ブーメラン
「ねえ。ちょっと最近気になることがあるんだけど。。」
「なに?」
「死体。。」
「ああ。そうそう。なぁんかよく転がってる気がする。」
「私が気になるのは”殺られ方”よ。あれ何?なんで首とれかかってるわけ?しかも後ろから。」
「なんでもブーメランらしいよ。最近開発されたっていう。」
「ブーメラン?」
「開発されたって言うか―。何かの拍子にできちゃったってことらしいよ。」
「できちゃった?」
「うん。私たちが使ってる言葉って言霊っていうの?エネルギーがあるんだって。それがうーんとたまると触れると分るぐらいになるらしい。アチっとかイテっとか。」
「ええーっ!?そんなことあるのー?」
「私もよく分かんないんだけどさ。触ったことないし。でもブーメランってぐらいだから、飛んでっちゃって戻ってくるってこと?こわいよねー。」
「何が?」
「アブナイのはさー。見えないってことよ。飛んでっちゃったのが見えればさー、まだ躱せるじゃん?」
「まーそーね。で。何が飛ぶわけ?」
「エネルギーよ。エネルギー。言霊。あなた話聞いてた?」
「あ。そっか。どーもイメージできないから抜けてった。右から左。」
「ほうら。何かあるんじゃない?エネルギー。」
「あっ!」
「でもブーメランは勘弁して欲しいわよねー。首切られて死んじゃうなんて。。痛そー。」
「痛いってゆーか。見えないんでしょ?もう飛んでっちゃってて、戻って来つつあったりしたりして。。」
「やめてよー。」
「ホント。勘弁して欲しいわよね。見えないなんて。フェアじゃないわ!」
歩いていく二人の背中にはすでに何本ものブーメランが突き刺さっているのだが。。。
よかったね。傷が浅くて。。。