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キャップレスデシモを修理した話☆セーラーの極黒インク使用は慎重に…

万年筆を購入し、いざ使うぞ!となった時に一番最初に迷うのがインク。
昨今のインクブームで色々な会社から限定色インクが出ていますが、万年筆ビギナーさんは、万年筆と同じメーカーのインクを使った方が良いよという話です。


念願のキャップレスデシモ、濃いピンク軸ゴールドカラートリムを手に入れ
た時のことです。

ブルーブラックのインクで、濃淡を楽しむのが万年筆醍醐味らしいのだけど、手帳書きこみ運用の予定だったので、視認性が良い『黒』で探しました。
出来れば超真っ黒。
黒ければ黒いほどよい。

その条件を万年筆先輩であるM監督に相談したところ、オススメしてくれたのがセーラーの『極黒』

万年筆用に開発した超微粒子ナノレベル顔料インクで目詰まりしにくいそうな。
何それ素敵と早速購入し、カートリッジをはめたキャップレスデシモに吸引させました。

良い!黒い!

黒々とした文字がスルスルとペン先が紙を滑るだけで書けるのです。
感動しましたね。

『極黒』の注意事項はこの二つ。
セーラー万年筆用のインクであること。他社製品に使うな。
吸入したら2ヶ月を目安に使い切り、都度洗浄すること。

わたしのデシモ、PILOT製です。最初の条件に当てはまらないのだけど、まぁいっか!と使っておりました。だって万年筆用のインクなのよ。
天下のセーラーさんのお墨付きなのよ!

と大船に乗った気持ちで使用しておりました。

いや、そのセーラーさんが直々に他社の万年筆では使うなって注意しているのだからそもそも船には違法乗船なのだが。
つい最近まで問題ないだろうと使っていました。

最初はね、私も注意書き通りに水洗いしていました。

でも月日が経つにつれ、他の万年筆に目移りしたりなど、扱いが少しずつ雑になり…たまに使おうとしては、あっインク無くなってる!軽く洗って再吸入!を繰り返したのです。

購入後5年後にツケが回ってきました。

あれ?なんだか書き味が悪いぞ……ペン先が引っかかるような違和感、洗っても洗ってもスキップする文字。
ペン先ユニットを外して、超音波洗浄機でクリーニングしても症状は一向によくならない

おかしい、デシモちゃんはこんなポテンシャルじゃないはずなのに。
多分、間違い無く…アレだアレのせいだ

顔料インクドライアップ…嫌な予感。
確かめるために、ペン先を撮影して拡大してみました。

超音波洗浄後です

汚れが取れていません。びっちりとこびりついています。ペン先の見える部分でこれだけこびりついているのなら、内部パーツはどれだけインクが固まっているのだろうか。

このインクの塊、指でこそぎ落としたら、力加減を間違えて、多分間違い無くペン先が歪む。わたしならやる。

これは流石に手には負えないぞ。

ということで、万年筆宅配修理のマエストリートさんで、クリーニングをお願いしました。

マエストリートさんは、修理の写真をXで公開されています。
店頭で見かけたことがない、珍しい万年筆が拝見できてとても楽しいです。
構造のお勉強も出来ます。
万年筆修理、10年以上のベテラン職人さんです。

高額万年筆をここまで曲げちゃうトラブルがあるのか、そして直せるのか!
自分の万年筆に何かあったときはお願いできるなという安心感と希望が持てるポストが並んでいます。

WEBサイトの問い合わせフォームから、万年筆の種類、思い当たるトラブルの原因、どうしたいかの希望を記入して送信すると、おおよその見積額と修理期間の回答を頂けます。
納得したら段箱に入れて修理したい万年筆を発送です。


修理から戻ってきたのがこちら

箱に入って戻ってきました!
お帰り!!
交換することになったパーツ。
インクが完全に固着しています。
ペン先に美しさが戻っていました

セーラー極黒は、他インクに比べて水分量が少ない
キャップ式のセーラー万年筆なら気密性が高いので、注意通りに定期的に洗浄を行えば問題なく使えるが、キャップレスなどキャップがないシャッター式の万年筆は、構造上気密性が劣りドライアップが早いので、相性が良くないことをマエストリートさんに教えて貰いました。


本日の学び

極黒はセーラーのキャップ式万年筆専用インクとして使いましょう



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