特定理由離職のすすめ
ひとつ前に書いた投稿の通り、私の退職時は自分の知識が足りず、ほぼ思考停止で自己都合退職を受け入れてしまった。その後ハローワークでダメ元で相談したところ、いとも簡単に特定理由離職に変更することができた。
具体的には、在職中にかかったメンタルクリニックの診断書を持ってくるだけでOKだった。後日ハローワークから発行された失業保険受給資格者証の離職理由欄には、しっかりと特定理由離職コードの「33」が刻まれていた。
それによって得られた2つの恩恵が非常に大きかったので、ひとつずつ説明したい。ローリスクハイリターンとは、まさにこの事。
①国民健康保険料や住民税の減免
退職すると社会保険から外れるため、必然的に国民健康保険へ加入することになる。これは国民の義務であるため、逃れることはできない。私も例にもれず国民健康保険への切り替えに役所へ行き、納付書が届くのを待った。
そうして届いた納付書には「月45,360円」の保険金額の記載が。年度末までの計算だと「224,960円」。私は膝から崩れ落ちた。高すぎだろ…。
何とか保険金額を下げられないかと調べて見つけたのは、「特定理由離職者は給与所得を100分の33に換算して再計算する(要申請)」との文言。
私の場合、前年所得が400万前半だったので、100万円台前半まで下がることになる。これによって月43,500円がどのくらい下がるのかわからなかったが、私は藁にもすがる思いでハローワークへ駆け込み、特定理由離職者と認められ、その証拠に失業保険受給資格者証を持って区役所へ足を運んだ。
その結果、初月のみ手続きが間に合わなかったので43,500円をそのまま支払ったが、その後の支払額はなんと「月5,260円」。年度末までの合計は「65,320円」。なんと159,640円もの減額となったのだ。特定理由離職者であるというだけで、毎月約40,000円ものお金を余計に振り込まなくて済んだのである。 これも個別の案内はなく、自分で調べて自分で申請することで、はじめて得られる減額である。確かに情報は公平に開示されているが…特定理由離職と自己都合でこんな差が生まれることなど、想像もしていなかった。
②一般離職者と比べ、失業手当の受給要件が緩和される
失業保険はすぐに支給される訳ではなく、待期期間というものが存在する。これは会社都合も含む全ての退職者に共通していて、7日間は失業手当を受け取ることはできない。
さらに、自己都合の場合は2ヶ月間の給付制限期間があるため、諸々手続きなどの期間も含めると、失業してから2ヶ月半~3ヶ月程度の無収入期間が発生することになる。これは非常に長い。この間アルバイトなどで食いつなぐことは可能だが、週20時間以上かつ計31日以上の労働は就職とみなされ、失業手当自体が給付されなくなる。
週20時間以内のバイト収入などたかが知れており、必然、貯金を切り崩す他なく、実際にこの期間は真綿で首を絞められるような状況である。よほどの蓄えがなければ、旅行など行けるような精神状態ではない。実際この期間に、さっさと転職してしまう人も多い。
しかし、特定理由離職であればこの待期期間は免除され、会社都合退職者と同様に、待期期間も含め約1か月後には初回の失業手当が振り込まれる。初回はだいたい20日分前後が振り込まれるため、私のケースでは約13万円が振り込まれた。さらに退職した月の傷病手当金もほぼ同時期に振り込まれたので、失業した翌月に約35万円ほどが口座に入ってきた。これは大変に心強かった。失業初期は何かとお金がかかるので、ぜひ特定理由離職でこの資金源を勝ち取ってほしい。
退職後に一番の心配事となるのは、やはりお金のことだろう。私もそうだった。しかし、今回紹介したこの2点は、間違いなくそのお金の面の心配を軽減してくれる。
自己都合で退職してしまった人は、あきらめずに特定理由離職の可能性がないか、ハローワークに確認してみてほしい。私はハローワークのことを正直職業斡旋所程度にしか思っていなかったが、親身になって考えてくれる職員さんもいる。家電売り場で値引きを交渉するような気持ちで、気軽に相談してみると良いと思う。