マガジンのカバー画像

短編小説ハムちゃん先生

11
運営しているクリエイター

#カモ

🦆カモクシーで行こう

🦆カモクシーで行こう

ハムちゃん先生は京都の街を移動する機会が増えたので、交通手段を考えていた。
人間と同じように京都市バスや地下鉄に乗ってもよいのだが、迷子のハムスターと間違われて捕獲される恐れがある。
なるべく人間に目をつけられないように移動したい。さて、どうしたものか。考えてみた。

1.ルンバを改良して乗ってみた

ルンバに乗って移動すれば、京都の街がお掃除されてピカピカ。一石二鳥だと思っていた。
しかし哲学の

もっとみる
スパイをやめた日【中編】

スパイをやめた日【中編】

「カモさん、流れに逆らって泳ぐのは大変でしょう。」

ハムタコスキーは申し訳なさそうに尋ねた。

この疏水は琵琶湖の水を京都市へと流す目的でつくられたものだから、これから琵琶湖へ向かうとなると逆行しなければならない。

「いや、そんなことあらへんわ。むしろな、流されて生き続けたら、鴨川のカモはどうなると思う?」

「あのまま鴨川の下流に流され、それから行き着く先は大阪の淀川でしたかな」

「そうや

もっとみる
スパイをやめた日【後編】

スパイをやめた日【後編】

「これからどうしていくんか知らんけど
困った時は鴨川デルタに来たらええわ。日中はいつもあの辺でランチしてるからな。」

カモは京都で最初の心強い知り合いとなった。

「こりゃまたご親切に本当にありがとうございました。あなたのお陰で見たことのない自由が手に入りそうです。」

御礼を告げたハムとカモは
近江舞子の浜辺で別れることにした。

( 鴨鍋になるなよ。また会おう。)

比叡山を目掛けて飛んでい

もっとみる
スパイをやめた日【前編】

スパイをやめた日【前編】

一匹のハムスターが
鴨川に向かってボソッと言った。

「こんな仕事やってられるかっ」

そうつぶやいて、GPS機能付きの社用首輪を鴨川に投げ捨てた。

これは、ロシア政府から日本に送り込まれた秘密兵器、ハムスターのスパイの物語である。

ハムタコスキーはGPSを首につけられ、日々監視されている。潜入中の企業から技術や情報を盗み取り、報告するだけの生活に嫌気がさしていた。

「ハムスターはよく回し車

もっとみる