:やったー

<野々山は見ていた>

 見てた野々山

野々山:劣悪な生活環境。深夜の騒音。登校拒否。茶髪。口紅。ピアス?ピアスはどうだっけ?

 聖

聖:やべー体操着忘れた。ん?

 野々山、またパシャパシャ写真とっている

野々山:イイ。朝日でボロさが際立つ。とってもイイ。いいわ。
聖:あのー
野々山:しまった。あ。
聖:なにしてんですか?
野々山:えっ。えっとー写真を。写真撮影を。風景写真。
聖:うちの?
野々山:(資料ばさばさ)小石川聖さん。ちゃん。ですね?中学2年生。長女。
聖:だれ?
野々山:ののや、しまむらです。
聖:は?
野々山:ボランティアです。
聖:え?また?
野々山:あ。ピアスは開けてますか?
聖:え?うん。
野々山:よし。ピアス。チェック。はい。あ。スカート詰めてる?
聖:ちょっと
野々山:服装の乱れは心の乱れ。いい調子。家庭環境に問題。
聖:なんですか?
野々山:不良?ですか?ぶっちゃけ。
聖:別に。
野々山:反抗的。沢尻エリカ的。将来が、不安。
聖:なにか用ですか?
野々山:ちょっとお話し聞きたいんです。
聖:え?
野々山:ただとは言わない。これ、あげる。
聖:え?
野々山:********
聖:え。
野々山:どう?

 小屋から声

誠(声):げええド貧民!
鈴(声):うぇええい

聖:大富豪?
野々山:え?2人で?
聖:あのー。
野々山:聞かせてほしいの。
 小石川美佐子さんのこと。
聖:え?

 2人、退場。

<ジャニスのクリスマス嫌い>

 ジミ、リー、ラモ

ジミ:なんかかわいそうすねー。
 俺、ガキのころちゃんとサンタ信じてたからなぁ。
リー:しょかないしょかない
ラモ:ジャニスのクリスマス嫌いはまぁ、しょうがねえんだ
ジミ:ほんとに宗教がアレなんすか?
リー:ノンノン。
ジミ:そっすよね。だって聖も鈴もクリスマスっぽいすもんね。名前。
ラモ:むしろ好きだったよなぁ?
リー:ハイハイ、かじゃってたかじゃってた。ちゅりーとかいっぱい
ラモ:電飾までひっぱってな?
ジミ:どっから
ラモ・リー:電柱(てんちゅう)
ジミ:ガチっすか。
リー:カチカチ
ラモ:そのへんクリスマスにしてたよなぁ。旦那と二人で。
リー:お似合いたたねー
ジミ:そんな好きだったのに、なんで嫌いになったんすか?
ラモ:その、旦那だ。
ジミ:どういうことすか?
ラモ:死んだんだ。クリスマスに。
ジミ:あーーーー。
リー:またヒシリ、こんなころね
ラモ:まだ鈴は腹ん中でなぁ

 優太、遠巻きに話しを聞いている

リー:いい人たたねー、
ラモ:いい男だったよなぁ
リー:はいはい
ジミ:たまたまっすか?
リー:おちゃけ
ラモ:酒。
リー:豊平riverにとんぷらこ
ジミ:うわ。え?自分からっすか?
ラモ:いや、酔っ払っただけだろうって。
ジミ:なんでわかったんすか?
リー:ポケットに、ぷれせんとー、みっちゅー
ジミ:なるほど
ラモ:24日の夜中に橋からおっこって、
 25日に死体あがってな。
ジミ:ただのよっぱらい事故か?
リー:そそそ
ラモ:でも問題があってよ。
ジミ:問題?
ラモ:他の女と居た帰りだったらしくてな
ジミ:おおう。
ラモ:次の年から、やらんくなった。クリスマス。
ジミ:なるほどっすー
優太:、、、
ラモ:おーし。はたらくべー

 ラモ、退場。

リー:行く?おしこと
ジミ:アルミ缶?いやパスっす
リー:たいちょぷ?
ジミ:ま、貯金あるんで。
リー:ほんと?ちょと貸して
ジミ:いや返すあてないっしょ
リー:あるあるー
ジミ:ギャンブルでスるんでしょ?
リー:いや有馬記念
ジミ:ギャンブルだろ
リー:わたし勝ったらすこい
ジミ:だれでもそうだろ
リー:すこいよ勝ったら。
ジミ:勝ったら貸します勝ったら。
リー:ほんとねー?

