母語獲得の記録のススメ

「2月21日の #国際母語デー に合わせてこの日に何か簡単なブログ記事を書きませんか?」というまつーらとしおさんの呼びかけに応えて書いてみることにする。noteを始めてみようかなと数年前にアカウントを作ったものの、ずっとほったらかしにしていた。最初の記事のテーマとして悪くないかも、と思ったのも書く気になった理由のひとつ。

「母語」という言葉から私が真っ先に連想するのは「母語獲得(第一言語獲得)」。編集者として言語学の企画に関わるようになり、特に興味を引かれたのが母語獲得だった。自分が担当した母語獲得がテーマの本を、古い方から並べてみる。

子供は言語をどう獲得するのか
スーザン・H.フォスター=コーエン(著)/今井邦彦(訳)
2001年

レキシコンの構築:子どもはどのように語と概念を学んでいくのか
今井むつみ、針生悦子(著)
2007年

子どものうそ、大人の皮肉:ことばのオモテとウラがわかるには
松井智子(著)
2013年

はじめての言語獲得:普遍文法に基づくアプローチ
杉崎鉱司(著)
2015年

ちいさい言語学者の冒険:子どもに学ぶことばの秘密
広瀬友紀(著)
2017年

2008年に自分の子が生まれたときは『子供は言語をどう獲得するのか』と『レキシコンの構築』を刊行した後で、「ついに自分の目で子どもの言語獲得を観察できる!」と大興奮したものだ。言語研究者のように詳細な記録をつけるのは無理でも、せめて印象に残った言葉はタイムスタンプとともに記録しようと、「○歳児のことば:」を頭につけてツイッターに投稿するようになった。twilogで今でも見られる。

今から読み返しても当時の状況が思い浮かんで、楽しい。小さなお子さんのいる人には、SNSを使った記録を全力でおススメしたい。(もちろん、子が成長したときに見て嫌な気持ちになるようなことや、周囲も含めてプライバシーに関わるようなことは投稿しないように気をつけるとして。)

このツイッターでの記録を、広瀬先生がご自身のお子さんの言葉の記録とあわせて取り入れて『ちいさい言語学者の冒険』を書いてくださった。この本は最初に原稿を読んだときから「あらたな子育てバイブルの誕生だ!」と確信し、実際その通りのロング&ベストセラーになった。子どもの口ごたえも、うるさいほどのおしゃべりも、この本を読んだ後には、きっともっと楽しめるはず。

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