動画撮影(後編)
今回は動画撮影の後編になります。今回も学び狂いましょう。
フレーミング
撮影の際に【寄りと引き】をうまく使い分けることで映像に深みが出てきます。その時に重要なのが、フレーミングです。フレーミングは大きく6つに分類できるので一つずつ説明していきます。
①ロングショット:【引きの映像】
・人物より背景が大部分を占めている(風景がメインのような)
・写したい人がどこにいるかを撮る時(場所の雰囲気、登場人物がどこにいるのか)
・一眼レフを使用する場合は、広角レンズが有効的
②フルフィギャア:【やや引きの映像】
・人物のつま先から頭まで写す
・人物とその場所を伝えることができる
③ニーショット:【寄りの映像】
・人物の膝から上
・人物の表情や動きがより伝わる
④ウエストショット:【寄りの映像】
・お腹付近から上
・ニーショットよりも人に寄っている
・より表情や動きが伝わりやすい
⑤バストショット:【④・⑤よりも寄りの映像】
・胸部から上の構図
・人物により注視させる時に使う
・YouTubeでよく使われる
・Vlogであれば何か動作している様子
(鞄を持つ、歩いている時に何か飲んでいるなど、より注視させる時に使う)
⑥クローズアップ:【さらに人物によった構図】
・人間の目線や表情がより伝わる
・映像の雰囲気を描写できる
①から⑥のフレーミングを紹介しましたが、ここで重要なのが6つのフレーミングに囚われずに撮影することが大事ということです。【寄り】・【引き】を意識することで、映像のバリエーションが広がります。映像制作をスタートさせる段階で【寄り】・【引き】の映像を意識することが大事です。例えば、【寄り】の映像に特化した単勝レンズだけの映像だと見飽きてしまい、微妙な映像になりがちなので注意しましょう。
《引きの映像を撮影するためには》
・ドローン
・広角レンズ
《寄りの映像を撮影するためには》
・単焦点レンズ
・マクロレンズ
カメラワーク
次に説明するのは5つのカメラワークです。今回は手ぶれをしないように、スタビライザーを使うことを前提として書いていきます。
①追っかけ
・被写体を後ろから追いかける
②引っ張り
・被写体を正面から撮って一緒に下がる
③並走
・被写体の横に立ち一緒に動く
④回転
・被写体を中心に回転する
⑤通過
・被写体の横を通過していく
5つのカメラワークを簡単に説明しましたが、このカメラワークにどういう意味合いを持たせたいかも重要となります。3つの意味合いを説明していきます。
《集中》
・被写体に寄り注視させる
・下に下がっていく
・『何か起こるんじゃないか』と思わせる
・始まる物語に注視させる
《開放》
・引いていく
・上に上がっていく
・安心感や開放感、終わりに使われる
《時間の経過》
・横移動
・人物が歩きながら別のシーンへ切り替わる
このように、映像に対して意味合いを理解することはとても重要です。そのシーンに対して、この意味合いは正しいかなど、自己分析・自己評価することも大事です。意味合いを理解すると、その動画の説明に説得力が増します。動画を撮って、その動画にどんな意味合いがあるのか、それをどうやって深めていくのかなど考えることで、素晴らしい作品に近くでしょう。
コンセプトシート
動画や映像を作る上で、質を高めるために最初に行うのがコンセプトシートで確認をすることです。例えば、Vlogの場合は、どういう意味合いがあるのか、どのようにメッセージを表現するのかを明確にします。また、クライアントがいる場合でも、店舗でこんなブランディングがしたい、こんな表現をしたい、こんなメッセージを伝えたいなど、これらをどのように落とし込むかにも役立ちます。
コンセプトシートは議論、製作物の質を高め、認識のズレをなくすのに重要です。
【コンセプトシートの目的・意識すること:役割】
①発注者と製作サイドで認識のズレをなくす
・発注者と製作サイドが目線を合わせないと、認識のズレが生まれる
・ズレが生まれると製作(動画)しても、発注者サイドが『イメージが違う』などになってしまう
・時間をかけて作っても、やっぱりなしみたいになってしまう
②企画における議論の質を高める
・クライアントが何を求めているかを考え、こちらからも提案する
・製作の軸をブレさせない(思いつきでやりとりをしない)
・軸がないと、あれもやりたい、これもやりたいなど、どっち付かずになる
・軸をブレさせずに話をしていく
③製作物の費用対効果の最大化を図る
・費用対効果を理解する(誰でも写真が撮れたり、動画が撮れるからこそ)
・全て逆算に考える(目的はこうで、表現したいことはこうで、どれくらいの時間にするか、どういう感じで掲載するかなど)
コンセプトシートの内容
コンセプトシートの内容を具体的に説明していきます。
①コンセプト:この動画で伝えたいことは何か
・1つの軸を中心に『したいこと』を洗い出す
(例)ある都市のPR動画の話
・観光資源の魅力をPR:軸は『森』、『水』、『食』
②ターゲット:誰に見て欲しいか
・届けたい人によって掲載場所も変わる
・ターゲットを踏まえた上でどこに掲載するか(インスタ、Facebook、ツイッター)
・掲載場所の一例(サイネージ、店舗の電子掲示板、HPやSNS、イベントで流れる映像など)
③視聴者にどんなアクションを起こしたいか
(例)パン屋さんの紹介動画の場合:動画をシェアして欲しいか、来店して欲しいか
・提案がしやすくなる(店の雰囲気が伝わるか、オンラインでシェアするきっかけ)
・何を求めるかで企画しやすくなる
④アクションを起こすための訴求点
・視聴者が感じる魅力とは何か
(例)ターゲットの強み:ヨーロッパから直輸入しているトリュフを使ったパン
⑤描写方法
・実写、アニメーション、モーショングラフィック
・これまで定めた情報(コンセプトシート)をもとに決める
⑥感情トリガーマップ
・動画の雰囲気(カッコいい感じ、可愛い感じ)
・どういう感情を表現したいか
【動画撮影】について前編・後編と学び狂いましたが、ただ映像を撮るよりも、これだけのことを知っているだけで、深みのある映像が撮れると思います。
早速、外へ行ってきます。