コモンを増やすためには?

背景

九州から神奈川県に転勤してきた。転勤によって家族と暮らせることは喜ばしい。しかし、都会暮らしが初めてのせいか、こちらの暮らしに底知れる違和感を感じていた。そのもやもやとした輪郭を鮮やかに描き出してくれたのが、『人新世の資本論』であった。

https://books.shueisha.co.jp/items/contents.html?isbn=978-4-08-721135-1

資本主義の弊害

私が最も違和感を覚えたのは、都会での家賃や家の値段である。自分の好きな街に住むためには、巨額の住宅ローンという借金を背負い、ハムスターのように会社で働くことを強いられる。田舎暮らしが長い私は、いら立ちを通り越し、むしろ途方にくれるばかりであった。

なぜ、このようなことが起こるのか?かつて、土地とは、共有の財産として存在し、ルールさえ守れば無償で使えるものだった時代がある。この場合、人々は、その時点で満たされているので、現代のように利潤を求める必要はない。しかし、資本主義の下で人間は、利潤を求めてしまう。そのために、土地の独占的な囲い込みを行い、人工的な希少価値を与えることで、多くの利潤を得ようとするのだ。その結果が、今の私の違和感を生み出しているのだと気づいた。この資本主義社会を乗り越え、豊かに暮らすためにはどうすればよいか?著者は『コモン』を市民の手に取り戻すべきだと述べている。

『コモン』という選択肢

コモンとは、社会的に共有され、管理されるべき富である。具体的には、水、電気、住居、医療、教育などが挙げられる。コモンが拡大していく(無償で利用できることが増える)ことで、資本主義における絶対的なものさしであるGDPは、もちろん低下するだろう。しかし、明らかに我々の生活の豊かさ(QOL)は向上していく。なぜなら、お金に依存しない領域が増えることで、つらい労働から解放され、安定した生活が得られる。さらに、生活や心に余裕が生まれることで、他人への相互扶助の関係性が生まれ、住みやすいコミュニティーが生まれる可能性があるからである。

コモンを拡大するためには?

新自由主義のはびこる現代では、能力の高い人が多くの給料をもらい、高い家に住み、それが当然の世界である。お金がない人は、能力を高める努力をしていないからだと、自己責任論を唱えられ、他人へ頼ることができない。

しかし、この本にこの世界をより良いものにするヒントが書かれている。それがコモンである。コモンを拡大することは、これからの自分の暮らしを豊かにする大きな一歩ではないかと思えてきた。

では、コモンを拡大するには、どうすべきなのか?何から始めるべきなのか?資本家から市民の手に、共同財産を取り戻すには?ぜひ、同じ問いを持つ仲間と議論をしたい。

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