白熱教室での議論
少し前に流行った、ハーバード白熱教室を今更ながら読んでみました。マイケル・サンデル教授が世界各国で講義した内容をまとめた書籍です。なんでもお金で変えるような世界をどう考えるか、各国の事情を考慮しながら聴講者と議論した内容がとても面白いです。
日本では、まずこんな形の講義はないなあと思うとともに、これまで別々の分野だと思っていた経済学、社会学、倫理の問題が哲学という切り口で統合的に考えられるんだなあという新鮮さがありました。
例えば、病院で診察してもらえるチケットをお金で買って順番に割り込むことはいいことなのか。この問題一つとっても様々な意見があり、立ち位置によって考え方が異なることが実感できます。どこの国でも、お金さえあればなんでも買えるということに違和感があり罪悪感があることがわかります。
経済に任せればなんでもうまくいく、最後は勝者と敗者がはっきりするし、持たざる者は努力すればいいのかといえばそうともいえません。このあたりは日本でも、女性管理職の人数を数字で約束してその通りに増やすことでしか不均衡を修正できないという部分にも出てきています。それでは、医学部の合格者をこれまでは女性よりも男性の方が有利になるように採点していた大学があったというのはいいことなのか悪いことなのか、など問題は山積しています。
こういう本を読むことによって、いろいろ考えることはできますし、なぜ政治に興味を持たないといけないのか、なぜ投票しないといけないのかという理由がはっきりわかります。自分の意見を持たずに選挙に行くのは危険です。選挙に行かないのはもっと危険です。
https://www.kinokuniya.co.jp/f/dsg-01-9784152094292