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短編小説ハムちゃん先生

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#スパイ

🦆カモクシーで行こう

🦆カモクシーで行こう

ハムちゃん先生は京都の街を移動する機会が増えたので、交通手段を考えていた。
人間と同じように京都市バスや地下鉄に乗ってもよいのだが、迷子のハムスターと間違われて捕獲される恐れがある。
なるべく人間に目をつけられないように移動したい。さて、どうしたものか。考えてみた。

1.ルンバを改良して乗ってみた

ルンバに乗って移動すれば、京都の街がお掃除されてピカピカ。一石二鳥だと思っていた。
しかし哲学の

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天使突抜オコジョ

天使突抜オコジョ

迷って進めない方
背中押します。

そう書かれた張り紙が街の掲示板に貼り付けられていた。

ここは天使突抜二丁目。

京都には風変わりな名前の土地が多く存在する。その中でもとりわけ目立ってロマンスなのがこの場所だ。

ハムちゃん先生はこの日、西洞院通りを南に向かって歩いていた。

四条通りを過ぎて、もうすぐ五条通りに着きそうな時だった。ものすごいスピードで白い何かが背後から走り去った。

あやしい

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スパイをやめた日【前編】

スパイをやめた日【前編】

一匹のハムスターが
鴨川に向かってボソッと言った。

「こんな仕事やってられるかっ」

そうつぶやいて、GPS機能付きの社用首輪を鴨川に投げ捨てた。

これは、ロシア政府から日本に送り込まれた秘密兵器、ハムスターのスパイの物語である。

ハムタコスキーはGPSを首につけられ、日々監視されている。潜入中の企業から技術や情報を盗み取り、報告するだけの生活に嫌気がさしていた。

「ハムスターはよく回し車

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ハムスタラボ

ハムスタラボ

人間には計り知れない世界。

それは案外、身近な場所に存在する。

たとえば、京大附属図書館の書庫地下3階。
ここに小さなちいさな研究室がある。

これまでに、誰からも探されることのなかった本。それだけが集められた本棚。

読まれずに眠っている本と本の隙間に、
一匹のハムスターがいて、
ひっそりと人間の研究をしている。

彼はアンビエント国が日本へ送り込んだスパイ動物。

アンビエント国は、ハムス

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