 リー、退場

 ジミ、電子タバコを吸う。

ジミ:いやー。終わってんな。あいつら。
優太:、、
ジミ:なあ?
優太:、、、、あ、んーと
ジミ:え、君いくつ?俺と同じくらいだよな?
 えっとー。ゆんた?だっけ?
優太:うん
ジミ:あーなったら終わりだよな。じっさい。
優太:、、、
ジミ:いつからいるんだこんなとこ。
優太:、、、
ジミ:もうさ。なんか。あきらめちゃってるよな。人生。なんか、ねえのかな。いつか見てろみたいなの。な。もう、ねえんだろうな。あの年じゃなぁ。
優太:、、、
ジミ:そう。思いませんか?
優太:、、、
ジミ:ゆんたくん。
優太:。。。。
ジミ:え、しゃべれねえのおまえ?
優太:い、いや。
ジミ:無口なんだ?
優太:、、おん
ジミ:あそ。

 間

ジミ:なんで?
優太:、、、
ジミ:なんでここにいんの?
優太:、、、、
ジミ:いつから?
優太:、、、
ジミ:結構前?
優太:、、、
ジミ:、、そうかー。
優太:(ケホ)
ジミ:咳払いか!こんなにしゃべったのに!俺しかしゃべってないじゃん!何?俺のこと嫌い?なんかダメ俺?なんか俺、かまってほしいみてぇじゃん!さみしがりみてえじゃん!いっとっけどな!友達けっこういるからな!俺!こうみえて!うそじゃねえぞ!わかったか!?
優太:(はっくしゅ)
ジミ:くしゃみ!しゃべれよ!エチケットくしゃみしてんじゃねーよ!せめてうなづいたりよ!首ふったりよ!しろよ!咳とかくしゃみの方があれじゃん!エネルギーつかってんじゃん!な?!
優太:ごめん
ジミ:、、ま、ここにいるってことはさ。なーんかわけありってことだもんな。俺もさー。なんか色々、うまくいかなくってさー。気づいたら、ここにいた。そんな感じよー。

 優太、消えている

ジミ:(振り返る)、、、(向き直す)生きづれえ世の中だぜ。

<バイト>

権藤:よーう。
ジミ:あ。ヤクザ。いや、権藤さん。でしたっけ?
権藤:元気か?えーーと、ジ、ジ、ジ、ジ、、ジョン・ポール・ジョーンズ!
ジミ:えツェッペリンのベーシストすかやめてくださいよまぁいいすけど全然はい。
権藤:おおいいよお前。なかなか醜い笑顔してるわ
ジミ:え?
権藤:褒めてんだよ俺は。
ジミ:あ、そっすか?
権藤:今日メシは?
ジミ:まだっすね
権藤:コーヒーでも飲むか?
ジミ:え
権藤:パフェでもいいぞ。
ジミ:パフェっすか!まじすか?なんすか?いんすか!?
権藤:俺はさあ。お前って男を見越して投資してんだよ。
ジミ:俺っすか?
権藤:いつまでもここにいて枯れてく気はねーだろ?
ジミ:あ、まぁ、そっすね。
権藤:バイトしねえか
ジミ:バイト?

 優太、見てる

優太:あ。
権藤:貯金ったってたかが知れてんだろ?
ジミ:でも。
権藤:当てでもあんのか?
ジミ:、、
権藤:おうゆんた
ジミ:あいつって
権藤:まあ、いいいい。気にすんなって。俺はお前に話があるんだから。
優太:、、あの、
権藤:おう今日はしゃべりまくりだなゆんた。機嫌がいいのか?でもまぁだまっとけ。おまえにゃ関係のねえ話だ。
優太:、、、
権藤:えーと。ジ、ジ、ジョン&ヨーコ!
ジミ:ジミ!
権藤:おーけージミーヘンドリックス、まずはコーヒー&シガレットだ。
ジミ:トム・ウェイツっすね!
権藤:知ってんねぇ
ジミ:いや権藤さんも!
権藤:まぁジョーシキよジョーシキ

 二人、退場

優太:、、、、

 それを見てたマリア

マリア:いまの権藤でしょ?
優太:あ、、ん。。おん
マリア:それと、最近きた人。ジミだっけ?
優太:あ、うん
マリア:またひっかる気じゃないのあいつ。大丈夫かな。なんか言ってた?
優太:、、、い、いや。
マリア:あいつのせいで何人もここでダメになってるからさー。なんか危なそうだったら止めてよ?
優太:、、、か、関係ねえ
マリア:え
優太:、、、関係ねえよ

