最近聴いたアルバム2023年6月27日
Julianna barwick 「will」
ピアノの距離感と強いリバーブによるボーカルの多重録音が目立つ。ボーカルの多重録音によるビートやメロディ形成は彼女の特徴であり、今まで通りのスタイルであるが、このアルバムではリバーブやストリングスとピアノの存在であるだろう。リバーブは曲やアルバム全体を抽象化してしまうかのようだが、時折聴こえるピアノやストリングスによって完全にリバーブの霧の中にいる感覚にならない。今作は宗教の賛美歌的な雰囲気を醸し出しているが、一筋縄にその雰囲気とは言い難い。最後の曲「See know」に至ってはかなりはっきりとした音色のシンセサイザーで始まり、彼女の歌声とともにまた雰囲気を変えてしまう。ここまで歌声で曲の雰囲気を自在に操るアーティストは稀である。
tortoise「TNT」
ポストロックの名盤「TNT」。Pro Toolsという音響編集マシーンを導入してアルバムを制作。当時としてはかなり革新的な制作手法であり、ロックミュージックの制作手法に革命を起こしたと言っても過言ではないだろう。
曲の雰囲気はジャズやプログレ的な要素を含んでいるものの、ありきたりなフレーズを用いないというバンドのコンセプトのためか、聞き馴染みはないサウンドである。とても1998年に制作されたとは思えない。
系譜としてはソフトマシーン「3」を想起した。
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