飛鳥「ついでにボクの分も――『チン』してくれないか?
ありす「……えっ?いいですけど…………。
ピッ
ありす「ふふっ、飛鳥さん『チン』だなんて。子供っぽいんですね。
飛鳥「ふっ、やっぱりそう思ったね――
ありす「?な、なんですか?
飛鳥「ありす、キミは――電子レンジがどのような原理で加熱――またはそのような状態になるか、知ってるかい?
ありす「えっ……あ、今かr
飛鳥「おっとタブレットでの検索はルール違反だ。いいかいありす――
…………………………………………………………………………………………………………
飛鳥「――以上がマイクロ波加熱、そして、ボクが敢えて『チン』と呼んで区別する理由だよ。
ありす「………………………………はあ……………………。
飛鳥「じゃあねありす。
バタン
ありす「………………………………。
ありす「…………………………なんなんですかね、今の。
ありす「……飲んでかないし…………冷めてるし…………私の分まで…………。
~~~~~~~~~~~翌日~~~~~~~~~~~
ありす「ついでに私の分も――『チン』してくれますか?
仁奈「お安い御用でごぜーますよ!
ピッ
ありす「ところで仁奈さん、電子レンジがどのような原理で加熱されるか知ってますか?
仁奈「?知らねーです!
ありす「いいですか仁奈さん――
…………………………………………………………………………………………………………
仁奈「わかんねー!興味ねーですよ!!
ありす「でも、ちゃんと知っておかないと恥ずかしい思いするんです!
廊下から二人の様子を観察してる志希「あらあら~…………。
ありす「いいですか、マイクロ波加熱は内部加熱方式d
文香「ありすちゃん?
ありす「!?ふ、文香さん!?
文香「仁奈ちゃん、薫ちゃんたちがあっちで探してましたよ。
仁奈「ほんとでごぜーますか!?ありすちゃんさよーなら!
トトトトト……
文香「……ありすちゃん?
ありす「ひっ……あ、あの、恥ずかしい思いをして欲しくなくて……。
文香「ありすちゃんなりの親切だったのですね。
ありす「はい!
文香「でも、仁奈ちゃん嫌がってるように見えました。
ありす「そ、それは……。
文香「嫌がっててもなお、続けないといけなかった?
ありす「……年上の人に馬鹿にされるかもしれませんから。
文香「電子レンジの仕組みを知らない事で、馬鹿にしてきた人が居るの?
ありす「…………それは…………。
志希「文香ちゃんパース!
飛鳥「わわっ!?
文香・ありす「!?
文香「えっ…………っと。
飛鳥「あっ…………。……言っておくが、ボクはありすを馬鹿にしたつもりはないよ。
ありす「!?……じゃあどういうつもりであんな事を……。
飛鳥「!凄いしくみじゃないか!感動、しただろう?
ありす「しません!
飛鳥「そんな……。
文香「見事に意図が行き違っているようですね……。
飛鳥「ボクのプレゼン力が未熟なせいだね……。ここは志希に……。
志希「パ~~~~ス。文香ちゃんお願~~い。
文香「えっ……。いえ、私も電子レンジの仕組みは詳しくなく、説明力も……。
志希「ちが~う(笑)
トントン(自分の頭を指差す志希)
志希「ここの使い方、教えてあげて。
文香「えっ……。そんな、頭の使い方なんて……。
ありす「文香さんの頭の使い方、知りたいです!
飛鳥「ボクも……。
文香「…………お恥ずかしながら……ただ、本を読んでは空想し、自らの中で楽しむくらいにしか頭を使っておりません……。
飛鳥「!?知り得た情報を、誰かと共有したいとは思わないのかい!?
文香「そういう気持ちが全くない訳ではありませんけど……。いえ、最近はそう言う気持ちも増して来ましたね。でも、本を読むそれ自体が好きなので……。
ありす「本を読んで賢くなりたいって気持ちは?
文香「お恥ずかしながら……。そのような向上心はあまり……。
飛鳥「純粋な興味……か……。それに比べてボクときたら……。
文香「比べる必要はないかと。今回の齟齬はおよそ言い手と受け取り手の興味や熱量が違っただけで、私だってすれ違う事……ばかり…………ですね……。
ありす「ああ文香さん、暗くならないで!
文香「とにかくその、熱量をもって話すにせよ相手を観察するのは大事かと。見て貰えないと寂しいですし、観て貰えると嬉しいですからね。
飛鳥・ありす「は~い。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
志希「いや~、飛鳥ちゃんの『は~い』、良いもの見れたね~。
文香「ものすごくドキドキしました……。ありすちゃんだけでも、嫌われてしまわないか冷や冷やしてる中で、飛鳥ちゃんまで任されてしまって……。
志希「飛鳥ちゃん賢いからね~。賢過ぎて、志希ちゃんの言う事をすぐに飲み込んじゃう。丸飲み~。
文香「飛鳥ちゃんの為に、だったのですね。
志希「いや、『みんなのため』だよ?
文香「客観的に見て、ありすちゃんの為にもなれていたなら本当に良かったです。
志希「いやいや(笑)。文香ちゃん、知識の押し付けは良くないけど、さっきみたいに知ってるものは知ってるものとして世に送り出しちゃってもいいんじゃない?
文香「…………善処は、します。
志希「にゃは~。
文香「…………(『みんなのため』。私も含まれるのなら、志希さんの事も含めての意味になるんですかね。……だとしたら……ふふっ。)
志希「ほらそれ!
文香「読心術!?
END 2024/11/21