 優太、帰ろうとする。
 マリア、止める。

マリア:ちょっと!なにそれ?
優太:、、、す、さわんな
マリア:らしくないじゃん
優太:さわんなよ!
マリア:なに。また妬いてんの?
優太:つ、ちが!
マリア:ちょっといっぺんタダでいい事したからって彼氏づらとかやめてくんない?
優太:そ、そ、そ、そんなんじゃ、
マリア:あれはー。お酒が入っててー。なんかあんたが落ち込んでてー。わたしもちょっと気が向いてーっていうさ。事故みたいなもんなんだからさ。もう忘れて!犬に噛まれたと思ってさ?ね?ってあたしが犬?普通逆だからね?あんたが犬!
優太:うううう
マリア:悔しかったらあんた稼いでさ、わたしを毎日買いなさいよ!そしたら私も晴れて足洗ってさ。
優太:ううううう
マリア:仕方ないでしょう仕事なんだから!私体売ってなんぼなんだもん!他にできることないんだから!
優太:う、うたえ!うた!
マリア:だから、あんたねえ。何夢みたいなこと言ってんの?
優太:マリアなら、できるよ
マリア:わかってる?おかーさんの借金の額?普通の仕事じゃ10年かかっても無理。今は私、これでお金ばんばん稼ぐんだ。
優太:お、俺が、、、その

 マリア、抱きしめる。

マリア:あんたは人形、つくるんでしょ?
優太:、、、
マリア:もうすぐなの。年明けには貯金、目標に届くの。これで、全部借金帳消しにできる。これで、聖も、鈴も、おかーさんも、ここから出られるよ。
優太:なんで?
マリア:え
優太:なんでそんなに、すんの?
マリア:恩返し。
優太:そんだけ?
マリア:それと、、
優太:、、それと?
マリア:、、、
優太:それと、なに?
マリア:ゆんた。
優太:なに?
マリア:普通にしゃべってる。
優太:あ。
マリア:ベッドと一緒。
優太:ばっ!!
マリア:(離れる)あ、照れたかわいい〜。
優太:く、くそ、
マリア:ありがと。、、ヤキモチ妬いてくれるのはとっても嬉しい。でも、あんたは別の、普通の優しい女の人を見つけなさい。
優太:、、、
マリア:じゃ、ちょっくら、仕事行ってきやす!

 マリア、退場

優太:、、、金、、、

<北島>

 北島、そーっと出てくる

北島:、、、子供って突然寝る。

 お弁当。

北島:、、余っちゃったな。これ。あ。
優太:(やべ)(逃げよう)
北島:あの!あの!あの!あの!あの!
優太:(やべえ)
北島:これ!昨日のですけど!食べますか?!
 でもちょっと、しょっぱいってジミ顔のヒゲが!
 あ、昨日、ご馳走さまでした!七輪!
優太:、、うん
北島:あ!すいません!プライド的にNGなら!NGで!じゃあ、もう捨てます!わあ!もったいない!でも私、お腹いっぱいで。いや捨てます腐るんで!「てやんでい賞味期限?おめバカいっちゃ行けねえよ。おめえらとは胃袋の鍛え方が違うのさ。腐ってるくらいがうめえ」とかここの人なら言うかなって思ってましたけど、そういうのは甘えだから!ごめんなさい私、高校のとき小説家志望ですぐ妄想に入る!
優太:北島さん
北島:はい。
優太:北島さんって北島さん?
北島:え?
優太:高校ときの?
北島:ええ?え?ええ?
優太:田中優太。野球部の。
北島:うえええええええ!!!うそおお!!
優太:北島さんメガネやめたんだ!
北島:田中くん坊主やめたんだ!
優太:オレオレ!
北島:わたしわたし!
優太:ぜんぜん気づいてなかった!
北島:なん年ぶり?
優太:10年とか?
二人:久しぶり〜〜〜!!!!
北島:なにしてんのこんなゴミためみたいなとこで!
優太:うわ、めっちゃ言いにくいこと言う!北島さんだ!
北島:わたし高校からそう!?
優太:おれ密かに尊敬してた!
北島:うわぜんぜん嬉しくない!!
優太:見られたくなかったこんなの!
北島:いや私こそだよおお!!
優太:ボランティアになったんだー。
北島:あ、うう。ええと。それが、、その。えっと。
優太:え?違うの?

 スーツの野々山がくる。

野々山:あのー。
優太:あ。
北島:は。
野々山:あ。
北島:あ。
野々山:小石川さんのお宅で間違いないでしょうか?
北島:あ、ええと、ここ?
野々山:はい。小石川美佐子さんは?
北島:みさこ?
優太:ジ、ジャニスさん
北島:あ!いません。
野々山:え?
北島:いません
野々山:いない。
北島:いません。
野々山:また?
北島:はい。
野々山:どうしてこう予定どおりにいかないのかしら。
北島:なんか、すみません。
野々山:はじめましてー
北島:え
野々山:はじめましてーーー
北島:は、はひ。
野々山:ここのおうちの方ですかー?
北島:いやあの、
優太:え、い、いや。
野々山:私弁護士の野々山と申します
優太:え
北島:あ、っと。え?弁護士?
野々山:あ、えとー。そちらはー?あ、ボランティアの?ですか?
北島:わたし、ええと、わたくしはー。
 ごめんなさい!
 私、ボランティアじゃありません!
 嘘ついていました!
野々山:え?嘘?
優太:そうなの?
北島:そう。嘘!
優太:なんで嘘ついたの?
野々山:やっぱり同じ穴のムジナ?!
北島:え?
野々山:あなたも潜入ですか?!くっそ。うっかり綺麗に騙されました。そちらにも弁護士がたってるだなんて初耳でした。
北島:は?
野々山:こうなったら正々堂々といきましょう。

