見出し画像

タケツネ×仕立屋と職人の歩み その①

浜シルク活用プロジェクトに関わる3事業者の3番目がいよいよ登場。
これまで沈黙していたチームがいよいよ走り出しました!

トップ画像
仕立屋と職人のワタナベユカリさん(左)、石井挙之さん、そしてタケツネ6代目となる武田規与枝さん。チームはこの3人を軸とし、タケツネの未来を見つめるミーティングを繰り返し行ってきた。奥で作業するのは会長(先々代ながら現役)
                      タケツネwebはこちら
                      仕立屋と職人webはこちら


輪奈ビロードという白生地

白生地。
呉服の世界では、絹の白い反物のことを「白生地」と呼びます。
この生地をあとで染めたり、模様を描いたりして、着物のデザインが生まれます。
長浜は、京都・丹後、新潟・五泉や小千谷と並ぶ全国でも有数の「白生地産地」。
これまでにレポートしてきた浜ちりめんと、そしてもう1種の白生地が長浜にはあります。それが「輪奈ビロード」なのです。

画像2

(輪奈ビロード生地。青い色の部分は「針」と呼ばれる芯材。これを抜くと生地のループが浮かび上がる)


ビロードは知っていても、聞きなれない「輪奈」。
ごく簡単に説明すると、生地の表面にループをつくり、そのループで柄や濃淡を表現しています。このループが輪奈なのです。

タケツネの武田規与枝さんは輪奈ビロードを知らない人に説明するとき、まず最初にこのように説明します。
「織田信長の画像で赤いマントを羽織っているものがありますよね、あれです」

生地の用途は、和装のためのコートや小物。ずっと撫ぜていたくなるようななめらかな手触りと、驚くほどの軽さ。直接手にしないとわからない感動があります。

画像1

(滋賀県の伝統的工芸品にも指定。100%シルクでの輪奈ビロード製造は全国で見ても数少ない)

●●製法については、仕立屋と職人が丁寧に記事をまとめています。
ぜひこちらを!

浜ちりめんと同様に、長浜の地場産業として多くの事業所がありましたが、年々姿を消し、今やタケツネは、全国でも希少な正絹の輪奈ビロード製造業者の1社です
今年でちょうど創業100年を迎えたタケツネと仕立屋と職人がタッグを組み、新たに見出すものはーー?

画像9

(機織り工場にて。武田さんの従姉妹である眞友歌さんが織機を操る。1人前の作業ができるまでに10年はかかる世界がある)

●●タケツネ職人総出演。オリジナルPV こちらも必見!! 
このプロジェクトとは別に仕立屋と職人が制作。

次の100年に向かって

チームがまず取り組んだのは、タケツネのDNAとも言える部分の分析と考察。
まずは、「譲れないもの」「強み(さらに伸ばしたい良さ)」「弱み(改善していきたい)」を付箋に書き出し、可視化。

画像4


ここで仕立屋と職人についても触れておきます。
「職人の生き様仕立てます」をキャッチコピーに、日本の伝統工芸・産業がもつ技や哲学を伝えていくための仕掛けづくりに挑む集団。
今回のタッグでは、タケツネにとっては次の100年後に向かってやりたいことを明確にしていく機会であり、仕立屋と職人にとっては「伝統工芸でトレンドをつくる」というコンセプトにもとづいて、タケツネと一緒に新たな製品やサービスを作り出す機会としています。

仕立屋の4人のメンバーはプロデュース、デザイン、現場リサーチ、ビジネス設計などの役割をそれぞれ担い、企画を進行。4人のうち、長浜の地域おこし協力隊としても活動する石井挙之さんとワタナベユカリさんが、タケツネとの直接的なやりとりを進めている形です。

画像3

(右端でファシリテーターとしてワークショップを進めるのは、仕立屋と職人のメンバーの一人古澤恵太さん)


洗い出しを踏まえて、「現状はどうか」?
商品・顧客・地域社会・社内など多角的な面から見つめていくことで、何が充足していて、不足しているのかを探っていきます。
長いときは半日をかけて続くワークショップ。
深く掘り下げて「タケツネの未来」を考えていきます。

画像6


ベビー用品という仮説

導き出したのは「機屋として肌に触れる輪奈ビロードを進化させていきたい」という道。
どんな人が、どんなときに、輪奈ビロードを使いたいと思うのかーー。

画像6


●輪奈ビロードの肌触りの良さは、生地に触る安心感を提供できる。
●柄を作れる技をもつため、その柄に意味を持たせることができる。
●少量高品質の生産は、人生にずっと寄り添う商品としての価値があること。
●決して安価ではないからこそ、贈り物に好適。



これらからチームが出した仮説は、贈答用ベビー用品としての需要があるのではないかということ。
この仮説の検証を行うのが2月のギフトショーとなります。

画像7

(武田さんが手にするのは、ワタナベさんが別生地でサンプルとして縫ったベビーケープ。これから輪奈ビロード生地での試作が始まる)