見出し画像

《マナ形成のヘルカイト》デッキ紹介(『団結のドミナリア』期スタンダード・青黒赤ビートコントロール)

1. 《マナ形成のヘルカイト》について

こんにちは。
記事を手に取ってくださり、ありがとうございます。

当記事の主役は《マナ形成のヘルカイト》です。

自分がソーサリーやインスタント(以下、まとめてスペルと呼びます)を唱えるたびに、支払ったマナ総量に等しいP/Tをもつトークンを生成します。
サイズはスペルのマナ総量ではなく支払ったマナ総量なので、《記憶の氾濫》をフラッシュバックコストで唱えると7/7が生成されます。
逆に、《災厄招来》の効果でコスト踏み倒しで唱えると、生成されるトークンは0/0になってしまいます(《災厄招来》で合計3枚スペルを唱えても、戦場に残るのは《災厄招来》の分で出た5/5のみ)。

去る9月24日、最寄りのショップのゲームデーにて、このカードを主軸に据えたデッキで優勝させていただきました。
せっかくなので記事に残そうという次第です。

デッキリストはこちらです。

メインボード
2 《とんずら》
3 《考慮》
1 《強迫》
1 《火遊び》
1 《渦巻く霧の行進》
1 《かき消し》
1 《否認》
2 《撹乱プロトコル》
1 《冥府の掌握》
2 《削剥》
1 《染みついた耽溺》
2 《感電の反復》
2 《銀の精査》
2 《発見への渇望》
1 《吸血鬼の復讐》
3 《貴顕廊一家の魔除け》
1 《記憶の氾濫》
3 《大勝ち》
4 《マナ形成のヘルカイト》
1 《家の焼き払い》
2 《災厄招来》
5 《島》
6 《山》
4 《難破船の湿地》
4 《嵐削りの海岸》
4 《憑依された峰》

サイドボード
2 《強迫》
1 《撹乱プロトコル》
1 《窃取》
4 《くすぶる卵》/《灰口のドラゴン》
1 《削剥》
1 《銀の精査》
1 《強引な妨害》
1 《記憶の氾濫》
2 《家の焼き払い》
1 《悪意ある乗っ取り》


2. 《マナ形成のヘルカイト》デッキ解説

2.1. 《マナ形成のヘルカイト》デッキのプレイング

表題にて「ビートコントロール」としましたが、基本的なプレイングは、クロックパーミッションとコントロールを足して2で割ったイメージです。

序盤は除去や打ち消しで相手を妨害し、中盤以降に《ヘルカイト》を戦場に出してビートに移行することを目指します。

初手のキープ基準はコントロール寄りです。
クロックパーミッションの場合、初手にクリーチャーがいなければキープできません(クロック無しでパーミッションしても意味がないため)が、《ヘルカイト》の場合は、それがなくてもキープできます。
そもそも、普通にプレイすると《ヘルカイト》を戦場に出すのは4ターン目(多くの場合5ターン目)以降なので、それまでのドローやドロースペルで引き込めれば問題なしです。
したがって、キープ基準は「4ターン目まで土地が伸びそうか」、「相手に対する最低限の妨害があるか」といったことが焦点となります。

序盤は相手を妨害していくわけですが、一般的なコントロールほど除去や打ち消しがたくさん積まれているわけではありません。
相手のカードを片っ端から妨害していくと、肝心なところで除去や打ち消しが足りなくなります。

よって、ここで妨害を切っていく基準は、コントロールでのプレイングのように「相手のカードに逐一対処していくことでゲームを支配する」まではいきません。
あくまでクロックパーミッションのように、「相手の勝利ターンを遅らせる」ことが目的です。

相手の序盤のクロックに対してはある程度寛容になりましょう。
相手がさほど核心的な動きをしていないうちは、ドロースペルで手札を整えることに注力した方が良いです。

コントロールのように除去や打ち消しだらけにしない理由は、ドロースペルを多めに採っているためです。
《ヘルカイト》がいるときにドロースペルから次のドロースペルを引き込んで連鎖させることで、継続的にトークンを生成させていく狙いがあります。

中盤以降は、《ヘルカイト》を手札に引き込み、戦場に出す隙を窺います。
戦場に無事定着させたら、《とんずら》や打ち消しで守ったり、引き続き除去で妨害したり、ドロースペルで手札補充したりしながら、《ヘルカイト》とトークンで殴りきることを目指します。

《ヘルカイト》がいると、手札のスペルがすべてダメージソースとなります。
毎ターン3~4マナのドロースペルを唱えるだけでも《ヘルカイト》自身と合わせて7~8点クロックとなり、3ターン前後で相手のライフ20点を削りきることができるでしょう。

