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ビックスモールンにインタビュー

ーーー 『なりたいな』のネタはどういった経緯で生まれたんですか?


チロ:「小さい頃なら誰しもが抱く変身願望ってあるじゃないですか。何も無い自分を変えたい…みんなから必要とされるヒーローになりたい…。男の子が仮面ライダーや、ウルトラマンみたいなヒーローに憧れるのってそういう無意識の欲求をくすぐられるからだと思うんです。女の子の場合でも同じで、大人に変身したサリーちゃんに、バリバリ活躍する理想のカッコいい自分を重ねるんですね。でも、いつしか大人になるにつれそんなことって忘れて行くんですよ。そういう、時間の経過と共に沈澱してしまった記憶をもう一度掬い、対流させることで、泥を舞いあげながらもキラキラしたものを見つけられるんじゃないか。って、そう思ったんです。」



ーーーネタを作る上で大切にしていることは何ですか?

ゴン:「"普遍性"ですかね。さっきチロが言ったような幼い頃の変身願望って、誰しもが経験していること、老若男女問わず分かち合えることじゃないですか。そういうものって、強いんです。時代や、性別や、国籍が違ったって耐え得る強度を持ってるというか。でも、今は表現の仕方がとにかく多様化して、ある特定の人にだけ深く刺さればいい、最初からそういう意識で作られたコンテンツばかり溢れているような気がするんです。個人的には、作る側がそれを諦めちゃダメだろ、って思いますね。あくまで選び取るのはお客さんであって、作る側が相手の姿を想像して、作品の姿を変えてしまうのは、表現の方法として適当ではないんじゃないか、って思います。」




ーーーグリさんは、どういった経緯で加入されることになったんですか?

グリ:「最初は普通にお客さんとして見ていました。本当にライブとかめちゃくちゃ見に行ってて。一回、1日3公演あった日があって、渋谷、新宿、大宮だったかな?それ全部見に行ったんですよ(笑)どの会場でも僕がいるもんだから、舞台上からゴンさんが軽くイジってくれて。そのままついでに打ち上げも来るか!?みたいな流れになって。そこから意気投合して今に至る、って感じなんですけど。最初はやっぱり、萎縮しましたよね。既に2人の世界観が出来上がってる訳ですから、僕みたいな不純物が混ざって、滅茶苦茶になっちゃうんじゃないかって。お二人は全然気にすんな、むしろ掻き回してくれ、みたいなこと仰ってくれるんですけど、最初は全然無理でしたね。言われるがままやってる感じは最初の一年くらいずっとありました。たまに気を抜くとただのファンに戻っちゃう瞬間があるんですよね。あれ?何で俺この人らとネタ合わせしてんの?って(笑)」

ーーーお二人が何に期待をしてグリさんを迎え入れたと思われますか?

グリ:「やっぱり『変化』じゃないですかね。2人と過ごしていて強く感じたのは、とにかく停滞を嫌うってことですね。ずっと一ヶ所に留まってないというか。急に事務所辞めちゃったりね(笑)でも、ピカソとかって住んでる街や付き合う友人、或いは社会情勢が変わる度に次々作風を変えて行くじゃないですか。青の時代、バラ色の時代、キュビズムの時代を経たからこそ、マドリードの戦火を目の当たりにした彼が『ゲルニカ』のような傑作を生み出せたわけで。"普遍"である為になにも"不変"でいる必要は無い、ってことをお二人はよく理解されてるんだと思います。プレッシャーはかなりありますけど、皆さんの期待を超える、いい意味での変化をもたらす起爆剤に"なりたいな"。そう強く思いますね。」


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