入室達成_君とぼくの邂逅編

仲村渠コハクと45106-Hの数奇な出会い

よっと。

久しぶりの無断外出だし、さっさと用事済ませて帰んないと。
とりあえずタバコとー、ご飯とかお菓子も欲しいな、いつもの食事味気ないし。
いっつも焼き魚とか味のうっすい味噌汁しか出てこない環境考えてみなよ、絶対飽きるから。
まずはコンビニだな、足りない奴はスーパーとかなんか……ぱぱぱ〜っと買えば何とかなるっしょ。

テンプレと化してる店員の入店挨拶を聞きつつ、久しぶりに蛍光灯が明るい店内に入った気がする。研究所の部屋とか施設にも蛍光灯ついてるけど、な~んか薄暗いんだよね。雰囲気の演出でもしてるんか。
あ、最近こういうお菓子出てるんだ。マンゴー味の烏龍茶……?美味いのかこれ……??

カゴの中にぽいぽいぽい〜っとお酒とかお菓子とか、あとなんか色々。興味湧いたものなんかも入れちゃったりして。
そろぼちレジ前うろうろしてタバコの番号確認しよっかな、なんて思ってたらなんかすんげーくたびれた人が乾物とかのおつまみゾーンでフラフラしてた。……ぁ、半分寝てる。
ん〜……こういう人に声かけるのって一か八かみたいなとこあるよなぁ……


「あの……大丈夫すか?」
「んぁ、あ、すみません」


一応何とか意識はあったらしい。目の下に隈出来てるし何だったら化粧もほぼ手抜きだし、いわゆる疲れたOLみたいな人だなって印象。ほんとに大丈夫なんかな……


「なんか疲れてそうですし、カゴ持ちますか?買うものもう入ってるならレジ並びましょ」
「あ、はぁ……そうですね、大丈夫です。あとタバコ買うだけなんで」


この人もタバコ吸うんだ〜、とか妙な納得しちゃった。
レジに付き添ってあげて、少し背中に手添えて支えてあげたりして。
先にお姉さんにレジ通してあげて、出ていくところを見送ってからぼくの会計を済ませて外に出たら、まだ外にさっきのくたびれたOLお姉さんがいた。


「あの……さっきはほんとすみません、ありがとうございました」
「いえ……声掛けただけですし。私すぐ行かなきゃなんで。気をつけて帰ってください」


コンビニでこういう人間との出会いとか、するんだなあ。
何だったら、研究所の職員以外の人と話したのも結構久しぶりだったかも。不自然じゃなかったかな。
ぼくも一応、人らしいこと出来たんだな。人間として生きるの難し〜とか何とか思ってたけど。

たまにはこういう事あってもいいかもしれんな、がはは。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?