また、《ヘルカイト》が生成するトークンは、相手の攻撃に対するブロッカーにもなります。
ドロースペルを唱えるついでに相手のクリーチャーを1〜2体相打ちにとるだけでも、十分なアドバンテージです。

基本的に「出せるマナ総量=クロックの上限」ですが、《大勝ち》で宝物トークンを生成したり、《貴顕廊一家の魔除け》の2つ目のモードでドレインしたりすると、クロック量を引き上げることができます。

《貴顕廊一家の魔除け》の1つ目のモードは、キーカードを探しつつ、《災厄招来》や《染みついた耽溺》のための墓地肥やしになり、さらにフラッシュバックスペルが落ちればアドバンテージも稼げます。
3つ目のモードは、ほとんどのクリーチャーやプレインズウォーカーを焼ける優秀な除去であり、ドロースペルの天敵である《黙示録、シェオルドレッド》などへの対抗手段となります。

《とんずら》や《渦巻く霧の行進》といったフェイズアウトスペルは、相手の除去からこちらの《ヘルカイト》を守ることの他、終了ステップ開始時に追放されるトークンを守るためにも使えます。

トークンが追放されるのは、生成された次の終了ステップの開始時だけなので、そのタイミングでフェイズアウトされていれば追放効果は不発に終わり、次のターン以降も戦場に残ります。

サイドボーディングについては、相手のゲームレンジに合わせて細かく変えていきます。

相手が速いアグロなどの場合、ブロッカー兼除去として《くすぶる卵》や、追加の除去として《削剥》をサイドインしましょう。

《くすぶる卵》については、《ヘルカイト》が4枚倒されてしまったときの追加の勝ち手段にもなるので、相手に除去が多い場合にも2〜3枚検討しましょう。
ただし相手が黒系のデッキの場合には、《ヴェールのリリアナ》の小マイナス能力で除去されてしまうと目も当てられないので、枚数を1〜2枚に絞ったり出すタイミングを慎重に見計らったりする必要があります。

相手がコントロールなどの遅いデッキ、あるいは青単などの構えるデッキの場合、《強迫》や《窃取》をサイドインします。

相手が黒系やその他のミッドレンジの場合は、《家の焼き払い》でまとめて除去するのが良いです。

《家の焼き払い》は、ビートに移行した後も2つ目のモードで攻め手を追加できるため、無駄になりません。

《敵意ある乗っ取り》は、P/Tを4/4に変化させる効果で自分の1/1トークンの打点を引き上げて、トリッキーに戦うことができます。
《ヘルカイト》が戦場にいても問題なく撃てるため、相手のクリーチャーのサイズによってはこちらの方が取り回しが効くこともあります。

相手の墓地対策が予想される場合、《災厄招来》や《染みついた耽溺》はサイドアウトして、《記憶の氾濫》や《銀の精査》をサイドインします。

他のフラッシュバックスペルをサイドアウトする必要はありません。
なぜなら、これらは墓地対策されても、手札から最低限1回は唱えることができるからです。
逆に墓地を全く使用しない構成にしてしまうと、3戦目で相手が墓地対策をサイドアウトしてしまい、その分だけ相手の戦略が先鋭化する恐れがあります。

自分が手を緩めた墓地リソースに相手の意識を割かせつづけることで、相手のドローに不要札を生じさせ、本命のダメージレースを優位に進めることができます。


2.2. 仮想敵となる黒系ミッドレンジについて

『団結のドミナリア』期のスタンダード環境を語るうえで外せないのが、《しつこい負け犬》、《ヴェールのリリアナ》、《黙示録、シェオルドレッド》、《絶望招来》などを擁する、黒単および黒赤ミッドレンジの存在です。

黒赤の場合はこれらに加えて《税血の徴収者》や《鏡割りの寓話》/《キキジキの鏡像》などが入り、サクリファイス戦略を伴う、よりアグレッシブな構成になります。

スタンダードのカードプールが最も小さい時期にもかかわらず、かなりグッドスタッフ感の強いアーキタイプですが、《ヘルカイト》はこれらに対して《絶望招来》の効き目が薄いという点で構造的な耐性を持っています。

