2024年中国医薬品CRO業界市場の見通し予測
CROは専門知識、費用対効果、リスク管理、リソース管理などの面で顕著な利点を有しているため、新薬開発における製薬企業の重要なパートナーです。
新薬開発を継続的に推進する中国政府の政策により、中国医薬品CROも増えています。
現在世界には約1000社のCROがあると言われていますが、薬の開発に関する規制環境が整っていなかったことから、中国医薬品CROの設立はグローバルより遅れてスタートしました。
中国医薬品CROの成長段階を以下に示します。
種まき段階 (Seed Stage) 1995年より前
CROという正式な機関は存在せず、一部の企業が外部委託されて研究開発の一部を担う。発芽段階 (Sprout Stage) 1996-1999年
外資系医薬品CROの中国進出が始まる。成長段階 (Growth Stage) 2000年-2014年
WuXiのような中国ローカル医薬品CROが正式に設立される。2003年に医薬品の臨床試験の品質に関する規制が発行され、CROの役割が中国の規制の中で正式に認められる。同時にグローバルメガファーマの中国進出が始まり、様々な形態のCROが脚光を浴びる。統合段階 (Integration Stage) 2015年から現在
医薬品開発が後発品ベースから新薬研究開発に変わり、投資が積極的に中国のヘルスケアマーケットに対して行われるようになった。一方ICHに中国が加入したことにより、品質基準が高くなったことから、CROのサービスも需要に基づいたサービスと、品質の両方を満たすことが必要になり、低レベルCROの淘汰が始まる
世界の医薬品開発業務受託機関(CRO)市場は、確かに大きな成長を遂げている。様々な情報源によると、市場の成長率は情報源によって異なりますが、年間平均成長率(CAGR)は約9.83%~12.61%と一般的に言われています。Research and Markets のレポートでは、CRO 市場は 2023 年から 2028 年の間に約 633.5 億ドル成長し、この間の CAGR は 12.61%になるとの予測です。
また、別の情報源European Pharmaceutical Review は、世界の CRO 市場は 2024 年までに 717 億ドルに達すると予測しています。
この背景にはバイオ医薬品産業の成長と慢性疾患の蔓延が大きな推進要因となっています。費用対効果が高く効率的な医薬品開発プロセスの必要性から、CROへのアウトソーシングが増加しており、研究開発(R&D)活動への投資増加や医薬品開発の複雑化も市場拡大に寄与しています。さらに、技術の進歩や臨床試験のグローバル化も重要な役割を果たしています。
特にアジア太平洋地域は、医療投資の増加と臨床研究のアウトソーシングへのシフトにより、最も速いペースで成長すると予測されている地域です。
中国商産業研究院が発表した2024~2029年中国バイオ医薬品アウトソーシング需要予測と発展傾向の展望報告書によると、中国のCRO市場規模は2023年1014億元に達すると予測しています。
さらに、別のソースからも中国のCRO市場は2025年までに1500億元に達すると予測されており、これは年平均成長率が高いことを示しています。これには、臨床試験の外部委託の増加や、バイオ医薬品の研究開発の複雑化が寄与しています。
ただし、中国のCROの役割としてはシーズの発見(24%)から非臨床試験(51%)が大きな割合を占めていることに注意が必要です。
また米中間の貿易摩擦や政治的な緊張が、CRO業界にも影響を及ぼしています。特に、アメリカの製薬会社との取引やアメリカ市場へのアクセスにおいて、これらの地政学的なリスクが不確実性を高めています。
中国のCRO市場は成長の可能性が高い一方で、これらの課題に対する戦略的な対応が求められます。