自分の好きなペンギンとクジラについて
「ペンギンとクジラどっちが好きなの?」と聞かれると、甲乙つけがたい。ペンギンとクジラは、おそらくペンギンのほうが好きになったのは早かったと思う。いやクジラだったかもしれない。実際のところよく覚えていない。
ペンギンは小学生くらいの時に、友だちからピングーのマグカップをもらった記憶がある。すでに好きな動物として認知されていたのかどうか、定かではない。当時、テレビでアニメをやっていて、それは見ていた。
でも、それより前からNHKの教育番組や生きもの地球紀行、動物奇想天外など、生き物を取り上げている番組は一通り見ていたように思う。クイズなんかは得意げに答えていた記憶がある。それくらいよく見ていた。
クジラはパズルでよく見かけるクリスチャン・ラッセンという画家の絵に登場していた。ラッセンの絵には、クジラが海から飛び上がって、空には宇宙うが広がっており、海の世界もある壮大な世界観の絵が特に好きだった。
クジラは地球上で最も大きな生き物であり、自分と同じ哺乳類であるという、そのスケールの大きさにも心惹かれた。初めは水口博也さんという写真家の画集など図書館にある本を探して、実際に何冊も本を買った。
クジラとイルカは、同じ鯨類で、厳密な区別はなく体の大きさによって呼び方が違う。地球上には、86種類いると記憶していたが、現在は84種類ということになっているようだ。
ペンギンはというと、16種類で、亜種を含める含めないで17~18種類だったと記憶していたが、現在は18種類というのが一般的のようだ。ペンギンは、南半球にしか生息していない。
でも、19世紀ごろまでは、北半球にも空を飛べない鳥が存在していた。オオウミガラスという鳥で、ぺんぎんと同じ白と黒。動きが鈍かったらしく、乱獲で絶滅してしまったらしい。かたちはペンギンによく似ている。
ペンギンは、上田一生さんという方が本を書いていて、南極で写真を撮っていたところ、気配を感じて振り向くと、ペンギンが覗いていたというエピソードがとても印象的だった。自分も同じ場面に遭遇したいと妄想する。
ペンギンとクジラをそれぞれ好きになった僕は、大学生くらいの時に、国立科学博物館でペンギンとクジラの共通項に出会った。それは、収斂進化というものだった。両者への関心はこじつけでも、運命的なものを感じた。
もともと海に生息していた生き物が、進化の過程で陸上に出ると、住む地域の気候や環境に合ったかたちや色、サイズに多様に分岐していった。その一方で、海で暮らすことにした生き物は、素早く泳ぐために紡錘形になった。
鳥類であるペンギンは、空を飛ぶことをやめて海へ。哺乳類であるクジラは陸上で生活することをやめて海へ。海に暮らす生き物たちは、泳ぐのに合理的で効率的なかたちへと進化を遂げた。そのことを知った時は、心躍った。
また、かなり昔には、爬虫類でクジラとほぼ同じ骨格を持った生き物がいたらしい。実際、国立科学博物館には、海の生き物エリアによく似た骨格を持っ哺乳類と爬虫類が常設展示されている。カバー画像がそれだ。
ある時は紙粘土で創作して、色を塗って人形を作ったり、絵を描いたり、文具店などではクジラかペンギンが入っているポストカードを探して、かなりの数持っている。そんな感じで、クジラとペンギンが好きだ。