《絶望招来》の強さの本質は、カードアドバンテージ、テンポアドバンテージの両方を稼げる点にあります。

まずカードアドバンテージについて、基本的に1対3交換となります。
生け贄に捧げるパーマネントが相手に無かったとしてもドローできるので、無駄がありません。

テンポアドバンテージでは、例えば2マナのクリーチャーと3マナのエンチャントと4マナのプレインズウォーカーを生け贄に捧げさせた場合、2+3+4=9マナ分の相手のテンポを奪っていることになります。
もちろん、トークンなどを生け贄にすることで被害を軽減できますが、3種3枚ものパーマネントを除去すれば、それらの総コストが5を下回るということはそうそう無いでしょう。

ただし、それはエンチャントやプレインズウォーカーを使用するデッキでの理屈です。
クリーチャーしか使わないデッキであれば、エンチャントやプレインズウォーカーの分はテンポアドをとられずに済みます。
それに加えて、《ヘルカイト》ではトークンを生け贄にできるので、戦場における被害は実質なしで済みます(よって《絶望招来》は、5マナで4点ライフルーズさせつつ2ドローするだけのスペルに成り下がります)。

同じ理由で、《ヴェールのリリアナ》の小マイナス能力もそこまで脅威になりません。

反面、黒系ミッドレンジで脅威となるのは、手札破壊とクロックを同時にこなす、《隠し幕》/《暴き目》や《敵対するもの、オブ・ニクシリス》です。

このデッキは《ヘルカイト》への依存度(あるいは対ミッドレンジに関して《家の焼き払い》への依存度)が高いため、手札破壊は弱点となります。
《隠し幕》はタフネス4という硬さに加えて、3ターン目から攻撃できるパワー3の威迫持ちなので、こちらの展開を遅らせられつつ、その隙を突かれやすいです。

《敵対するもの、オブ・ニクシリス》は、コントロールデッキに対する強烈なアクションです。
手札破壊は自分で捨てるものを選べるのでさほど効果はありませんが、その代わり捨てないことを選ぶと4点クロックとなるため、あっという間にライフを削られてしまいます。

また、先攻後攻の影響もかなり受けます。

分かりやすいところで言えば、先攻であれば相手の2ターン目に出された《しつこい負け犬》や《税血の徴収者》を2マナで対処しつつ3ターン目以降の脅威に3マナで対処していけますが、後攻であれば3ターン目以降の脅威に対してマナを構えなければならないため、3/2を対処する暇がなく殴られ続けることになります。

これを挽回するには、どこかのターンでスペルを2回唱えたり、全体除去でまとめて焼くなどして、テンポアドバンテージを稼ぐ必要があります。

ただし、スペルを2回唱えるためには《削剥》を《火遊び》に、《撹乱プロトコル》を《かき消し》にするなどしてコストを下げなければなりませんが、これらのカードに安易に入れ替えるのは考えものです。

《削剥》にはクリーチャー除去の他、ローテーション後に採用率が上昇している《勢団の銀行破り》に対する備えもあり、《火遊び》に入れ替えたことでこちらへの対処が遅れる可能性があります。

また、《かき消し》についても、終盤に引いたときに弱い点があるため、たくさん積みたいカードではありません。

他の点では、《ヴェールのリリアナ》や《敵対するもの、オブ・ニクシリス》などの初期忠誠度3の3コストプレインズウォーカーを先攻3ターン目に着地させられ、かつ、ひたすらプラス能力を起動された場合、後攻5ターンの《家の焼き払い》が間に合わないことも挙げられます。

ドロースペルの枚数からして、デッキの安定性の面では黒系ミッドレンジよりも《ヘルカイト》の方が優位です。
冒頭のリストは、相手がもたついたらその隙を突くということにして、相手のぶん回りはある程度割り切った枚数配分になっています。


3. 《マナ形成のヘルカイト》の真骨頂~ダメージレースの支配~

3.1. ダメージレースの支配

ダメージレースとは、お互いのプレイヤーが攻撃をブロックせず、毎ターンすれ違うようにしてダメージを与えあうことです。

このとき、1ターンに与えるダメージ量を指して「◯点クロック」、あるいはライフを0にするまでのターン数を指して「◯ターンクロック」などと呼ばれます。

現在のスタンダードはミッドレンジ中心の環境であり、それゆえクリーチャーの並べあい、睨みあい、膠着状態がたびたび起こります。

そのなかで、《ヘルカイト》の能力は攻防一体であり、ダメージレースに対して大きな影響力を持ちます。
理由は次の2つです。

①《ヘルカイト》自身やトークンが飛行持ちであること

飛行持ちであることは、すなわちダメージレースを仕掛ける権利を持つということです。

相手のクリーチャーが飛行持ちでない場合、こちらの攻撃はブロックできません。
そのため、こちらが攻撃してダメージレースを開始したら、相手も攻撃することでダメージレースに乗るしかありません。