 ラモじいが登場

野々山:この劣悪な家庭環境において、
 あなた方が親権を勝ち取るなんてことは
 万に一つもありえません。
北島&優太:親権?
野々山:この野々山、弁護士生命をかけてでも
 子供達をこのゴミためから救いだしてみせます!
北島:子供たち?
優太:どういうこと?
北島:あの、わたし、弁護士でもありません。すいません。
野々山:ボランティアでもなければ弁護士でもないんですか?じゃ、なんなんですかあなた。めんどくさい。
北島:すみません。
ラモ:あー。恐れてたことが、起きたか。
優太:あ。
野々山:どなたですか?
優太:ラモじぃ
北島:恐れてたことってなんですか?
ラモ:産みの親だろ?
野々山:ええ
ラモ:珍しい話じゃねえ。聖は、前の旦那の連れ子なんだ。
二人:え?

 場転

<聖>

 都会の雑踏音。
 クリスマスの音。
 
 聖、1人で公衆電話にいる。

聖:、、、、、、、、、、、、、、、

 10円玉。

聖:、、、、

 紙を見ながら、
 電話番号を押す。

聖:、、、、、、

 プルルルル、プルルルル、プルルルル

聖:、、、、、、、、、、、、、、

 あきらめて、切ろうとする。

 女「はいもしもし。三田ですが」

聖:!

 慌てて切る。
 がちゃ

聖:、、、、、

 メイン舞台からの声がする。

北島:聖ちゃん、知ってるんですか?
ラモ:ああ。もう物心がついとったからな
野々山:父親は離婚後、美佐子さんと出会い再婚。
 その後、事業に失敗し負債をかかえ、
 ここへ移り住み鈴を妊娠。
 その年に豊平川で事故、そして今にいたる。
北島:どうして今更。
ラモ:15歳を超えると家庭裁判所は子供の意見を尊重せんといかん。
北島:じゃあ、15になる前に
ラモ:ま、そういうこった。
優太:、、

聖:、、、、、、、、、、、、

 また、紙を見ながら、電話番号を押す。

聖:、、、、、、

 プルルルル、

 女「もしもし?」

聖:、、、、、、、あの、

 女「、、、聖?」

聖:!

 また慌てて切る。がちゃ!
 その場を離れる。
 
 雑踏の音。

 照明戻る。

<金>

野々山:詳しい経緯はわかりませんが、
 産みの母側としては以前は合意のもとで渡した親権を取り戻したいということです。
ラモ:家庭裁判所が親に求める条件はおおまかに4つだ。
 ひとつ。これまでの監護実績。
 ふたつ。子供と過ごす時間があること。
 みっつ。親が健康であること。
野々山:詳しいですね?
ラモ:おれ、裁判官やってたんだわ。家裁で。
優太:え?
北島:そうなんですか?!
野々山:なんでこんなとこに?
ラモ:薬に手だしてな。へへへ
優太:くすり
ラモ:エリートってのは繊細なんだ。いんだよ俺のことは。
北島:最後のひとつは?
野々山:経済状況が安定していること。
ラモ:金だな。
優太:、、、かね
ラモ:おれたちには、一番ねぇもんだ。
野々山:旦那さんの残した借金がありますね?
ラモ:なぁ、、、、
優太:い、いや!ない!
ラモ:え?
野々山:どういうことでしょう。
優太:ま、マリアが、返せるって。
ラモ:ほんとかそれ?!
優太:う。うん。
野々山:ま、あとで確認させてください(チェック)。
優太:、、、
野々山:では調書に移らせていただきます。
ラモ:調書?
野々山:はい。周囲の証言として提出します。
 小石川聖の現保護者の印象をお聞かせ願えますか?
ラモ:え
北島:今度なんですか?
ラモ:(小声)印象が悪いと不利になる。
北島:げっ
野々山:率直にお願いします。
 小石川美佐子さんはどうですか?
ラモ:す、すばらしい母親だよ!な!
北島:に、肉じゃがをつくります!ね!
優太:あ、うんうん
ラモ:こう、髪の毛に、特徴もあって!な!
北島:癖っ毛!癖っ毛がキュート!ね!
優太:そう!そう!
ラモ:目!目が綺麗!な!
北島:きれい!おっきい!鼻も!
ラモ:鼻?!うん!な!
優太:おう!うん!ああ!
ラモ:(なぐる)お前もなんかいえ!
野々山:酔って暴力をふるうこともありますね?
三人:え?
野々山:これは聖さん本人の証言によります。
優太:え?
野々山:さきほど、ちょっとたこ焼きを食べながら。
ラモ:なにかの間違いだ!
北島:まさか!暴力なんて!
ラモ:酒なんて、嗜む程度だ!
優太:そう!
野々山:嘘はダメですよ?
3人:はい!

