【プロジェクト紹介(前編)】フーリエフィルムズ~FUKUSHIMA with BÉLA TARR(タル・ベーラ) 福島映画教室2024
全国・世界・地元から、福島県12市町村に、芸術家が集まり、滞在制作をするハマカルアートプロジェクト(経済産業省令和5年度地域経済政策推進事業(芸術家の中期滞在制作支援事業)。
採択者とその活動を紹介しています。
どのような人々が、どのようなアートを福島県東部の12市町村でつくろうとしているのでしょうか?
今回は、アーティスト・イン・レジデンスのプログラムにて映画制作を展開するフーリエフィルムズさんが実施するプログラム紹介の前編です。
2024年2月8日開催 【福島映画教室2024 受講者及び講師紹介・上映交流会】
南相馬市原町区の朝日座にて開催された、
『FUKUSHIMA with BÉLA TARR filmmakers in residence』。
午前の部では、『福島映画教室2024』講師であるタル・ベーラ監督、その教室の様子を記録する小田香監督の紹介。そして200人をこえる応募者の中から採択された7名の若手監督・映像作家の紹介が行われました。
ベーラ監督は「今回マスタークラスに集まった彼ら(受講生の方たち)はとても興味深い作家たちで、このプロジェクトが終わった時に彼らの作品を見に来てください。彼らのことを好きになって欲しいと思います。どうぞ温かい握手で迎えてください」とコメント。
今回のプロジェクトを記録する小田監督は「ご縁があって、ベーラ監督と受講生の皆さんが、福島でなにをされるかというのことを記録させていただきます。2月18日には発表会もありますので、またそちらもよろしくお願いいたします」と挨拶されました。
受講者紹介(五十音順)
飯塚 陽美(いいづか みなみ)さん
北海道出身。移民ネットワークとディアスポラに焦点を当てた人類学者であり、映像作家。ラテンアメリカ、アメリカ、ベトナム、沖縄など様々な国で調査を行う。人類学研究の一環として、映画制作をはじめ、映画への情熱からイメージフォーラム映像映画研究所で学ぶ。2022年に処女作『Look Up and Down』を制作。
現在、プラハを拠点に、短編ドキュメンタリー『Between Winds』と沖縄への期間移民の生活と沖縄ディアスポラを探求する長編ドキュメンタリーに取り組んでいる。
エシュラギ・ロヤさん
イラン出身。コスタリカで人類学を学び、2010年にエシュラギさんの兄の10回忌を目処に初の短編映画『Playing with Sand』を制作。
その後、キューバのEICTVでドキュメンタリーのディレクションを学ぶ。
ディアスポラを描いた『Tree』は世界4大陸で展示され、現在は、初の長編映画『A Constant Departure』を制作中。映像・詩を通して自由への探求と祖国の関係を伝える。
大浦 美蘭(おおうら みらん)さん
福島県生まれ、浪江町出身。2017年に武蔵大学を卒業後、NHKに入局。2020年に退局後、フリーのテレビディレクター、映像作家として活動。
15歳でドキュメンタリー映像を撮り始め、大学在学中の2017年に初監督作品『i』を制作。福島第一原発事故で被災した自分と家族の状況を記録した『家路』(2017)は2017年の山形国際映画祭などで上映された。
その後も自主映画を自主制作映画を撮り続けている。
清水 俊平(しみず しゅんぺい)さん
鎌倉生まれ、パリ育ち。東京藝術大学大学院映像研究科修了。商社勤務を経て青山真治監督に師事。初監督作品『KIM』(2014)が東京学生映画祭グランプリ受賞、東京国際映画祭(TIFF)、バンクバー国際映画祭(VIFF)ドラゴンズ&タイガースで上映。その後、監督のアシスタントやシナリオ・演出を務め、北野武監督作品(『ソナチネ』『キッズ・リターン』)の撮影監督・柳島克己と『息もできない恋人たち』(2017)を制作。
また、マーティン・スコセッシ監督の『SILENCE』にプロダクション・アシスタントとして参加。フランス語通訳なども務める。
シュ・ジエンさん
現在、香港中文大学深玔校で新エネルギー科学を専攻。中国の新疆ウイグル自治区でカザフ族の家族と暮らしていた19歳の時、草原を題材にした自作の映画制作を始め、映画という媒体を通して、物語を語れることへの情熱を発見。その後、海洋砂漠化問題に懸念を抱き、2022年に研究に着手。監督のアシスタントとして、中国沿岸地域の様々な魚種を扱う水産加工工場で調査を行った。この経験を通し、漁業が環境に与える影響や海洋劣化に伴う課題について貴重な経験を得た。
映画を媒体として、人間の生き生きとした本質を表現することが自分の使命だと考えている。
福永 壮志(ふくなが たけし)さん
北海道出身。東京を拠点に活動する映画監督。長編初監督作品『Out of My Hand』(2015)はベルリン国際映画祭パノラマ部門でプレミア上映され、LA映画祭で最優秀U.S.フィクション賞を受賞、ジョン・カサヴィテス・インディペンデント・スピリット賞にノミネートされた。カンヌ国際映画祭のシネフォンダシヨン・レジデンスに選出され、長編第2作『アイヌ・モシル』(2020)を制作。トライベッカ映画祭インターナショナル・ナラティブ・コンペティション部門でプレミア上映され、カルロヴィ・ヴァリ国際映画祭や香港国際映画祭などでも上映された。
リン・ポーユーさん台湾・台北出身。国立台湾藝術大学映画学科修士課程を修了。短編映画『Growing Pain』(2019)は国際的な賞賛を集め、2020年にFIRST国際映画祭西寧で上映された。その後、『To the Sea』(2022)は同年ゴールデン・ホース・アワード(金馬奨)で最優秀実写短編映画賞にノミネートされた。高雄映画祭でプレミア上映された最新作『The Dream Will Carry』(2023)は外面的なリアリズムから内面的な探求へのシフト表現しており、映画制作における進化したスキルを浮き彫りにしている。現在、長編デビュー作を制作中。
後半では、受講者のそれぞれの意気込みをお伝えします!