自分がまだダメージレースを始めたくない場合は、自分からは攻撃せずにブロッカーとすることで、睨みあいを継続できます(自分と相手のクリーチャーにサイズ差がない限り)。

したがって、どのタイミングでダメージレースを仕掛けるかは飛行持ちのクリーチャーのコントローラーの判断に委ねられており、それゆえ飛行クリーチャーは強力だと言われます。

②《ヘルカイト》のクロック量やブロッカーの量は《ヘルカイト》側のプレイヤーの手札に依存し、それゆえ相手の判断を誤らせる誘因になること

MTGにおいて、プレイングは、デッキ構築やメタゲームと並ぶ重要な要素の一つです。
対戦者の実力が拮抗していたり、デッキのパワーや相性に差がなかったりといった対戦では、1つのミスが勝敗の分かれ目となることも珍しくありません。

プレイングの際、諸々の判断基準となるのはそれぞれの公開領域の情報、その状況にいたるまでの過程、相手の仕草や反応などなどさまざまな要素がありますが、ことダメージレースにおいては、自分と相手のクロック量が最も大切な情報になります。

しかし、こちらのクロックは、戦場にいる《ヘルカイト》の他、手札のスペルから生まれるトークンです。
手札は当然のことながら非公開領域であり、相手はそれを確認することができません。
次のターンでライフを削り切られてしまうのか、あともう1ターン猶予があるのか、正解がどちらなのかでプレイングの正着手はもちろん変わります。

つまり、相手にこちらのクロック量を計算させないことで、相手のプレイングに裏目を作ることができるのです。

これと同じことが、《ヘルカイト》のトークンをブロッカーとして使う場合についても言えます。

例えば、こちらの戦場にタップ状態の《ヘルカイト》がおり、5マナと手札が3枚ある場合、相手から見るとどのようなプレイングをとるのが正解でしょうか?

3/3の護法に加えて攻撃時誘発能力まで持っている《墓地の侵入者》/《墓地の大食い》が、ドロースペルのついでにブロックで討ち取られることなど、相手からすれば絶対にあってはならないことです。

また、火力との合わせ技で相打ちの範囲を広げられる可能性もあります。
例えばこちらに2マナしか無い場合でも、《削剥》の3点ダメージと生成された2/2トークンのブロックで、タフネス5の《黙示録、シェオルドレッド》を相打ちにとることが可能です。

相手の手札に選択肢があれば、戦闘前メインフェイズに《ヘルカイト》に除去を撃ったり、手札破壊でこちらの手札を確認してくる場合が多いです。
しかし、もし、こちらの手札がフェイズアウトや打ち消しだけだった場合、それで《ヘルカイト》を守るついでにチャンプブロッカーが生成され、相手はみすみす攻撃のチャンスを失うことになります。

相手がこちらのブロッカーをケアして攻撃せずにターンを終えようとするのであれば、こちらは相手の終了ステップにインスタントを唱えることで、次の自分のターンにクロックとして運用します。

《ヘルカイト》によって、あたかも自分のインスタントがすべてコンバットトリックになったかのようです。
そして、《ヘルカイト》を倒せなければ、やがて《ヘルカイト》とトークンがライフを削り切ってゲーム終了です。

このように、《ヘルカイト》を守りながらスペルを唱えていくだけで、相手のプレイミスを誘い、ダメージレースを支配していくことができるのです。

また、これらのことからも分かるように、《ヘルカイト》でのダメージレースを考えるにあたって、スペルがソーサリーではなくインスタント(もしくは瞬速持ち)であることは、通常のデッキにおけるそれよりもはるかに重要です。

インスタントであれば、前述のコンバットトリックの他、《絶望招来》や《ヴェールのリリアナ》の小マイナス能力の布告避け、相手のターンにおける《かき消し》の犠牲コストなど、戦略の幅が二回り三回りも大きくなります。

先に「エンチャントやプレインズウォーカーを使わないことで、相手の《絶望招来》にテンポアドバンテージを取らせないようにする」と述べましたが、それらを使わない事情は《ヘルカイト》自身からの要請でもあります。


3.2. 《サメ台風》との比較について

《ヘルカイト》と似た能力を持つカードとして、過去に《サメ台風》というカードが存在しました。

この《サメ台風》は、主にコントロールデッキにおけるフィニッシャーとして使われていました。
それに対して、《ヘルカイト》をダメージレースのなかで使おうとするのであれば、このカードとの差異について言及しておかなければならないでしょう。