リー:あー!シャニさーーん

<ジャニス>

 泥酔して帰ってくる

ジャニス:らいちょぷらい、ちょぷっ
3人:え?
野々山:、、、、、
ジャニス:第三もっきりセンターでぇ、モッキリさしてぇいただきあしたあ!はいモッキリ!!
リー:また昼間からもっきりしてー
ラモ:えあーっとあれはー、となりのー。な?
北島:ああ、ああそうですえーとお隣のー。じゃ、じゃ
優太:じゃ、じゃがいも!
野々山:じゃがいも?
ラモ:そう!じゃがいもさん!
ジャニス:すきーじゃがいもー。
北島:じゃがいもねえさん
リー:へ?
ジャニス:かぼちゃもすきっ
ラモ:ったくだらしねえなぁ、いもばあさんはぁ
ジャニス:さつまいもは?
北島:好き好きぃはい退場〜♪

 鈴

鈴:わ!おかーさん?
3人:げ。
野々山:おかーさん?
鈴:うん
野々山:嘘はよくありませんね
3人:、、はい
ジャニス:あんれ鈴?がっこおワタ?
野々山:監督も不行き届き
鈴:飲んだの?
ジャニス:お給料ぱあっとつかったった〜〜♪
野々山:金銭感覚にも問題
ジャニス:さばの味噌煮♪里芋煮♪身欠きニシン♪
鈴:いいなあ
野々山:食生活も怪しいですね。
ラモ:ジャニス!しゃんとしれ!
ジャニス:しゃん!
野々山:泥酔のところ失礼いたします弁護士の野々山と申します。
ジャニス:ああ!

 ジャニス、2、3歩歩き。気をつけの姿勢。

ジャニス:吐く。
全員:え?
ジャニス:(深い礼)吐きます!
全員:えええええ

 ずんずん家の戸口へ。みな避ける。
 ジャニス。つかつかと中へ
 ピシャン!と戸を締める。
 家、揺れる

北島:わあ
ラモ:ゆれたな
優太:ん。
野々山:壊れませんか?
リー:たまに
鈴:おかーさーん

 鈴、再び中へ

野々山:あーして酒を飲んでは
 小学生の娘に世話をやかしていると。
リー:そうてす
ラモ:いや、たまに!
リー:毎日てす
北島:ちょっとリーさん口チャック
リー:はい?
優太:(しーーー)
野々山:あの様子だと、借金返済の話もあやしいですね。
優太:マリアが、か、かえすって。
野々山:その、マリアさんのお仕事は?
北島:、、、、
優太:え、と
りー:ふうそくちょー。
ラモ:風俗だよ。
野々山:なるほど。

 間

北島:わたし今のままで十分幸せだと思います。
野々山:酒びたりの母親。隙間風吹き込むバラック小屋。不良化している長女。次女の不登校。母親の無関心。ざっとこれだけでも、私にはそう思えませんが。
北島:わたしも、勘違いしていました。
 もっと皆さんなんていうか、大変なんだと。
 いや、大変なんでしょうけど、
 でも、みんな笑っていて。
 ほんと、幸せそうで。
 わたし、びっくりしたんです。
野々山:私は依頼どおりに仕事を進めるだけですから。
北島:野々山さんも泊まってください!
 きっと違ったなって思います!
 わたし、あんなふうに笑えるの忘れていました。
 私、ほんとに、久しぶりによく寝ました。
野々山:うちのクライアントは産みの母側ですので。
北島:間違ってると思います!
野々山:決めるのは裁判所です。
北島:もし間違ったどうするんですか?
 仕事なら許されるんですか?
野々山:私の範疇ではありませんね
北島:野々山さんが、
 そっとしてあげるのが一番いいって思っても?
野々山:そうですね。私の意見は関係ありません。
北島:そんなの!悲しくないですか?
野々山:かなしいとか(笑)
北島:ちゃんとやってください!
 ちゃんと考えてあげてください!
野々山:やりますよ!!仕事として!!
北島:でも!
野々山:大人なんだから!
北島:、、
野々山:割り切らなきゃやってられませんから。
北島:、、
野々山:ではまた、明日。メリークリスマス。
リー:めりくりしゅまーしゅ

 野々山、帰ろうとする。
 マリアとすれ違う。

野々山:、、、(一瞥し、深く礼)
マリア:?(礼)

