トルクメニスタンには国際私法規定はない??(平成29年4月28日一部追加)

トルクメニスタンは(旧ソ連の国で、カスピ海に面しています。)なかなか面白い国で、大統領のほぼ独裁です。1代前の大統領は、口パクを「法律で」禁止したことでも有名です。 議会議員は大統領の承認を得る必要があり(wikipedia),事実上一党独裁ですのでそのような立法も簡単にできるわけです。

そんなトルクメニスタンの民法典は、その名も「サパルムラト=ト(ゥ)ルクメンバシュ=トルクメニスタン民法」です。1999年に制定され、2000年1月1日に施行されました。この長い民法典は実はこのような意味があります。

①サパルムラト→当時の大統領の名前

②トルクメンバシュ→トルクメン人の長という意味で、当時の大統領がこれを自分の名前としています。

大統領の名が民法典に入っているのは、今あるでしょうか…ナポレオン民法典は聞いたことがありますが…いずれにせよ、この民法典は、独裁のトルクメニスタンにおいては、基本法として極めて高い位置づけがなされていることになります。 ところで、同法含め、1999年時点で、トルクメニスタンには国際私法規定がないそうです。なお、

https://lrus.wolterskluwer.com/store/product/turkmenistan-civil-code-of-saparmurat-turkmenbashi/

この本を購入したところ、著者の見解は以下のものでした。

①現行法の前の民法典(旧ソ連時代のもの。1963年SSRトルクメニスタン民法典)には、国際私法規定が存在した(他の旧ソ連構成国家もそれぞれ国際私法規定を有していましたし、ソビエト自体も有していました。社会主義国家において国際私法規定が必要なのかという問題については、折茂教授の「国際私法講話」内に良い説明があります。)。

②現行法では、同部分が削除されている。

③つまり、修正・明文化されない限り、原則としてトルクメニスタンでは同国法が唯一の準拠法である。

とはいえ、同書は15年以上前のものです。民法典の改正がないか、とりわけ国際私法規定の改正がないか調べましたが、見つけることができませんでした。(民事法分野において)「本国法」として準拠法に指定された場合、日本法への反致は生じ得ない、と解することになるのでしょう。 トルクメニスタンに関する事件はないと思います(なお、同国にビジネスで進出する場合には、全ての法律行為が同国法に適合する必要があるとレクチャーされる筈です。)。


なお、家族法関係における国際私法規定については、東洋大学の笠原教授による論文にて概要が記載されています。

https://toyo.repo.nii.ac.jp/?action=pages_view_main&active_action=repository_view_main_item_detail&item_id=6674&item_no=1&page_id=13&block_id=17

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