【プロ野球】育成落ちが多用される時代へ変化【育成選手】
支配下登録選手で入団した選手が、数年経ってから育成選手として再契約することが、近年のプロ野球界ではよくあります。
いわゆる「育成落ち」というものですが、この育成落ちについて、
「手術や怪我などで長期離脱時にやむを得ず行うだけでなく、単に成績不振でも行うことはアリかナシか」
ツイッター上でアンケートを取ってみました。
結果を見るとありの方が若干多いですが、なしと答える側もかなり多く、両者ほぼ拮抗していると言えるでしょう。
賛成側は以下のような意見があります。
成績不振で即自由契約にするよりも、育成契約でワンクッション置いた方が選手にもメリットがある
球団としても、これから活躍するかもしれないので保有しておきたい
野手転向のために育成契約にする等の事例もあるので、選択肢としてあり
反対側の意見はこちらです。
ドラフトで指名された選手が育成契約となると、指名順位に意味が無くなる
育成契約になることで年俸や待遇面が大幅に悪くなってしまう
3軍を作れるほど選手を多く保有してる球団が得をする制度
このようにそれぞれの観点からファンの間でも賛否が分かれています。
育成落ちはルール上問題なく、双方にメリットも
現状、支配下登録だった選手と育成契約を結ぶことは、ルール上問題ありません。
支配下登録選手に対して戦力外通告(自由契約)を行い、その後に育成契約を結ぶことで可能です。
しかし一旦自由契約となれば、選手は他球団と自由に契約交渉することが可能になります。
現実では所属球団と自由契約前に育成再契約の話を行い、双方が納得した上で自由契約→育成再契約となるので、殆どが元の所属球団と育成契約します。
仮に選手が育成契約を拒否した場合、再契約の話も無くなるので、選手としてはどの球団とも契約できないリスクを抱えて自由契約になります。
現に2021年に巨人に所属していた山下航汰が、オフに巨人との育成再契約の話を蹴って、他球団での支配下契約を目指しました。
その後山下はトライアウトに出場して他球団にアピールしましたが、結局NPBからオファーは無く、三菱重工Eastに入って社会人野球でプレーすることになりました。
このように選手側としても、自由契約で放出されるとNPB球団と契約できないリスクがあります。
そうなってしまうより、育成再契約でも残して貰えた方がまだ良いので、育成再契約の話は受け入れるしかないのかもしれません。
球団としても、育成再契約にすることで支配下登録枠を圧迫せずに保有することができて、メリットがあります。
育成落ちで支配下登録を圧縮へ
この育成落ちを活用している球団が増えてきています。
巨人は2021年オフに11人の支配下登録選手と育成再契約をしました。
この他の球団も併せると2021年は全体で30人以上が育成再契約となっていて、どの球団も活用していると言えます。
1軍の支配下登録枠は70人と決まっていますが、現在はどの球団も70人以上の選手を保有していて、育成選手をどの球団も何人も抱えています。
つまり育成選手の保有はどの球団も欠かせない状態で、誰を育成選手にするかを考えるようになりました。
そこで育成落ちという選手が出てきています。
支配下登録選手と育成選手の違いは、1軍登録できるかできないかという点です。
支配下登録選手は1軍も2軍もどちらの試合も出れますが、育成選手は2軍の試合しか出れません。
ですが、逆に言えばまだ1軍に出場できるような実力が備わっていない選手は、育成選手でも問題無いということになります。
1軍に出場する見込みがない選手を育成落ちさせて、支配下登録選手を1軍で起用する選手のみに圧縮するという方法も活用できます。
巨人が活用・他球団も続くか
実際、巨人がそのような使い方を進めていて、2021年オフに11人の選手を育成落ちさせた結果、12月の保留者名簿提出時には支配下登録選手が12球団最少の50人になっています。
支配下登録選手を少なくし、育成選手を大量に保有することで、育成選手の中で支配下登録に向けた熾烈な争いが起こります。
この結果、2022年の現時点で巨人は1度育成落ちを経験して支配下登録された、堀田賢慎・鍬原拓也などが活躍して、上位をキープできています。
彼らは元々ドラフト1位指名の選手の選手だったため、実力は十分備わっていたと思いますが、手術を経験したことで育成契約となり、長期離脱期間も支配下登録を圧迫させない状態にできました。
このように球団にとってはメリットが大きい育成落ちは、今後も活用される可能性は高いです。
育成落ちは3軍を作れるような、資金力に余裕がある球団じゃないと多用できないと思いますが、これで1軍戦力が強化されるとなれば活用する球団は今後も増えてきそうです。
この流れが進んでいくのか、または育成落ちをしなくても1軍戦力を強化していくことができるのか、球団の戦力強化の戦略がどのように進むかは今後の注目ですね。
ここから先は
良かったらサポートお願いします!更なる野球分析と優良記事作成に活用させていただきます。