マリア:だれ?
ラモ:弁護士。
リー:あいやあー
マリア:え?じゃあ、まさか。
ラモ:ああ。

 時間経過

<借金>

 カァカァカァ

 北島、ラモじい、マリア、優太、リー。

ラモ:で、いくらよ?ジャニスの借金。
マリア:あと、5百万
北島:、、、、
リー:あいやー
マリア:、、400万はある。
全員:え?
マリア:本当は年明けに貯まる予定なんたけど、
 あと、100万。どうにかかき集める。
 その裁判までに。知り合いに借金して。
ラモ:ほんとにあるのか?
マリア:うん。私の部屋の、お布団の下。
りー:ふとん?
ラモ:あと、100万か、、、
北島:わたしも頑張ります。ぜんぜんないけど10万くらいなら。
ラモ:あんたもかい。
リー:てもー。とうかなぁ
全員:?
リー:とうかなぁ。ほんとのしあわせは、とっちかなぁ。
北島:リーさん。
リー:ま、むつかしとこねー。こめんこめん。
 かんかえてもためなときは、かんかえてもためね
 はい、これ。

 一ノ蔵

ラモ:おお景気いいな
リー:はいタパコもはいこれおこりねみなのぷん
ラモ:どした?パチスロか?
リー:ままま聞きっこなし聞きっこなし
 ま、のみましょ。のんてねたら、いいことあるよ

<ぼろぼろ>

 ぼろぼろになったジミがくる。

ジミ:ぐう、、ううう。
ラモ:おんや
リー:ジミさん、とした?
北島:血まみれ!
ジミ:くそ!ちくしょうちくしょう!!
ラモ:ああ。権藤か?
リー:あいやー
ジミ:くそおお!全部持ってかれた!あいつ!ぶっころす!!
リー:あーこんとーさんのいちゅものー
ラモ:んあー
ジミ:超簡単な付き人みてえなバイト1時間やって、金、くれたんだよ。2万
リー:ふぉう
ジミ:で、俺、こりゃいいバイトだって思って。そんで、権藤が、おごるっつーから、ついてった。
ラモ:ああ。
ジミ:酒飲んでたら、トイレっつって消えて!んで!ぼったくられて!奥からガチのヤクザ出てきて!ぼこぼこにされて、、、誓約書かかされて!あいつら!ATMまでついてきて!!ちきしょお!
ラモ:あきらめろ。命あっただけめっけもん
リー:ゆんたも、おなち目にあってるし。ねぇー
優太:あ、
ジミ:くそてめえ!やっぱりか!!やっぱりかああ!知ってたくせに!止めなかったんだ!
優太:、、
マリア:ちょっと!!
ジミ:おまえもグルかぁあ!ちくしょう!うがあああああ

 ジミ、飛びかかる。
 優太と2人揉み合いになる。

北島:ああ!
マリア:やめてよ!!
優太:うう!
リー:やめるやめる!
ラモ:おい!てつだえ
北島:は、はい!

ジミ:くそお!バカにしやがって!
リー:ままままま!
ラモ:のめほらのめ!

 ジミ、コップをぶんなげる。

リー:あぁいちのくら
ラモ:もったいねぇ
ジミ:俺はお前らみてえにならねえからなあ!
 俺は!ぜってえ!お前らみてえな虫けらにはならねえぞ!くそ!!!ちくしょう!!ちくしょおお!!くさってる!くさってやがる!ぶっころしてやる!バカにしてるやつ全部!みかえしてやる!
マリア:ちょっと!

 マリア、水をジミの顔にかける

ジミ:つめてええ!!!
マリア:そやって人を見下してっから!バチがあたんのよ!!!
ジミ:、、、、、、、
ラモ:おちついたか?
リー:はいこれ、これ持ってのんて、きょうはねて。
ラモ:ねろねろ
リー:ねて、おきて、また、おひさま、のぽりゅ。
ジミ:うるせえ!!みてろこのやろう!俺は本気出せばすげんだからな!おお、おお、うおおお!覚えてろぉお!!

 ジミ、退場

マリア:ザコゼリフ。
北島:2回目
マリア:ゆんた大丈夫?
北島:あ。
優太:うう
北島:伸びてます。
ラモ:だいじょうぶだー。
リー:しょかないしょかない
ラモ:やーれやれ。
マリア:散々なクリスマスイブだね。
ラモ:寝るわ
リー:はやいね
ラモ:明日から気合いいれてアルミ缶ひろわにゃあ。
マリア:ありがとうラモじい
ラモ:じゃメリクリスマース
リー:くりしゅましゅー

 ラモ、リー退場

マリア:そうかーイブかー。
北島:、、はい
マリア:ありがとう。10万円
北島:え?
マリア:わたし、がんばるね。
 がんばって、あと90万。
 ちょっくら、仕事してきやす。

 マリア、行こうとする

北島:え、これから?
マリア:うん。お得意さん探して、どうにか都合つかないか言ってみるわー
北島:すごいですね。
マリア:え?
北島:前向きで。優しくて。強い。
マリア:、、
北島:わたしは、なにもできない。
マリア:生きがいだから。
北島:、、生きがい
マリア:いや。違うか。罪滅ぼし。
北島:罪?
マリア:うん。
北島:なんですか?
マリア:優しくて強いのは、おかーさん。
 おかーさんはずっと気づかないふりして
 私をここにおいてくれてんの。
北島:、、え
マリア:私に、罪滅ぼしさせてくれてんの。
北島:それって、、まさか。
マリア:じゃ、あんにょーーん!