まず、《ヘルカイト》と《サメ台風》でそれぞれ異なる点を洗い出してみましょう。

①《ヘルカイト》は4コストであるのに対して、《サメ台風》は6コスト
②《ヘルカイト》のトークンは速攻持ちなのに対して、《サメ台風》のトークンは速攻を持たない
③《ヘルカイト》はクリーチャーであるのに対して、《サメ台風》はエンチャント
④《ヘルカイト》のトークンは次の終了ステップの開始時に追放されるのに対して、《サメ台風》のトークンは戦場に残る
⑤《サメ台風》は、サイクリング能力を持つ

①について、コストの差は、コントロール側からビート側に移行できるタイミングの早さに直結します(もちろん、実際にビートに転じるタイミングはそのときの状況によります)。

単純に考えて、《ヘルカイト》は《サメ台風》よりも2ターン早く戦場に出すことができます。
また、例えば4ターン目4マナフルタップと6ターン目6マナフルタップでは後者の方が相手に見せる隙が大きくなってしまうため、実際に戦場に定着するターンの差は2ターンでは済まないでしょう。

したがって、《サメ台風》は《ヘルカイト》よりも長丁場なゲームが多くなり、そのための妨害手段を多く積む必要があります。
逆に《ヘルカイト》で《サメ台風》と同じ枚数の妨害手段を採用すると、対戦中に持て余してしまう可能性が高くなるため、その分はドロースペルを増やした方が構成としてスマートです。

②について、速攻を持つか持たないかの差は、言い換えれば《サメ台風》は《ヘルカイト》よりもキルターンが1ターン遅くなるということです。

つまり、《サメ台風》は《ヘルカイト》よりも1ターン長く相手の攻撃を凌がなければならないため、その分の妨害手段が必要になります。

①の点も相まって、《ヘルカイト》と《サメ台風》では速度感にかなり差があることが分かります。

③について、クリーチャーであるかエンチャントであるかの差は、相手による対処の容易さ、あるいはこちらのクロックの早さに直結します。

一般的に、クリーチャーはエンチャントよりも除去されやすく、その点で言えば《ヘルカイト》は《サメ台風》よりも場持ちが悪いということになります。

その代わり、クリーチャーであることで自身がクロックとなるため、ビートし始めてからのクロックターン数が短くて済むという利点があります。

④について、トークンが残るか残らないかの差は、戦場での制圧力の差となって現れます。

《サメ台風》は何ターンにもわたって戦場をサメで埋め尽くすことができますが、《ヘルカイト》はフェイズアウトスペルを併用しない限り使い捨てになります。

よって、《ヘルカイト》が除去されると戦場の優位をひっくり返されやすく、それゆえ勝負のペースを握ったら一気に片をつける戦い方が適している、ということになります。

⑤について、これは明確に《サメ台風》だけの強みです。
6マナが出せない序盤中盤に手札にあっても腐ることがなく、サイクリング誘発能力でアドバンテージを稼げます。

まとめると、《ヘルカイト》は《サメ台風》と比較して、
・ビートに移行できるタイミングが早い
・ビートに移行してからのキルターンが短い
・その代わり、ビートに移行してからずっとペースを握り続けることは《サメ台風》に劣る
といった特徴があります。

これらにより、《ヘルカイト》は《サメ台風》のようなコントロールではなく、ビート要素の大きいビートコントロールにて、ダメージレースでその能力を活かす方向性が肯定されるのです。


後書き

以上で《マナ形成のヘルカイト》を使ったデッキ紹介記事は終わりです。

《ヘルカイト》は『イニストラード:真紅の契り』で登場したときは初動3000円でしたが、時とともに下がり続け、今やワンコイン(500円)にまでなってしまいました(《海門の嵐呼び》のときもこんな紹介の仕方した気がする)。

完全に自己満足の域ですが、こういう「初動高かったのに徐々に下落していったカード」って、要するに「ポテンシャルは広く認められているにも関わらず、使いこなしている人が少ないカード」かなと思うので、そういったカードで強いデッキ作れたときは玄人感あって良いですね。
赤兎馬に乗る関羽みたいな。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。


『《マナ形成のヘルカイト》デッキ紹介(『団結のドミナリア』期スタンダード・青黒赤ビートコントロール)』はファンコンテンツ・ポリシーに沿った非公式のファンコンテンツです。ウィザーズ社の認可/許諾は得ていません。題材の一部に、ウィザーズ・オブ・ザ・コースト社の財産を含んでいます。©Wizards of the Coast LLC.


いいなと思ったら応援しよう!