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進学か就職か、大学院進学問題。進学反対編

前回、大学4年生からの進路として、大学院への進学か、就職かという選択について、進学に賛成する意見から、反論を書いて、メリット、デメリットについて考えてみました。学ぶのか、働くのか、お金と時間を使ってまで学ぶメリットは何かについて、進学反対の立場から論じてみたいと思います。
2回目は反対の理由を述べて、反論、反論の反論、反論の反論の反論までいくつか書き出してみます。

「反対の理由1」
 大学4年間で学歴は手に入るのだから、そこから大学卒業のバッジをつけて会社に入るのがコストパフォーマンスが高い。進学しないで就職するべき。
 →(反論)大学卒で就職するというのが投資を抑えて就職するタイミングとしてはよい。しかし、新卒採用の給与を見ると、大学卒よりも大学院卒の給料の方が多少高い。これは会社が大学院卒の方が能力が高いと認めている証拠であるので進学した方が将来有利なのではないか
 →(反論の反論)大学院卒の初任給が高い会社は古い制度の会社で、今は能力で給料が決まる時代である。初任給で多少高くても10年も経てば、学卒で入っても院卒で入っても、昇級のペースは仕事の実績に基づいて決まるものである。いまだに学歴にこだわるようなのは、その時点が人生のピークだった人の言い分である
 →(反論の反論の反論)会社に入った時点で、学卒は事務、院卒は研究や開発という配属の問題がある。配属ガチャで少しでも有利な花形部署に行くためには学歴の少しの差が、将来大きい差になるのではないか

「反対の理由2」
大学の研究は、特に日本の場合は世界に比べても競争力がない。なので研究の先にある就職も将来性のある会社に就職できる保証などない。そのため、研究という部分は諦めて就職するのがよい
 →(反論)研究ができるのは若い体力のあるうちが一番よい。今の大学でなくても近年は進学も比較的難易度が下がっているので、少し上の大学院を狙って、2年後の就職を有利にするという選択肢もある。経済的にどうしても無理ということでなければ進学して研究をやってみるのはどうか
 →(反論の反論)若い体力のあるうちというのであれば、就職でも同じで若いうちに就職してお金を稼ぐのがよい。学歴は4年間大学に行けば手に入るので就職するにはそれで十分である。将来的に民間の会社に就職するのであれば大学院に行く必要などない
 →(反論の反論の反論)大学の4年間で、先生から教わるのは本当に基礎的な部分で、普段の研究に触れるには大学院に進学して直接指導を受けるしかない。そのチャンスは進学した少数にのみ与えられる。

「反対の理由3」
大学に就職するという気持ちがないのであれば、進学は無駄に時間とお金を使うことになる。社会に出てからも勉強することはできる。大学院へ行く理由はどこにもない。
 →(反論)大学に就職しなくても、海外では大学院に進学して博士課程から就職するのも珍しくない。研究しているのは世の中にニーズがあるからであり、その研究は企業が求めているものなので、研究のできる大学院に進学するのがよい
 →(反論の反論)研究費を獲得できる大学には偏りがある。さらに大学内でも予算の取れる分野、取れる教官でばらつきがある。もし、研究予算も取れないような研究室に進学を考えているのであれば、考え直した方がよい。仮に予算の取れている研究室に行くとしても、研究のノウハウが身につくには博士課程までの研究が求められる。そこまでの覚悟がないのなら就職すべきである
 →(反論の反論の反論)就職率のよい研究室というのは存在していて、そういう研究室はWebサイトで研究成果、就職先などを公開している。そういう研究室であれば、将来のことを心配せずに研究に打ち込めるのではないか

「反対の理由4」
社会人大学院という制度もあるし、運が良ければ会社から大学院に行かせてもらう制度もある。学び直しなら放送大学もある。同じ勉強を続けるよりは、一旦就職してお金を稼ぎながら自分が本気で打ち込みたい研究を探す方がよい
 →(反論)社会人になってから勉強するという選択肢もあるが、それまでに失う研究意欲を考えると、進学して研究を極めた方が時間の使い方の面からよいと思う。会社に進路を委ねるよりは自分の意思で会社からのプレッシャーがない形で勉強に集中する方がよいのではないか
 →(反論の反論)研究に対する真剣さがなければ進学しない方がよい。その研究を続けるという道まで見えていないのであれば、近い将来に研究を諦めるという時がくる。そうなる前に安全に就職して時間とお金の余裕ができた段階で学び直すのがよい
 →(反論の反論の反論)社会人から大学院に行くとなると、真剣さは認められるかもしれないが、年下の生徒たちと学ぶということになる。その時になって失った時間を取り戻そうとしても無理がある。

今回は、反対から初めて、反論を書いてみました。大学院に進学して研究をするというのは、お金を払ってまでやることになるので本人の覚悟が試されます。現に、大学は出たものの、よい就職が見つからずに奨学金の返済に苦しむ若者は問題視されているものの減ってはいません。2人に1人が奨学金200万円を背負う時代です。
もし、この200万円貯金として持っていて年10%で運用すれば奨学金は楽に返済できます。しかし借金だとその逆で利息を払う方になります。このお金をどうするかだと思います。もう一つは、就職に有利かという点です。どれだけ研究をしても企業が認めなければ就職では有利になりません。大学に残るには世界で認められる研究でないといけません。

次回は結論編を書きたいと思います。

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