 マリア、退場。

北島:、、、、マリアさん

 優太、おきてた。

優太:、、、記憶喪失なんて嘘だよ。
北島:じゃあ、、マリアさんが。
優太:、、すげえだろ。
北島:すげえ
優太:すげーんだよ。

 北島、すわりこみ。

北島:このまま、なんの役にも立たずに、死ぬのかな。
わたしは、どこに行ってもだめだ。
優太:なにしてたの。高校出てから。
北島:看護士の、専門学校入った。
 でもまた学校行けなくなって、1年でやめた。
優太:美大目指して、二浪したのに、けっきょくあきらめた。
北島:アルバイトして、仕事覚えたころに、行けなくなって。
優太:経済学部入って、深夜のコンビニやって。昼夜逆転して、中退して。
北島:派遣やって、いじめにあって、ひきこもって。
優太:日雇いやって、酒に手出して、喧嘩して、それくりかえして。
北島:実家で太って、摂食障害、吐きながら食べて。
優太:だんだん人と喋れなくなって
北島:だんだん嘘しかつかなくなって
優太:気づいたら、ここにいた。
北島:今まで、何してたんだろうねえ
優太:まじで。
北島:私、死のうと思ってここにきたのに。
優太:あ、俺も。
北島:あ、そうなんだ。
優太:おん
北島:なにまだ生きてんの
優太:ウケんべ
北島:ウケる。
優太:、、、

 雑踏の音。

優太:ふだん、緊張して、大人とまともに話せないんだ俺。
北島:え?
優太:でも、北島とだとなんかしゃべれる。
北島:同級生だから?
優太:わからん。
北島:へー。
優太:俺、ひさしぶりに大人と会話してる。
北島:よかったね。
優太:ありがとう
北島:え?
優太:だから、役たってるよ。
北島:、、、
優太:すでに。
北島:、、、ありがとう

 暗

<小屋の外>

 夜中。外にいる、パジャマの聖

聖:、、、、、、、

 パジャマの鈴、出てくる

鈴:寝ないの?
聖:うん
鈴:さむくない?
聖:寒い。

 鈴、出てくる。でかいはんてんを渡す。

聖:ありがと。
鈴:ほしー。
聖:わたし、ここから見える景色だい好き
鈴:すずもー
聖:川のそばだとさー、空めっちゃ広いよね
鈴:ねー
聖:街だとさー。
 全然星見えないけどさー。
 川のそばだとさー、星みえんの。
鈴:ふーん
聖:街の明かりに、星が負けるんだって。
 お父さんが言ってた。
鈴:、、
聖:ような、気がする。
鈴:、、サンタさんきたことある?
聖:え?
鈴:おねーちゃん
聖:、、、ある。すっごいちっちゃいときね。
鈴:いいなー
聖:きてほしい?
鈴:うん
聖:もしもの話ね?
鈴:うん
聖:もしも、わたしだけこっから出てったら、やだ?
鈴:だけ?。
聖:だけ。
鈴:やだ。出てくの?
聖:もしもの話もしもの話。
鈴:えー
聖:ジングルベール♪ジングルベール♪すずっがなっるー

 ジャニス、酒飲んで登場

ジャニス:ぎゃ!いやな歌!やだやだ!
聖:げ。
ジャニス:何してんの風邪ひくでしょ?
聖:はいはい
ジャニス:はいは?
2人:一回
聖:また飲んでんの?
ジャニス:昼寝ちゃったからさ。寝酒。
聖:意味わかんない

 ジャニス。くっつきに行く。

ジャニス:さむいさむいさむい
聖:うわわあやめてー
ジャニス:いいっしょ別にねえ?
鈴:(笑)
ジャニス:鈴。学校から電話きたよ?!
鈴:あ
ジャニス:ちょっとぉ。ぺん
鈴:いて
聖:あ、暴力(笑)
ジャニス:うっせーわぁ
聖:うざいんだけど
ジャニス:まじまんじだねまじまんじ
鈴:あ。流れ星
2人:ええ!どこ!どこ!
鈴:消えた
ジャニス:願いごとした?
鈴:してない
聖:3回とか無理じゃね?
ジャニス:かねかねかね!
聖:うわ台無しだわ
ジャニス:食べる?****

 お菓子。

鈴:うぇーい
聖:なんで?
ジャニス:いちおね
聖:あそーか
ジャニス:命日命日。
聖:おかーさん。
ジャニス:ん?
聖:お父さんのこと好きだった?
ジャニス:めっっっちゃ好きだった。
聖:ふーん。
ジャニス:あ、流れ星!
鈴・聖:え!
ジャニス:うっそーバカがみる〜
鈴・聖:なんだよ〜

 暗

<クリスマス>

 次の日、
 ガッシャーーーーン!!!

