テレビを見るだけの仕事
知っていますか? テレビを見るだけの仕事
皆さんは、テレビ局の
主調整室(マスター)をご存じでしょうか。
テレビ局の「心臓部」「最後の砦」
ともいわれる部署です。
なんだかすごそうな響きですが、
やっている事は
テレビを見ているだけです。
…というのは誤解を招く表現ですね。
しかし実際に、マスターの職員たちは
働いているテレビ局の番組を
「仕事」として「真剣」に見続けます。
テレビ局から番組が問題なく放映されているかどうか
リアルタイムで監視をし、
放送事故が起きたら即座に対応する。
これがマスターの職務だからです。
「テレビをつけたら番組が流れている」という "当たり前" を守る仕事。
私は以前、正社員として
とあるBSテレビ局のマスターで働いていました。
体験を踏まえ、BSテレビ局の主調整室(マスター)の
仕事について書き連ねていこうと思います。
◆お仕事①「監視」
配属されているテレビ局の主調整室(マスター室)で
放映されているテレビ番組をリアルタイムで監視します。
そこにはたくさんのモニターがあり、
↓のような状況で監視を続けます。
なぜこんなにもモニタがあるのか?
後ほど説明しますね。
マスター監視者は、とにかく
放映されている番組に異常がないか
観察します。
例えば、
・映像が止まってないか
・音が消えてないか
・予定通りの番組が流れているか
・音が規定より大きすぎないか
・ノイズが入っていないか
…など、本来想定していない
映像や音を放送してしまっていないか
注意深く観察します。
異常があった場合は勿論、
異常事態用の対応を行います。
ですが、対応の内容は
「原因」によって変わってきますよね。
その「原因」を探るために、
たくさんのモニタを配置し
同じような映像を流しています。
・テレビ局から衛星へ送られる映像に問題がないか
・衛星から家庭へ送られる映像に問題がないか
・映像を受け取った側で問題がないか
・映像そのものに問題がないか
などなど、
異常が起きた時
その「原因」を判明させる為、
番組のデータがテレビ局から各家庭へ
送られてくる過程の
あらゆる段階の映像・音を
複数のモニタに映して監視しています。
◆お仕事②「異常対応」
現場では様々なハプニングが起こります。
それぞれに適した対応が存在していますが、
放映中の番組に異常があった時の対応は
大きく分けて2つだけです。
・放送する機械や回線を予備に切り替える
・放送中の番組をフィラー(緊急送出番組)に切り替える
以上です。
要するに、放送が途絶えないように
即座に別の映像・音を流す!という事です。
それぞれに適応したスイッチを押せば
対応完了です。
ですが気をつけないといけないポイントが1点。
『CMを安易にツブさない』
CMはテレビ局にとって最大の収入源です。
CMの最中に別映像へ切り替えて対応する程の異常かどうか
一瞬で判断しなければなりません。
大金が絡んでいる案件です。 責任重大です。
◆お仕事③「気象情報の送出」
皆さんがテレビを見ている時、
緊急地震速報や緊急気象情報のテロップが
上部に流れますよね。
あれを流すのも、マスターの仕事です。
局によっては、小さな地震情報は流さなかったり
ルールが違いますので
間違ったテロップを流さないように
気を付けなければなりません。
地震や異常気象があった時には、
マスター内の特別な機械が鳴り出します。
とてもドキッとします。
番組時と同様、
テロップを出す際には
CMをツブさないように配慮します。
ですが、あまりにも大きい災害の場合は
CM時にもテロップを出す決まりになっています。
人命第一ですね。
◆お仕事④「生放送の対応」
これが一番苦手な仕事でした…!!
生放送はとにかくトラブルが起きがちです。
私が勤めていたテレビ局の場合は、
スポーツ生中継なども行っていたので
そういう日にシフトが入っている時は
精神が削られました…笑
やる事としては、②と同じです。
この日だけは、生中継担当のスタッフさんも加わり
緊張感が高まります。
◆お仕事⑤「番組ファイリング」
テレビ局から流す番組を
あらかじめチェックするのも
マスターの仕事です。
例えば
「しゃべくり008」という
番組があったとしましょう。
制作会社から
完成した番組データが
送られてきます。
放映前に、
完成した番組データに
異常や問題がないか
最初から最後まで見て
チェックします。
その後、テレビ局の
放送用システムに登録し
放送日・放送時間まで待機させます。
つまり放送日前に
番組の最新話が見れます。
すばらしいですね!
中には映画とかもあります。
映画を見てお金を貰えるのは
最高ですね。
◆テレビ局?残業やばそう
テレビ局としては珍しく
ほぼ定時ぴったりで業務が終了します。
理由としては、
放送事故の見落とし厳禁、
異常が起きた際には
適切な対応が求められる仕事だからです。
つまり、職員が疲弊していたり
集中力を切らしていては
成り立たないお仕事なのです。
現場でも二人一組で、
監視は1時間ごとに交代制でした。
◆結論
テレビ見てるだけでいいの?
しかも定時で終わるの?
正社員として働ける?
めっちゃいいじゃん!
と思った方。
確かに向いてる人には最高の仕事だと思います。
テレビ局がある限り、長く続けられる内容だとも感じました。
ただし不向きな人にはツライ仕事でもあります。
私は正直、あまり向いていませんでした。
いくつか理由はありますが、1番大きかったのは
「いつくるかわからない放送事故のプレッシャー」
常に緊張しながらテレビを見ていました。
特に生放送。…心臓に悪い!
中には監視中、寝ている人もいましたが…
メンタル強すぎる…!
そんな感じのお仕事でした。
私の場合は辞めてしまいましたが、
結果、現場の人に恵まれたこともあり
なんだかんだ良い経験となりました!
興味のある方は、是非求人を探してみてくださいね。