家事としての料理。
前回転職してなんとか頑張って家事育児と仕事の両立を続けて来たけれど、色んなことが重なってしまい、実は一ヶ月前に退職した。このあたりのことはまた別に書くとして、この一ヶ月無職と相成り、かなりのんびりと贅沢な時間を過ごしていた。
美術館に行ったり、ポルシェを借りてドライブしたり、美味しいご飯を食べたり、治したかった体を治しに病院に行ったり(顔にメスを入れたり脂肪を吸引したわけではない)。
こどもと過ごす時間も増えた。
共働きで、とにかく妻が激務なので、必然的にこどもの対応は退職前から自分に比重があることになる。
子供が起きているうちに妻が帰宅することは三日に一回というような割合。
自分はずっとデジタルマーケティングだったり、事業企画みたいなことを生業にしているわけで、本来的にはリモートワークに馴染む職種だと思う。
しかし、退職前の会社はIT企業・DXを推進するSaaSなのに全員出社でのオフィスワーク、しかもPC持ち帰っての作業すら許さないというかなり厳格なものだった。
幼い子供を抱えて共働きしている我々のような家庭にとってかなり深刻な負担になる。
フレックス制度すら無かったので…
朝保育園にどちらかが送り、どちらかがお迎えする。お迎えしたらご飯、お風呂、寝かしつけという流れ。
うちの場合、激務な妻がお迎えを続けることは難しく、自分がお迎え→ごはん→お風呂→寝かしつけ、というパターンにならざるを得なかった。
なんか今は当たり前のように毎日ご飯を作っているけれど、結婚前はこんなに家事としての料理をするとは思わなかった。
趣味的な料理と家事としての料理は天と地との差がある。
食材や調味料を買い込んで贅沢に料理するのであれば気にすることはそんなにない。その時美味しければいいし、片付けも気が向いた時にすればいい。材料費も時間もかけられる。
でも家事としての料理は違う。
毎日、保育園の献立を見てあまり被りすぎないように(と言っても魚の日には肉、肉の日には魚とか、味の濃いものの日にはさっぱりしたものをとか、麺類とカレー的なメイン一点ものの昼夜にならないように、位だけど)しないといけない。
スーパーで値段も気にするし、お迎えから30分ほどで食べられるように手早く料理しないといけない。
片付けも料理しながらかせめて食べ終わった時にやっておいて次の日に負債を残さないようにしないといけない。
なにより、持続力が試される。
それでいて美味しいものをつくる。
NHKでやっている、365日の献立帖っていう番組がとても好きでよく観ているんだけど、あーいうのが作れたらいいなぁ。
毎日栄養の取れるご飯を家事として作るのは、それだけでとても大変なことなのに、美味しいものをつくるのはさらに大変なことだ。
毎日やってると、うん、これは美味しいと思う日もあれば、んーこれは狙い通りいかないなという日もある。
でも、やっぱり美味しいものを食べたいということへの欲は人一倍強いので、料理はまだ苦にならないほうだ。
これが、料理がちょっと苦手だったり、時間がなかったりする人は本当大変だろう。
「このおかずとこのおかずを作るから、先にこの野菜は切っておいて煮ている間に、こっちの肉をうまくやって、その間に…」みたいなタスクの順番を柔軟に入れ替える事務作業の処理能力が必要だし、
この肉と野菜に対して、この調味料加減でやればあの味になるだろう、みたいな想像力とか勘所みたいなものも必要だし、
なによりこういうものが食べたいんだという味の欲求の引き出しが多くないといけない。
まあ、そんな引き出しのために、大枚叩いて美味しいものを食べているんです、みたいな自己弁護したいけど無理筋よね。