優太(声):うがあああ!!
ラモ:ゆんたあ!
マリア:ちょっと!

 北島

北島:なんですかこれ!?
優太:かえせ

 優太、ジミ登場
 ジミをぶんなげる

ジミ:うおお!なんだ!いきなり!
ラモ:やめろやめろ!

 優太、ジミを吊るし上げ

ジミ:なにすんだよ!
優太:か、かえせ
ジミ:は?!
優太:かえせ!

 ジミ、逆襲、なぐられぶっとぶ

優太:うああ!
マリア:ゆんた!終わり!
ジミ:なんなんだ畜生!
優太:返せ!
ジミ:だからなにをだよ!!いってええ!
ラモ:まだ決まったわけじゃねえ
優太:400万!
北島:取ったんですか?お金!
ジミ:はあ?!!
ラモ:疑ってるわけじゃねぇ。
 マリアの400万。
 おまえ取ったな?
ジミ:400万!?取ってねえわ!
ラモ:いや、取ったろ
ジミ:疑うどころか決めつけてんだろ!
北島:確かにこの中では一番あやしいです
ラモ:黒。
ジミ:人権ねえのか俺は!
北島:証拠を。
ジミ:俺は、この女がどの掘っ建て小屋にすんでっかも知らねえから!!
北島:裁判長
ラモ:、、、ほんとに?
ジミ:ヘボい!へぼ裁判!
 じゃあ身ぐるみはがして調べろ!
 400万だろ!?
 そんなん取ったらもう逃げてるわ!
北島:裁判長。一理あります。
ラモ:白。
ジミ:ヘボ!ヘボ裁判長!
ラモ:いや、すまん。
 でもいちおな。みんなに聞いている。
 取ってないな?
北島&優太:はい
ラモ:そうか
ジミ:もっと疑え!
北島:いつなくなったんですか?
マリア:朝起きたら、なかった。
 昨日の夜にはなかったんだと思う。
 疲れて確認してなかったから。

北島:なんで銀行とかに預けなかったんですか!
マリア:、、
ラモ:預けれねぇんだ。
北島:え
ラモ:まぁ、不法滞在不法就労ってやつでよ。
 まぁ、よくある話だ。
 俺の親父もブラジル移民だ。
 リーは中国。
 ジャニスだって、ロシアのクォーターだ。
マリア:私は、好かれてない国。
ラモ:ま、みなまでいうな。すすきの近辺うろうろしてりゃあ、いくらだってそんなのはいるさ。

 権藤。

権藤:うぃーぅいっしゅあめりくりっすます♪
ジミ:権藤!!
権藤:あっちゃああああ!!

 ジミ、ぶっとぶ

ジミ:く、、くそおっっ!
権藤:そして俺は結局さ。
 ブルースリーが大好きなんだよ。
ジミ:ちくしょおお!!
権藤:この世は弱肉強食ってなぁ。

 もうひと蹴り。ぶっとぶ

権藤:やー、金ってのは、入ってくるときは
 入ってくるもんでなぁあ

 権藤、札束をもっている。

全員:あ!!
マリア:それ、、
ジミ:あああ!
権藤:え?これ?気にすんな。
 小銭が入ったんだよ。たまたまな。
ジミ:こいつだ!こいつが取ったんだ!
権藤:え?俺が?なにを?
ラモ:しらばっくれんな!
権藤:貧乏人のひがみってやつかそれ?
 おじさん嫌いだなぁ。そういうさ、
 悪は常に金を持っている人間的な発想。
 人を盗人呼ばわりしてんじゃねえ。
 俺は盗みなんてそんな面白見のねえ商売はしねえ
北島:でも、、それ。なんで
権藤:だめかよ?俺が自分で稼いだ金を
 いつみせびらかそうが勝手だろ?
ラモ:どうしたんだそれ?
権藤:俺を疑う前によ。
 お前らのお仲間、
 心配した方いんじゃねえのか?

ラモ:おなかま、、?

 皆、周りを見回し、

権藤:誰か1人、たんなくねえか?
北島:、、、、え。
マリア:うそ

ここから先は

6,841字

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たくさん台本を書いてきましたが、そろそろ色々と人生のあれこれに、それこれされていくのを感じています。サポートいただけると作家としての延命措置となる可能性もございます。 ご奇特な方がいらっしゃいましたら、よろしくお願いいたします。